社内FAQシステムとは、従業員が抱えるよくある質問とその回答をまとめたものです。システムに質問とその回答をあらかじめまとめておくことで、担当者の回答負担が減るほか、質問者も自分1人で不明点を解決できるなど、業務効率向上にも貢献してくれます。
この記事では社内FAQシステムの概要や種類、導入するメリットなどについて解説しています。また、無料で利用できる社内FAQシステムについても取り上げているため、従業員の業務に関する不明点を解決したい、社内ナレッジを集約して活用したい企業の担当者は、ぜひ参考にしてください。
また、弊社サンソウシステムズでは月額1万円から導入できる「さっとFAQ」というチャットボットツールを提供しています。エクセルから簡単に会話データを作成することが可能、プログラミングスキルも必要ありません。
30日間の無料トライアルもご用意しましたので、「まずは試しに使ってみたい」という方はこの機会に導入をご検討ください。

社内FAQシステムとは

社内FAQシステムとは、会社内でよくある質問とその回答をまとめたシステムのことです。FAQは「Frequently Asked Questions」の頭文字をとったもので、その名の通り「よくある質問」という意味が当てはまります。
社内FAQシステムの活用により、社員は自分の疑問や不明点を自分で検索し、必要な答えを自分で見つけられるため、誰かに質問する手間が省けます。社員一人の質問は大した負担になるものではありませんが、それが会社全体となるとその質問量は多くなり、質問される社員側の負担は計り知れません。
社内FAQシステムの導入は、異なる人から同じような質問がいつもきて手間がかかる、質問のたびに業務が中断してしまい効率が悪い事態を回避でき業務効率化にもつながります。
社内FAQシステムは、社員向けのものから、コールセンターなどで業務をおこなうオペレーターをサポートするためのもの、人事や総務といった社内での問い合わせが多発する部署をサポートするためのものなどさまざまな活用が可能です。社内のナレッジを集約して情報を活用したい、業務効率を高めたい企業におすすめのシステムです。
社内FAQシステムの種類

ここでは社内FAQシステムの主な種類を紹介します。システムによって無料で使えるもの、有料で使えるものがあり、それぞれ使用できる機能に違いがあるため、自社のニーズを踏まえた上で適切なものを選択してください。
一部を無料で使える社内FAQシステム
社内FAQシステムには、一部の機能を無料で利用できるタイプのものがあります。すべての機能を使用したい場合は有料プランへ移行しなければなりません。
このタイプの社内FAQシステムは、無料で使い続けることを前提としているわけではなく、お試しとして一部機能を無料で提供し、使用感などが問題なければ有料プランへの移行を促している点が特徴です。
具体的には作成できるIDの数に制限がある、設置できる設問数が限られているなどの制限があります。また、トライアル期間が決められており、無料で使用できる期間が限定的となっているケースもあるため注意してください。
すべてを無料で使える社内FAQシステム
社内FAQシステムの中には、すべてを完全無料で利用できるタイプもあります。こちらは、オープンソースのツールが該当します。
オープンソースのため、システム上で可能な限り設問を作成でき、ID作成も制約がありません。ただし、誰でも利用できるオープンソースということもあって、トラブルが発生したときのサポートは期待できず、自分たちで解決しなければなりません。
また、サーバーの構築や運用なども自社内で対応しなければならないため、それらの知識やスキルを有した人材が必要不可欠です。
無料でも使えるおすすめの社内FAQシステム

ここでは無料でも使える社内FAQシステムを紹介します。社内FAQシステムと一言でいってもその種類はさまざまであり、それぞれ特徴が異なります。自社に合ったものを選ぶためにも、ぜひ参考にしてください。
さっとFAQ

さっとFAQは、月額1万円〜利用できるFAQチャットボットです。これまでの導入社数が500社を超えるなど、豊富な導入実績があります。
FAQの設置はExcelで専用のテンプレートに質問と回答を貼り付けた上で登録するだけなので、初めて使用する人でも簡単です。また、チャットボットの会話データ作成にあたっては新たに何かを学ぶ手間もかからずスムーズな導入が可能です。
会話の流れを決めておけば、選択肢に沿ったシナリオ形式の対話もできるので、ユーザーがあいまいな質問をした場合でも適切な回答を得られます。話し言葉にも対応しているため、自然な形で回答を得られる点は大きな特徴だといえます。
Tayori

