「電話やメールによる問い合わせの数を減らしたい」「住民の質問や疑問にスピーディに対応したい」と感じている自治体担当者の方はいませんか?
チャットボットは現在、企業だけでなく自治体での使用が広がっています。チャットボットは住民との会話を自動化できるため、市民からの問い合わせ業務や広報活動を効率的におこなえることが特徴です。
今回の記事では、自治体でのチャットボット活用シーン、導入するメリット、具体的な導入事例、チャットボットを運用するコツを解説します。
自治体でチャットボットの運用をご検討の際は、初期費用が0円、月額1万円から利用できるハイブリッド型チャットボットツール「さっとFAQ」がおすすめです。Excelに保存した会話データを取り入れられるので、職員に導入の手間をかけることもありません。また、会話履歴を分析でき、市民の声を改善につなげられます。
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自治体にチャットボットが必要な背景
そもそも、自治体にチャットボットが必要とされるようになったのには、どのような背景があるのでしょうか。総務省では、自治体のDX推進を図るため、行政手続きのデジタル化や行政内部のデータ連係などさまざまな取り組みをおこなっています。
インターネットなどの技術が発展した成果とも考えられますが、その他にも今の時代ならではの理由が考えられるでしょう。ここからは、自治体にチャットボットが必要とされる背景について解説します。
職員が不足している
日本では、業界問わず少子高齢化が加速しており、労働人口の不足が叫ばれています。自治体においても例外ではなく、受験者数は年々減少傾向といえます。
引用:令和4年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果(抄)|総務省
少ない人数で今までと同様の業務をおこなうためには、より効率の良い働き方が求められていくでしょう。よくある質問の対応や簡単な証明書の発行などをチャットボットに任せられれば、職員がおこなう業務量の削減が見込めます。
訪日する外国人が増えている
日本政府観光局(JNTO)の調査によると、2024年の訪日外国人数は2017年以降、どの月も最多を記録しています。
引用:2024年10月推計値(2024年11月20日発表)(PDF)|JNTO
観光だけではなく、労働の担い手として来日する外国人も増加傾向にあり、地方自治体はさまざまな言語での対応を求められています。しかし、さまざまな言語に対応できる職員を雇用するのは難しく、チャットボットなどデジタル技術を利用した対応で対策できないか期待されている状況です。
非対面での対応を推進していく必要がある
リモートワークや働き方改革が推進されていることもあり、リスクの低い非対面での問合せ対応が求められていることもチャットボットが必要な背景の一つです。対面での対応では待ち時間が長くなり、住民からも非対面での対応が求められている背景もあります。
パソコンやスマートフォンを持っていない住民には、自治体窓口にタッチパネル式のチャットボットを配置して対応する方法も考えられるでしょう。
夜間や休日の問合せ対応が必要とされている
自治体窓口の多くは通常、土日祭日は休みで日中帯のみ受付をしています。夜間や休日に対応できるようになれば、平日の日中は仕事で問い合わせできない住民にとって利便性が増すでしょう。しかし、自治体の職員が24時間365日対応するのは、人手不足もあり難しいといえます。
チャットボットであれば、24時間365日いつでも対応が可能です。忙しい現代人に合わせた自治体サービスが求められているのも背景の一つといえます。
自治体ホームページの利便性を向上させる必要がある
自治体のホームページには、さまざまな手続きや制度の説明が掲載されています。しかし、情報が多すぎるあまり探すのが難しく、結果電話や窓口へ問い合わせが増えるきっかけにもなりえます。
自治体のホームページにチャットボットを配置して会話形式で対応させると、探したい情報にたどり着きやすくなります。チャットボットの回答で探したい情報に関連するページをすぐに見つけられるため、住民の利便性も向上するでしょう。
自治体におけるチャットボット活用シーン
自治体において、チャットボットはどのようなシーンで使われているのでしょうか。ほかの自治体での活用事例を知れば、ご自身の自治体での活用方法のヒントにもなり、効果的な活用が期待できます。
ここでは自治体におけるチャットボット活用シーンを詳しく紹介します。


市民からの問い合わせ対応
自治体は土日祝日が休みで対応できないケースが少なくありません。しかし、チャットボットを導入すれば24時間365日対応できます。
市民から寄せられるごみの収集日、子育て、税金、マイナンバー、観光やイベント、事業者向けなど、さまざまな問い合わせに対して、チャットボットによる自動解答が可能です。
