顧客体験とは、商品やサービスを知るところから、購入・申し込み、利用、アフターサービスに至るまで、顧客が一貫して得る体験を指します。この顧客体験は、マーケティングにおいて非常に重視されています。
この記事では、顧客体験の概要やマーケティングとの関係性、顧客体験を高めるための手順やポイントなどについて解説しています。顧客体験を高め、売り上げアップや顧客ロイヤルティ向上を図りたい企業の担当者は、ぜひ参考にしてください。
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そもそも顧客体験(CX)とは?
顧客体験とは、企業の顧客やユーザーが商品やサービスを認知し、興味を持つところから、実際に購入・申し込みをした上で利用するまでに経験する一連の体験のことです。
英語ではカスタマーエクスペリエンス(Customer Experience)と呼ばれることから、頭文字をとってCXと呼ぶこともあります。
顧客体験は、顧客が商品と持つさまざまな接点の集合体です。購入前の認知段階から、興味を持って店頭やオンラインショップで検討する段階、実際に購入して利用する段階まで、さまざまなプロセスやチャネルを通じて提供されます。
また、アフターサポートを提供している場合は、アフターサポートも顧客体験の1つとして含まれます。
マーケティングで顧客体験が重要とされる4つの背景
企業のマーケティング活動では、顧客体験を意識して取り組むことが非常に重要です。その理由は、以前に比べて企業を取り巻く環境や顧客の消費形態などが変化しているためです。ここでは、マーケティングにおいてなぜ顧客体験が重要とされているのか、具体的な理由を紹介します。
ここで取り上げるのは以下の4つです。
- 顧客接点が多様化している
- 消費形態が変化している
- マーケティングシステムが多様化している
- 継続利用を前提としたビジネスモデルが中心になっている
顧客接点が多様化している
顧客体験が重要視される背景の一つが、顧客との接点が多様化している点です。
以前とは異なり、現代ではインターネットやスマートフォンの利用が一般的となったため、企業が発信する情報に簡単にアクセスできるのはもちろん、企業が発信していない第三者による情報を見る機会も増えました。
つまり、顧客は企業そのものや、その企業が展開する商品・サービスに関する情報と、さまざまな場面で接点を持つようになっています。接点が増えること自体は、企業にとって商品やサービスの認知度向上につながるためメリットだと言えます。
一方で、接点が多い分マーケティング戦略が複雑化する可能性があるため、どの接点でどのような関わり方、情報提供をおこなうのかといった顧客体験の入念に検討することが大切です。
消費形態が変化している
消費者の消費形態の変化も、マーケティングに大きく影響を与える要素の一つです。具体的には、「モノを購入して消費する」スタイルから、「コト」、つまり体験を購入して楽しむ形態が増えてきました。
例えば、かつては高級車を購入すること自体のステータスが重視されていましたが、現在では車を購入して各地を訪れることで得られる体験の方を重視する人が増えています。また、期間限定など、その時、その場所でしか味わえない体験に価値を見出す消費者も少なくありません。
商品やサービスそのものだけでなく、それを通じてどのような体験が得られるのかが重視されるようになったことは、顧客体験の重要性が高まっている背景の一つです。
マーケティングシステムが多様化している
近年、マーケティングシステムの多様化が進み、これが顧客体験を検討する際に大きな影響を及ぼしています。
例えば、近年さまざまなツールが登場し、データの収集や分析が容易になりました。
顧客体験をデータ化し分析することで、これまで以上に一人ひとりの顧客に合わせた体験を提供できるようになっています。
さまざまなマーケティングツールを効果的に活用し、顧客体験をどう設計するかが、商品やサービスの成否を左右する重要な要素となっています。
継続利用を前提としたビジネスモデルが中心になっている
消費形態の変化だけでなく、ビジネスモデルの変化も顧客体験がマーケティングにおいて重要視されるポイントの一つです。
具体的には、これまで一般的だった買い切りのビジネスモデルから、サブスクリプションのような継続利用を前提としたビジネスモデルが主流となっています。音楽配信や動画配信などはサブスクリプション型のサービスの代表的な例です。
継続して利用してもらうためには、企業側がユーザーに対してさまざまな場面で魅力的な顧客体験を提供できるかどうかが非常に重要だと言えます。
顧客体験を向上させることで得られるメリット
企業が顧客体験を向上させることで得られるメリットは、顧客ロイヤルティの向上や売り上げアップなどさまざまです。
ここでは、具体的にどういったメリットがあるのか解説します。主なメリットとしては以下のようなものが挙げられます。
- 顧客ロイヤルティが高まる
- 売上アップが期待できる
- 競合との差別化につながる
