- カスタマーサポートが多忙によりうまく回っていない
- 顧客にも大きな迷惑がかかっている
- カスタマーサポートを効率化するには、どうすればよいのだろう?
上記の疑問を抱えている人は多いのではないでしょうか?
カスタマーサポートが効率化され、正常に機能していないと、自社にも顧客にも大きなデメリットがあります。このままでは顧客満足度や社員の負担、契約数など、あらゆる点で悪影響が生まれるでしょう。
そこで本記事では以下について解説します。
- カスタマーサポートが非効率化する理由と顧客に与える影響の実情
- 実際に効率化するための改善策5つ
- カスタマーサポートが無事に効率化された場合のメリット
カスタマーサポートの効率化を目指している担当者はぜひご参考ください。
カスタマーサポートが非効率化する理由とは?顧客に与える影響の実情
カスタマーサポートが非効率化する理由として以下5つが挙げられます。
- 純粋な人手不足による多忙
- 業務効率化・先鋭化の不足
- ナレッジが共有されていない
- 入電が減らせない
- カスタマーサポートの記録やナレッジの集積が足りない
原因としてもっとも多いのは人手不足ですが、他にも色々な問題があります。自社における課題が何なのか、まずは把握しておきましょう。
純粋な人手不足による多忙
カスタマーサポートが非効率化する最大の原因は純粋な人手不足です。求められる対応や顧客の数に対して人員が足りず、応答が遅れたり、不正確な案内がされたりします。
人手不足の問題は、主に少子高齢化や働き方改革によって引き起こされるもの。そもそもの人材候補が少なくなり、優秀なカスタマーサポート要員を揃えることが難しくなっています。
また働き方改革によって、勤務時間を圧縮して生産性向上にコミットする風潮が強くなったことも関係してしているでしょう。
さらにはカスタマーサポートがストレスレベルの高い業務というイメージも付き纏い、人材確保や定着が難しくなり、結果として非効率化することが多々あります。
今後もカスタマーサポートの待遇向上などをはじめとした政策が打たれるとは考えづらく、自社で工夫して乗り越える必要がある問題だと言えるでしょう。
RPAに代表される業務効率化・先鋭化の不足
RPAに代表される業務効率化や先鋭化が不足しているケースもあるでしょう。RPAとはあらゆる業務を自動化するテクノロジーを意味します。
つまりツールやシステムを組み合わせて、カスタマーサポートを一部自動で運用することが可能です。しかしRPAに対してそこまで前向きではない企業は多く、またRPAを導入している企業でもカスタマーサポートの現場にまで反映しているケースは稀です。
一方で顧客の問い合わせ内容や開発された商品は先鋭化されており、前時代的なサポートが通用しづらくなっています。その点を踏まえれば効率化を追求するために、RPAやDXは意識する必要があるでしょう。
そこまで本格的ではないにしても、社内情報共有ツールやチャットボットなどの初歩的なシステムは導入ハードルが低いため、優先して検討する価値があります。つまりシステムにの活用には積極的な姿勢を持つことが重要です。
ナレッジが共有されていない
ナレッジが共有されていない場合は、カスタマーサポートの業務も非効率になりがちです。たとえば以下のように頻出する問い合わせとその回答について、テンプレート化しスタッフ間で共有されている必要があります。
- 商品説明の内容・順番
- 特定のクレームに対する処理方法
- 製品の使い方や仕様に対する説明
- 専門用語や固有名詞の定義
- その他、多く寄せられる問い合わせ内容
頻出する問い合わせが共有され、誰しもが資料もなしに回答できるレベルでなければ、無駄な応対が増えてしまいます。
カスタマーサポートの業務効率化で大切なことは、いかに多くのナレッジをテンプレートとして持ち、スムーズな回答に転用できるかどうかです。
同じ問い合わせ内容に対して、テンプレートを用意せず、その都度対応を考えているようでは、カスタマーサポートはいつまで経っても効率化しません。ナレッジの共有が進んでいないなら、まずはこの点を改善する必要があります。
入電が減らせない
入電が減らせない場合は、やはりどうしてもカスタマーサポートは効率化できません。