Tayoriは、株式会社PR TIMESが提供する社内FAQツールです。FAQはもちろん、フォームやアンケート作成機能も備えるなど、さまざまな形で活用できる利便性の高いツールであるため、顧客対応を迫られる部署、企業での活用に適しています。
無料プランではフォームとFAQ、アンケートを一つずつ作成できるので、まずは試しに作成した上で問題なければ有料プランに移行してください。なお、有料プランを契約するとサブドメインに自社名やサービス名を入れることも可能です。
Freshdesk

Freshdeskは、カスタマーサポートで役立つさまざまな機能を幅広く備えた統合型のツールです。FAQは、ナレッジベース機能の一部として提供されています。このナレッジベース機能は無料プランでも利用できるため、どのような形でFAQを利用できるのかを確認した上で導入するかの判断が可能です。
また、無料プランでは問い合わせをチケットとして管理する機能、チームコラボレーション機能なども利用できます。有料プランに移行すると、利用者数に応じて月額料金が決まるため、費用対効果を考慮しやすく、無駄なコストを抑えられます。
Notion

Notionは世界各国で使用されている多機能のドキュメントツールです。メモとして活用できるほか、ナレッジ共有にも対応しているなど、ビジネスにおけるさまざまなシーンでの活用が可能です。
業務テンプレートも豊富に用意されており、例えばFAQに関してはヘルプセンター向けのテンプレートを利用することで、簡単にFAQを作成できます。質問一覧の作成や回答ページの作成も簡単にできるほか、検索機能の設置もできるなど、無料とは思えないくらいの多機能さが特徴だといえます。
phpMyFAQ

phpMyFAQは、PFP言語で作られたオープンソースのツールです。MySQLやMariaDB、さらにはPostgreSQLといった各種データベースとの連携にも対応しているため、それらをすでに導入している企業にとっては利便性が高いといえます。
また、オープンソースのツールということもあり、作成できるFAQの数やユーザー数に制限はありません。多言語対応となっており、40以上の言語でツールを使用できるので、多国籍企業での導入にもおすすめです。また、クラウド上の仮想サーバーへのインストールにも対応しているため、スムーズに導入できます。
Question2Answer

Question2AnswerもPHP言語を使って作成された、MySQLデータベースと連携できるFAQシステムです。
40言語以上に対応しているだけでなく、これまでに24,000以上のサイトで利用されてきた豊富な実績があるため、初めて導入する企業でも安心できます。デザインはカスタマイズできるので、既存のデザインに無理なく合わせることも可能です。
FAQに関しては4つの階層までカテゴリー分けでき、質問内容に応じた細かい分類がおこなえます。そのため、必要な情報にもアクセスしやすく、利用者の不明点をスムーズに解決してくれます。
Zendesk

Zendeskは、チケットによる問い合わせ管理やチャットシステム、FAQシステムなどを備えた統合型のツールです。これまでに世界の10万社以上で導入されるなど、その豊富な実績に基づいた信頼感・安心感は大きな特徴だといえます。
また、AIによる問い合わせへの自動回答もできるなど、FAQシステムとしても非常に高性能です。特にカスタマーサポートを運営している企業やこれから立ち上げようとしている企業であれば、Zendeskを導入するだけで基本的な機能を揃えられるためおすすめです。
ナレッジリング

ナレッジリングは、クラウド型FAQシステムです。条件を設定した上での絞り込み検索やファイル内のテキスト検索など、検索性の良さが大きな特徴だといえます。
そのため、従業員の数が多く、質問数も多い企業には特におすすめです。また、FAQサイトに関しては外部非公開にできるため、業務に関するFAQも設置しやすいといえます。もちろん公開FAQ も作成できるため、自社商品やサービスに関するFAQを作成し、ユーザー向けに提供することも可能です。
ユーザー数が多い場合でも、月額1万円程度とリーズナブルな価格で利用できるので、費用面が気になる企業にも適しています。
OKBIZ. for FAQ

