Webサイトへのアクセス増加や業務効率化など、ビジネスの成長に役立つツールを探していませんか?
近年注目を集めているのが「チャットボット」です。顧客対応の自動化や情報提供など、さまざまな場面で活用が広がっています。しかし「チャットボットって実際どのようなメリットがあるの?」「自社に導入するとどのような効果が期待できるの?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、チャットボットを導入するメリット・デメリットをわかりやすく解説します。AIチャットボットやシナリオ型チャットボットの種類、効果的な活用シーン、成功事例なども紹介するので、チャットボット導入を検討する際の参考にしてください。

チャットボットとは
本章では、チャットボットの定義や仕組み、2025年の最新トレンドや市場について解説します。
チャットボットの定義・仕組み
チャットボットは、人間と自然言語で会話できるコンピュータプログラムです。「チャット(chat)」と「ロボット(robot)」を組み合わせた言葉で、顧客の質問への回答や必要な情報の提供、タスクの実行ができます。
人工知能(AI)技術を活用し、事前にプログラムされたルールや機械学習モデルに基づいて、顧客からの質問や指示に適切な応答を返す仕組みです。
近年、急速な技術進歩により、高度な自然言語処理能力を持つチャットボットが登場し、さまざまな分野で活用されています。

チャットボットでできること
チャットボットの機能は多岐に渡ります。主な機能は以下の通りです。
機能 | 詳細 |
自動応答 | よくある質問(FAQ)への自動応答で24時間365日対応が可能 |
顧客サポート | 製品やサービスに関する問い合わせ対応、トラブルシューティングなどをサポート |
情報提供 | 天気予報、ニュース、株価などの顧客のニーズに合わせた情報をリアルタイムで提供 |
予約・注文 | レストランの予約、商品の注文など、顧客の代わりに手続きを実施 |
パーソナルアシスタント | スケジュール管理、リマインダー設定など、個人のタスク管理 |
翻訳 | 異なる言語間の翻訳 |
これらの機能は単独で用いられることもあれば、組み合わせてより高度なサービスの提供も可能です。 例えば、顧客サポートチャットボットはFAQへの自動応答だけでなく、有人対応の切り替えもできます。
チャットボットはさまざまなニーズに対応できる柔軟性を持っていると考えられます。

チャットボットの2025年最新トレンド
チャットボットの市場規模は2025年には87億1,000万米ドルと推定され、2030年には258億8,000万米ドルに達し、年平均成長率24.32%成長すると予測されています。
日本のチャットボット市場は、2024年から2028年の間に32.90%のCAGRで成長すると予測されており、今後さらに発展する見込みです。
AIと自然言語処理(NLP)技術の進歩により、チャットボットは状況や感情を理解し、よりパーソナライズされた情報を提供できるようになっています。 また、顧客分析の需要の高まりも市場拡大を促進する理由のひとつです。チャットボットから顧客行動や嗜好に関する情報を得て、データに基づいて戦略を立てることが可能になります。
具体的なトレンドは以下の通りです。
トレンド | 詳細 |
高度な自然言語処理(NLP)の進化 | より自然で人間らしい会話の実現、多様な表現やニュアンスへの対応 |
マルチメディア対応の拡大 | テキストだけでなく、音声や画像、動画など複数のメディアに対応 |
パーソナライゼーションの強化 | 顧客の属性や行動履歴に基づいた、個別最適化された対応 |
オムニチャネル対応 | Webサイトやアプリ、SNSなどさまざまなチャネルの円滑なコミュニケーションの実現 |
セキュリティ強化とプライバシー保護 | 個人情報の保護、不正アクセス対策の強化 |
メタバースとの連携 | 仮想空間での顧客対応や情報提供 |
今後、より高度なAI技術とパーソナライゼーション機能が搭載されたチャットボットが登場し、ビジネスシーンにおける活用はますます拡大していくと予想されます。