また、自治体のホームページは情報量が多く、求める情報に住民がたどり着くまでに時間がかかります。ホームページの該当箇所を自分で探したり、電話で問い合わせたりするよりもチャットボットは迅速に答えが見つかるため、満足度が向上するでしょう。
最近では多言語に対応しているチャットボットもあるので、そのような機能を備えたツールを導入すれば日本語に慣れていない海外出身の住民の対応も効率化できます。
証明書の発行案内
住民票や税証明、記載事項証明書など、必要な証明書をどうやって発行すればいいかわからないという住民も多くいます。自治体にはさまざまな窓口が分散して設置されており、どこへ行けば良いのか迷ってしまうのも無理はありません。
チャットボットで「証明書の発行案内」というシナリオを作成し、発行したい証明書の担当窓口やホームページの自動案内が可能です。問い合わせがある度に同じような案内をする必要がなくなり、自治体職員の業務負担を軽減できるだけではなく、人手不足のカバーも期待できます。
市民はストレスなく必要な情報を取得でき、より利便性も高まるでしょう。
生活に関する情報発信
自治体からチャットボットを通して、住居者に対し情報発信もできます。
例えば下記のような情報を発信する際の活用が可能です。
- 年末年始のごみ収集日の変更
- 新しくできた公園施設の案内
- 子どもの見守り登校日のお知らせ
- 自治体発行の広報の配布
- 地域のお祭り情報 など
そのほかにも、生活保護や発達障害支援などセンシティブな内容を取り扱うシーンでもチャットボットが活用されています。生活相談の窓口には、相談することに抵抗のある住民も一定数いるでしょう。
必要な手続き方法を事前に発信しておけば、問い合わせに悩んでいる住民に対して寄り添った対応が可能です。
観光情報の発信
住民だけでなく、観光目的に訪れた人に対しても、チャットボットを使って情報発信が可能です。
有名な観光スポットまでのアクセス情報、周辺の飲食店情報、歴史などをまとめておくことで、地域の活性化につながります。案内を多言語対応しておけば、国外からの観光者にも便利に利用できるでしょう。観光スポットや店舗情報に位置情報を組み込むことで、地理的に不慣れな観光客の不安に寄り添えます。
緊急のトラブルがあった際の連絡先や受け入れ先の医療機関なども案内しておくと、実際のトラブル時に迅速な対応が可能です。
職員向けの情報提供
チャットボットは、住民側への情報提供だけではなく、職員向けのサポートにも使えます。自治体の業務は幅広く、マニュアルを読み解くのにも時間がかかり、対応する職員によって回答の精度にばらつきがでてしまうことも考えられます。
チャットボットを使い、マニュアルに記載してある内容をいち早く探せるようにすれば、問い合わせ対応や事務処理の時間の短縮が可能です。
自治体でチャットボットを導入するメリット
一般企業で広く普及しているチャットボットですが、自治体でも同じように活用が可能です。課題に合わせてうまく活用すれば、職員の業務軽減や住民の満足度向上につなげられるでしょう。
ここでは、自治体でチャットボットを導入するメリットを解説します。チャットボットの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

いつでも応答ができる
通常、自治体の対応時間は平日の朝から夕方に限られ、それ以外は次の営業時間の開始を待つ必要があります。しかしチャットボットを導入すれば、24時間365日いつでも対応が可能です。
市民の中には早朝や夜間、週末しか問い合わせができないという人もいるでしょう。チャットボットがあればいつでも好きなタイミングで必要な情報を取得できるようになり、市民の満足度向上にもつながります。
チャットボットは電話やメールのように問い合わせ時間が制限されず、素早い応答が可能です。そのため、待つ時間を惜しむ方にとっても非常に便利なツールだといえます。
職員の負担が減る
チャットボットは自治体の職員の業務負担軽減にも役立ちます。窓口では、1日に何度も同じような内容の質問が寄せられ、その都度対応する業務が発生することも少なくありません。市民からの問い合わせ業務に追われ、本来のコア業務に時間を割けないケースもあるでしょう。
同じような質問や発生頻度の高い質問への回答をチャットボットに任せれば、問い合わせ業務をおこなう職員の業務量を減らせます。
複雑な質問や属人性の高い問い合わせについては従来通り担当者が対応し、それ以外はチャットボットに対応させるという業務の切り分けをおこなうことがおすすめです。職員の負担を軽減できれば、残業時間の削減や働き方改革の推進にも効果が見込めます。
また、近年日本の人口減少に伴い、職員数が年々減少している自治体があります。チャットボットによる業務の自動化を通して、自治体の人手不足解消にも貢献してくれるでしょう。
問い合わせのハードルが下がる
チャットボットの導入により、住民の問い合わせに対するハードルを下げられる可能性があります。
