「ユーザーからの問い合わせが増えたので、効率的に問い合わせ対応をしたい」そのようなときにおすすめなのが、チャットボットです。
チャットボットを使えば、ユーザーとの会話が自動化されて、問い合わせ対応の工数が削減できるメリットがあるため、多くの企業や自治体で導入されています。特に最近では、AI(人工知能)の発達によりチャットボットで自然に会話できるようになりました。
今回の記事では、チャットボットの役割やメリット・デメリット、シナリオ作成のコツをお伝えするのでぜひ参考にしてください。
また、弊社サンソウシステムズでは月額1万円から導入できる「さっとFAQ」というチャットボットツールを提供しています。Excelから会話データを簡単に作成でき、プログラミングスキルは必要ありません。
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チャットボットとは
チャットボットは「チャット(会話)」と「ボット(ロボット)」を掛け合わせた造語で、人工知能を活用した「自動会話プログラム」を指す言葉です。ユーザーが入力したテキストに対して、あらかじめ設定されたルールに基づいて自動的に返答をおこないます。
チャットはインターネットを利用したリアルタイムコミュニケーションのことで、主にテキストを双方向でやりとりする仕組みです。
収集した大量の情報をチャットボットで回答できるように用意し、製品の使い方や返品・故障対応、社内マニュアルや規約の確認などの情報を提供します。
チャットボットの中には、資料ダウンロードやメルマガ登録などに誘導し、コンバージョン率をアップさせるといった、マーケティング目的で使われるタイプもあります。
チャットボットの種類
チャットボットは「シナリオ型」「AI搭載型」の2種類にわけられます。
自社に合った種類のチャットボットを導入しなければ、効果を存分に発揮できません。種類ごとに特徴が異なるため、目的に合った種類のチャットボットを選ぶ必要があります。
それでは、「シナリオ型」「AI搭載型」それぞれの特徴を見ていきましょう。
種類 | 特徴 | コスト |
---|---|---|
シナリオ型 |
| 低 |
AI搭載型 |
| 高 |
シナリオ型
シナリオ型は、画面内の選択肢から該当する項目を選んで進めていく形式のチャットボットです。
事前に「よくある質問」とその回答を登録しておくことで、選んだ質問に回答していく仕組みです。ルールに沿って会話を進める形式であることから、「ルールベース型」とも呼ばれます。
シナリオ型はAIを搭載しているわけではないため、あらかじめ登録している質問への回答しかできません。
そのため、シナリオ型は「よくある質問の内容がパターン化している」場合や「簡易的なトラブルへの対応」に適しているチャットボットであると言えるでしょう。よくある質問がチャットボットで解決されることで、サポートセンターや社内ヘルプデスクなどの業務削減につなげられます。
ただし、あらかじめ登録されている質問への回答しかできないという性質上、ユーザーが求めている答えを得られなければ、オペレーターに問い合わせが必要です。
AI搭載型
AI搭載型は、文章で入力された質問にAIで回答するチャットボットです。あらかじめ登録した質問への回答にのみ対応できるシナリオ型と比べると、対応範囲は広いのが特徴です。
質問はフリーテキストで入力できるものが多く、AIが質問の意図を分析して回答してくれるため、ユーザーは質問したいことをストレートに聞けます。単語からだけでなく文章から意味を解釈するため、人間との会話に近い自然な対応が可能です。
AI搭載型の強みは、機械学習を重ねて回答の精度が上がっていく点と登録されていない言葉でも揺らぎを自動で学習してくれる点です。最近では、ECサイトでの接客対応やカスタマーサポートでよく導入されています。
導入コストやランニングコストはシナリオ型より高いというデメリットがあります。しかし、特に質問の内容に偏りがない場合は、AI搭載型のチャットボットが最適です。
チャットボットの役割
ここからは、チャットボットの役割を、社内向けと社外向けにわけて解説します。
チャットボットは、ユーザーに向けて使用されることが多いと考えられがちです。しかし実際には、社内向けのツールも充実しており、社内問い合わせ対応として活用している企業も多く存在します。
社内向け
社内向けでチャットボットを使用する場合、以下の部署での活用が想定できます。
- 総務部:出張申請、年末調整対応などに関する問い合わせ
- 人事部:勤怠関係、休暇についての規定などに関する問い合わせ
