チャットボットを導入してユーザーが知りたい情報にアクセスしやすい導線を用意すれば、お問い合わせ業務の工数削減やコンバージョン率が高まる効果が期待できます。
しかし、チャットボットがユーザーの望む情報に回答できなければ、サイトからの離脱などマイナスの結果を招いてしまいます。そのため、チャットボットを導入する際は、お問い合わせに対する正答率が高まるように運用をしなければなりません。
この記事では、チャットボットの正答率を高めてユーザーの満足度を高める施策について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
弊社サンソウシステムズが提供するチャットボット「さっとFAQ」は導入実績500社以上、さまざまな業界の企業様に導入していただいております。専用のダッシュボードで利用率の分析も可能です。Excelを使って会話データを作成できるため、メンテナンスも簡単です。
月額1万円で導入できる高いコストパフォーマンスに加え、30日間の無料トライアルもご用意しておりますので、気になる方はチェックしてみてください。

チャットボットとは
チャットボットとは、チャットとボットを組み合わせた造語で、テキストや音声でユーザーに自動で返信するプログラムです。
Webサイトにチャットボットを導入することで、有人窓口が対応していない夜中の時間帯でもユーザーの悩みを解消できます。また、有人窓口への問い合わせが減ることから、問い合わせ担当者の業務負担を軽減することが可能です。
チャットボットの種類には、ユーザーが選択肢を順に選ぶことで回答を提示する「シナリオ型」と、AIが人間の代わりに回答する「AI搭載型」の2つがあります。それぞれメリットやデメリットがあるため、特徴を理解した上でどちらを選ぶか検討してください。
種類 | メリット | デメリット |
シナリオ型 | 導入費用を抑えられる。また、ユーザーの質問意図に沿った回答を提示できる。 | あらかじめ想定している質問にしか回答できない。 |
AI搭載型 | 自動で情報が蓄積されるため、シナリオ型よりも広範囲の問い合わせに対応できる。 | 導入費用が高額になる場合がある。また、膨大な事前学習用のデータをインプットする必要がある。 |

チャットボットの正答率とは
チャットボットの導入・運用を成功させるためには、正答率を高めることが重要です。正答率とは、チャットボットから回答を得た人のうち、正しい回答内容を得られた人の割合を指します。
回答の内容に誤りがあり、ユーザーの意図を汲み取れない回答が続くと、正答率は下がり、ユーザーの満足度も損なわれます。ユーザーの疑問や悩みを解決するためには、高い正答率を維持できる品質でなければなりません。
しかし、導入してすぐ100%の正答率を達成することは難しいのが実情です。ユーザーからの想定外の質問や、表記の揺れなど、導入した初期段階では対応しきれない要素が多く存在します。
そのため、はじめから正答率100%を目指す必要はありません。導入後にユーザーがどのような質問をしているのかを分析し、必要に応じて反応するキーワードの追加・変更や、シナリオ分岐の見直しをおこないましょう。
正答率と解決率の違いとは
正答率と似ているものに、解決率があります。解決率とは、チャットボットの回答に満足した人の割合です。
解決率は正答率と同じく、チャットボットを導入する際に確認すべきKPIの一つです。
ユーザーにとって回答の文章が理解しづらいと、解決率が低くなります。社内で当たり前に意味が通じている用語でも、社外の人にとっては聞き馴染みのないものもあるため、専門用語が使用されていないか確認しましょう。
正答率と精度の違いとは
チャットボットの精度は、正答率に対してさらに深いところまで求めた内容です。「お出かけの服装のアドバイスがほしい」とする質問に対して、単に「暑いので半袖が良いです」と答えるのと、「今日は25度で湿度も高めなので、吸水性の良い素材の半袖に、急な雨に備えて折りたたみ傘があると安心です」と答えるのでは、精度が異なります。
また、文法的に正しい回答でも、ユーザーの困りごとに寄り添えていないこともあります。「近くの美味しいレストランを教えて」とする質問に、ただ店名を列挙するだけでは、予算や好みに合っているか判断できません。
正答率は正解の数を重視しますが、精度はどれだけユーザーの役に立てたかを大切にする指標です。
