MA(マーケティングオートメーション)ツールを導入する企業が増え、企業はMAツールを活用してさまざまなマーケティング施策を行うようになっています。しかしなかなか使いこなせない機能の一つが「リードスコアリング」です。
リードスコアリングはリードの見込み度を把握するために必要な機能ですが、数値化の基準やリードの見分け方などがわからないという人も少なくありません。
そこで本記事では、リードスコアリングの必要性をふまえたうえで、リードスコアリングの具体的な方法や運用ポイントについて解説します。リードスコアリングについて理解し、自社のマーケティングに活用しましょう。
リードスコアリングとは
リードスコアリングとは、リード(見込み客)にスコア(点数)を付けるマーケティング手法です。
たとえば「セミナーに参加したリードは○点」「資料請求をしたリードは○点」というように点数を設定し、各リードの属性や行動などの履歴から点数を付与していきます。
膨大な数のリードがいると、どのリードを優先すべきか判断しにくくなり、優先度の高いリードがいても対応が漏れたり遅れたりしてしまうリスクがあります。しかしリードスコアリングによって各リードのスコアが明確になっていれば、点数が高いリードほど優先度が高いと判断できるため、対応しやすくなるのです。
リードクオリフィケーションとの違い
リードスコアリングと混同されやすい言葉が「リードクオリフィケーション」です。
通常、マーケティングプロセスは以下のように進みます。
- リードジェネレーション(獲得)
- リードナーチャリング(育成)
- リードクオリフィケーション(選別)
獲得したリードを育成して購入意欲を高めていき、リードクオリフィケーションでリードを絞り込んで見込み度の高いリードを抽出するという流れです。
どのようにしてリードクオリフィケーションをするのかというと、このときにスコアリングが用いられます。各リードに付与された点数を基準にして見込み度を判断し、優先すべきリードを抽出するのです。
つまりリードクオリフィケーションをする方法が、リードスコアリングとなります。
リードスコアリングの必要性
リードスコアリングなぜ必要なのでしょうか。主に4つの理由があるので、それぞれ解説します。
リードの見込み度を可視化できる
リードスコアリングは、各リードの属性や行動などから点数を付けます。点数の基準は見込み度の高さによって決められるため、合計の点数が高いリードほど見込み度が高いと判断できます。
膨大な数のリードを保有していたとしても、すべてのリードが同等の購入意欲であるとは限りません。リードのなかには「今すぐ購入したい」という見込み度の高い層もいれば、「とりあえず資料請求しただけ」「今は予算がないから買えない」といった見込み度の低い層もいます。
そういった見込み度を数値化して可視化するために、リードスコアリングは有効です。
自社商材と親和性の高い業種・属性を把握できる
リードスコアリングでリードの見込み度を可視化できれば、どのような層に自社商材のニーズが高いのかを把握できます。
たとえばリードスコアリングによって「製造業の中小企業は、特に見込み度が高い」という傾向を把握できれば、製造業の中小企業をターゲットにして新規開拓することで高い成果が期待できるでしょう。
このように、マーケティング施策のヒントとしてもリードスコアリングを活用できます。
営業との連携を円滑にする
マーケティングはリードを獲得して商談を創出させ、営業に引き継ぐのが役割です。しかしリードを引き継ぐ際、どのようなリードでどのようにマーケティングアプローチをしてきたかという情報が円滑に共有できず、せっかくリードを引き継いでも営業がうまくいかないことも珍しくありません。
そこでリードスコアリングにより、リードを引き継ぐ際にスコアの内訳を共有できれば、営業はリードの情報を把握したうえで提案内容やアプローチの仕方を考えられます。
営業効率を高める
リードスコアリングは営業効率を高める効果もあります。
営業担当者は一件の訪問に時間がかかるため、限られた時間内に効率よくリードにアプローチしなければいけません。しかしマーケティングから引き継いだリードの数が多いと、すべてのリードの訪問に時間をかけられずに後回しになってしまうこともあります。購入意欲が高いリードを後回しにすると、意欲が低下してしまい失注のリスクもあります。
一方、リードが点数化されていれば、高得点のリードから優先すべきということがわかるため、優先順位が高いリードに効率よくアプローチができ、成果を高められます。
リードスコアリングで点数を付ける要素
どのようなポイントを基準にして点数を付けたら良いのか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
リードスコアリングでは、主に以下の3つの要素について点数を配分します。
アトリビュート:属性