参考:Mordor Intelligence「チャットボット市場の規模、シェア、傾向、成長予測、業界分析(2025年 – 2030年)」
チャットボットの種類と特徴
本章では、チャットボットの種類と特徴について解説します。
1.AIチャットボット
AIチャットボットは、人工知能 (AI) を使用して人間と自然言語で会話するコンピュータープログラムです。顧客が入力した質問に対して、事前にプログラムされたルールやデータ、ログを用いて応答を生成します。顧客サービスの自動化、情報提供など、幅広い用途があります。
AIチャットボットのメリット・デメリット
AIチャットボットのメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
- 自然言語処理による人間らしい会話が可能で、顧客満足度向上につながる
- 学習機能によって精度が向上し、継続的な改善が期待できる
- 24時間365日対応が可能となり、顧客対応の負担軽減と顧客接点の拡大が実現する
- 大量のデータ分析で顧客ニーズの把握やマーケティング戦略が最適化される
デメリット
- 導入コストや運用コストがかかる
- 複雑な質問や専門的な知識が必要な質問への対応が難しい場合がある
- 学習データの質によって精度が大きく左右されるため、初期設定や継続的なメンテナンスが必要になる
- AIの学習には時間がかかるため、すぐに完璧な回答が得られるとは限らない
- セキュリティ対策が重要となる
2.シナリオ型チャットボット
シナリオ型チャットボットは、あらかじめ設定されたシナリオに沿って顧客と会話するチャットボットです。顧客が入力した質問に対して、事前に用意された応答の中から最も適切なものを選択して返答する仕組みです。問い合わせ対応や特定の情報を案内する用途に向いています。

シナリオ型チャットボットのメリット・デメリット
シナリオ型チャットボットのメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
- 導入コストが低く、導入しやすい
- あらかじめ設定されたシナリオに沿って回答するため、正確な情報を提供できる
- 運用が容易で、専門知識がなくても導入・運用できる
- シンプルなシステムのため、セキュリティリスクが低い
デメリット
- 柔軟な対応が難しく、シナリオにない質問には対応が難しい
- シナリオの作成・修正の時間が必要になる
- 顧客のニーズの変化に迅速に対応できない可能性がある
チャットボットを導入する6つのメリットと効果
チャットボット導入は、ビジネスにおけるさまざまな課題解決に役立ちます。
本章では、チャットボットの導入で得られる主な6つのメリットと効果を解説します。
顧客満足度の向上
チャットボットは24時間365日対応が可能なため、迅速に顧客対応ができます。顧客はいつでも疑問を解消でき、待ち時間なくサポートを受けられるため、顧客満足度が向上します。特に、深夜や休日の問い合わせにも対応できることは顧客にとって利便性が高く、満足度を向上させる要因になるでしょう。
また、簡単な質問はチャットボットが自動で対応することで、担当者はより複雑な問題の対応に集中できるようになり、顧客対応の質の向上にもつながります。
業務効率化によるコスト削減
チャットボットで単純な問い合わせを自動化することで、担当者の負担を軽減し、業務効率を高め、人件費を削減できます。少ない人材で問い合わせ対応ができれば新たな人材の採用も少なくなり、研修費用の軽減も可能です。
また、担当者はより付加価値の高い業務に集中できるようになり、企業全体の生産性の向上にもつながります。
24時間365日対応による顧客接点の拡大
チャットボットは時間や曜日に関係なく24時間365日対応できるため、より多くの顧客にサービスを提供できます。そのため、時間や場所の問題で問い合わせができなかった顧客との接点拡大につながり、電話やお問い合わせフォームのみだった顧客との接点の拡大も期待できるでしょう。
結果として、潜在顧客からの問い合わせ機会が増え、顧客とのエンゲージメントを高められます。
グローバル展開している企業においては、多言語対応のチャットボットを導入することで世界中の顧客に対応することが可能です。
リード獲得・育成の効率化
