少子高齢化の影響で労働力となる年齢層の減少から、日本は慢性的な人手不足に陥っています。この問題は今後ますます深刻化すると予想されており、企業は早急に対策を打たなければいけません。
そのため「人手不足で困っているから対策したい」「今後、人手不足になる可能性があるから対策を知っておきたい」という企業担当者も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、日本の現状や人手不足に陥る原因を紐解き、人手不足に有効な10種類の対策方法を紹介します。また実際に人手不足対策をしている企業事例や、効果的なITツールも紹介するのでぜひ参考にしてください。
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日本は慢性的な人手不足に陥っている
少子高齢化が進む日本では人手不足が慢性的な問題となっており、今後さらに深刻化すると予想されています。そこで、まずは日本の現状と将来の予想を解説します。
人手不足の現状
2022年1月に帝国データバンクが実施した「人手不足に対する企業の動向調査」によると、47.8%の企業が正社員の人手不足に陥っているという事態が判明しました。特に以下の7業種は、正社員の人手不足が深刻な状況になっています。
- 情報サービス
- 飲食店
- 建設
- メンテナンス・警備・検査
- 農・林・水産
また非正規社員に関しては、28.0%の企業が人手不足と回答しています。ただし飲食店は76.6%もの企業が人手不足と回答しており、業種によって大きな開きが見られます。
(参照:人手不足に対する企業の動向調査|株式会社帝国データバンク)
将来の人手不足の予想
今後ますます少子高齢化が進むと予想されている日本では、将来の人手不足が大きく懸念されています。
パーソル総合研究所と中央大学経済学部の阿部正浩教授が共同開発した「予測モデル」を使用して2030年の人手不足を予想した結果、なんと644万人もの人手不足に陥るという結果が出ました。
特にサービス業が最も深刻で、400万人もの人手不足が将来的に予想されています。飲食店などのサービス業は現在でも人手不足が問題となっているため、今後さらに事態が重くなることでしょう。
人手不足に陥る背景・原因
日本はなぜ人手不足に陥っているのでしょうか。その背景には、以下の原因があります。
少子高齢化
日本が慢性的な人手不足に陥っている背景には、少子高齢化があります。
統計局の調査によると2021年10月時点で15~64歳人口の割合は59.4%となっており、1950年以降過去最低の水準となっています。人口をピラミッド形式で表した人口ピラミッドでは、50歳前後を境にして若年層にいくにつれて人口が減少しています。将来を担う15歳未満の人口が特に少なく、将来的な人手不足がうかがえます。
(参照:人口推計(2021年(令和3年)10月1日現在)|総務省統計局)
求職者と企業のミスマッチ
求職者が求めている仕事内容と、企業が求めている人材のミスマッチも人手不足を深刻化させている原因です。
東京ハローワークのデータによると、事務職の求人数が20,571に対し、求職者数は48,456となっており、約28,000人の開きがあることがわかっています。その一方で、販売職やサービス職、福祉関連職などは求職者数よりも求人数が上回っています。
このことから求職者が「働きたい」と思う職種と、企業が「人材を獲得したい」と思う職種にはミスマッチが起きていることがわかります。職種によって求職者数が偏っているために、人手不足が深刻化していると言えるでしょう。
(参照:職種別有効求人・求職状況(一般常用)2022年3月|東京ハローワーク)
人手不足への対策10選
人手不足は今後ますます深刻化が懸念されているため、早急に対策を打つ必要があります。そこで人手不足に有効な10種類の対策を紹介します。
今は人手不足と縁がない企業でも、将来を視野に入れて人手不足の対策方法を理解しておきましょう。
職場環境の改善
職場環境の改善は、取り組みやすい人手不足対策の一つです。
ひとことで職場環境と言っても、以下のように様々な要素が含まれます。
- 作業しやすい机や椅子、パソコンなどの設備