チャットボットの種類による正答率の違い
チャットボットの種類による正答率の違いとして、シナリオ型のチャットボット、AI型のチャットボットの正答率をそれぞれ解説します。
シナリオ型チャットボットの正答率
シナリオ型チャットボットは、質問と回答があらかじめ設定された状態のチャットボットです。「営業時間は何時までか」の質問には「18時」などのように、あらかじめ決められた正確な回答ができます。
お問い合わせ窓口や商品案内など、想定される質問の範囲が限られている場合は、高い正答率を実現できることが特徴です。商品の返品手順のような定型的な質問には、正しい情報を案内できます。
一方で「18時5分前に着くのですが大丈夫ですか」のような想定外の質問には対応が難しい傾向があります。また特定の文脈を含む会話も、シナリオにない内容のため適切な返答が難しくなりがちです。
決められた範囲内では正確な対応ができる一方で、アドリブが必要な質問には正答率が低くなる傾向があります。
AI型チャットボットの正答率
AI型チャットボットは、高度な技術と豊富な学習データを活用して、人間らしい自然な対話を実現し、高い正答率を達成できるシステムです。
先進の機械学習と自然言語処理技術により、ユーザーの入力内容を正確に理解・分析していきます。多くの対話データを学習することで、言葉の裏にある真の意図をくみ取り、それに応じた適切な返答を導き出せることが特徴です。
会話の中で、体調や気分を考慮した返答や、前後の文脈を理解しながら対応することができます。また、複雑な質問に対しても、状況を総合的に判断した回答を提供できる柔軟性を備えています。
一方で、学習内容が十分ではない場合は誤った回答をしてしまうリスクもあるため注意が必要です。
チャットボット正答率の評価方法
チャットボットの正答率を評価するにはいくつかのステップが必要です。正答率を評価する具体的な手順に沿って解説します。
テストデータの作成
チャットボットの正答率を確かめるために、まずはテストデータの作成が必要です。チャットボットに投げかける質問と、それに対する理想的な答えを準備します。
テストは、チャットボットが初めて出会う質問にどれだけ正確に答えられるかを見る重要な機会です。日常的によくある質問だけはなく、想定されにくい意外な質問まで、さまざまな場面を想定して準備しなければなりません。
また、サイトの特徴に合わせたテストデータ作りも大切なポイントです。ECサイトなら「商品の色違いはありますか」など、サイトの特徴に合わせた質問を重点的に用意します。
テストデータは実際の使われ方を思い浮かべながら、チャットボットの実力を正しく確かめられるように作成しなければなりません。
テストの実施と分析
チャットボット正答率の評価として、次に実施するのはテストと結果の分析です。用意したテスト問題をチャットボットに次々と尋ねていき、一つひとつの質問に対するチャットボットの回答を記録していく工程です。
すべてのテストが終わったら、チャットボットの回答と、前もって用意しておいた模範解答を見比べていきます。完璧に合っているか、ニュアンスが違うところはないかなど、細かい部分までチェックしなければなりません。
テスト結果を振り返って、チャットボットの得意分野や苦手な部分を探っていきます。チャットボットの回答を俯瞰的に見て、回答の特徴や傾向を見つけ出していく作業も必要です。
テストの実施と分析を通じて、チャットボットの現在の実力を把握し、より良い対話の実現に向けたヒントを見つけていきます。
テスト結果の反映
最後にテスト結果を評価し、反映します。チャットボットが正しく答えられた数を全部の問題数で割って、100を掛けることで、パーセントでの正答率が算出可能です。
上手く答えられなかった質問や、回答が要点を捉えていない質問から改善点を見つけ出し、チャットボットの設定を見直していく作業が必要です。
AI型の場合は、見つかった課題を新しい学習材料として活用します。質問に対する正しい回答方法の学習を重ねて、テストと改善を繰り返すことで、チャットボットはより賢く、より親切な応答ができるよう成長していきます。
チャットボットの正答率が低いことによる問題点
この章では、チャットボットの正答率が低いことで起こる問題点を解説します。問題点を把握しておらず、正答率を疎かにすることで、チャットボットの導入効果を下げてしまうことも少なくありません。