- ITヘルプデスク:営業が開発チームへおこなう技術に関する問い合わせ
中小企業や大企業など従業員数を多く抱えている会社では、担当者に対して1日に何度も同じ質問をされるケースもあるでしょう。特に年末調整の時期や、システムの不具合が発生したタイミングで、問い合わせ数が急増する傾向にあります。
そこで、あらかじめ社内向けチャットボットを設置しておけば、社員は自分で問題を解決することが可能です。担当者の業務負担が軽減されるだけでなく、膨大な数の情報を整理し、ナレッジを蓄積できるでしょう。
社外向け
社外向けチャットボットは、主にお客様対応で使用されます。例として、以下の場所へ設置されることがよくあります。
- コールセンター
- ECサイト
- 自社ホームページ
チャットボットをユーザーが見つけやすい場所に設置しておけば、好きなタイミングで問い合わせができます。電話やメールでは待ち時間が発生しますが、チャットボットなら24時間365日いつでも迅速な対応が可能です。LINEにチャットボットを設置すれば、普段から使い慣れているツールであることから、ユーザーも気軽に利用しやすいという大きなメリットがあります。
チャットボットは、複数の選択肢から選んでいくだけで回答を導き出せるため、名前や連絡先の入力が必要な問い合わせフォームよりも使用率の向上が見込めるでしょう。
利便性を高めるために、誰でも使いやすいデザインや操作方法を設定することがポイントです。
チャットボットの活用場面
チャットボットは、ECサイトにおけるカスタマーサポートや、社内ヘルプデスクにおけるFAQ用など、さまざまな使い道があります。
ここでは、ビジネスシーンでどのようにチャットボットを活用できるのか、具体的にその方法を見ていきましょう。
カスタマーサポート
営業時間外でも問い合わせに24時間対応できるチャットボットは、カスタマーサポートとして活用できます。
有人対応をおこなうカスタマーサポートは属人化に陥りやすく、対応品質にも差が出てしまうことが多くあります。チャットボットを活用すれば、電話のようにユーザーを待機させることもなく、24時間365日問い合わせが可能です。
ただし、カスタマーサポートとして活用する場合、すべての対応をチャットボットに任せてしまうのは、ユーザー満足度の観点からもあまりおすすめできません。あくまでも「よくある質問」の解決にとどめておきましょう。スタッフは対応する問い合わせ数が減ることで、クレームなどの重要な問い合わせの対応に注力できるようになります。
カスタマーサポートにチャットボットを導入すると、スタッフの負担軽減、業務効率化、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。
社内ヘルプデスク
社内ヘルプデスクにチャットボットを導入すると、担当部門の負担が減少し、業務を効率化できます。仕事の多くの場面でパソコンやスマートフォンを使用する機会も多く、ヘルプデスクの業務内容は年々複雑化・多様化しているのです。
例えば、年末に向けて増える年末調整に関する質問、新入社員入社時に多く寄せられる質問など、時期的に増えるような定型的な質問に対しての対策をとれます。
質問のパターンや内容がある程度決まっている場合や、同じような質問が寄せられることが想定される場合は、シナリオも準備しやすく、チャットボットに対応を任せることで業務効率化が図れるでしょう。
チャットボットに基本的な対応を任せてしまえば、担当者の負担や人手不足が解消され、コア業務に取り組むリソースを確保できます。
接客ツール
Webサイトを訪問したユーザーとのリアルタイムなコミュニケーションが取れるチャットボットは、接客ツールとしても活用できます。商品やサービスに関するユーザーの疑問をその場で解決できることから、主に既存顧客の満足度向上につなげる、カスタマーサポートの用途に活用されています。
また、Webサイト以外にも公式LINEにチャットボットを導入するのもおすすめです。現代ではコミュニケーションツールとしてLINEが普及し、企業も公式アカウントを所有していることが多くあります。
公式LINEアカウントと連携してトーク上にチャットボットを設置し、接客ツールとして使うのも1つの方法です。
アクティブユーザーの多いLINEとの連携は、顧客の利用ハードルを下げ、アプリ上で予約や購入が完結できるよう促せるため、ECサイトなどとの親和性も高いと言えるでしょう。
多言語ツール
自動翻訳機能付きのチャットボットを導入すれば、多言語ツールとしても活用できます。
インバウンド需要のあるホテル・レストラン・観光施設のほか、在留外国人とのコミュニケーションが増える地方自治体・学校・職場などでも、多言語対応が必要な場面は意外と多くあるものです。
