江戸時代から続く秘薬はチャットボットでさらなる飛躍へ

宇津救命丸株式会社 様

会社紹介

宇津救命丸株式会社様は、慶長2年(1597年)、初代宇津権右衛門によって創業されました。当時、権右衛門は貴重な宇津の秘薬(現在の『宇津救命丸』)を「施薬」といって地域の人々の健康のために無料で配っておりました。
以来420年以上、子どもの「夜泣き」、「かんのむし」の薬である『宇津救命丸』は、たくさんの方々に愛用されており、その小さな粒にはすぐれた効き目とともに、長い間の経験と信頼が詰まっています。現在はその経験を活かして『宇津救命丸』の原点である創業者の「人々の心と体の健康に貢献する」という理念の元、風邪薬やスキンケアなど多種にわたった医薬品等を開発、販売されています。
明治のはじめまで、その処方は「一子相伝」として宇津家の当主からその長兄だけに口伝えで教えられ、製薬中は誰も近寄る事を禁じられていた『宇津救命丸』ですが、令和の今ではYouTubeで製造工程を公開されています。

「夜泣き・かんむしに宇津救命丸 製造工程を大公開!」
https://youtu.be/205RYA1agpk

電話によるお問い合わせをどのように効率化するかを模索

―『さっとFAQ』を検討した背景、御社の課題を教えてください。
宇津氏(代表取締役社長):
限られた社員数で、いかに効率的に成果を出していくかが常に当社の課題です。
お客様相談室へ毎月50件以上ある消費者様からの電話対応もその一つです。当社は医薬品を扱っているため、複雑なお問い合わせに対して的確な回答を求められることもありますが、そのほとんどは『宇津救命丸』などの特定の商品、そして決まったお問い合わせが多かったのです。そこで、特定商品や決まったお問い合わせは定型化し、複雑なお問い合わせにより注力できる方法を模索しておりました。
2020年からのCOVID-19の蔓延で、テレワークや輪番出社を決めたこともあり、いよいよ新たな仕組みの導入が必要不可欠になってきました。そのような中、様々な検討を重ねた結果、チャットボットが有効なのではと考えていたときに、『さっとFAQ』を知りました。

代表取締役社長 宇津善行氏

お客様相談室にあるExcelで作成したFAQをそのまま使用

―『さっとFAQ』を選定した理由を教えてください。
宇津氏:
はじめて『さっとFAQ』の説明を受けたときに、お客様相談室にあるExcelで作成したFAQが役立つのではないかと考えました。
誰でも簡単にチャットボットを作れるという点からも、薬剤師である会長をはじめとする薬事担当が専門的なQAデータを作り、お客様相談室のメンバーは普段のお問い合わせ対応の経験からQAデータを作ることによって、より消費者様に寄り添ったチャットボットが作れると思えたからです。
また、多くを比較したわけではありませんが、他社と比べても初期費用、月額費用は安価だと思いますし、それ以上にチャットボットを作成し、運用するという人的コストが抑えられるのが選定の要因の一つです。
加えて、弊社が必要と思える機能も全てありましたし、前述のとおりすぐに運用開始したいというニーズもクリアできるので、すぐに『さっとFAQ』の導入を決定しました。

キャラクター『メイちゃん』の成長を楽しみながら作成

―どのようにチャットボットを作成したかを教えてください。
宇津氏:
まずコロナ禍に始めた取り組みだったので、消費者様に少しでも楽しい気持ちになってもらおうとの思いから、当社のキャラクターである『メイちゃん』と会話するチャットボットがいいなと思いました。
梅田氏:
私は導入が決まった後に担当となったため、はじめは「えっ、チャットボット!?」と思いましたが、『さっとFAQ』は本当に簡単なので、すぐに不安はなくなりました。むしろ、作り込めば作り込むほど『メイちゃん』が賢く成長していくのが楽しくて、作業はまったく苦ではありませんでした。
せっかくチャットボットを用意しても、消費者様が興味を持って利用しなければ意味がないと思い、特に気を遣ったのは「起動アイコン」や「ウェルカムトーク」です。