電話やメールでの問い合わせの場合、営業時間内におこなわなくてはいけないという制限があったり、電話が苦手で抵抗感のある住民も一定数いたりするため、問い合わせそのものを面倒に感じてしまう人もいるでしょう。しかし、チャットボットは時間や電話応対などを気にせず、気軽な利用が可能です。
さらに、パソコンからだけではなくスマートフォンからも質問を受け付けられ、市民は手軽にアクセスできます。これまで以上に住民の声や要望の収集もでき、集めたデータを分析すれば、より住民に寄り添った対応が実現できるでしょう。
多言語で案内ができる
外国からの観光客や留学生、居住者が多い都市部を中心としたエリアの自治体は、情報を的確に伝えるために外国語で情報を発信することが必要です。
多言語に自動翻訳するチャットボットを導入すれば、日本語だけでなく、英語、中国語、韓国語、タイ語などで情報を提供できるため、言語の壁についての問題を軽減でき、誰もが暮らしやすい町づくりを実現できます。
また、自動翻訳機能が搭載されたチャットボット導入により、外国語を話す市民や観光客も円滑に市役所のサービスを利用できるようになり、地域の包括性が高まります。さらに、対応する職員の負担も軽減され、浮いた時間でより多くの市民への対応が可能です。
したがって、自動翻訳機能の搭載されたチャットボットの導入は、翻訳する手間や翻訳人材を確保するコストなど、人的コストや工数の削減に効果的だと言えます。
対応が均一化される
チャットボットは問い合わせ対応の属人化を防ぎ、いつでも正しい情報を提供できます。人間が対応する場合、回答内容や対応の品質に差が生じ、市役所のサービス品質や情報の正確性に影響を及ぼす可能性があります。そこに不満を抱く市民もいるでしょう。これでは自治体のイメージが低下する事態にもなりかねません。
チャットボットを導入すれば、一時対応はチャットがおこなうため対応品質が均一化されます。これにより、市民はどの担当者とやり取りしても同じレベルのサービスを受けられ、市民からの信頼性向上にもつなげられます。品質のバラつきという課題も解消でき、より効率的かつ公平なサービス提供が実現できるでしょう。
AIテクノロジーの中では導入しやすい
近年IT技術の進歩により、企業と同様に、自治体でもDXが推奨されています。
例えば、AIを使用して保育所と児童の適切なマッチングをおこなうことで待機児童問題を解決したり、市民の合理的な行動傾向を予測したりできます。
導入すれば自治体の業務が効率化されるとわかっていても、AIやロボティクスを急に導入することは、なかなか難しいという自治体も多いでしょう。しかし、その中でもAI型チャットボットは取り入れやすく、総務省のデータによると、さまざまなAIの中でチャットボットを活用している自治体がもっとも多かったという報告もあります。(平成31年1月時点)
既存のFAQやデータを活用できる点や、ほかのAI機能と比較し導入が簡単なため、自治体でも注目度が高まっています。
DX推進のために、チャットボット導入から取り組んでみるのもおすすめです。
参照:総務省|地方自治体における新たな技術の活用状況について
ご当地キャラの活用で親しみが湧く
自治体でご当地キャラを作っているなら、キャラクターが市民の問い合わせに回答し、課題を解消するような設定がおすすめです。
ご当地キャラクターは地域のアイデンティティを象徴する存在であり、市民にとって親しみやすい存在であるため、自治体やチャットボット自体が市民の中でより身近な存在になります。チャットボットがご当地キャラの姿を持つことで、コミュニケーションを楽しむ方もおり、自治体への好感度も上がるというメリットもあるでしょう。
また、ご当地キャラクターの活用は地域振興にも寄与します。キャラクターを通じて地域の魅力を伝え、観光客や投資家を引き寄せる手助けにもなり得ます。
ご当地キャラクターの活用は、チャットボット運用において市民とのコミュニケーションを強化し、地域コミュニティの発展と市民参加の促進に大きく貢献する要素であると言えるでしょう。
自治体でのチャットボット導入事例
自治体におけるチャットボットの導入事例を紹介します。自治体によってチャットボットの運用方法や提供情報の内容が異なります。
実際に運用に成功している事例を参考に、現在課題となっている業務をどのように解決できるのか考えてみると良いでしょう。

千葉県千葉市
千葉県千葉市では、2022年12月1日より、チャットボットによる対応サービス「千葉市AIチャットボット」を導入しました。子育てや届出・証明手続きなどに関する質問に24時間対応します。
質問は、大きく4つのカテゴリに分かれ、知りたい情報に該当する選択肢を選択することで、会話を進めていきます。選択肢にない場合は、入力欄から質問も可能です。AIチャットボットでは、回答が得られない場合、オペレーターによる有人に移行します。