チャットボットは、Webサイトを訪問した顧客とのリアルタイムな対話を通じて、リード獲得と育成を効率化できます。
従来の問い合わせフォームやメールによるやり取りと比較してチャットボットはすぐに情報を提供できるため、顧客の離脱率を削減し、エンゲージメントを高める効果が期待できます。営業時間外でも対応できることも、潜在顧客の機会損失を抑えリード獲得できる要因のひとつです。
例えば、ECサイトでは、商品の在庫確認や配送状況の問い合わせ、サイズや色の相談などの対応ができます。また、BtoB企業では、製品に関する質問への対応や資料請求の受付などの対応が可能です。
顧客が抱える疑問や課題に迅速に対応することで、リード獲得・育成を効率化させ、顧客満足度向上にもつなげられます。
データ分析によるマーケティング活用
チャットボットは顧客とのやり取りをデータとして蓄積します。質問内容や回答への満足度などのデータを分析することで、顧客のニーズや行動パターンを理解し、より効果的なマーケティング戦略を策定できます。顧客満足度向上のための施策や、新たな製品・サービス開発にも役立つでしょう。
また、チャットボットの応答内容を変更するなど継続的な改善サイクルの構築も可能です。
環境負荷の低減
株式会社日立製作所によると、チャットボットの導入で問い合わせ対応における作業工数と使用機器の消費電力の削減により、CO2排出量が40%削減できることがわかっています。
また、マニュアルなどの紙媒体を削減できることでも、環境負荷の低減が可能です。
問い合わせ対応の効率化による省人化は、間接的に環境への負担を軽減できると言えます。
参考:株式会社日立製作所「チャットボットサービスによる環境負荷の低減」
チャットボットの導入前に覚えておきたい3つのデメリット
チャットボット導入は多くのメリットがありますが、導入前に覚えておきたいデメリットもあります。順に3つ解説します。
導入コストと運用コストが必要
チャットボットの導入には、初期費用と運用費用が必要です。初期費用は、チャットボットシステムの選定、構築、カスタマイズなどに伴う費用があります。システムの種類や機能によって大きく変動するため、事前に複数のサービスから見積もりを取り、比較検討することが重要です。
運用費用には、システム利用料、保守費用、メンテナンス費用などが含まれます。ほかにも、シナリオ作成や更新、データ分析といった人的リソースも考慮する必要があります。
導入前に初期費用と運用費用を詳細に見積もり、予算を計画することが重要です。コスト削減のためには、自社のニーズに最適な機能を持つシステムを選択し、無駄な機能を省くことが効果的です。また、運用コストを削減するために、効率的な運用体制の構築や、自動化できる業務の範囲を拡大することも検討しましょう。

複雑な質問への対応の難しさ
チャットボットはあらかじめ設定されたシナリオに基づいて回答するため、複雑な質問や想定外の質問には対応できない可能性があります。AIチャットボットであっても、学習データが不足している場合や曖昧な表現が含まれる質問に対しては、適切な回答ができません。顧客の質問に対して適切な回答ができない場合、顧客満足度を低下させる原因にもなりかねません。
このデメリットを軽減するために、FAQを充実させ、顧客が抱えやすい質問への対応の強化が重要です。また、複雑な質問には、有人対応をスムーズに連携させることも必要です。
すべての質問への回答が困難
チャットボットはあらかじめ設定された情報に基づいて回答をおこなうため、情報にない質問には回答できません。特に、専門性の高い質問や、個別の状況に応じた質問には対応できない可能性があります。これにより、顧客の問い合わせが解決できず、不満につながります。
できる限り多くの顧客の質問に回答するために、定期的に情報を更新し顧客からの質問を反映していくことが重要です。チャットボットの回答精度を高めるために、AI学習機能の活用も効果的です。
また、チャットボットはすべての質問に答えられないことを理解し、人間によるサポート体制を整備することが重要です。
セキュリティ対策の必要性
チャットボットは顧客情報や企業機密情報を取り扱う可能性があるため、不正アクセスやデータ漏洩を防ぐためにセキュリティ対策が不可欠です。例えば、アクセス制御、データ暗号化、定期的なセキュリティ監査などのセキュリティ対策の導入が大切です。