多言語に対応ができていなければ、せっかく売上になり得るチャンスが巡ってきたとしても、売上につなげられない可能性があります。
また、多言語対応には、言語に精通した人材を確保したり、翻訳を外部委託したりとコストがかさみます。しかし自動翻訳機能付きのチャットボットを導入すれば、コストを抑えつつ、非接触できめ細やかな個別対応を実現できるのです。
マニュアル
マニュアルが作成される主な目的は、業務方法の明確化と標準化を図ることです。マニュアルを作成するメリットは下記の通りです。
- 業務の属人化を防げる
- 人材育成のコストを減らせる
- 業務において常に一定の成果を得られる
マニュアルを作成したとしても、使いにくい場所に設置していたり、必要な情報にすぐにたどり着けなかったりするようなマニュアルでは使用率が上がりません。マニュアルの公開にチャットボットを利用すれば、チャットボットとの会話を通じて必要なマニュアルをスムーズに提示できます。
誰もが使いやすいマニュアルを目指すことで、社内問い合わせの減少や質問対応の質の均一化ができて、問い合わせ担当者の業務効率化につながるでしょう。
チャットボット導入によるメリット
チャットボットには、問い合わせ業務が効率化されることはもちろん、さまざまなメリットがあります。うまく活用することで、社内の業務効率化やナレッジ共有に貢献してくれるでしょう。
メリット |
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ユーザー満足度が向上する
チャットボットを設置すると、ユーザーは待たされることなく迅速に正確な回答を得られます。電話で話すことが苦手なユーザーも気軽に使用でき、ユーザー満足度アップが期待できるでしょう。
さらに、チャットボットは年中無休で稼働するため、問い合わせ窓口の営業時間外でも、ユーザーの問題解決ができるという点もメリットの1つです。オペレーターによる問い合わせ対応の場合、夜間や土日などは人手を集めることが難しく、クローズせざるを得ません。
しかし業種や商材によっては、夜間や土日に多くのユーザーがWebサイトに訪問することもあります。その場合ユーザーは、疑問があっても窓口が閉まっているために問い合わせできず、ストレスを抱えてしまうでしょう。
チャットボットを導入すれば、24時間・365日問い合わせ対応ができ、ユーザーはすぐに回答を得られます。それによってユーザー満足度が向上すれば、初回購入やリピーター獲得にもつながり、売上への好影響が期待できます。
オペレーターの業務負担が軽くなる
チャットボットは簡単な質問であれば自動で回答してくれるため、オペレーターの手間が省けます。チャットボットで答えきれなかった複雑な質問などは有人で対応しますが、それでもオペレーターの負担を減らしながら、ユーザーの満足につなげられます。
また、問い合わせの手間を減らすのであれば、チャットボットでよく尋ねられる質問を掲載しておきましょう。ユーザーが問い合わせ前にそのページを確認できれば、同じような質問に何度も回答する必要がなくなります。
ユーザーにとってはたった1度の質問でも、オペレーターにとっては何度も聞かれたことのある質問かもしれません。同じような質問に何度も答え続けることは、オペレーターのストレスになり、ユーザーにとっても問題解決できないことはストレスになります。
そのためチャットボットを活用することで、対応時間の短縮や工数が削減され、オペレーターの業務負担が軽減されるでしょう。
コア業務にリソースを集中できる
チャットボットを導入することで、問い合わせ対応の自動化が実現します。これまで問い合わせに対応していたオペレーターやシステム部門の社員は、問い合わせ対応にあてていた時間をほかの業務に使えるため、人的リソースを適切に配分できるようになります。
特に情シス部門は、社内のシステム運用やエラー時の早急な対応が求められる部門ですが、日々の雑多な問い合わせの対応に追われて本来の業務に集中できていない企業が多いのも事実です。また、人的リソースをさけない企業も多く、長時間労働の常態化などの課題も山積みとなっています。
チャットボットを導入して簡単な問い合わせに対応させることで、雑多な業務への対応を減らせるでしょう。そうすることで、企業の根幹となるコア業務に人材やコストを集中投下でき、企業の利益向上にもつなげられます。
対応品質のバラつきをなくせる
チャットボットの導入により、対応品質のバラつきをなくして標準化・最適化できます。オペレーターによる問い合わせ対応は、一人ひとりのスキルや経験によって対応品質にバラつきが生じる場合があります。