導入にかかる費用や労力を無駄にしないためにも、あらかじめ正答率が低いことによる問題点を把握しておきましょう。
問い合わせ件数が減らない
チャットボットでユーザーの悩みを解消できなければ、問い合わせ件数は減りません。チャットボットでは質問に対する答えを得られないため、ユーザーは有人窓口で担当者に回答を得ようとするからです。
チャットボットの種類を問わず、導入には費用と手間・時間がかかります。有人窓口の対応工数を減らして業務効率を改善したかったにもかかわらず、問い合わせ件数が減らなければ、導入前よりも手間や時間がかかっただけになってしまいます。

顧客満足度が向上しない
チャットボットの回答でユーザーの疑問を解消できなければ、顧客満足度を向上させられません。24時間365日いつでも疑問を解消できる効果を享受できず、顧客は有人窓口の対応時間となるまで待つ必要があるからです。
有人窓口に問い合わせが殺到している場合、問い合わせ担当者が顧客に回答できるタイミングは遅れます。一言の回答で解決できるような簡単な質問であっても、数日待たせてしまう場合もあるのです。

チャットボットの利用率が下がる
チャットボットの正答率が低い場合、チャットボットの利用率は低下します。利用したところで質問に対する回答を得られず、次からは利用したいと思ってもらえないからです。
利用率が低い場合、チャットボット運用やサービスを改善するためのヒントとなる情報は得られません。顧客の満足度向上や業務効率の改善といった導入目的を達成できない状態が続いてしまうのです。

チャットボットの正答率を把握する上で注意するポイント
チャットボットの正答率を把握する上で、正答率や精度に依存しないように注意しなければなりません。
チャットボットの正答率だけに依存しない
チャットボットを評価するとき、正答率だけに目を向けすぎてしまうと、本来の目的である「困っているユーザーの手伝い」がおろそかになってしまいます。文法的には間違いのない回答でも、ユーザーが本当に知りたかったことが含まれていない場合、困りごとの解決にはつながりません。
困りごとが解決しない場合、ユーザーは電話やメールでサポートセンターに問い合わせます。チャットボットを利用したにもかかわらず、もう一度最初から説明することで、かえって手間が増えてしまう状態です。
結果として、チャットボットを導入した目的の「サポートスタッフの負担を減らすこと」も実現できず、期待していた効果が得られません。正答率を上げることも大切ですが、ユーザーの困りごとに寄り添えているかの視点が大切です。
チャットボットの精度だけに依存しない
精度にこだわりすぎると、膨大な量の学習データを用意する必要が出てきます。そのため、準備に多くの時間がかかり、導入コストもかさんでしまいます。また、どれだけ入念に準備をしても、想定外の質問は必ず寄せられるものです。ユーザーが質問するすべてのケースを完璧に想定することは現実的ではありません。
最初から完璧を目指すより、実際の利用の中で少しずつ精度を高めていく方法が、現実的なアプローチです。ユーザーとの対話を重ねて、テストとフィードバックを繰り返しながら成長していく柔軟な姿勢が必要となります。
チャットボットの精度は大切ですが、現実的なバランスを考えながら、段階的に改善を重ねていく方法が効果的です。
チャットボットの正答率を上げるコツ
チャットボットの正答率を高めるためには、いくつかのポイントを押さえることが大切です。ツール選びや運用そのものも大切ですが、運用するための環境整備や目標設定なども重要な役割を果たします。それぞれ詳しく見ていきましょう。
管理チームを配置する
チャットボットをうまく運用できれば、窓口担当者の業務が軽減されるため、少ない人員で多くの顧客に対応できます。
しかし、チャットボットの正答率が低ければ効果を得られないため、導入・運用をおこなう管理チームを配置して回答精度を高めることがおすすめです。
自社内で人員を確保できない場合は、チャットボットの作成を外部の会社に委託することも一つの手でしょう。ただし、チャットボットのコンテンツ内容を修正する際に自社で対応できなくなるため、すべて外注することはおすすめしません。
運用結果を基に質問を改善する
実際にチャットボットを運用していく中で得られたデータを基に、コンテンツを改善すれば、ユーザーが疑問に思いやすいことを把握できるため正答率を向上させることができます。