カスタマーサポートの業務は、メールやFAXの問い合わせではなく入電対応がメインです。もちろん電話口で対応しなければいけないケースも多々ありますが、中にはわざわざ電話で対応するまでもない問い合わせが入ってくることも事実です。
しかしカスタマーサポートでは、問い合わせに対する電話対応にかける時間をおさえることが重要です。つまりできる限り他の方法で、電話するまでもない疑問の解決やトラブルシューティングを図る必要があります。
たとえばチャットボットなら、テキスト形式の会話でユーザーの質問に回答することが可能です。これにより電話をかける前にトラブルシューティングが実施され、入電の件数も少なくできます。
しかしチャットボットを始めとした新しいツールを導入しているケースは少なく、なかなか効率化が達成できない場合も少なくありません。
RPAをやれとまでは言えませんが、システムやツールの運用が重要視されている中、チャットボットなどの初歩的なものは積極的に取り入れていきたいところです。
カスタマーサポートの記録やナレッジの集積が足りない
カスタマーサポートの記録やナレッジの集積が足りない場合も、非効率化が起こりやすいでしょう。
業務を効率化するためには、過去の問い合わせ内容や、対応の成功実績について蓄積して分析する必要があります。しかし非効率化している場合では、そもそもその情報を集めていないことも少なくありません。
そうすると過去の業務から改善点を見出せず、具体的な効率化が図れないケースが多々あります。
より適切に課題を見出すためにも、ツールを使って情報収集や統計を行いつつ、マーケティングの視点から考えることが、カスタマーサポートを効率化する上では大切です。
カスタマーサポートを効率化して顧客に貢献するための改善策5つ
カスタマーサポートを効率化するには以下5つの方法が考えられます。
- カスタマーサポートのパフォーマンスを数字にする
- 顧客の情報を共有
- スタッフに対するヒアリング
- FAQページやマニュアルをブラッシュアップ
- チャットボットを導入して業務を効率化する
業務を効率化する手段は他にも数えきれないほどありますが、効果が高く優先順位が高いのは以下の5つです。あまり大きな変化を与えない部分から改善する手段は、効率的ではありません。
カスタマサポートの効率化で重要な上記5つの施策を実行できないか検討しましょう。
カスタマーサポートのパフォーマンスを数字にする
もっとも大切なのはカスタマーサポートのパフォーマンスを数字にすること。これができていなければ明確に改善する方法が見えてきません。
特に、もっともリソースとコストがかかっている電話応対を数値で観察しつつ、改善することは重要です。カスタマーサポートを効率化する上で、数値化すべき項目として以下が挙げられます。
項目名 | 一般的な定義 |
応答率 | 入電数に対して、オペレーターが電話に出た割合 |
稼働率 | オペレーターが業務中、実際に顧客対応している時間割合 |
放棄呼出率 | 入電があったものの、オペレーターが電話に出られなかった割合 |
ATT(平均通話時間) | 入電1件あたりにかかる通話時間の平均 |
AHT(平均処理時間) | 入電に応答してからサポートが終了するまでの時間 |
ACW(平均後処理時間) | 入電1件あたりにかかる、必要な業務処理時間の平均 |
SL(サービスレベル) | 入電1件あたりにおいて、自社が定める時間内で応対を終了した回数・割合 |
もちろんカスタマーサポートは電話対応だけを担当しているわけではありません。しかしこれはもっとも大きな業務負担と言えます。優先的に数値化・分析して、改善策を打ち出す必要があります。
たとえばACWの割合が高いなら、電話応対よりも事務的なオペレーションの改善が重要だとわかります。教育し直すことも、新しいシステムを導入することも含めて、あらゆる選択肢を見出すことが可能です。
このようにカスタマーサポートのパフォーマンスを数字にすれば、次に何が必要なのか見えてきます。そのためにも上記のような数値は、ツールやシステムを導入して解析するようにしましょう。
関連記事:ヘルプデスクの問い合わせを減らすことで業務効率化を図る6つの方法
顧客の情報を共有する