特に経験の浅い社員やアルバイトは、業務に対する理解が浅く、回答までの間にユーザーをたらい回しにしてしまうケースもあるでしょう。対応品質のバラつきやユーザーのたらい回しは、クレームにつながることもあり、軽視できない課題です。
品質を統一するためにはオペレーターを教育する必要がありますが、コストも時間もかかる上に、オペレーターが退職したら、また一から教育を始めなければいけません。
しかしチャットボットで問い合わせ対応を自動化すると、常に一定の答えを提供できるため、オペレーターによる対応品質のバラつきを解消できます。また、丁寧な回答を設定しておけば、ユーザーはチャットボットの対応に満足感を得られるでしょう。
新規ユーザーを獲得しやすくなる
ECサイトやLP(ランディグページ)にチャットボットを設置すれば、ユーザーからの問い合わせ数を増加させ、新規ユーザーの獲得につなげられます。
チャットボットがあることで、ユーザーが問い合わせをしたいタイミングで、問い合わせが可能です。そのため問い合わせ窓口がクローズしている時間帯でも、ユーザーの疑問を解消し、資料ダウンロードなどコンバージョン率の向上にも貢献してくれて、結果的に営業機会の損失を防げるでしょう。平日の夜や週末など、これまでは接点を持てなかったユーザー層へアプローチできる点もメリットの1つです。
サイトのコンバージョン率を改善したいと考えている企業は、チャットボットによりアプローチできるユーザー層が広がるため、導入を検討してみるのも良いでしょう。
問い合わせ状況を把握できる
FAQチャットボットを設置すると、どの項目に問い合わせが最も多いのかなど、閲覧数や傾向を把握できます。
電話対応やメール対応では、情報を蓄積するために手動での入力や管理が必要なことが課題でした。たとえ情報を蓄積できていたとしても、データが見にくかったり、そもそもデータを誰も見ていなかったりすれば、データの意味がありません。
チャットボットで情報の蓄積を自動化できると、問い合わせ担当者の負担も減らせます。例えば「製品の使い方」について質問が多ければ、製品ページにさらにわかりやすく使い方を載せる必要があると判断できるでしょう。このように、ユーザーと直接会話をしなくても相手の疑問やニーズを可視化できるため、改善策を考えやすくなるのです。
また、疑問解消にまで至らない質問を集計し、FAQのシナリオ作成や製品そのものの改善にデータを活用できるでしょう。もしくは、「難しい質問はオペレーターに引き継ぐ」など、有人対応との併用も一案です。
利用者が気軽に問い合わせできる
チャットボットは、利用者側にもメリットがあります。
電話による問い合わせは、窓口が開いている営業時間内しか対応してもらえません。営業時間内に電話をかけても混雑していると待たされる場合もありますし、そもそも電話が苦手なユーザーには、「電話をかけること」自体がハードルの高い行為と言えるでしょう。
また、メールによる問い合わせは返信が遅くなることもあり、すぐに回答が欲しい場合には非常に不便ですし、回答を待たされるストレスもあります。
一方、チャットボットは利用者が問い合わせたいと思ったらすぐに利用できます。人間が相手ではないので「聞きにくい」と感じているささいな内容も聞けるため、質問へのハードルが低いのもメリットです。また、自分で回答を探す必要もないことから、解決までの時短にもつながります。
チャットボットは、24時間365日いつでも手軽に利用できるため、利用者にとっての利便性が向上するでしょう。
商品・サービスの改善についてのヒントを得られる
チャットボットを通じて、商品・サービスの改善につながるヒントを得られます。
例えば、特定の機能に関する問い合わせが多い場合、機能自体を使いやすくしたり、その機能についてのマニュアルを充実させたりするなどの対策を講じることも可能です。
また、ユーザーが商品・サービスについての意見を書き込める自由入力欄を設けることも一案です。ユーザーの声を集めて分析することで、チャットボットの作成者だけでは見えなかった課題も発見でき、改善案を出しやすくなります。追加すべき質問や逆に削除した方が良い質問を定期的に見直すことで、チャットボットの精度はさらに上がっていくことでしょう。
精度の上がったチャットボットをうまく活用し、商品・サービスのブラッシュアップにつなげましょう。
社内業務が効率よく回り生産性が高まる
チャットボットは、社内問い合わせの対応にも向いています。
例えば、経費や交通費の申請について質問がある場合、社内の経理担当者に問い合わせることが多いでしょう。しかし、担当者が不在の場合は質問ができず、回答を得られるまで申請業務がストップしてしまいます。