まずは「アトリビュート」と言われる、リードの属性によるスコアリングです。
属性と一言でいっても、その内容は以下のように多岐にわたります。
- 業種
- 企業規模
- 地域
- 売上高
- 職種
- 部署
- 役職
たとえば中規模の企業をターゲットにしている場合、従業員数に応じて点数を変動させます。またこの情報に加えて「すでに他社製品を使用していたら+10点」「リード自身に意思決定権があれば+15点」などと、他の項目も組み合わせていきます。
またBtoCの場合は、以下の内容が含まれる場合もあります。
- 性別
- 年齢(年代)
- 家族構成
- 住んでいるエリア
自社の業種や商材の特性、ターゲットとなるユーザー層などにより、スコアリングする項目を決めましょう。
インタレスト:興味
次に「インタレスト」という、リードの興味のある事柄についてスコアリングします。
たとえば「読まれるメルマガ術」という資料をダウンロードしたとすると、そのリードはメルマガマーケティングについて興味があると予想できます。さらにメルマガに関するセミナーに参加したら、資料ダウンロードよりも関心度が高いと判断できるため、より高得点になるでしょう。
またリードに直接電話やメールなどで、どのような課題を抱えているのか、どのような情報を求めているのかをヒアリングする方法もあります。
このような情報から各項目について点数を付け、リードの興味を数値化します。
アクティビティ:活動
最後は、リードの活動を示す「アクティビティ」です。
WEBサイトの閲覧や資料請求、セミナー参加や電話での問い合わせなどがアクティビティに該当します。
アクティビティを数値化する際には、直近の活動であるほど高得点を付けます。購入意欲は時間が経過するごとに低下していくものなので、直近に何らかの活動を起こしているリードほど見込み度が高いと言えるからです。
たとえば「一カ月前のセミナーに参加したリード」と「昨日のセミナーに参加したリード」では、後者のほうを高得点に設定します。
アクティビティは点数を加算していかず、減点方式でスコアリングしていく方法もあります。時間が経過するごとに点数を減らしていくため、点数が高いほど直近の活動がある見込み度が高いリードと言えます。
リードスコアリングのポイント
リードスコアリングはマーケティングにおいて有効な手法ですが、意識すべきポイントもいくつかあります。下記で説明するポイントを押さえてリードスコアリングを行いましょう。
PDCAを回してスコアの基準を見直す
あらゆるビジネスシーンにおいてPDCAは重要ですが、リードスコアリングの精度を高めるにもPDCAが効果的です。
リードスコアリングを始めた当初は、評価基準や項目などがあいまいなことも珍しくありません。そのまま続けていくと間違ったスコアを付け続けることになり、実際の見込み度とスコアが一致しないこともあります。
そのような事態を防ぐためにも、定期的にPDCAを回してスコアリングの項目や点数を見直し、より精度を高めていきましょう。
スコアのみを重視しない
リードスコアリングでよくある間違いが、スコアのみを重視してしまうことです。
スコアはリードの見込み度を表しますが、必ずしも事実とは限りません。たとえば、リード自身が意思決定者であったり、狙っている企業規模だったりすると高得点が付けられます。しかしそのリードが、WEBサイトの閲覧やセミナーへの参加をしていないとすると、自社製品にはほとんど興味がないと言えるでしょう。
このように自社製品に無関心なリードに対して点数だけを重視してアプローチしても、成果にはつながらずリソースが無駄になってしまう可能性があります。
結果として算出された点数は、あくまでもデータです。点数だけでなく、その内訳も充分に分析する必要があります。
ナーチャリングでスコアを上げていく
リードスコアリングで低い点数だったリードでも、ナーチャリング次第ではスコアを上げていくことが可能です。
たとえばメルマガを配信したりSNSでコミュニケーションを取ったりすることで、リードの見込み度を上げられます。また記事や動画などのコンテンツで有用な情報を発信したり、チャットボットでリードからの問い合わせに迅速に対応したりする方法も効果的です。
点数が低いからといって諦めず、継続的なナーチャリングでスコアを上げていきましょう。
リードスコアリングでマーケティングの成果を高めよう
リードスコアリングはリードの見込み度を数値化し、優先順位を付けたり営業との連携を強化したりする効果があります。適切なスコアリングでマーケティング成果を高められるため、定期的なPDCAでリードスコアリングの精度を上げましょう。
また点数の低いリードには、継続的なナーチャリングが有効です。
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リードスコアリングの導入と併せて、「さっとFAQ」を活用し、スコアを高めていく取組みも始めてみてはいかがでしょうか。