- 移動しやすい導線設計
- 適度な室温と照明
- 清潔なトイレ
- 上司・部下・同僚との人間関係
- 適切な仕事量
- スキルに合った仕事内容
上記のように、職場環境には目に見える部分だけでなく目に見えない部分も含まれます。従業員がストレスなく仕事ができる環境を整えることで、採用活動の際に求職者へのアピールになったり、離職を防ぎ優秀な人材を定着させたりする効果が期待できます。
まずは自社の職場環境の見直しや、従業員へのヒアリングなどで現状の課題を把握しましょう。
労働条件(待遇)の改善
労働条件に不満を抱えて離職する人も少なくありません。そのため優秀な人材を確保するために、労働条件を見直しましょう。
労働条件には給与や賞与、労働時間や休日などがあります。また有給や産休・育休、介護休暇などの諸条件も含まれます。
とはいえ、企業によっては簡単に給与を上げたり休日を増やしたりすることが難しい場合もあるでしょう。そのような場合は、テレワーク(リモートワーク)や時短勤務などの多様な働き方を認めたり、ハラスメント対策に関する項目を追加したりすることも有効です。
また、食堂や託児施設を設置したり家賃を補助したりするなど、福利厚生の制度を充実させている企業もあります。
採用活動の強化
採用活動の強化も人手不足対策に効果的です。
「求人を出してもなかなか応募がないから、採用基準を下げようかな」と考える企業も少なくありませんが、採用後のミスマッチを引き起こすリスクがあるためおすすめできません。採用基準は下げず、採用活動の幅を広げてみましょう。
ハローワークや求人サイトへの掲載しか採用活動をしていない場合は、以下の方法を試してみましょう。
- 採用計画を立てる
- SNSで発信する
- 求人サイトの登録者にスカウトを送る
- 採用イベントに参加する
- 自社の採用サイトを立ち上げる
- 従業員の知人に声をかけてもらう
また、今までは新卒採用しかしていない企業は中途採用も視野に入れたり、正社員だけでなくパートやアルバイトなども対象としたりする方法も考えられます。
人材育成の強化
限られた人員数でも生産性を向上させることで、人手不足分を補うことができます。
今いる従業員一人ひとりの生産性を向上させるため、人材育成を強化してスキル向上を図りましょう。具体的には、資格取得のサポート、社内研修の実施、上司との1on1ミーティングなどが挙げられます。また管理者のマネジメント力を強化することで、部下への指導やアドバイスが的確になるため、人材育成を促進させることに繋がります。
ただし一人ひとりの生産性が向上したからといって、過度な仕事量を与えるのは厳禁です。各従業員に合わせ、無理のない適切な仕事量を見極めましょう。
リモートワーカーの採用
地域によっては、自社の所在地付近には求職者が少ない場合もあります。そのような場合は、自社がある地域以外の地方在住者や海外在住者などをリモートワーカーとして採用するのも一つの手です。
職種によっては、オフィスに出社しなくても問題なく業務を行える仕事内容もあります。そのような職種は積極的にリモートワークを取り入れて他地域の在住者を採用することで、人手不足を解消できます。
高齢者の採用
高齢者の採用も人手不足対策として有効です。
高齢者社会の日本では、定年退職後の年代の人口が多い傾向にあります。今まで働いてきた経験と知識が豊富な高齢者の中には、まだまだ現役で働きたいと思っている人も少なくありません。そのような高齢者を採用することで人手不足を補えます。
高齢者採用においては、行政のサポートもあります。厚生労働省では高齢者を雇用する企業には、助成金や相談サービスもあるので活用しましょう。
(参照:高年齢者雇用・就業対策|厚生労働省)
障がい者の採用
多様な人材の活用という視点では、障がい者の採用も効果的です。障がいの種類や度合いは人それぞれですが、仕事内容によっては健常者でなくても問題ないものも多くあります。
障がい者を採用するにあたり不安があるという人もいるかもしれませんが、厚生労働省の助成金などの手厚いサポートもあります。
また、そもそも障がい者雇用率制度では従業員数が43.5人以上の企業は障がい者を1人以上雇用しなければいけないと定められています。従わない場合は行政指導を受けることがあるため、積極的に障がい者採用を検討しましょう。