また、社内で利用しているシステムについて質問がある場合も同様です。情シス部の担当者が不在だと質問できないため、業務が停滞してプロジェクトの遅延を引き起こすリスクもあるでしょう。
チャットボットにこのような社内向け問い合わせに対する答えを設定しておけば、従業員は自ら回答を探せます。問い合わせ担当者にとっても、マニュアルを確認すればわかるような簡単な質問の回答をチャットボットに任せることで、問い合わせ対応にあてていた時間をほかの業務に割けるのです。
社内全体が業務をスムーズに進められ、生産性向上が期待できます。
業務ナレッジを共有できる
働き方の変化に伴い、テレワークを推進している企業も多いのではないでしょうか。オフィス以外の場所で業務を進める機会も増え、仕事の属人化を解消し、誰でも同じ業務を担当できるような社内体制を整えることが急務となっています。
チャットボットに業務に関するナレッジを蓄積しておけば、簡単にナレッジ共有が可能です。業務ナレッジは、なかなか共有の機会や方法がなく、属人化しやすい傾向にあります。それでは、従業員一人ひとりの成果に差が出てしまい、企業全体の成果を底上げできません。
チャットボットに個々のナレッジを蓄積しておけば簡単に全体共有ができ、社内の生産性向上につながります。
例えば「初めて営業で訪問する場合に持っていくべき資料」「契約締結まであと一歩の商談での営業トーク」など、さまざまな場面のナレッジを蓄積しておきましょう。従業員の知識の幅が広がり、スキルアップも見込めます。
チャットボット導入によるデメリット
多くのメリットがある一方で、チャットボットにはどのようなデメリットがあるのでしょうか。
チャットボットの設置における注意点やデメリットを把握しておくことで、より適切で効果的な運用ができます。チャットボットの得意・不得意を理解し、自社のビジネスにうまく活かしましょう。
複数の回答からの選択が難しいことがある
チャットボットでは、ユーザーに複数の選択肢を提示し、そこから選んでもらうよう誘導します。
選択肢が多すぎると、ユーザーにとって選択が難しく、ストレスになってしまうことがあるため、注意しなくてはいけません。したがって、なるべくシナリオをシンプルに設計し、ユーザーを迷わせないよう配慮が必要です。使用する上でユーザーにストレスのかかるチャットボットはやがて利用されなくなってしまうため、利用状況と照らし合わせてメンテナンスをしましょう。
ツールである以上、すべての問い合わせに対して、チャットボットを利用して自動化することはできません。特にシナリオ型のチャットボットの場合は「よくある質問」の回答に活用するなど、利用範囲を限定しましょう。また解決できない複雑な問題に対しては、有人オペレーターを案内できるよう準備し、問題解決ができるように対策をしましょう。
ユーザーは自由に質問できない
シナリオ型のチャットボットでは、会話フローにルールがあり、ユーザーは自由に質問できないデメリットがあります。特にチャットボットだけの場合は、大量の情報を持たせることが難しいため、詳細な説明はできません。
詳細な説明も自動化したい場合はFAQシステムと連携させるか、チャットボットから外部サイトへ誘導するなどの対策が必要です。また複雑な製品を取り扱う医療系やIT系など、ユーザーからの問い合わせが毎回異なる場合には、AIによる対話形式のチャットボットを導入した方が良いでしょう。
もしシナリオ型チャットボットで解決できない問い合わせが多く発生している場合は、AI搭載型のチャットボットの導入を検討してみましょう。
質問数が多いとメンテナンスが大変になる
チャットボットを採用する企業の中には、数百個から数千個もの質問を設定しているところもあります。チャットボットによって多くの質問に対し自動回答できるため、スタッフの業務負担が軽減されます。しかし、チャットボット運用担当者の管理業務が煩雑になることもあるでしょう。
チャットボットは導入したら終わりではなく、継続的なメンテナンスが必要です。蓄積された回答データを分析し、質問を追加したりシナリオを変更していくことで、チャットボットの精度が向上します。
また、製品の入れ替えや料金改定などがあれば、回答内容のメンテナンスを続けなければいけません。そのため、導入前に適切に運用できるようチーム体制を整備する必要があることもあらかじめ把握しておきましょう。
コストと手間がかかる
チャットボットの導入には、一定のコストと手間がかかります。