また、2023年12月22日より、有人チャットによる対応も開始しました。ユーザーが自由に質問でき、幅広い質問に柔軟に対応可能です。
チャットボットと有人チャットで、電話による問い合わせ対応を大きく削減できている事例と言えます。
参照:千葉市AIチャットボット
神奈川県川崎市
神奈川県川崎市では、2023年4月より、市民からの問い合わせに対する利便性向上を目的とし、AI型チャットボットを導入しました。市のホームページからチャットボットのページに遷移でき、さまざまな選択肢が用意されています。
知りたい項目を選び進めていけば、適切なページへと案内してくれるため、疑問が発生した場合でも迅速に解消できます。
また、どこに相談したら良いかわからない場合に備え「悩み・困りごと」という選択肢が追加されました。川崎市の公式LINEを友達追加すれば、LINEからもチャットボットの利用ができます。さまざまな人にとって利用しやすい形態であると言えるでしょう。
東京都港区
東京都港区では、住民に向けた暮らしや手続きの情報に回答するチャットボットを設置しています。親しみやすい女性のイラストが添えてあり、項目から選択して必要な情報を探す方法と自由入力による問い合わせが可能です。
外国人向けにやさしい日本語で回答するチャットボットも用意されており、英語での対応もできます。チャットボットと会話していくと、知りたい情報のページへのリンクが最後に表示され、詳しい情報を知れるように作られています。
福島県会津若松市
福島県の会津若松市では、「マッシュ若松」というかわいいキャラクターが市民からの質問に回答してくれます。マッシュ若松くんは市役所職員の見習いという、親しみやすい設定です。
ごみの出し方、除雪車の運行状況、証明書の発行方法といった基本的な問い合わせだけでなく、「休日や夜間でも診療してくれる病院」の案内など救急の際に便利な情報も提供しています。
参照:会津若松+(プラス)「LINE de ちゃチャット問い合わせサービス」が始まっています
埼玉県戸田市
埼玉県戸田市では、2019年よりチャットボットの本格運用を開始しました。可愛らしい「さくうさ」というキャラクターが質問に回答してくれます。
2019年4月から10月の月間利用者数は平均650名以上、質問数は平均3,000件以上にまで上りました。職員の問い合わせ対応業務の負担が軽減し、月に約45万円の経費削減効果が出ているとのことです。
静岡県袋井市
静岡県袋井市では、市の職員数減少に伴い、業務配分や改善に課題を抱えていました。そこで、「行かない窓口」の推進に向けチャットボットを導入し、市民からの問い合わせ業務に自動対応しています。
「電子申請システム」「くらしの手続きガイド」とチャットボットがシステム連携しており、市役所に行かなくても手続きができるような仕組みを構築しています。
職員の負担軽減だけでなく、チャットボットのキャラクター「しつぎおとうふ」が好評で、市民からは「かわいい」という声が上がっており、好評です。
岡山県岡山市
岡山県岡山市では、2021年9月から行政サービス手続きなどの質問に回答するAIチャットボットを導入しました。市のトップページ右下からチャットボットへアクセスでき、誰でもわかりやすく使用しやすい位置に設置されています。
また、市のイメージキャラクターである「ミコロ」「ハコロ」が質問に答えてくれるため、初めてでも抵抗感なく利用できるでしょう。
さらに、「初めての人は『ボットの使い方について教えて』を見てね。」という文言が最初に出てくるよう設定されています。これにより、使い方がよくわからない方でも何ができるのかを理解でき、利用の促進につながることが期待できます。
8つの言語に対応しており、画面上で簡単に言語の切り替えも可能です。
北海道札幌市
北海道札幌市では、妊娠期間から子どもの就学前までの子育て支援に関する情報や、子育てについての質問に対し迅速かつ適切に情報を案内できるよう、2023年7月よりチャットボットを導入しました。
実際のチャット画面を開くと、どのようなことで困っているのかを選択できるようになっており、提示される質問に沿って回答していくと、知りたい情報が記載されたリンクを教えてくれます。そのため、子育てでなかなか時間が取れない方や、困っているがどのように調べたら良いかわからない方でも、適切な情報へのアクセスが可能です。
また、選択肢に知りたい内容がない場合は直接メッセージの入力も可能です。電話やメールで問い合わせる前に疑問を解消できる確率も高まるでしょう。
大分県大分市
大分県大分市では、2021年の3月より、AIチャットボットの導入を開始しました。ホームページ右下には、AIチャットボットイメージキャラクター「しつぎおとうふ」くんが「質問にお答えします!」と発言しており、どこをクリックしたら良いかも視覚的にわかりやすくなっています。
選択肢から知りたい情報を選んでいく方式と、自由に質問を入力できる2パターンの質問方法が用意されており、ユーザーは適切な方法を選択できます。