OKBIZ. for FAQは、簡単にFAQの作成、公開、分析、改善ができるツールです。誰でも操作できるUIは大きな特徴の1つであり、初めてツールを導入する企業にもおすすめです。
さらに、導入からFAQの公開時までのサポート、公開後の活用促進まで、利用状況に応じたサポート体制が整っている点も大きな特徴だといえます。なお、無料で利用できるのはトライアル期間の14日間となっているため、トライアル期間中にさまざまな機能を使ってみて自社に適しているかどうか判断するようにしてください。
AI-FAQボット

AI-FAQボットは、その名の通りAIを搭載したFAQチャットボットです。AIは事前学習不要なため、簡単に導入・運用ができます。
また、FAQに関してはExcelで管理できるので、初めてシステムを導入する企業でも無理なく使用できる点は大きな特徴です。言葉揺れを自動で学習する特許を取得した機能を搭載しているため、使用すればするほど回答の精度を高められます。
無料トライアルは30日間としっかりと利用できるので、AIによるチャットボットが自社の業務に適しているのか入念に検討できます。
helpfan

helpfanは、自社サイトと連携した外部サイトとしてFAQを設置できるツールです。こちらのツールはすべての機能を完全無料で利用できるため、気軽に導入できます。
検索機能やパスワード設定による閲覧制限機能を備えるなど、基本的な利用に関しては完全無料であっても特に問題ありません。また、Google Analyticsとの連携もできるので、どのFAQがどういったデバイスからアクセスされているのかを分析することも可能です。
パソコンはもちろんスマートフォンやタブレットで閲覧する人向けに最適化表示をしてくれるなど、ユーザーにとって利便性の高いツールだといえます。ただし、サポートはメール対応のみとなっている点には注意してください。
Ultimate FAQ

Ultimate FAQは、WordPressで使用するプラグインです。FAQの構築に対応したプラグインとして高い人気を集めています。
Ultimate FAQの導入はWordPressで検索してクリックするだけと簡単であるため、自社サイトをWordPressで管理している場合はすぐに導入できます。
カテゴリー作成にも対応しているので、質問の内容に応じてカテゴリー分けをしておけば、必要な情報にもスムーズにアクセス可能です。ショートコートを使って任意の場所にFAQを設置させることもできるなど、利便性に優れたプラグインだといえます。
Accordion FAQ

Accordion FAQも、WordPressで使用するFAQ作成用のプラグインです。
Accordion FAQという名称の通り、アコーディオンの形状にデザインされたFAQ作成が可能な点が特徴で、各カテゴリーの質問にアクセスしやすい構造となっているため、FAQの数が多い企業での導入に特に適しています。また、パソコン、スマートフォン、タブレットなどのデバイスに応じたレスポンシブデザインにも対応しているので、常に最適な状態でFAQを確認できます。
社内FAQシステムを導入するメリット