例えば、シナリオ型の場合はロジックの設定、AI搭載型の場合はFAQデータの精査や蓄積といった事前設定や準備が必要です。導入当初にそろえるFAQの数に決まりはありませんが、50〜100個ほどのFAQを登録して運用を始めるケースがほとんどです。
また、企業によってはチャットボット専任の担当者をつけたり、外部にコンサルを依頼したりする場合があるでしょう。そういった場合は、チャットボットの導入費用だけでなく、採用などの人材費用やコンサル費用がかかってきます。
費用対効果をしっかりと吟味した上で、チャットボットを導入し、マイナスになることがないよう十分検討する必要があります。
利用しにくい人がいる可能性がある
チャットボットは、すべてのユーザーが使いやすいツールであるとは限りません。導入前に、利用しにくいと感じる人がいる点も考慮します。
例えば、最もわかりやすいケースでは、高年齢のユーザーが挙げられます。チャットやITツールにあまり馴染みのない高齢のユーザーにとってチャットボットは、心理的にもハードルが高いかもしれません。
そのほかにも、単なる質問回答してほしいだけでなく、ユーザーが「経緯を聞いてほしい」「共感してほしい」などといった感情を持っている場合は、チャットボットは不向きです。一定の返答しかできないチャットボットではユーザーの感情に寄り添えず、満足度が下がる傾向にあります。
接客要素が重視されるサービスの場合は、オペレーターの対応の方が最適であるため、チャットボットの導入自体を検討し直す必要があります。
チャットボットは、必ずしもユーザーにとってメリットばかりではないことを認識しておく必要があるでしょう。
チャットボットの導入事例
弊社が提供している月額1万円からスタートできるハイブリッド型チャットボットツール「さっとFAQ」を活用した事例を紹介します。
カスタマーセンターの負担を軽減|花キューピット株式会社
花キューピット株式会社は、遠距離の配送をおこなうことなく、お届け先の近くの花屋さんが直接届けてくれるサービスを展開しています。
同社では、カスタマーセンターを設置していたものの、人材採用が困難であったりロケーションの確保が難しかったりといった課題がありました。時期によって繁閑の差が激しく、繁忙期には、受けきれないほどの問い合わせがきてしまう状況になります。業務効率化にも限界を感じ、お客様に疑問を自己解決してもらうためにチャットボットを導入しました。
チャットボット「さっとFAQ」を導入した結果、注文の変更や領収書の発行方法など、基本的な質問はチャットボットでお客様が自己解決していることがデータからわかったと言います。お客様の満足度向上に直結していると考えられるでしょう。
さらに、今後はカスタマーセンターでオペレーター向けのナレッジ共有ツールとして、チャットボットの活動を検討しているとのことです。
参考:「お花を贈りたい」という思いに寄り添ってお客様の手間をチャットボットで軽減
ユーザーサポートの業務効率化 | 株式会社テンダ
(引用:Dojoユーザーサポートサイト)
株式会社テンダは「ホワイトカラーの業務効率化」を目指し、製品・サービスの開発をおこなうIT系企業です。数あるビジネスプロダクトは自社開発製品のため、製造販売からサービスなどのアフターフォローまですべて自社で展開しています。
今までは製品ごとにヘルプデスクを設置していましたが、製品やサービスの増加に伴い、問い合わせに対応する人員の不足が課題でした。
ユーザーサポートサイト内にチャットボット「さっとFAQ」を設置して質問の一部を対応させるようにしたところ、導入後半年で問い合わせ全体の約2割をチャットボットに対応させることに成功しました。
休日夜間を問わず稼働できるチャットボットの働きにより、ユーザー満足度を向上させるだけでなく、社内の業務効率の改善に役立っています。
参照:さっとFAQ:株式会社テンダ 様 導入後半年で2割のお問い合わせを削減
電話対応が減り人にしかできない仕事に注力 | 宇津救命丸株式会社
(引用:宇津救命丸株式会社)
宇津救命丸株式会社は、風邪薬やスキンケアなど多岐にわたる医薬品を開発し販売している会社です。同社は、消費者からの問い合わせにおける、電話に代わるツールとしてチャットボットを活用しています。
リリース後もメンテナンスを重ね、現在ではリリース当初よりもチャット開始率を20%向上させることに成功しています。さらに、同社はチャットボットを導入したことで電話での問い合わせが2割ほど減少しました。
問い合わせが減った分、複雑な問い合わせに対応するための時間を、より多く作り出せました。また、従業員の業務範囲の拡大にも成功しています。
チャットボットを導入する際に気をつけるポイント
チャットボットを導入して後悔しないためには、どのようなポイントに気をつければ良いのでしょうか。