ただしバリアフリーにするなどの職場環境の整備は必須です。
(参照:障害者雇用のルール 1.障害者雇用率制度|厚生労働省)
外国人の採用
在留外国人の採用も、人手不足対策の一案です。
令和3年末の時点で、在留外国人は約276万人となっています。これほど多くの外国人が日本にいることを考えると、労働力として活用しない手はありません。
外国人を採用することにより、グローバル化も期待できます。外国語での対応が可能になるので、事業の幅も広がるでしょう。
(参照:令和3年末現在における在留外国人数について|出入国在留管理庁)
業務のアウトソーシング(外注)
人手不足により自社では対応できない業務は、外部の企業や個人にアウトソーシング(外注)する方法もあります。
例えばコールセンター業務や営業活動などを代行している専門の会社へアウトソーシングすることで、自社で不足している分を補えます。またフリーランスで活動している個人への依頼も一案です。
また専門会社やスキルのある個人へアウトソーシングすることで、専門的なスキルがあるために成果が出やすかったりノウハウを伝授してもらえたりするメリットもあります。
ITツールの導入による業務効率化
手軽にできる人手不足対策として、ITツールの活用が挙げられます。ITツールの導入により業務が効率化すれば、限られた人員でも生産性を向上させる効果が期待できるでしょう。
例えば展示会で大量の名刺交換をする企業は、一枚ずつ名刺の情報をデータベースに打ち込む手間が発生します。そこで名刺管理システムを導入すると、スマホカメラで撮影するだけで自動的でデータ化されるため、入力の手間を削減できます。また大量の紙として名刺を保管する必要もなくなり、いつでもどこでも名刺情報を確認できるので業務効率化にもつながります。
このようにITツールを積極的に活用して、業務効率ををより良くすることを「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と言います。現在、政府が主体となってDX化を推進しており、今後ますます企業のDX化は重要視されていくと言われています。ぜひ今からITツールを積極的に活用し、DX化を推し進めましょう。
人手不足対策に成功した企業事例
次は、実際に人手不足対策を行い、成功した企業の事例を3社紹介します。
参考資料:中小企業・小規模事業者の人手不足対応事例集|経済産業省
株式会社大善
株式会社大善は、福島県で物流業を柱とする企業です。
ITや機械の導入を進めているものの、物を運んだりフォークリフトを運転したりする人的な労働力は不可欠であり、人手不足に悩まされていました。また所長や副所長のようなマネジメント人材の不足も問題となっていました。
そこで同社は採用枠を見直し、女性や高齢者の採用活動に力を入れました。それに合わせて、身体的負荷を軽減するためにパワーアシストスーツや小運搬機器の導入し、女性専用休憩スペースの確保なども行ったのです。また、優秀な人材は定年退職年齢を超えても継続して働けるよう、就業規則も変更しました。
その結果、女性や高齢者の積極採用に繋がり、安定的な人材確保が実現しました。さらに女性社員のモチベーションが向上するという相乗効果も生まれています。
三幸製菓株式会社
食品製造業の三幸製菓株式会社は、新潟県に本社を構えているため、首都圏の学生を採用対象とすることが難しく、新卒の総合職採用に課題を抱えていました。
そこで面接以外の選考方法を取り入れたり、オンラインでの面接を行ったりするなど、採用活動を工夫しました。また外国人にも視野を広げ、採用活動を強化したのです。
結果として、採用活動の質が向上して確度の高い選考が実現。さらにメディアでの露出を増やしたことで知名度が高まり、自然と優秀な人材が集まるようになりました。
株式会社LiB
株式会社LiBは東京都で人材紹介業をしています。
優秀な人材の確保に悩まされていた同社は、会社経営者・他社在職者・フリーランサーなど他の仕事をしながら複業として働ける人材の採用に乗り出しました。また遠隔地や海外に居住している人材も対象としました。リモートワークでも円滑にコミュニケーションができるよう、ITツールを導入して職場環境も整備。