また、大分市のチャットボットが回答できる質問数は約1,700問用意されているため、行政に対する疑問や質問は直接質問せずともおおよそ解決できるでしょう。
参照:AIチャットボット
京都府京都市
京都府京都市では、2024年1月19日より、子育て支援ポータルサイト「はぐくーもKYOTO」において「京都市AIチャットボット」を導入しました。ユーザーは、子育てに関する制度や手続きについての問い合わせを、テキスト入力と選択肢からおこないます。問い合わせに対して、AIが自動で最適な回答を抽出可能であるため、電話による問い合わせの削減に大きく貢献できるでしょう。
京都市AIチャットボットでは、はじめはテキスト入力で、自由に質問が可能です。その後、選択肢を提示して会話を進めていきます。京都市AIチャットボットでは、対応できるカテゴリが子育てに限られているため、AIチャットボットの学習効率も高いと言えるでしょう。
石川県金沢市
石川県金沢市では、市民生活の利便性向上を目的として、AIチャットボット「しつぎおとうふ」を導入しました。豆腐をモチーフにしたキャラクターは、愛着が湧きやすく、高い利用率が期待できます。
しつぎおとうふでは、幅広い質問に対応が可能です。
- ごみの出し方
- 手続き(引越し、税、マイナンバーなど)
- 福祉・健康(保険など)
- 市政情報
- 子育て
- 災害・防災
ほかにも、さまざまな質問に対応が可能です。特に、多くの質問が寄せられるマイナンバーについての回答もできるため、問い合わせ対応の削減に役立っています。
運用開始から、カテゴリや機能の拡張を逐次おこなっています。
参照:AI活用行政情報自動案内システム(AIチャットボット)
北海道東川町
北海道東川町では、ふるさと納税に関する質問に対応するAIチャットボットを導入しました。「東川町ふるさと納税 まとめサイト」へ日常的に多くの問い合わせが寄せられる、ふるさと納税に関する問い合わせ対応の効率化を目的としています。
また、ふるさと納税の寄付金控除は、1〜12月の1年単位で計算されることから、年末に注文が殺到するケースも少なくありません。そのため東川町では、年末に多忙を極めていたと予想できます。
東川町のチャットボットでは、返礼品や配送、確定申告など、ふるさと納税全般の問い合わせに対応が可能です。職員の業務負担の改善に大きく役立っています。
自治体職員向けのチャットボットを活用した事例
ユーザー向けのチャットボットだけでなく、職員に向けたチャットボットを導入している自治体もあります。
自治体職員向けにチャットボットを導入した事例についてみていきましょう。
埼玉県庁
埼玉県庁の情報システム課では、職員からの問い合わせ業務の効率化を目的に、AIチャットボットを導入しています。県庁内職員から、パソコンの操作方法や業務システムに関する問い合わせが殺到し、応対業務に追われていました。
そこでFAQの整備に加え、AIチャットボットの導入を決定しました。財政制度や支払い事務、健康管理などに関する問い合わせを中心に、チャットボットが対応するようチューニングします。導入後は、1年間で約10%の問い合わせ削減を実現しました。
今後は、応対範囲の拡張や利用促進、回答率の向上に注力するとのことです。
栃木県庁
栃木県庁では、ChatGPTを活用したチャットボットを導入しています。業務を効率化できれば、行政サービスの品質を高められるとして、さまざまな企業で導入されはじめているChatGPTを検討しました。
ChatGPTの導入に際して、個人情報などの情報漏洩がリスクとして挙げられましたが、ツールの選定やマニュアルの整備によって、安全性の高い環境を構築しています。
導入後は、「作業時間が3分の1になった」「1〜2時間かかっていた作業が10分に短縮できた」など、一定の効果が現れました。
今後は、職員向けに公開されている庁内通信で、効果的な利用方法などを紹介し、利用率の向上を目指しています。
参照:『Azure OpenAI(ChatGPT)』を全庁導入
自治体でチャットボットを運用するコツ
自治体で効果的にチャットボットを運用するためにはどうしたら良いのでしょうか。ここでは運用するコツを解説します。ただ導入するのではなく、課題解決意識を持ちながら、運用を続けることが重要です。
解決したい課題を特定する
まず、自治体で解決すべき課題を洗い出して、チャットボットの運用方針を決めましょう。
自治体で考えられる業務課題には、下記のようなものが挙げられます。
- 人材不足の解消
- 職員の業務負担の軽減
- 問い合わせ時間に制限があることへの不満
- 広報による発信チャネル確保の必要性
- 住民に寄り添った対応の実現
- 多言語への対応
- 問い合わせ業務の属人化
課題を明らかにすることで、どのようなチャットボットを使うべきかが選択しやすいでしょう。
既存のFAQを活用する
チャットボットを導入する際は、これまで蓄積したFAQデータを活用して効率的に学習させることがポイントです。