サービスによってセキュリティ対策が異なるため、導入前にどのような対策がされているのか確認しておきましょう。
チャットボットのメリットを活かせるシーン
本章では、チャットボットのメリットを活かせる具体的なシーンを6つ紹介します。それぞれの特徴と導入による効果についても解説します。
カスタマーサポート
チャットボットはカスタマーサポートにおける問い合わせ対応の効率化に大きく貢献します。24時間365日対応が可能となるため、顧客からの問い合わせに迅速かつ確実に対応でき、顧客満足度の向上につながります。顧客との接点拡大にも役立つでしょう。
また、FAQの登録で定型的な問い合わせには自動で回答し、担当者の負担を軽減します。また、チャットボットの利用状況を分析することで、顧客ニーズの把握やサービス改善も期待できます。
マーケティング
リード獲得や顧客育成においても、チャットボットは有効なツールです。
Webサイトへのチャットボットの設置で、顧客からの問い合わせ内容を取得し「潜在顧客へどのようにアプローチすべきか」を把握できます。
また、チャットボットを通じて顧客の行動や好みを分析することでも、効果的なマーケティング施策の立案に役立ちます。例えば、商品のおすすめやキャンペーン情報の提供などパーソナライズされた情報を提供する方法があります。
結果として、顧客エンゲージメントやコンバージョン率の向上につなげられるでしょう。
社内問い合わせ対応
社内ヘルプデスクの問い合わせ対応にもチャットボットは有効です。
社員からのよくある質問に自動で回答することで担当者の負担を軽減し、業務効率化を図れます。担当者への負担が減れば、人的コストを削減できるだけでなく、担当者がより注力すべき業務に集中することが可能です。
また、社内規定やマニュアルを登録していつでも・どこでもアクセスできるようにすることで、社員の自己解決の促進・属人化の防止によって生産性向上にもつなげられます。
接客ツール
ECサイトや店舗において、チャットボットは接客ツールとして活用できます。
例えば、商品に関する質問への回答をスムーズにできれば、顧客の購買行動を支援し、購買意欲を高められます。ほかにも、在庫確認、配送状況の確認などのさまざまな用途で活用すれば顧客へ効果的にアプローチできるでしょう。
また、チャットボットの対応で顧客満足度を高められれば、リピート率の向上にもつながる可能性があります。
多言語ツール
グローバル展開を進める企業にとって、多言語対応は重要な課題です。複数の言語に対応するサービスを利用すれば、海外顧客とのコミュニケーションもスムーズに進み、効率的にビジネスを促進できます。
言語の壁がなくなることは、海外市場への進出を促進し、ビジネスチャンスの拡大につながります。
マニュアル・ナレッジの共有
社内におけるマニュアルやナレッジの共有にもチャットボットを活用できます。
「給与明細の発行日は?」「有休申請の手続きは?」など社員が疑問に思った際に、チャットボットを通じて必要な情報を迅速に提供することで、業務の効率化につながります。社員は本来の業務に集中できるようになり、生産性の向上も期待できるでしょう。
また「〇〇業務のマニュアルがほしい」場合にも、複雑な手続きや手順をわかりやすく説明してくれるため、社員の理解度を高めミスを減らせます。
加えて、社員からの質問とその回答を蓄積・共有できるため、組織全体の知識レベル向上にも貢献できます。
チャットボットの導入ステップ
本章では、チャットボットの効果的な導入ステップを5つの段階に分けて解説します。
1.現状分析と目的の明確化
導入前のステップで最も重要なのは、現状の課題の分析と具体的な目的設定です。
例えば「問い合わせ対応にかかる時間を30%削減する」「リード獲得数を20%増加させる」といった目的があげられます。数値目標を設定することで、導入効果を測定しやすくなります。
分析内容の例を見ていきましょう。
分析項目 | 具体的な分析内容 |
現状の顧客対応 | ・現在の問い合わせチャネルは何か(メール、電話、FAQなど) ・それぞれのチャネルでの処理件数・平均対応時間はどの程度か ・ 顧客満足度はどの程度か |