社内FAQシステムは、問い合わせ対応の効率化や組織全体の生産性向上に貢献する重要なツールです。業務負担の軽減、属人化の防止、従業員満足度の向上、コスト削減など、多岐にわたる効果が期待できます。ここでは、社内FAQシステムを導入することで得られる具体的なメリットについて解説します。
業務負担の軽減
社内FAQシステムの導入により、組織全体の業務負担を大幅に削減できます。従来、バックオフィス部門には各部署から多数の問い合わせが寄せられ、担当者が電話やメールで個別に対応する必要がありました。
特に情報システム部門や経理部門では、類似した質問への回答に多くの時間を費やしていたケースも少なくありません。一方で、FAQシステムを整備することで従業員が自ら疑問を解決できる環境が構築され、有人対応が必要な問い合わせ件数を抑制できます。
システムの操作方法や経費精算の手順など定型的な質問は、FAQを参照することで即座に解決可能です。結果、担当者はより専門性の高い業務や戦略的な取り組みに注力できるようになり、組織全体の生産性向上につながります。
属人化の防止
社内FAQシステムは、組織における属人化リスクを効果的に解消します。多くの企業では、特定の担当者に業務ノウハウが集中しており、担当者が休暇や退職で不在になると業務が滞る課題を抱えがちです。
FAQシステムを導入することで、個人が持つ知識や過去の対応事例を組織全体で共有できる仕組みが整います。これまで特定の社員しか知らなかったトラブル対処法や業務手順を、データベースに蓄積して誰でも参照可能な状態にできます。
また、情報が一元管理されるため、内容の更新やメンテナンスも効率的に実施できることも特徴の一つです。社内FAQによる属人化の防止により、人材の異動や退職があっても業務の継続性が保たれ、組織全体の安定性と柔軟性が向上します。
従業員満足度の向上
社内FAQシステムの導入は、従業員満足度の向上に貢献します。職場では、質問したくても担当者が不在で聞けない、問い合わせても回答が遅いなどの状況が頻繁に発生し、従業員の精神的なストレスとなりかねません。
FAQシステムがあれば、必要な情報をいつでも自分で検索して解決できるため、煩わしさから解放されます。また、回答する側の負担軽減も見逃せないポイントです。同じ質問に繰り返し対応するストレスや、作業中に問い合わせで中断されるストレスは、日々蓄積されて大きな心理的負担となります。
FAQによって定型的な質問への対応が不要になれば、双方のストレスが軽減され、業務がスムーズに進みます。結果として、働きやすい環境が整い、組織全体の士気向上につながることがメリットです。
コスト削減
社内FAQシステムは、人材育成や運用面でのコスト削減を実現します。従来、新入社員の教育には先輩社員が多くの時間を割いて指導する必要があり、教育機関は双方の生産性が低下していました。
FAQシステムを活用すれば、業務の基本的な手順やよくあるトラブルへの対処法など、新人が必要とする情報を体系的に提供できます。新入社員は自分のペースで学習を進められるため、教育担当者の負担が軽減され、本来の業務に集中できます。
また、問い合わせ対応にかかる人的コストが削減できることもメリットの一つです。バックオフィス部門での対応時間が減少することで、より付加価値の高い業務にリソースを配分できるようになり、組織全体の効率性が向上します。
無料の社内FAQを使用する際の注意点

ここでは無料の社内FAQシステムを使用する際に覚えておきたい注意点を紹介します。無料ということもあり、すべてを自由に扱えるわけではありません。どういった点に注意する必要があるのかぜひチェックしてみてください。
検索機能が限られる可能性がある
先ほども紹介したように、無料の社内FAQシステムは、一部機能に制限がかかっているケースが一般的です。
具体的には、検索機能を使用できない、検索はできるものの絞り込みができない、検索回数に限りがあるケースです。検索機能が限られてしまうと、必要な質問と回答にすぐにアクセスできなくなり、結果的に担当者に直接聞きに行くことになりかねません。そうなると担当者の負担が増えてしまうため、社内FAQシステムを導入する意味がなくなってしまいます。
ただし、社員の数が少なく検索回数自体が少ない導入初期段階においては、検索機能の制限があっても、FAQを十分に活用できる可能性があります。社員数や質問数の増加に伴い、検索機能の必要性が高まるため、状況に応じて有料版への移行を検討していきましょう。
有料プランへの移行も想定しておく
無料で使用できる社内FAQシステムは、導入前の評価やテストを目的としていることが一般的であるため、将来的に有料プランへ移行することをおすすめします。
いきなり有料プランへ加入するのは抵抗がある場合、無料プランでスモールスタートを切り、実際に使ってみて役立ちそうであるか、操作性は悪くないかなどを確認した上で有料プランに移行するケースが一般的です。また、無料プランで設置できる質問数の上限に達したために有料プランへ移行しなければならなくなるケースも考えられます。
有料プランに移行すれば、機能面での制限がなくなり利便性は良くなりますが、費用負担が増える点に注意しなければなりません。特に従量課金制の場合、ユーザー数や質問数の増加によってどのくらいの費用増加が想定されるのかを事前に確認しておく必要があります。
FAQ以外の機能が使えないケースが多い
無料の社内FAQシステムは、FAQ以外の機能を使用できないケースが多い点にも注意しなければなりません。
例えば、先ほど紹介したような検索機能の制限に加え、設置可能な質問の数や作成できるIDの数に上限が設けられているケースがほとんどです。制限がある状態で使用できていれば無料のままでも構いませんが、利便性が低下するようであれば有料プランへの申し込みをおすすめします。
興味のある社内FAQシステムがある場合、無料プランが用意されているのか、無料プランは制限があるのかを事前にチェックしてください。
オープンソースを利用する際はライセンスに準拠しないといけない
社内FAQシステムの中には、完全無料で利用できるオープンソースを使用したものもありますが、オープンソースを利用する場合はライセンスに準拠してください。
オープンソースは、個人もしくは組織などによって作られたシステムの枠組みであり、ライセンスによって許可されているものや禁止されているものがあります。オープンソースだからといって自分たちの好きなように使用し続けていると、ライセンスに準拠していないとして開発元とトラブルになる可能性もあるため注意しなければなりません。
社内FAQシステムは無料と有料どちらを選ぶべき?