チャットボットに設定するFAQをゼロから作っていては、職員への業務負担が増加するため本末転倒です。時間や工数がかかるだけではなく、実際に寄せられている質問と乖離が発生する可能性もあります。
これまで蓄積した既存のFAQデータをチャットボットに学習させることにより、データの準備にかかる時間とコストを削減でき、最初から質の高いチャットボットの運用が可能です。また、既存のFAQをベースにしたチャットボットの場合、提供される情報に一貫性が保たれ、信頼性のある情報が提供できるようになります。
ただし、チャットボットは導入すればそれで終わりではありません。変化する法律や制度、市民からの要望などに合わせ、新しい情報が出てきた場合は随時チャットボットを更新し、FAQの精度を高める必要があります。
キャラクターを活用する
自治体がチャットボットをうまく活用するには、独自のキャラクターを使うことも効果的です。
チャットボットに自治体特有のキャラクターを作成して設置すると、市民が自治体に対して親しみを持ちやすくなり、問い合わせに対するハードルを下げられる可能性もあります。広報情報も、好きなキャラクターからの内容なら「知りたい」と思ってもらいやすくなるでしょう。
もし、すぐに使えそうなキャラクターがない場合、市民から公募するなどして自治体の土地柄や名産品ならではのキャラクターを作成するのも有効です。チャットボットの使用率を上げるためだけではなく、自治体の特徴を効果的にPRできます。
質問に対する回避策を設定しておく
質問に対する回避策を準備しておくことも重要です。問い合わせ対応において、予期せぬ質問に対応しなくてはいけない場合もあるでしょう。その際に「わかりません」と市民に返してしまっては、根本的な問題解決につながりません。
電話での相談窓口や関連するWebサイトのURLなどを提示し、問題解決に向けた次の対応策を提示できるよう準備しておきましょう。
必ず職員がテスト運用をおこなう
チャットボットの実装が目前となったタイミングで、職員が事前にテスト運用してみることが重要です。
テスト運用の際は、下記のような項目を中心に、使用に問題がないか入念に確認しましょう。
- チャットボットの設置場所はわかりづらくないか
- 質問に対して正しく返答できているか
- 問題解決までのフローが整っているか
- テキストに誤字脱字はないか
- 自治体のサイトに馴染んでいるか
質疑応答というチャットボットの基本機能がきちんと満たされているかはもちろん、利用のしやすさや存在の見つけやすさといった点も確認しておけば、その後の利用率向上が期待できます。
自治体におすすめのチャットボット
自治体におすすめのチャットボットを紹介します。チャットボットにはさまざまな種類や機能があるため、目的や課題に合ったツールを選ぶことが大切です。機能性と費用を照らし合わせながら、それぞれに合ったツールを検討してみましょう。


ツール | 特徴 | 無料トライアル期間 |
---|---|---|
さっとFAQ | Excelで専門知識なしで運用できるハイブリッド型チャットボット。ローコストで初心者におすすめ。 | 30日間 |
sAIChat | 回答精度が高い学習済みのA型Iチャットボット。シンプルで使いやすいのも特徴。 | – |
PKSHA Chatbot | 高い回答精度と操作性に優れたAI型チャットボット。 | – |
NEC Digital Assistant | 独自のAI技術と大規模言語モデルを融合したAI型チャットボット。 | – |
QA ENGINE | 操作性と回答精度の高さが特徴のAI型チャットボット。26言語に対応。 | – |
チャットプラス | 導入実績業界No.1のチャットボット。お客様に最適なチャットボットを作成できる。 | 10日間 |
さっとFAQ

さっとFAQは、株式会社サンソウシステムズが提供しているハイブリッド型チャットボットツールです。
会話データをExcelで簡単に作成でき、月額1万円から利用できるなど、コストパフォーマンスの高さが魅力です。Excelの専用テンプレートに質問文と回答文を入力するだけで構築でき、プログラミングなどの専門的な知識は必要ありません。そのため、初めてチャットボットを利用する自治体や、ITに詳しい人がいない自治体におすすめです。
また、利用分析向けダッシュボードを活用し、チャットボットの利用状況を確認しながらPDCAサイクルを回せます。チャットボットの利用率や回答率などを分析し、チューニングをおこなえば、顧客満足度の向上につながるでしょう。
sAIChat(株式会社サイシード)
sAIChatは、独自のAI検索エンジンを通して、顧客の行動データを取得、整理、解析することでコスト削減や売り上げアップが見込める高性能チャットボットです。手厚い運用サポートが利用しているユーザーから高い評判を得ています。