「専門用語の使用によって回答の文章が理解できていない」というデータが得られた場合、回答の文章を誰でも理解できるように修正しましょう。また、表記揺れによって正答率が下がっている場合は、複数の表現に対応できるようにコンテンツ内容を改善する必要があります。
有人チャットを併用する
有人チャットを併用することで、チャットボットの回答精度を向上させることができます。
チャットボットの種類の一つであるAI搭載型は、シナリオ型よりも広範囲の質問に回答できます。しかし、これまで質問されてこなかったカテゴリーの質問である場合、AI搭載型でも対応できない場合があるのです。
有人チャットと組み合わせていなければ、チャットボットの回答範囲を越えた質問に対応できず、悩みを抱えるユーザーを放置してしまいます。そのため、チャットボットを導入する際は有人チャットと併用して、どのような悩みも解消できる体制を整えておきましょう。
適切な目標(KPI)を設定する
チャットボットの正答率における目標は、適切な数値に設定します。「正答率100%」など、過度に高い数値で設定すると、労力がかかるだけでなく、その労力に見合った効果が得られるとは限りません。
チャットボットの平均正答率は、一般的に60~80%と言われています。チャットボット公開前に、長期間にわたり準備し、テスト運用を繰り返したとしても、正答率は60%程度です。いくら費用をかけようと結果は同様です。
そのため、正答率の目標を設定する際は、60~80%を目安にし「3か月後に70%を超える」などの期間も設定しましょう。チャットボットの正答率を高めるためには、公開後にいかにPDCAサイクルを回すかが最も重要です。ユーザーからの質問などのデータを基に、改善を繰り返しましょう。

データの質と量を高める
データの質と量を高めることでチャットボットの正答率を高められます。チャットボットの学習には、さまざまな情報や会話による事例の積み重ねが欠かせません。幅広い知識と豊富な対話パターンを学ばせることで、多様な質問に柔軟に応えられます。
特にAI型チャットボットでは、学習データの内容や量が応答の質に直接影響するため、充実した情報をたくさん吸収させることで、より状況に即した適切な返答ができます。
また、言葉の意味や使い方の学習も大切な要素です。「お腹がすいた」と「お腹がぺこぺこ」のように、同じ意味でも表現が異なるケースを理解できるよう、丁寧に学習を重ねていかなければなりません。
豊富で質の高いデータを通じた学習で正答率を高めることにより、チャットボットはより信頼できるツールとして活用できます。
チャットボットの利用目的を明確にする
チャットボットに何を任せるのか、役割を明確にすることは重要なポイントです。問い合わせに対する1つのリソースとして、得意分野と守備範囲を決めておくことでより確実な対応ができます。
また、有人対応とチャットボットの連携も考えていかなければなりません。基本的な案内はチャットボットが担当し、より詳しい相談は人間のスタッフが受け持つなど、それぞれの良さを活かした役割分担をあらかじめ決めておきます。
役割を明確にすることで、チャットボットが取り組むべき範囲が明確になるため、任せられた分野で対応の質を高めることが可能です。「何でもできる」より「できることを確実に」とする考え方が、より良い結果につながります。
回答精度を高める
回答精度を高めることも、正答率の向上につながります。チャットボットを利用したユーザーに、アンケートをお願いすることで、より良い対応への手がかりが見えてきます。
「あまり満足できなかった」とする意見があった場合は、どのポイントで困っていたのかを分析します。回答内容の間違いや、質問の意図とずれているなど、さまざまな課題が見えてくるはずです。
間違った情報を提供してしまった場合は正しい内容に修正し、質問の意図に沿えなかった場合は、どのような会話の進め方が良いかシナリオを見直していきます。ユーザーからの意見を反映し、一つひとつ改善を重ねることで、より信頼できるチャットボットへと成長していきます。
シナリオ型のチャットボットを組み合わせる
シナリオ型のチャットボットは、あらかじめ決められた道筋に沿って会話を進めていく特徴があるため、うまく活用することで、より確実な対応が可能です。
特定の質問が急に増えた時には、その内容をチャットの一番上に置いて、スムーズな案内ができるように工夫できます。例えば「セール時期の返品について」の問い合わせが増えた場合、すぐに対応できるよう準備しておくイメージです。