カスタマーサポートを効率化するには、できる限り顧客の情報を共有しましょう。これは口頭ではなく記録やナレッジとして集積する必要があります。
顧客の情報を共有することにより、カスタマーサポートで何が望まれているのかが分かりやすくなります。そうすることでよりスピーディかつ円滑に業務を進めることが可能です。
集められた顧客の情報は、もちろん営業や開発に対しても大きなヒントを提供します。カスタマーサポートだけではなく自社全体へのフィードバックを狙った顧客情報を共有すれば、効率化とともに大きな変化が得られるでしょう。
顧客の情報共有では、いわゆる社内共有システムを使って効率的に進めることがポイントです。RPAの推進が叫ばれる中、絶えず更新され続ける顧客の情報は、システムに乗せて高度に管理したいところです。
スタッフに対する綿密なヒアリング
原始的な方法ですが、スタッフに対するヒアリングも重要です。
効率化する上では、問い合わせ内容や顧客の情報をデータとして整理することは必要ですが、数字だけが全てではありません。現場で働くスタッフが何を感じているのかを知ることで、効率化のヒントが見つかることもあります。
特に人間関係や教育に関係する部分は、本人がどう感じているかが重要です。機械頼みにせず、定期的にスタッフへのヒアリングをおこない、現場の状況を理解しましょう。ただしヒアリングは主観が入るため、客観的に判断する視点が必要です。
FAQページやマニュアルをブラッシュアップする
FAQページやマニュアルをブラッシュアップした上で、入電数が少なくなるように工夫することもよいでしょう。
電話をかける前に解決できれば、カスタマーサポートの作業負担が減り、顧客も電話サポートよりも早い段階で問題を解決することが可能です。
FAQページやマニュアルをブラッシュアップするには、以下の方法が考えられます。
- 過去の問い合わせデータから頻出する質問を洗い出して追加する
- 画像などを用いてより理解しやすい回答を用意する
- FAQページの表示位置を変えてアクセスしやすくする
- 古い情報があれば更新して最新版にしておく
- 索引などを掲載する
- CSSなどでレイアウトを整え参照しやすくする
- 関連した回答を内部リンクで表示できるようにする
ただしFAQページやマニュアルに持たせられる解決力には限界があります。過度に期待しないようにしましょう。
チャットボットを導入して業務を効率化する
カスタマーサポートを効率化して顧客対応を向上させるには、チャットボットの導入が有効です。これがあれば低いコストで、業務を大幅に改善できます。
チャットボットとは、ユーザの質問に対してテキスト形式で自動的に応答するシステムのこと。WEBサイトを閲覧したとき、画面右下に小さなウィンドウが表示されたのを見たことはないでしょうか?それこそがチャットボットです。
チャットボットは、ユーザーによってテキストが入力されると、あらかじめ想定されていた返答を返します。また質問をいくつか重ねることでトラブルシューティングを実施する「シナリオ」というコミュニケーションを取ることも可能です。
チャットボットは入電させることなくテキストで会話を行うため、カスタマーサポートの負担を軽減しつつ、さらには顧客に待ち時間を与えることもありません。
本来であればもっと本格的なRPAツールなどがあればよいのですが、残念ながら導入ハードルが高いのが現実。まずはチャットボットでローコストな業務改善による効率化を図りましょう。
カスタマーサポートを効率化した場合のメリットは計り知れない
カスタマーサポートを効率化した場合のメリットは計り知れません。特に以下の点は重要です。
- カスタマーサポート自体の負担が大きく減らせる
- PDCAサイクルが健全に回り出す
- 顧客への対応がスムーズになる
- コンバージョンが発生しやすくなる
- 重要な業務や問い合わせにのみ集中できる
それぞれについて詳しく解説しますので、参考にしてください。
カスタマーサポート自体の負担が大きく減らせる
カスタマーサポートを効率化すれば、部署自体の業務負担を大きく減らせます。ここからあらゆる部分に大きなメリットが生まれるでしょう。一例として以下が挙げられます。
- スタッフの生産性が上がり、業務の精度が高まる
- 定着率が上がり、熟練したスタッフで陣容を揃えられる