社内FAQシステムには、無料と有料のどちらのタイプもあるため、どれを選べばいいか迷ってしまうかもしれませんが、問い合わせ数を少なくして業務効率を高めることを重視しているのであれば、有料版がおすすめです。
先述の通り、一部無料のプランは設置できる質問数に限りがあります。また、無料のオープンソースは質問数に限りはありませんが、運用をすべて自社でカバーしなければならないため手間がかかります。
また、自社で社内FAQシステムを運用する場合、担当者の人件費の方が有料システムを使用するケースよりも高くなる可能性も考慮しなければなりません。これらの点を踏まえると、質問数に制限がなく、なおかつ運用の手間やサポートなどが受けられる有料ツールの利用がおすすめです。
ただし、有料システムの場合、IDの作成数や設置する質問数に応じて料金が変動するケースが一般的であるため、事前にどのくらいのコストになりそうなのか想定しておく必要があります。
社内FAQシステムが向いているケース

社内FAQシステムの導入は、以下のようなケースに適しています。
- 社内で発生する疑問やトラブルの対処法を知りたい
- 顧客対応をする際の方法を知りたい
社内FAQシステムは、社内で発生する疑問や質問、トラブル対処法がQ&A方式でまとめられたものです。そのため、社内で業務に関してよく聞かれる質問とその回答を事前にシステムにまとめておけば、質問者は自分一人で問題を解決できます。
システムによっては文字だけでなく画像を使用できるケースもあるため、テキストと画像でわかりやすい回答を作ることも十分可能です。
また、コールセンターなど顧客対応をする機会の多い企業において、顧客対応時のポイントを質問形式でまとめておきたい場合にも社内FAQシステムが役立ちます。顧客対応するときに注意すること、顧客の質問に答えるときのポイントなどをまとめておけば、業務経験の浅い社員でも一定の品質以上の対応ができます。
社内FAQの作り方手順