Webサイト上にチャットボットを埋め込むタイプと、馴染みのあるLINEと連携して利用できるタイプがあります。FAQの類似表現をあらかじめ学習させることで、導入時から精度95%以上のチャットボットを運用可能です。
何度もシナリオを作成したり、学習させたりする手間が省けるため、スムーズに導入を進められます。また、カスタマーサクセスチームが利用率の向上施策やFAQの改善提案、KPI管理などをサポートしてくれます。
初めてチャットボットを導入・運用する自治体に特におすすめのツールです。
PKSHA Chatbot(株式会社PKSHACommunication)
PKSHA Chatbotは、分析機能に優れたAIチャットボットです。チャットボット担当者の負担を軽減できる機能が多く備わっています。
例えば、搭載されている「FAQ改善提案機能」では、市民からの質問にうまく回答ができていないFAQを自動で抽出したり、回答のボリュームが不足しているFAQを提案してくれたりします。
自動で抽出してくれるため、チューニング作業の効率化が可能です。また、導入の簡単さも魅力的です。数行のタグをWebサイトに埋め込めば、Webサイト上にすぐチャットボットを設置できます。
NEC Digital Assistant(日本電気株式会社)
NEC Digital Assistantは、日本電気株式会社が提供する独自のAI技術と大規模言語モデルを融合したAI型のチャットボットです。LINEやMicrosoft Teamsなど外部システムとの連携も可能で、高度なセキュリティ対策が可能なため安心して使えます。
日本語で作成した質問と回答を多言語に翻訳する機能があるため、訪日する外国人向けにチャットボットを用意したい場合におすすめです。クラウド・オンプレミス両方での利用が可能なため、セキュリティ要件に不安がある自治体での利用にも向いています。
QA ENGINE(株式会社StudioOusia)
QA ENGINEは、庁内ヘルプデスクを対象としたAI搭載型のチャットボットツールです。学習データが少なくても、精度の高い問い合わせ対応を実現できる点が特徴で、既存のFAQが少ない自治体や、シナリオを作成する時間がない自治体にもおすすめです。
機械学習を自動化してくれるため、運用後の更新作業も必要ありません。ITに慣れていない職員や住民でも使いやすいUIも魅力的なシステムです。
チャットプラス(チャットプラス株式会社)
チャットプラスは、オペレーターによる有人チャット機能と高度な無人チャットを実現するAI会話機能を備えたチャットツールです。プランが5つあり、自治体に最適なボリュームのパッケージを選択できるため、無駄なコストがかかりません。必要な機能だけを実装できるので、ニーズに合わせた選択が可能です。
チャットプラスはオプション機能が充実しており、シナリオ作成の代行やコンサルティング、オリジナルのチャットデザインの活用など多彩なサポートから、それぞれに合ったオプションを追加できます。
導入までに多くのリソースを割けないという自治体にもおすすめです。
自治体向けチャットボットの選び方
自治体にはさまざまな質問が日々多く寄せられるため、チャットボットの導入を検討している方も多いでしょう。しかし、チャットボットにはさまざまな種類や用途があり、どのツールを選べば良いか迷ってしまうケースも少なくありません。
ここでは、自治体向けチャットボットの選び方を紹介します。種類や機能を適切に把握し、効率的な運用が実現できるチャットボットを選びましょう。
チャットボットの種類を絞って選ぶ
チャットボットは大きく「シナリオ型」と「機械学習型(AI型)」の2種類に分類できます。
シナリオ型は、チャットボットにあらかじめ質問に対する回答を登録しておきます。質問者は選択肢や1問1答形式で質問をおこなっていくため、よくある質問やFAQなどに向いているタイプです。また、何度か質問を繰り返し徐々に回答を絞り込められれば、質問者は選択肢を選んでいくだけで知りたい内容にたどりつけます。
機械学習型(AI型)は、事前にデータを学習させ、その中から回答をおこなう形式です。人間が会話しているかのような自然な言葉で回答でき、人との会話に近いチャットを実現できます。使えば使うほどチャットボット自体が学習を深めていくため、最初は回答できなかった質問に回答できるようになったり、より人間らしい口調での会話が可能になったりする特徴があります。
チャットボットの導入目的に合わせて選ぶ
自治体でチャットボットを導入する場合、何のために導入するのか、導入目的を明確にした上でどのツールにするかを選ぶことが大切です。
例えば、すでにあるFAQを活用しなるべく早くチャットボットの運用を開始したい場合は、シナリオ型チャットボットの導入がおすすめです。
反対に、おしゃべり機能を搭載したい場合や、市民からの質問を通じて学習を深め、チャットボットが回答できる範囲を広げたいという場合はAI型が良いでしょう。