その結果、優秀な人材を採用できただけでなく、従業員の満足度も向上して定着率が改善され、人手不足の解消を実現しました。
人手不足対策に活用できるITツール5選
人手不足対策として、ITツールを活用した業務効率化は有効な手段です。そこでおすすめのITツールを紹介します。
チャットボット
「顧客や社内からの問い合わせ対応の工数が多い」という課題がある場合は、チャットボットの導入が効果的です。
チャットボットとは、あらかじめ選択肢と回答を設定しておくだけで、顧客の問い合わせに対し、自動でチャット対応ができるツールです。
例えばECサイトでは、返品やキャンセルの要望、送料に関する質問などがユーザーから多く寄せられます。件数が増えるほど、担当者の問い合わせ対応の負担も大きくなります。
電話が繋がりにくかったり、土日で問い合わせを受け付けていなかったりすると、ユーザーはすぐにほしい情報を得られないためストレスを抱えるでしょう。
そこでチャットボットを導入して問い合わせ対応を自動化することで、これらの問題を解決できます。

RPA
単純なルーチンワークはRPAで自動化することで、人手不足対策になります。
RPAとは「Robotic Process Automation」の略で、AIや機械学習などの技術を活用したロボットプログラムです。コンピューター上の操作を設定すると、ロボットが自動で設定通りの操作を行います。そのためデータ入力やテキスト転記など、単純でルール化できる業務内容の効率化が可能です。
単純な業務をロボットに任せれば、従業員は人間にしかできない判断力や発想力が求められる仕事に専念でき、限られた人員でも生産性を向上できます。

ビジネスチャットツール
社内の情報共有を円滑にして業務効率化を図りたい場合には、ビジネスチャットツールが適しています。
テレワークなどで従業員同士の顔を合わせる機会が減ると、コミュニケーションがうまくいかず、業務に支障をきたす例は珍しくありません。
ビジネスチャットツールは、一般ユーザー向けのチャットツールとは異なりタスク管理機能やビデオ通話機能などが搭載されています。ビジネス向けの機能が充実しているので、スムーズな情報共有やコミュニケーションの促進が期待できます。
オンライン商談システム
営業人員が不足している場合には、オンライン商談システムを導入して営業活動をオンライン化するのも一案です。商談をオンライン化することで、移動時間を削減できるため効率化が見込めます。
資料共有機能やホワイトボード機能などを活用すると、対面での商談のようにスムーズな商談が展開できるでしょう。
またオンライン商談システムには録画機能が搭載されているものもあるので、商談後に録画を確認して内容を振り返り、プレゼンや営業トークをブラッシュアップしていくなど、教育面でも活用が可能です。
名刺管理システム
膨大な名刺の管理に困っている場合は、名刺管理システムがおすすめです。
名刺管理システムには、スマホカメラで名刺を撮影するだけで自動的にデータベースに登録されるものがあるため、わざわざ名刺情報を入力する手間がかかりません。また名刺情報に紐づいて商談内容やアプローチ履歴などを蓄積でき、社内の情報共有も円滑になるでしょう。
膨大な名刺の中から特定の顧客の名刺を探し出すことは大変手間がかかりますが、名刺管理システムでは検索してすぐに情報にアクセスできるので業務効率化が期待できます。
自社でできる人手不足対策から始めよう
日本の人手不足は深刻で、今後ますます事態が重くなると予想されています。2030年には644万人もの人手不足に陥るという予測もあり、今は人手不足と無縁な企業でも将来的には人材の確保に悩まされる可能性があるのです。
そこで本記事で紹介した内容を参考に、ぜひ早急に人手不足対策に乗り出しましょう。今のうちから対策を打っておけば、事態が深刻化した際にも冷静に対応できます。
そのためには、まずは自社でできる対策から始めましょう。おすすめの方法は、ITツールの活用です。業務を自動化・効率化することで、人手不足の対策になります。
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