効果的な社内FAQを構築するには、計画的な手順に沿って進めることが重要です。作成の目的を明確にする、よくある質問をリストアップする、回答を作成する、継続的な更新と運用を徹底するなど各ステップを適切に実施することで、実用性の高いFAQシステムが完成します。
ここでは、社内FAQの具体的な作り方手順について解説します。
作成の目的を明確にする
社内FAQを構築する際は、まず作成目的を明確に定めることが成功のポイントです。目的があいまいなまま進めると、利用者のニーズと提供内容にズレが生じ、期待した効果が得られません。
最初に、誰が主に利用するのかを具体的にイメージすることが重要です。新入社員向けであれば基礎的な業務手順を中心に、管理職向けであれば制度や承認プロセスに関する情報を重点的に扱うなど、対象者によって必要な内容は異なります。
また、扱う情報の範囲や難易度も、利用者に合わせて適切に設定しなければなりません。下準備を丁寧におこなうことで、実際の疑問に的確に応えられるFAQが完成し、利用者の満足度向上と問い合わせ削減の目標を達成できます。
よくある質問をリストアップする
目的が明確になったら、次は実際に社内で頻繁に寄せられる質問を収集してリストアップします。質問をリストアップするステップでは、抽象的な内容ではなく、現場で実際に発生している具体的な疑問を集めることが重要です。
「経費精算について」のような漠然とした項目ではなく、「交通費の申請期限はいつまでか」「領収書を紛失した場合の対処法」など細かな質問まで洗い出します。また、収集した質問は業務分野や部門ごとに詳細にジャンル分けすることがポイントです。
細かく分類することで、完成後に利用者が必要な情報を素早く見つけられるようになり、FAQの利便性が向上します。過去のメールや問い合わせ記録を参考にしながら、できるだけ多くのリアルな質問を集めることで、実用性の高いFAQの土台が完成します。
回答を作成する
質問のリストアップが完了したら、優先度の高い項目から順に回答を作成していきます。回答作成で最も重要なのは、誰が見ても理解できる明確さです。特に新入社員や業務経験の浅い従業員でも十分に理解できるよう、専門用語を避け、簡潔な表現を心がける必要があります。
また、文章だけでなく視覚的な補助資料を活用することも効果的です。システムの操作手順であればスクリーンショットや動画を添付し、申請書類に関する質問には記入済みのテンプレートファイルへのリンクを掲載することで、理解度が格段に向上します。
回答を一通り作成した後は、必ず現場の担当部署に内容を確認してもらうことが必要です。専門知識を持つ担当者によるチェックを経ることで、誤った情報の掲載を防ぎ、信頼性の高いFAQが完成します。
継続的な更新と運用を徹底する
社内FAQは一度作成して終わりではなく、継続的な更新と運用が不可欠です。業務フローの変更やシステムのアップデート、組織改編などにより、情報は常に変化します。古い内容がそのまま掲載されていると、利用者に誤った情報を提供することになり、FAQへの信頼性が失われかねません。
そのため、情報の更新を迅速におこなえる体制を整えることが重要です。各部門から更新担当者を選任し、変更事項をリアルタイムで反映できる仕組みの構築が必要です。また、定期的に全体を見直すスケジュールを設定し、利用状況の分析や新たな質問の追加も計画的に実施します。
継続的なメンテナンス体制を確立することで、常に最新で正確な情報を提供できるFAQとなり、長期的に組織の業務効率化に貢献し続けられることが見込めます。
社内FAQシステム導入にあたってのポイント

ここでは社内FAQシステムを導入するにあたって押さえておきたいポイントを紹介します。システムはさまざまな企業から展開されており、特徴はそれぞれ異なるため、選ぶ際にどういった点に注意する必要があるのか、ぜひ参考にしてください。
従業員が抱える疑問を把握する
社内FAQシステムの導入にあたっては、従業員がどういった疑問を抱えているのか把握しておく必要があります。
例えば、コールセンターやヘルプデスクなど、顧客対応を求められる場面で社内FAQシステムを導入する場合、過去の問い合わせ内容や対応状況からある程度どういった疑問があるのか把握できます。疑問を把握できれば、システム導入後にスムーズにFAQの作成ができます。
また、疑問点をまとめてみたらそれほど多くはなかったケースもあるかもしれません。そのような場合は、有料プランではなく無料プランでスモールスタートを切ることも可能です。
FAQの作成方法を確認する
社内FAQシステムでは、FAQを作成してシステム上にアップする必要があるため、どのように作成するのか作成方法を確認しておくことをおすすめします。
システムによってはExcelをインポートすることでFAQを設置できるケースもあるので、社内の疑問や不明点をExcelにまとめておけばシステム導入後のスムーズなFAQ設置が可能です。また、テンプレートを用意しているシステムもあるため、それらを活用するのもおすすめです。
検索しやすさをチェックする
社内FAQシステムは、担当者の負担軽減を目的としているシステムであるため、質問者が一人で必要な情報にアクセスできるかどうか、検索のしやすさをチェックしておかなければなりません。
検索機能が使いやすいか、絞り込みや条件付きの検索が可能かといった点をチェックするのはもちろん、実際に触ってみて初めて扱う人でも直感的に操作できるかどうかも確認してください。その他にも、検索ワードではなく閲覧数の多い順に表示する機能、タグ検索機能などもついていると便利です。
社内FAQに関するよくある質問