シナリオ型は人の手で会話の流れを設計するため、必要に応じて素早く修正できる利点があります。質問のパターン数が限られている場合、より確実な対応ができるのが特徴です。ユーザーの質問の意図をしっかり理解したシナリオを用意することで、より正確で精度の高い対応が実現できます。
チャットボットの正答率を向上できた事例
チャットボットの正答率を高めることに成功した事例を紹介します。自社の状況と類似した成功事例を参考にすることは、チャットボットの正答率を高めるための一助になるでしょう。それぞれの事例について詳しく見ていきましょう。

株式会社テンダ:導入後半年で2割のお問い合わせを削減
出典:株式会社テンダ
株式会社テンダは、マニュアルを自動作成するソフト『Dojo』や、業務可視化・分析ツール『D-Analyzer』などの製品を提供しています。製品やサービス数の増加と共に増えていくユーザーからの問い合わせ対応への人手不足を感じていたと言います。
「どうにか人の手を使わずに問い合わせ対応をしたい」という思いを持っていたところ、チャットボットの導入が有効ではないかと、検討段階を経て導入に踏み切りました。
そこで、サンソウシステムズが提供する「さっとFAQ」の30日間の無料トライアルを活用します。実際にExcelで質問と回答を作成し、チャットボットに動作させてみたそうです。導入前に使い方を理解できたこともあり、導入もスムーズに進みました。
導入後は月平均で約4割の問い合わせをチャットボットが対応しており、ユーザーからの問い合わせにかかる業務の大幅な効率化に成功しています。操作や管理も簡単でわかりやすかったため、質問と回答のシナリオ作りに時間を費やせたのも、効率化が成功したポイントの一つだそうです。
この事例は社外のユーザーに向けたチャットボットの活用例ですが、社内向けの問い合わせ対応チャットボットの運用にも、応用できる点が多くありますね。
参考:導入後半年で2割のお問い合わせを削減ー株式会社テンダ 様
花キューピット株式会社 | カスタマーセンターの負担を軽減
出典:花キューピット株式会社
花キューピット株式会社は、遠距離の配送をおこなうことなく、お届け先の近くの花屋さんが直接届けてくれるサービスを展開しています。
カスタマーセンターを設置していたものの、人材採用が困難で、ロケーションの確保が難しい課題がありました。また、時期によって繁閑の差が激しく、繁忙期には受けきれないほどの問い合わせが殺到するそうです。業務効率化にも限界を感じ、顧客に疑問を自己解決してもらうためにチャットボットを導入しました。
チャットボット「さっとFAQ」を導入した結果、注文の変更や領収書の発行方法など、基本的な質問はチャットボットで顧客自身が自己解決していると、データからわかっているそうです。顧客の満足度向上に直結していると考えられるでしょう。
さらに、今後はカスタマーセンターでオペレーター向けのナレッジ共有ツールとして、チャットボットの活動を検討しているとのことです。
参考:「お花を贈りたい」という思いに寄り添ってお客様の手間をチャットボットで軽減
JBサービス株式会社
出典:JBサービス株式会社
JBサービス株式会社は、企業のセキュリティ対策やIT運用のサポートサービスを提供している会社です。
ナレッジの分散によって業務が属人化しているという問題を解消するために、チャットボットを導入しました。しかし、導入初期のチャットボットの正答率は47%と低く、実務で使えるレベルではありませんでした。
そこで、これまでなかった新しい問い合わせがあった際には、現場の担当者からフィードバックをもらうなど協力してもらいました。その結果、導入2か月半後には、実務で活用できるレベルの95.5%まで向上させることに成功したのです。
また、導入前は、ユーザーの悩み1つの解消に5分かかっていたものが、導入後には2分で解消できるようになりました。
株式会社ベルパーク
出典:株式会社ベルパーク
株式会社ベルパークは、直営キャリアショップの運営や法人向けに情報通信機器の販売サービス提供を実施している会社です。
278店舗もの管理業務に関する問い合わせを、一つの管理部門でおこなっているという問題を解消するために、社内用チャットボット導入を決意しました。
ベルパークのオリジナルキャラクターをチャットボットに導入したことで、親しみを持って社員が利用できるようになりました。その結果、チャットボット公開後2か月半後には、正答率87%にまで向上させられたのです。