業務プロセス | ・顧客対応以外の業務時間はどの程度か ・自動化したい業務は何か ・自動化によってどの程度の時間削減が見込めるか |
顧客ニーズ | ・どのような質問や問い合わせが多いか ・どのような情報を求めているか ・利用状況や行動パターンはあるか |
リソース | ・チャットボット導入にどれだけの予算と人員を割けるか ・導入後の運用体制は整っているか |
これらを分析した上で、チャットボット導入によって解決したい具体的な課題と目的を明確にしましょう。
2.導入する業務の決定
すべての業務を一度に自動化することは困難です。チャットボットを導入する際は、最も効果を発揮できる業務が何か絞り込み、導入する業務を決定しましょう。
例えば、以下のような業務が適しています。
- よくある質問への回答(FAQ)
- 注文確認、配送状況確認など簡単な問い合わせ対応
- 予約受付
- リード獲得のための情報提供
業務ごとにチャットボットの導入による効果を定量的に予測し、優先順位をつけると良いでしょう。段階的に導入を進めることで、リスクを最小限に抑えながら効果を高められます。
3.チャットボットサービスの選定
目的と導入業務が決まったら、適切なチャットボットサービスを選びます。さまざまなサービスの中から、機能、価格、導入難易度、サポート体制などを比較検討します。
具体的な選定基準は以下の通りです。
選定項目 | 考慮事項 |
機能 | AI機能の有無、自然言語処理能力、多言語対応、連携可能なシステムなど |
価格 | 初期費用、月額費用、追加機能の費用など |
導入難易度 | 設定の容易さ、カスタマイズの柔軟性など |
サポート体制 | 導入支援、技術サポート、運用サポートなど |
セキュリティ | データの暗号化、アクセス制限など |
複数のサービスを比較検討し、自社のニーズに最適なサービスを選びましょう。無料トライアルなどを活用して、実際に使い勝手を確認することも重要です。
4.運用体制の整備
チャットボットは導入したら終わりではありません。継続的な運用と改善で効果を高められるため、運用体制の整備は不可欠です。
具体的に整えるべき体制は以下の通りです。
項目 | 内容 |
担当者の選定 | チャットボットの運用、保守、改善の担当者を決める |
マニュアル作成 | 運用マニュアルを作成し、担当者に共有する |
監視体制 | チャットボットの稼働状況を監視し、不具合発生時には迅速に対応できる体制を整える |
定期的な見直し | チャットボットのパフォーマンスの効果測定方法を設定する |
5.定期的な効果測定と改善
導入後の効果測定は、継続的な改善のために欠かせません。事前に設定した目的に基づいて定期的に効果を測定し、改善策を講じましょう。
例えば、問い合わせ対応時間、顧客満足度、リード獲得数などのKPIを設定し、定期的にモニタリングします。データ分析に基づいてシナリオの改善、FAQの更新などをおこない、チャットボットの精度と効率性を高めていきましょう。
チャットボットのシナリオ作成のコツ
本章では、シナリオ型チャットボットを導入する際のシナリオ作成のコツを3つ解説します。
導入目的と自社の課題を明確にする
効果的なチャットボットシナリオを作成するために、導入目的と自社の課題を明確にします。単にチャットボットを導入するだけでは、期待する効果は得られません。何のためにチャットボットを導入するのか、どのような課題を解決したいのかを具体的に決めることでシナリオ設計の方向性が定まり、顧客にとって有益な情報を提供できます。
例えば、顧客対応の効率化を目的とするなら、よくある質問への回答や問い合わせ対応の自動化に重点を置いたシナリオを作成する必要があります。
一方、リード獲得を目的とするなら、顧客の興味関心を引きつけ問い合わせや資料請求につなげるようなシナリオ設計が重要です。
チャットボットを十分に活用するために、課題と目的の明確化は必ずおこないましょう。
質問と回答を考える
導入目的と自社の課題が明確になったら、顧客がチャットボットにどのような質問をするかを予測し、それに対応する回答を考えます。
質問と回答を考えるコツは、顧客の視点に立つことです。考えられる質問を洗い出し網羅的に回答を用意しましょう。また、以下のポイントを意識することも大切です。