目的を定めずにツールを導入してしまうと、思っていた以上の準備コストがかかったり、機能が使いこなせなかったりなどの問題も後々発生してしまいます。そのため、導入前にどのような目的で、どのような運用を実現したいかのイメージを持っておくことが重要です。
サポート体制を比較して選ぶ
チャットボットツールを提供している企業によって、どのようなサポートを受けられるかが異なります。チャットボットの種類によっても必要なサポートは異なるため、ツールを導入する前にどのようなサポートが受けられるかをしっかりと確認する必要があります。
サポート体制が乏しい場合、導入後に不明点や疑問点が発生してもなかなか回答が得られず、効率的な運用が実現できなくなるおそれもあるでしょう。そのため、ツールの種類や機能面だけでなく、サポート体制がしっかりしているかどうかも、導入前の重要な検討ポイントであると言えます。
企業によっては、導入後に運用方法のアドバイスや、回答内容を修正したい場合の対応を実施しているケースもあります。ご自身の自治体で、どの程度チャットボットの運用にリソースを割けるかを検討し、必要なサポートを受けられるツールの導入を検討しましょう。
導入事例の多さで選ぶ
チャットボットを提供している企業のホームページには、それまでにどの程度の導入実績があるか、どのような企業で導入されているかを明記している企業も少なくありません。導入事例が多い企業や、自治体での導入が多い企業のツールを選べば、他社での成功事例や、効果的な運用方法を知れるため、リスクを最小限に抑え、よりスムーズな運用が期待できるでしょう。
また、多くの利用者を抱えるツールは、最新のテクノロジーや機能を活用したアップデートが定期的におこなわれ、新機能の追加や改善などがおこなわれます。ツール自体も常に新しく、問題が少ない状態を保持でき、その結果、長期間にわたり快適に使用可能です。
さらに、多くの利用者が存在するツールには、利用者コミュニティやサポート体制が整っているケースも多々あります。不明点や、運用方法に疑問が生じた際にほかのユーザーからのアドバイスを受ければ、問題解決や最適な活用方法を得られるケースも少なくありません。
自治体でのチャットボット運用における注意点
チャットボットやITツールの導入に不慣れな自治体では、導入してもうまく活用しきれないケースも少なくありません。利用のポイントを理解し、何をすべきかを事前に把握しておけば、効率的な運用を実現できます。
ここでは、チャットボットの運用における注意点について解説します。
定期的に更新作業をおこなう
定期的な更新作業をおこない、常にチャットボット内の情報を最新なものに維持しましょう。更新作業は「チューニング」とも呼ばれています。
問い合わせの内容や市民からの要望は、日々変わっていきます。住民からの質問や要望に適切に回答できているかを定期的にチェックし、ズレがあれば適切な回答に更新し直すことが必要です。要望や新たな質問に答えられるようアップデートをおこなえば、市民の多様なニーズに対応でき、満足度を高められるでしょう。
また、政策や法律、手続きなど自治体の情報は変化することがあります。定期的な更新作業をおこなわないと、古い情報が提供され、市民に誤った情報を伝えるリスクが生じます。
更新作業の対応漏れをなくすために、チャットボットの運用担当を決めておくのが良いでしょう。人員の確保が難しい場合は、外部に運用を任せるという選択肢もあります。
チャットボットはわかりやすい場所に設置する
チャットボットを住民の誰しもがわかりやすい場所に設置することは、チャットボットを活用してもらう上で非常に重要です。利用率が高まらないと、チャットボットを導入した意味がありません。わかりやすい場所や目立つ場所に配置すれば、利用者が簡単にアクセスでき、誰もが気軽に利用しやすいでしょう。
仮にAIチャットボットを導入している場合、市民が利用価値を認識し、積極的に利用するようにするとチャットボットの学習も進み、より使いやすいチャットボットへと成長させられます。
また、導入初期は設置する場所による利用率のモニタリングがおすすめです。これにより、サービスの改善やカスタマイズに役立つデータが得られるでしょう。
さらに、設置する場所だけではなく、気づいてもらいやすいポップアップの表示も効果的です。カラーやテキスト、キャラクターの使い方を工夫し、わかりやすい導線を作りましょう。
自治体でチャットボットを活用して市民をサポートしよう
自治体でチャットボットを活用すると、市民からの問い合わせ業務を自動化できます。市民はいつでも必要な情報を取得できるようになり、満足度の向上が期待できるでしょう。
自治体でチャットボットの運用をご検討の際は、初期費用が0円、月額1万円から利用できるハイブリッド型チャットボットツール「さっとFAQ」がおすすめです。
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