ここでは、チャットボットを導入する際に気をつけたいポイントを紹介します。チャットボットの効果を最大限発揮させるために、導入前に必ずチェックしておきましょう。
導入目的を明確にする
自社の課題がチャットボットで解消可能かを検討するために、自社の課題とチャットボットを導入する目的を明確にしておきましょう。
チャットボットにはシナリオ型とAI搭載型の2種類があるほか、有料版や無料版、搭載されている機能などに違いがあります。さらに、多くのツールが普及しているため、どれを選べば良いかわからないこともあるでしょう。
自社が必要としている機能が搭載されていないツールを選んでしまい、うまく運用できず、結局使わなくなってしまう事態は大変もったいないことです。自社に合うチャットボットがわからない場合は、ベンダーに相談してみましょう。
またチャットボット導入の目的は、企業によって異なります。自社の目的を明確にすることで、最適なチャットボットを選べます。
ユーザーのメリットを考える
ユーザーの満足度を上げるためにも、ユーザー側のメリットを理解しておくことが重要です。
例えば、以下のようなメリットが考えられます。
- 24時間365日問い合わせができる
- 待ち時間がない
- 記録として文字で残せる
- 気軽に問い合わせできる
これらのメリットを運用側が理解しておくことで、ユーザー目線に立ってデザインや見やすさ・使いやすさを改善していけるのです。チャットボットは質問を入力するだけで、すぐに求める答えを返してくれます。サイトのわかりやすい場所に設置しておけば、ユーザー側にかかる時間や労力を減らせます。
また、パソコンとスマホのどちらでも使いやすいようにしておくなど、ユーザーの使いやすさを意識してメンテナンスをおこないましょう。メンテナンスを繰り返すことで、ユーザーの満足度も自ずとアップしていきます。
運用体制を整える
導入後、チャットボットを効果的に運用していくために、運用体制を整えておくことが大切です。
チャットボットは導入したら終わりではなく、導入後も定期的なメンテナンスや運用の分析が欠かせません。もちろん、チャットボットのベンダーからのサポートは受けられますが、サポート内容はベンダーによって異なります。そのためベンダーとの連絡窓口になったり、運用後の改善に十分な時間をとったりするために、運用を専任でおこなう担当者やチームをあらかじめ決めておく必要があるでしょう。
運用体制が整っていないと、回答の精度が上がらず、ユーザーからの苦情やクレームにもつながりかねません。チャットボットを導入したことによって、逆にユーザーの満足度が下がってしまえば、元も子もないでしょう。
回答精度を向上させてユーザー満足度を上げるためにも、あらかじめ運用体制を整えておくことは重要な要素です。
有人体制を準備する
チャットボットは非常に有効なツールではあるものの、対応には限度があります。そのため、有人対応ができる体制も準備しておくことが必要です。
また、チャットボットで対応できないような質問は複雑な内容であることが多く、対応する担当者には、専門的な知識やコミュニケーション能力が求められます。
一定の水準以上の質問には、どうしても人間が対応する必要があり、ユーザーの疑問を放置することのないよう、有人体制も準備しておくことが重要です。
有人対応がおすすめのケースは下記の通りです。
- 人員を確保できるリソースがある
- 対応品質を向上させたい
人でなくてはできない、臨機応変な対応が必要、きめ細やかな対応が必要、高度な対応が必要なケースは有人体制との連携を検討しましょう。
また、有人対応に移行する場合、「チャットボット内で担当者がチャットで対応するのか」「電話に切り替えて担当者が対応するのか」など、体制に合ったシステムを構築しておく必要もあります。
効果を測定する
チャットボット導入後、運用効果を上げていくためには、効果測定が欠かせません。導入するツールでどのような効果測定ができるのかを事前に把握しておきましょう。
チャットボットの効果測定でよく使われる指標は、下記の通りです。
- 回答率:ユーザーの質問に回答できた割合
- 解決率:ユーザーの質問を解決できた割合
- CV数:チャットボットから運営側が目標とする行動に移行させられた数
回答率はユーザーの質問に「回答」できた割合であるのに対し、解決率はユーザーの質問を「解決」できた割合を指します。この解決率は、チャットの最後に「解決されましたか?」という質問を設置しておき、その解答の「はい」の割合を計測することで把握が可能です。