ポイント | 具体的な方法 |
顧客の言葉遣いを予測する | 過去の問い合わせ履歴、顧客アンケートなどを参考に、顧客が実際に使いそうな言葉遣いを予測する |
さまざまな質問パターンを想定する | 言い回しが異なる同じ質問などさまざまなパターンを想定する |
簡潔でわかりやすい回答を作る | 専門用語を避け、顧客が理解しやすい言葉で回答する |
適切な情報を提供する | 顧客の質問に的確に答え、必要な情報を提供する |
感情表現を考慮する | 顧客の感情に合わせた適切な言葉遣いをする |
シナリオを作成する
質問と回答の準備ができたら、それらをつなげてシナリオを作成します。
シナリオは、顧客がチャットボットとどのように会話をするかを設計するものです。 顧客の質問に対して、適切な回答を返すだけでなく、会話の流れをスムーズにするための工夫が必要です。
複雑な質問への対応や、想定外の質問への対処方法なども考慮に入れ、柔軟なシナリオ設計を目指しましょう。
Excelやスプレッドシート、フローチャートなどを利用してシナリオを作成することをおすすめします。サンソウシステムズが提供する「さっとFAQ」は、Excelから簡単にデータを作成できるチャットボットです。
専用テンプレートに質問と回答を貼り付けて登録するだけなので、導入直後から高い応答率と回答到達率を実現できることが特長です。
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チャットボットの効果測定方法
本章では、チャットボットの効果測定方法を解説します。
効果測定の手順
チャットボットの効果測定は、導入目的や目標設定に基づいておこなうことが大切です。効果測定の手順は以下の通りです。
- 目標設定とKPIの選定
チャットボット導入の目的を明確にし、それを測るためのKPIを決定します。導入目的は顧客満足度向上、業務効率化、リード獲得など具体的な内容にすることが大切です。 - データ収集期間の設定
効果測定をおこなう期間を決定します。より正確な効果を把握するために、導入直後だけでなく、ある程度の期間運用した後に測定しましょう。 - データ収集と分析
設定したKPIに基づき、チャットボットの利用状況や顧客の反応などのデータを収集します。定量的な数値だけでなく、顧客からのフィードバックなども含めることで、より詳細な分析が可能です。 - 成果検証と改善
チャットボットの効果を検証します。目標達成度や課題を見つけ、改善策を検討しましょう。改善策の実施後も継続的に測定し、効果を検証することが大切です。
7つの主要なKPI
チャットボットの効果測定において、重要なKPIを7つ紹介します。これらのKPIは、チャットボットの導入目的や企業によって、優先順位や重要度が異なります。
KPI | 説明 | 測定方法 |
セッション数 | チャットボットとの会話セッション数 利用頻度を示す指標 | チャットボットのログデータから計測 |
平均セッション時間 | 1セッションあたりの平均会話時間 顧客のエンゲージメントを示す指標 | チャットボットのログデータから計測 |
解決率 | 顧客の問い合わせを解決できた割合 | チャットボットのログデータと顧客満足度調査から計測 |
顧客満足度(CSAT) | チャットボットを利用した顧客の満足度 | アンケート調査、顧客レビューなど |
ファーストレスポンスタイム | 顧客の問い合わせに対する最初の応答時間 | チャットボットのログデータから計測 |
問い合わせ件数 | チャットボットへの問い合わせ件数 | チャットボットのログデータから計測 |
コスト削減効果 | 人件費などのコスト削減効果 | 導入前後のコスト比較 |
効果測定のポイント
効果測定をおこなう際には、以下のポイントに注意しましょう。
- 明確な目標設定
効果測定の前に、チャットボット導入の明確な目標を設定することが重要です。目標がなければ、効果を正しく評価できません。 - 適切なKPIの選択
目標達成度を正確に測れるKPIを選択しましょう。複数のKPIを組み合わせることで、より詳細な分析が可能です。 - データの正確性