- 教育にかかるリソースを削減できる
- 高度なサポートで顧客の満足度を高められる
- 残業代などのコストを削減できる
カスタマーサポート自体の負担を減らせば、あらゆる面で大きなメリットを得ることが可能です。
たとえばチャットボットを利用する場合について考えてみましょう。この場合、初歩的な質問をテキスト形式によって入電することなく解決できます。
これによりカスタマーサポート部署自体の業務が少なくなり、上記のようなメリットへと繋がります。
PDCAサイクルが健全に回り出す
カスタマーサポートが効率化していれば、PDCAサイクルが健全に回り出すようになります。ログや記録があって、数値化できているから、常に改善策を打ち出すことが可能です。
KPIやKGIを掲げ、より目的意識の高い施策を実施できるでしょう。PDCAサイクルを何度も回すことで、いつしか高度に効率化された組織となります。
まずはカスタマーサポートの状況を整えて、改善と実行の繰り返しができるような状態を目指しましょう。
顧客への対応がスムーズになる
顧客への対応がスムーズになることも、カスタマーサポートを効率化するメリットの一つです。たとえばチャットボットなら、その場でテキストを打ち込むだけで、すぐに返答が得られます。
電話をかけた側の立場になって考えてみましょう。まず電話番号を調べて、スマートフォンや電話機に打ち込む、という手間がなくなります。ナビダイヤルやオペレーターの応答を待つ時間も必要なく、すぐに求める答えを得ることが可能です。
またチャットボットは365日24時間体制で、顧客の問い合わせに応答できます。
もちろんチャットボットだけではなく、FAQページやマニュアルにも同様のことが言えます。このあたりが充実していれば、顧客への対応はかなりスムーズになるはずです。
コンバージョンが発生しやすくなる
場合によってはコンバージョンが発生しやすくなる点も、カスタマーサポートを効率化するメリットのひとつです。効率化するとともに、新しい集客経路まで作れます。
たとえばFAQページで、顧客の不安や疑問を効率的かつ素早く解消できたとしましょう。すると購買に対する障壁がなくなり、コンバージョンにも繋がりやすくなるはずです。
つまりカスタマーサポートを充実させることは、売り上げを左右することでもあります。一方で非効率な状態だと、コンバージョンが発生するどころか購買意欲が損なわれることも。
売り上げの確保という意味でも、カスタマーサポートの効率化は大切です。
重要な業務や問い合わせにのみ集中できるようになる
重要な業務や問い合わせのみに集中できるようになる点も、カスタマーサポートを効率化するメリットのひとつ。
たとえば社内共有ツールやRPAシステムで、事務処理や情報共有が効率化されたとします。その上、FAQページの充実により、一般的な問い合わせ内容は入電前に解決できるとしましょう。
そうすると入電が考えられるのは、本当に有人対応が必要な、重要な問い合わせのみに限定されます。つまり他の頻出する質問はさておき、一層正確な案内が求められる質問にのみ集中できるはずです。
またカスタマーサポートでは、オペレーション管理や教育など、顧客対応以外にも大切な業務があります。非効率な中ではこれらの業務は疎かにされがちですが、問い合わせの件数を削減できれば、時間的・労力的な余裕が生まれ、これらの業務にも集中して取り組めるようになるでしょう。
まとめ:カスタマーサポートの効率化で顧客対応を健全にしよう
カスタマーサポートは重要度が高い部署ではあるものの、緊急性が感じられないことから改善が後回しにされる傾向にあります。よってスタッフの負担が大きくなり、ユーザーや顧客へのサポートが疎かになるケースも少なくありません。
これは企業にとって、契約の途中終了やリピーターの喪失など、大きなデメリットとして返ってくる可能性があります。
本記事では紹介した以下の方法で、カスタマーサポートの効率化を図りましょう。
- カスタマーサポートのパフォーマンスを数字にする
- 顧客の情報を共有
- スタッフに対するヒアリング
- FAQページやマニュアルをブラッシュアップ
- チャットボットを導入して業務を効率化する
もちろんすべての施策が必要なわけではありません。自社が必要なものを選定して実行しましょう。