また、これまで質問を躊躇していた社員も気軽にチャットボットで悩みを解消できるようになりました。業務に関する情報を簡単に調べられることで、生産性向上を図れたのです。
株式会社フリーウェイジャパン
株式会社フリーウェイジャパンは、会計税務ソフトウェアを提供している会社です。
ノウハウが属人化しており、担当スタッフが変更された場合に、迅速に立ち上がれないという問題を解消するため、チャットボットの導入を決断しました。
導入後もログを基にメンテンナンスを実施することで、現在では正答率8割を記録しています。導入前よりユーザー数が増えたにもかかわらず、問い合わせの対応数を大幅に減少させることに成功しました。
導入してすぐは正答率を上げることが難しかったものの、毎月AIチャットボットのログを参照し、新しいFAQを作成することで、現在では効率的なメンテナンスを実現しています。
大和証券グループ
出典:大和証券グループ
大和証券グループ本社は、大和証券株式会社をはじめとする証券事業を展開するグループ企業を傘下に収め、リテール事業やホールセール事業、アセット・マネジメント事業を幅広く手がけています。
同社は業務効率化戦略として、バックオフィスを持たない店舗を増やし、バック事務機能を全国8か所の拠点へ集約しています。結果、店舗のバック事務人員は約1,300名から450名程度へと大幅に削減されました。
人員削減に伴い、残された事務スタッフの業務負担軽減が課題となる中、2019年頃にチャットボットを導入しましたが、当初の正答率は50%前後にとどまっていました。
ユーザーが求める回答を得やすくするための機能改善に取り組んだ結果、導入から4か月後の2023年7月時点で正答率は72%まで向上しています。正答率向上により、業務時間を全体で15%程度削減することに成功しました。
ダイキン工業株式会社
出典:ダイキン工業株式会社
ダイキン工業株式会社では、メールやネットワーク設定の不具合に関する社内問い合わせに対応するヘルプデスクとして、チャットボットを効果的に活用しています。導入の背景には、社内からの電話問い合わせ対応工数の削減や、社員の情報検索時間短縮の目標だけでなく、ユーザーからの要望を「見える化」する必要性がありました。
チャットボットの利点として、質問内容のログが自動的に記録される点が挙げられます。この特性を活かし、ダイキン工業では社員から寄せられる質問の傾向を詳細に分析しました。分析に基づいて、重点的な対応が必要なジャンルのFAQを絞り込み、集中的にアップデートするなどの施策を実施しています。
継続的な改善の結果、現在では1日100件以上の質問にチャットボットが対応しており、社員の質問に正確に回答できた割合(正答率)は85%と高い水準に達しています。高い正答率によって、社員の業務効率向上とヘルプデスク業務の最適化を同時に実現しました。
株式会社ジェーシービー(JCB)
株式会社ジェーシービー(JCB)では、年間500万件に及ぶお客さまセンターへの問い合わせに対応するため、チャットボットを活用した業務効率化に取り組みました。多岐にわたる問い合わせに対応する必要があった同社は、オペレーターの働き方改善や、シフト・配置人数のバランス最適化の課題を抱えていました。
課題解決のため、JCBはユーザーの利便性と満足度を高めるセルフサポートの仕組みを構築しています。特に注目すべき点は、利用者のVOC(Voice of Customer)分析結果を活用し、わかりやすさへの工夫を取り入れたチャットボットの導入です。取り組みの結果、チャットボットの正答率は80%という高い水準に達しました。
高い正答率を実現したチャットボットにより、JCBはお客さまセンターやカスタマーサポートで課題のスピーディな改善を実現しています。問い合わせの分散化による業務効率化だけでなく、ユーザー満足度の向上にも成功しています。
正答率以外にもチャットボットの成果を測る指標
チャットボットの成果を測る指標は、正答率だけではありません。チャットボットの導入目的を達成するには、どのような指標があるのかを把握しておく必要があります。
それぞれの指標について、詳しく見ていきましょう。
起動数
起動数とは、サイトを訪れたユーザーによって、チャットボットが起動された回数を指します。例えば、ユーザーからチャットボットが100回起動されていた場合、起動数は100です。