①起動アイコンは『メイちゃん』が話しかけているような吹き出しにする
②ウェルカムトークは、どういった会話ができるのかを具体的に発話する

これからを試行錯誤しながら、さっとFAQサポートチームのみなさんにも相談に乗っていただき、週2、3時間の作業を重ねて、2ヶ月ほどで本番リリースに至りました。

宇津救命丸キャラクター『メイちゃん』が話しかけているような「起動アイコン」

消費者様の目線に立って工夫された「ウェルカムトーク」

まずは使ってもらうことに専念し、チャット開始率を約20%向上

―どのようにチャットボットを運用しているかを教えてください。
梅田氏:
メンテナンスは、主に会長と私の2名で対応しています。
会長は薬剤師の観点からQAデータを追加、編集して、私はチャットボットを使ってもらえるような施策を考えています。
リリース直後、まずはチャットボットを使ってもらうことに専念しました。
「ダッシュボード」にあるチャット開始率を見て、ウェルカムトークを何パターンも試しました。その結果、チャット開始率はリリース当初の約30%から約50%まで向上しています。
次に、「答えられなかった質問履歴」を見て、できるだけ回答できるようにQAデータをメンテナンスしました。新たなQAデータの登録はもちろん、既にデータがあるのに表記ゆれで回答できない場合には、「追加質問文」を工夫するなどして対応しました。
はじめは多少時間を費やしましたが、現在は、月2、3時間程度のメンテナンスで運用は安定しています。
また、現在では月一回、関係者を集めて実際に「管理コンソール」を確認しながら、運用報告会を開いています。

一目で利用状況を把握できる「ダッシュボード」

人間にしかできないことに力を注げるようになった

―『さっとFAQ』を導入したことによる効果を教えてください。
梅田氏:
「服用年齢」、「服用方法」など、比較的簡単に回答できますが、数としては多かった電話でのお問い合わせが、平均して約2割減少しました。ダッシュボードの質問ランキングを確認すると、消費者様が電話ではなく、チャットボットで解決されていることが読み取れます。
それらのお問い合わせ数が減少した分、「飲み合わせ」など、より繊細な対応が必要なお問い合わせにリソースを集中することができ、その結果、社員ひとりひとりが業務範囲を広げることもできました。
人間にしかできないことに力を注げるのは非常に喜ばしいことです。
宇津氏:
現在、当社はテレワークと出社の輪番制をとっているため、お客様相談室のメンバーによっては回答のレベル感が異なっていたのですが、『さっとFAQ』の導入により、常に模範的な回答ができることが効果のまず一つだと思っています。
それに加え、24時間365日対応できるため、「電話がストレスである」、「電話するほどではないが気になっている」、「深夜にふと聞きたくなった」といった方々のニーズもカバーできています。
最大の効果は、梅田が言いましたとおり、人間にしかできないことに力を注げるようになったということです。一例として、コロナ禍で人と会う機会が減り、不安や心配から話を聞いてほしくて電話される方もいらっしゃいます。それらの方々に、人間が親身に、そして適切に回答することによって、新たな『宇津救命丸』のファンをつくることもできています。
もう一つ忘れてはならない効果があります。それは会長をはじめとする社員の意識が変化してきたことです。以前は、知識があってもお客様相談室にはほとんどかかわっていなかった会長や社員が、「答えられなかった質問履歴」や「意見投稿履歴」から、消費者様からのお問い合わせにあらためて関心が高まった点は会社全体としても大きな効果だと思っています。
実際に会長が一番『さっとFAQ』に触れています(笑い)。

代表取締役社長 宇津氏(左)、管理部 梅田氏(右)

お子様の健康に関する様々な情報を発信するサイトへ

―『さっとFAQ』を活用した今後の展望を教えてください。
宇津氏:
元々は限られた商品、限られた質問に答えるために『さっとFAQ』を導入しました。当社のサイトには、『宇津救命丸』などの特定の商品名を検索して、たどり着く方がほとんどだったからです。
しかし、2021年ごろからコンテンツマーケティングを始めたところ、『宇津救命丸』などの特定商品だけではなく、「かぜ」や「便秘」など、お子さまの健康に関する様々な情報を求めて当社のサイトにたどりつく方が増えてきました。
それに応えるサイトにするには、『さっとFAQ』は必要不可欠だと考えていますので、より簡単に、よりつかえるチャットボットに成長させていただくことを期待しています。


<宇津救命丸株式会社>

https://www.uzukyumeigan.co.jp/
設立 1931年2月
事業概要 医薬品及び医薬部外品製造販売業、
衛生材料及び医療用具・食品・日用品雑貨の製造販売業

2022年4月取材