またCV数からは、チャットボットの対応から資料請求や申し込みなどといった、こちらがゴールとして設定したアクションを起こした数がわかります。
これらの指標を知ることは、シナリオの見直しなどのメンテナンスに活かせるでしょう。
導入コストやランニングコストを試算する
チャットボットは無料サービスではないため、「導入費用」「運用費用」「カスタマイズ費用」などがかかります。そのため、導入前にどこまでチャットボットに費用を割けるか、試算をしましょう。
チャットボットにかかる費用は、チャットボットが「シナリオ型」か「AI搭載型」かによって異なるほか、オプションによっても変わってきます。チャットボットにかかる費用の相場は下記の通りです。
- 導入コスト:無料~100万円
- 運用コスト:月々数万円~30万円程度
一般的には「AI搭載型」の方が「シナリオ型」と比べて、高機能な代わりに費用が高くなります。自社に合ったチャットボットを選定し、必要なオプションだけを利用することで、予算的にも無理のないチャットボットの運営ができるでしょう。
チャットボットのシナリオ作成のコツ
チャットボットを利用するには、シナリオの作成が必要です。シナリオとは、ユーザーとの会話内容のことで、これまで蓄積したFAQを整理して作ります。
ここでは、チャットボットに欠かせないシナリオ作成のコツを解説します。
導入目的と自社の課題を明確にする
まずは、チャットボットを導入する目的と自社の課題を明確にします。考えられる課題は下記の通りです。
- オペレーターの業務が煩雑化している
- コールセンターへの問い合わせが多すぎる
- CVRが低い
- 離脱率が高い
- リードが少ない
課題によって合うツールも変わります。まずは自社が抱える課題を洗い出し、どのように改善できるか分析をしてからチャットボットを選びましょう。
課題が明らかになったら、チャットボットによってどのような結果に導きたいのかを設定します。導入前に目的と自社の課題を明らかにして、チャットボットでどのような結果を得たいのかがチャットボット運用における軸となるのです。
導入前に軸を詳しく定め、担当者間で共有しておくことで、チャットボットの運用方針に迷ったときにすぐに立ち返れるでしょう。
質問と回答を考える
次にチャットボットに載せる「質問」と「回答」を抽出します。このとき、ユーザー目線でどのような点に疑問を持たれやすいか検討することが重要です。
質問や回答を洗い出すとき、過去に多く寄せられたFAQを検討したり、現場担当者の温度感も確認したりしましょう。
複数の課題が見つかったとしても、すべてチャットボットでカバーするのではなく、優先順位をつけることも大切です。ユーザーの不満や疑問が特に多い課題に集中し、そのほかの課題は運用後に随時追加することを検討すると良いでしょう。
質問に対する回答は、自然な会話形式になるよう調節します。また、チャットボットの回答は簡潔でわかりやすい表現がおすすめです。チャットボット内で解決できないような複雑な回答をする場合は、該当ページのリンクを提示するとわかりやすいでしょう。
シナリオを作成する
目的や課題が明確になり、ベンダーへの依頼が決まったら、いよいよシナリオ作成です。
質問に対して表示する選択肢の数は、なるべく5つまでに抑えて、階層も5段階以内に設定しましょう。質問の分岐が多すぎてなかなか回答にたどり着けなければ、ユーザーがストレスを感じてしまいます。結果的に離脱につながる可能性もあるため、なるべく早く回答にたどり着くような設定が必要なのです。
シンプルで見やすいデザインで整え、選択肢は単語で提示するなど、わかりやすい表示を意識しましょう。シナリオを作成できたら社内でテストを実施し、不具合がないか確認する必要があります。テストをするときは複数人でおこない、シナリオのつながりがおかしくないか、回答の内容は誰でもわかるものになっているかなど細かく何度も確認しましょう。
チャットボットのメリットを活かしてサービス向上・業務効率化を目指そう
チャットボットは、よく尋ねられる質問に対して自動で回答できるため、ユーザーと社内スタッフの双方にとって便利なツールです。
チャットボットはユーザーに対してだけでなく、社内の従業員に対しても活用できるツールであり、さまざまな用途・目的で活躍してくれるでしょう。
株式会社サンソウシステムズが提供するチャットボットシステム「さっとFAQ」は、Excelでシナリオを作成してすぐに運用できるツールです。さっとFAQを使えば、ユーザーの疑問をチャットボットが解消し、問い合わせ数を減らすことが可能です。
30日間の無料トライアルもご用意しておりますので、「まずは使って試してみたい」という方はぜひこの機会に導入をご検討ください。