社内FAQの導入を検討する際には、その定義や具体的な作成手順、導入によって得られる効果など、さまざまな疑問が生じるものです。また、従来のマニュアルとの違いについても正しく理解しておくことが重要です。
ここでは、社内FAQに関してよく寄せられる基本的な質問について回答します。
社内FAQとは何ですか?
社内FAQとは、従業員が業務上の疑問を自己解決できるよう、よくある質問と回答を体系的にまとめた情報データベースです。FAQとして情報を整備することで、従業員は自分で必要な情報を検索して問題を解決できます。
勤怠システムの使い方や有給休暇の申請手順など定型的な質問は、FAQを参照すれば即座に答えが見つかります。社内FAQにより、各部門への問い合わせ件数が大幅に減少し、担当者は本来の業務に集中できる体制構築が可能です。
FAQの作り方のコツは?
効果的な社内FAQを作成するには、利用者目線に立った設計と継続的な改善が重要です。まず、一つの質問には一つの回答を対応させ、情報を明確に整理します。複数の内容を一つの項目に詰め込むと、必要な情報が見つけにくくなるためです。
また、回答は専門用語を避け、誰が読んでも理解できる平易な表現で簡潔にまとめることが求められます。さらに、業務分野ごとに細かくカテゴリー分けをおこない、キーワード検索機能を充実させることで、利用者が求める情報に素早くたどり着ける環境を整えられます。
社内FAQを導入するメリットは?
社内FAQの導入は、組織全体に多面的なメリットをもたらします。最も大きな効果は、担当部署の業務負担軽減です。従業員が自分で疑問を解決できるようになることで、問い合わせ件数が減少し、担当者は本来の業務に専念できます。
また、特定の社員に集中していた業務知識を組織全体で共有できるため、属人化のリスクも解消されます。さらに、対応品質の均質化も重要なメリットです。担当者によって回答内容にばらつきが生じる心配がなくなり、いつでも正確な情報を提供できます。
新人教育の面でも大きな効果があり、基本的な業務知識をFAQで習得できるため、教育担当者の負担とコストが削減されます。
FAQとマニュアルの違いは何ですか?
社内FAQとマニュアルは、どちらも業務支援ツールですが、目的と構成が異なります。FAQは従業員から頻繁に寄せられる質問と回答を集約したもので、特定の疑問をピンポイントで解決することが目的です。
一方、マニュアルは業務の手順や規則を体系的に整理した資料で、一連の作業フロー全体を理解させることが目的です。FAQは困ったときに調べるものであり、マニュアルは最初から順番に学ぶものと、違いがあります。両者を適切に使い分けることで、従業員の自己解決力が高まり、効率的な業務遂行が可能です。
無料社内FAQシステムを活用しよう

今回は無料で使える社内FAQについて、その概要や種類、導入するメリット、おすすめツールなどについて解説しました。社内FAQは、従業員が抱える質問や疑問などに対する回答をまとめたものです。質問する手間や担当者が回答する手間を省略できるため、業務効率化にもつながります。
また、業務に関する基本的なFAQを用意しておけば、新入社員の教育にかかるコスト削減も期待できます。無料で利用できる社内FAQシステムは各社から展開されており、それぞれ機能や特徴が異なります。完全無料で利用できるものや一部のみ無料で利用できるもの、無料トライアル期間を設定しているものなど価格面での違いもあるため、今回の内容を参考に自社にあったシステムを導入してみてください。
株式会社サンソウシステムズが提供する「さっとFAQ」は、30日間の無料トライアルが設けられており、さらに有料プランも月額1万円というお手頃な価格から導入が可能です。
また、運用の分析をおこなうダッシュボードが用意されており、改善施策を回しやすい設計になっています。
30日間の無料トライアルも提供しておりますため、社内FAQツールを導入したいと考えている方はぜひご検討ください。