収集したデータの正確性を確認することが重要です。データに誤りがあると、効果測定の結果が歪んでしまいます。 - 定期的な測定と改善
チャットボットの効果は、導入後も継続的に測定し、必要に応じて改善していく必要があります。定期的な測定によって、改善の効果を検証し、最適化を図ることができます。 - 定性データの活用
定量的なデータだけでなく、顧客からのフィードバックなどの定性データも活用することで、より深い分析と改善につながります。
これらのポイントを踏まえることで、チャットボットの効果を正確に測定しビジネスの成長につなげられます。

チャットボット運用のポイント
本章では、チャットボット運用のポイントを5つ解説します。
社内外からFAQに関する情報を集める
チャットボットの精度を高めるためには、顧客がどのような質問をするかを事前に把握することが不可欠です。そのため、社内外のFAQを徹底的に収集する必要があります。具体的には、以下の方法が有効です。
情報収集方法 | メリット | デメリット |
カスタマーサポート部門へのヒアリング | 現場の生の声が聞ける | 担当者の主観が入り込む可能性がある |
顧客からのメールや問い合わせ履歴の分析 | 具体的な質問内容がわかる | データ量が膨大になる可能性がある |
社内アンケートの実施 | 従業員のニーズを把握できる | 回答率が低い可能性がある |
既存のマニュアルやFAQサイトの確認 | 既存の情報資産を活用できる | 情報が古くなっている可能性がある |
これらの方法を組み合わせることで、より網羅的なFAQを収集し、チャットボットの回答精度向上につなげることが可能です。
顧客のメリットを考える
チャットボットは、顧客にとって便利なツールである必要があります。単に質問に答えるだけでなく、顧客にとってどのようなメリットがあるかを常に考慮することが必要です。
例えば、以下のようなメリット・施策例があります。
顧客のメリット | 具体的な施策例 |
時間短縮 | 待ち時間なしですぐに回答を得られるよう設計する |
利便性向上 | 24時間365日対応、多言語対応など |
ストレス軽減 | わかりやすい言葉遣い、丁寧な応対 |
情報検索の容易さ | 直感的に操作できるインターフェース |
顧客視点に立って設計することでチャットボットの利用率や顧客満足度の向上につながります。
有人体制を準備する
チャットボットは万能ではありません。複雑な質問や感情的な対応が必要なケースでは、人間の対応が必要です。そのため、チャットボットと連携した有人体制の準備は必らずおこないましょう。
有人体制の準備方法として、以下のようなものがあります。
- チャットボットが対応できない質問へのエスカレーションルートの構築
- 有人対応担当者の教育・トレーニング
- 有人対応に必要なツールの準備(電話、メールなど)
- 有人対応時のマニュアル作成
スムーズな体制を構築することで、顧客の満足度を維持しチャットボットの運用を安定させることができます。
運用体制を整備する
チャットボットは導入して終わりではなく、継続的な運用と改善が欠かせません。そのため、明確な役割分担や効果測定方法などを定めた運用体制の整備が重要です。具体的には以下の内容があります。
- 担当者の役割分担(開発、運用、保守など)
- 定期的なメンテナンススケジュール
- KPI設定とモニタリング
- 改善のためのフィードバックループ
継続的な運用と改善をおこなうことで、チャットボットの性能向上と業務効率化を実現できます。
データを収集し分析・改善する
チャットボットの運用状況を把握し改善につなげるためには、データの収集と分析が不可欠です。チャットボットのログデータから、顧客の質問内容、回答時間、エラー発生率などを分析することで、改善すべき点を特定できます。
以下のようなデータを分析しましょう。
分析項目 | 分析方法 | 改善策の例 |
顧客の質問内容 | 頻出する質問を特定 | FAQの追加、チャットボットのシナリオ修正 |
回答時間 | 平均回答時間、回答時間超過率 | レスポンス速度の改善、シナリオの見直し |
エラー発生率 | エラーの種類、発生頻度 | システムの修正、エラー対応マニュアル作成 |