起動数からチャットボットの利用頻度を把握でき、どれだけチャットボットがユーザーに受け入れられているかを判断できます。起動数が低い場合は、表示方法や利用導線を見直す必要があります。
対応件数
対応件数は、チャットボットが実際に対応した問い合わせの件数です。対応件数が多いほど、ユーザーからの問い合わせに対応していることを示します。
起動数に対して、対応件数が少ない場合、初期メッセージや表示するタイミングの見直しが必要です。
回答率
回答率は、チャットボットが受けた問い合わせのうち、回答できた割合を指します。例えば、チャットボットが受けた100件の問い合わせに対して、70件の問い合わせに回答できた場合、回答率は70%です。
回答率が高ければ、回答精度が高く、ユーザーの質問に対応できていることを示します。回答率が低い場合は、学習データの蓄積やシナリオ設計の見直しが必要です。
解決率
解決率は、ユーザーからの問い合わせのうち、チャットボットによって解決された割合を指します。例えば、ユーザーから届いた100件の問い合わせに対して、80件の問い合わせを解決した場合、解決率は80%です。
チャットボットによる回答の最後に「この回答は役立ちましたか?」などの質問を表示し、「はい」「いいえ」で回答できるよう設計します。そのうち「はい」と答えた回数を測定しましょう。
解決率の高さは、ユーザーの疑問や悩みを適切に解決できていることを示し、顧客満足度の高さを表します。
問い合わせ件数
問い合わせ件数は、ユーザーから届いた問い合わせの数を指します。有人対応や電話による問い合わせ件数が減っている場合、ユーザーからの質問が、チャットボットによって解決されていることを示します。
チャットボット導入後は、全体の問い合わせ件数に対して、有人対応による問い合わせ件数がどれだけ減っているか測定しましょう。
また、オペレーターの勤務時間も合わせて測定しておけば、どれだけ経費を削減できているかの確認も可能です。
サイト遷移数
サイト遷移数は、ユーザーがチャットボットの利用を通じて、Webサイトに遷移した数を指します。チャットボットが提供する回答によって、ほかのページにアクセスした回数を測定します。チャットボットの回答によって、想定通りにユーザーがWebサイトを閲覧しているか、問い合わせや成約につながっているかを確認しましょう。
サイト遷移数が多いほど、チャットボットの提供する情報が、ユーザーの疑問や悩みの解決に役立っていることがわかります。また、チャットボットによって自社製品やサービスの購入に誘導したい場合は、適切なシナリオが設計できているかを確認できます。
コンバージョン率(CVR)
コンバージョン率は、チャットボットを介して、自社サービスや製品を購入した割合です。コンバージョン率が高いと、ユーザーストーリーが適切に設計されており、ユーザーの行動を引き出せています。
コンバージョンの代表例は、以下の通りです。何をコンバージョンとするかは、提供するサービスや製品によって異なります。
- 商品やサービスへの問い合わせ
- 購入
- サンプルの申し込み
- 資料請求
- PDF資料のダウンロード
カバー率
カバー率とは、チャットボットがどれだけ幅広い質問に対応できるのかを表す目安です。正答率と合わせて確認することで、チャットボットとしての方向性を見定められます。
正答率が60%でカバー率が90%の場合、多くの質問には答えられる反面、正確さが足りない状態を表しています。このような場合は、答えられる質問の範囲を増やすのではなく、一つひとつの回答の質を高めていく工夫が必要です。
一方で、正答率が高くてもカバー率が低い場合はチャットボットとして活用できるシーンが少なくなるため、調整が必要です。両方をバランスよく高めることで、より便利なチャットボットとして利用できるようになります。
さっとFAQの活用事例
「さっとFAQ」はコストパフォーマンスに優れたチャットボットで、専門的な知識がなくても簡単に導入できることが魅力です。ここからは「さっとFAQ」の活用事例を紹介します。
宇津救命丸株式会社
出典:宇津救命丸株式会社
宇津救命丸株式会社は、慶長2年(1597年)に初代宇津権右衛門によって創業された歴史ある企業です。風邪薬やスキンケア製品など多岐にわたる医薬品などの開発・販売をおこなっており、毎月50件以上消費者からの電話問い合わせに対応していました。
同社では、特定商品や定型的なお問い合わせへの対応を効率化し、より複雑な問い合わせに注力できる体制を構築するため、チャットボット「さっとFAQ」を導入しました。導入の利点として、お客様相談室がすでに作成していたExcel形式のFAQをそのまま活用できた点が挙げられます。
導入後は、ウェルカムトークのパターンを複数試行錯誤した結果、チャット開始率がリリース当初の約30%から約50%まで大幅に向上しています。電話での問い合わせが平均して約2割減少する成果を上げました。
24時間365日対応の特性により、「深夜にふと聞きたくなった」などの多様なユーザーニーズにも対応できるようになりました。
株式会社医療産業研究所
出典:株式会社医療産業研究所
株式会社医療産業研究所は、ヘルスケア分野に特化した調査事業会社です。同社はストレスチェックを受ける企業の従業員に対して、親しみやすく楽しいコンテンツを提供したい思いから、チャットボット「さっとFAQ」を導入しました。
「さっとFAQ」はITの知識がなくても直感的に作成・運用できる点が決め手となりました。また、チャットボット作成時は「さっとFAQ」のセールス/サポートチームが的確に対応し、伴走してくれる姿勢が助かったと評価されています。
導入効果として、これまでアプローチが難しかった検討段階の方々へのリーチが可能になりました。ユーザーがチャットボットとの対話を通じて「専門家に相談した方が良い」と結論に至ると、本人の納得感も大きくなり後押しする効果も生まれています。
昭和鉄工株式会社
出典:昭和鉄工株式会社
昭和鉄工株式会社は、創業から137年の歴史を持ち、熱の技術を核としてさまざまな製品を開発・製造している企業です。同社は新卒採用サイトの立ち上げを機に、チャットボット「さっとFAQ」を導入しました。
導入の決め手となったのは「さっとFAQ」がチャットボットの価値とコンセプトを明確に示していた点です。実際に使用してみると、管理画面の使いやすさと会話データ作成の容易さから、操作面での問題はなく、コンテンツ作成に注力できました。
導入の効果は顕著で、公開後わずか1カ月間で1,000コールを超える利用がありました。さらに、チャットボットを搭載した新卒採用サイトは社内外から高い評価を獲得しています。特に、最新技術を活用している点が会社のイメージアップに大きく貢献しています。
株式会社セプテーニ・ホールディングス
セプテーニグループは、インターネット広告を中心とした包括的なマーケティング支援サービスを提供するネットマーケティング事業に加え、マンガ家の育成・輩出、マンガ配信サービスの運営を手掛けるメディアコンテンツ事業、新規事業を展開する企業です。同社は新卒採用で、学生への情報提供とコミュニケーション手法に課題を感じていました。
課題解決のため、実現したい機能のアップデートスピードが自社のニーズに合致する「さっとFAQ」を導入しました。Excelに質問・回答を入力するだけで設定できる簡便さや、思いついたアイデアをすぐに反映させてテストできる柔軟性など、管理機能と操作性の高さが決め手です。
導入後は、採用サイトとのデザイン面での親和性や、チャットボットの回答内容・操作性の優れた点が多くの利用者を集める要因となりました。今後の展開として、説明会参加促進や選考中の離脱減少など、学生の動機形成にも寄与できるようQ&A構成のさらなるブラッシュアップを計画しています。
チャットボットの正答率を高めて導入目的を達成しよう
チャットボットを運用する上で、正答率の向上は、導入効果を高めるために重要です。正答率を高めるためには、運用そのものの方法はもちろん、適切な目標設定や環境整備など、さまざまなポイントを押さえる必要があります。
何より大切なのは、PDCAサイクルを回すことです。顧客からのフィードバックや運用で得られたデータから、学習と改善を繰り返し、正答率を高めましょう。本記事で紹介したコツや成功事例を参考にして、チャットボットの導入を成功させてください。
弊社サンソウシステムズでは、チャットボット「さっとFAQ」を提供しています。Excelから簡単に会話データを作成できる点が特徴です。
直感的な操作によってノーコードでチャットボットが作成でき、導入後の運用も簡単で正答率を高めるためのメンテナンスも簡単にできます。
月額1万円からの低価格、30日間の無料トライアルもご用意しておりますので、ぜひこの機会に導入をご検討ください。