顧客満足度 | アンケート調査、CS分析 | シナリオの改善、インターフェースの見直し |
データに基づいた継続的な改善をおこなうことで、チャットボットの性能向上と顧客満足度の向上を実現できます。
チャットボット導入の成功事例
本章では、メリットを活かしてチャットボットを活用している企業の事例をご紹介します。
顧客の満足度向上とコストダウンを実現
最繁忙期のお問い合わせに対応しきれていないことが課題だった花キューピット株式会社は、人員配置や業務効率化では限界があるため、顧客が自己解決できるツールの導入を検討していました。
ハイブリッド型チャットボット「さっとFAQ」を導入したところ、既存のQ&Aデータを活用することで、低コストかつ短期間(2週間弱)での導入を実現しました。
導入後半年でチャット回数10万回を超え、仮に1件1分とすると500万円のコストメリットがあったそうです。最繁忙期においても、チャットボットが顧客対応をサポートすることで対応遅延による顧客の離脱を最小限に抑えられています。
参考:株式会社サンソウシステムズ「「お花を贈りたい」という思いに寄り添って お客様の手間をチャットボットで軽減」
社内お問い合わせ対応を効率化
佐川グローバルロジスティクス株式会社は、本社部門への問い合わせが集中し、対応に多くの時間が割かれていたことが課題でした。人事、経理、基幹システム関連など多岐にわたる問い合わせへの対応に多くの工数が費やされ、担当者不在時の対応遅延や回答内容のばらつきも問題だったそうです。また、既存のFAQも品質やまとめ方にばらつきがあり、使い勝手が悪かったことも課題でした。
チャットボットを導入したところ、基幹システム関連の問い合わせが約50%削減する効果がありました。また、3カ月平均の問い合わせ件数は約1,600件にのぼり多くの社員に活用され、満足度も73%と高い結果を得られるなどの効果を得ています。
参考:リコージャパン株式会社「チャットボット導入で社内システムの問い合わせ時間を半減。 満足度70%超を実現させた「RICOH Chatbot Service」」
データの蓄積でセールスプロモーションが可能に
C&H株式会社が運営するRichillは、オンライン販売が9割を占めていましたが2名体制でカスタマーサポートをおこなっており、問い合わせ対応に多くの時間と手間を費やしていました。
チャットボット導入後は、Shopifyとの連携により自動応答が機能するようになり、問い合わせ対応件数が大幅に減少しました。1日50件あった問い合わせが10件未満に減少し、2人体制だったカスタマーサポートは1人体制でも対応可能になり、人員は新たなプロジェクトに充てることができたそうです。
また、購入回数やユーザー登録情報などを基にしたセールスプロモーションも実施できています。
参考:株式会社DMM Boost「2人体制だったカスタマーサポートが0.5人体制に!対応の効率化を抜群に発揮するチャットブーストの魅力とは」

チャットボットのメリットを活かしてビジネスを成長させよう
チャットボットは単なる顧客対応ツールではありません。適切に活用することで、顧客満足度向上、業務効率化、コスト削減といった直接的な効果に加え、24時間365日対応による顧客接点拡大、リード獲得・育成の効率化、データ分析によるマーケティング活用など、ビジネス全体で効果を得られます。
しかし、チャットボットの導入コストや運用コスト、操作性の良さ、データ分析などあらゆる面を考慮して選定して導入しなければ、思ったような効果が得られない場合があります。
「できる限りコストを抑えて効果を出したい」「簡単に会話データを作成したい」「データ分析で効果的な運用がしたい」方は、ハイブリッド型チャットボット「さっとFAQ」の導入がおすすめです。
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また、チャットの利用者数や回数、利用頻度の高い質問、回答できなかった質問などの分析も可能。日々改善しながら運用することで、チャットボットのメリットを最大限に引き出すことができます。
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