顧客体験の向上になぜ取り組むべきなのか理解したい、周囲の人たちを巻き込むためにもメリットを整理したいといった方はぜひ参考にしてください。
顧客ロイヤルティが高まる
顧客体験が向上すると、顧客ロイヤルティの高まりが期待できます。顧客ロイヤルティとは、顧客が企業やブランド、商品などに対して愛着や信頼を持つことを指します。
顧客が企業や商品などのファンになると考えてみてください。魅力的で印象に残る顧客体験を提供できれば、顧客はその企業や商品、サービスに対して興味や関心、そして愛着を持つようになり、結果として顧客ロイヤルティも高まります。
売上アップが期待できる
顧客体験の向上による顧客ロイヤルティの向上は、企業の売上増にもつながります。
企業に対する愛着がある、その商品のファンであるといった場合、顧客は他社製品よりもその企業の商品を購入しようとしてくれます。
また、繰り返し購入してもらえる可能性も高くなると考えられます。
新規顧客の獲得は既存顧客の維持よりもコストがかかるとされていることを踏まえると、顧客体験の向上や顧客ロイヤルティの強化は、企業が売上や利益率の向上を目指す上で非常に重要な要素となります。
競合との差別化につながる
顧客体験の提供は、競合他社との差別化にもつながります。
モノが溢れるほど流通している現代では、商品やサービス自体で他社との差別化を図ることは非常に困難です。
そのため、プラスαの価値として顧客体験を提供できるかどうかは、重要なポイントです。優れた体験、魅力的な体験ができれば、顧客はその商品やサービスに興味を持ちやすくなります。
顧客体験を向上させる手順
顧客体験向上の重要性は理解していても、実際にどのように向上させれば良いのか分からない方が多いと思われます。
そこでここでは顧客体験を向上させるための手順を紹介します。具体的な手順は以下のとおりです。
- 顧客のニーズを把握する
- ペルソナを設計する
- 体験価値の検討する
- 目標を設定する
- 効果検証をおこなう
何から始めれば良いのか、どうやって進めれば良いのかといった点が気になる方はぜひチェックしてみてください。
顧客のニーズを把握する
顧客体験を向上させるためには、顧客が何を求めているのか、そのニーズを把握しなければなりません。いくら多くのコストをかけて顧客体験を提供しても、顧客の求めるものと一致していなければ効果は期待できません。
顧客体験は、あくまで顧客にとって価値があるかどうかという観点で考える必要があります。ニーズを把握するためには、自社が保有する顧客データの分析はもちろん、アンケートやインタビューなどを通じて課題を把握することも重要です。
その他にも、SNS上で自社の商品やサービスについてどのような投稿がされているかを確認することも、顧客ニーズの把握に役立ちます。
ペルソナを設計する
顧客のニーズを把握するために情報収集を行った上で、データを分析します。顧客が求めているものがある程度整理できた段階で、ペルソナを設定してください。
ペルソナは、商品・サービスの典型的なユーザーの特徴を示した仮想の人物像のことです。年齢や職業、家族構成、趣味、最近興味を持っていること、ライフスタイルなど、細部にわたってプロフィールを設定し、より具体的な人物像をイメージできるようにしてください。
このペルソナを基に、具体的な顧客体験を設計します。
体験価値の検討する
顧客のペルソナができたら、具体的にどのような体験価値を提供するのか検討します。
顧客との既存の接点にはどのようなものがあり、それらが顧客のニーズとどのように合致していないのかを踏まえて、どのような体験を提供すべきか検討してください。
その上で、具体的な施策へと展開していきます。
目標を設定する
具体的に提供する顧客体験が決まったら、それぞれの体験ごとに目標を設定してください。これは、施策を実施した後、目標が達成できているかどうかを確認し、さらに改善していくためです。
単に闇雲に顧客体験を増やすだけでは、施策が効果的だったのかや、顧客がその体験を喜んでいるのかといった点がわかりません。売上額や顧客満足度の上昇率、解約率の低下など、数値で検証できる目標を設定し、継続的な改善に取り組むようにしてください。
効果検証をおこなう
実際に施策を実施した後、どのような結果になったのか、効果検証を行います。
一見効果があったように見えても、実際に検証してみると、それほど効果がなかったというケースもあります。さらなる顧客体験の改善や、次のマーケティング施策の参考とするためにも、効果検証は必ず行ってください。
マーケティングで顧客体験を向上させるポイント
マーケティングにおいて顧客体験を向上させるためには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。例えば、既存の顧客体験の整理や課題の把握などです。
ここでは、顧客体験を向上させるために押さえておきたいポイントを紹介します。具体的なポイントは以下のとおりです。
- 現状の顧客体験を整理する
- 課題を把握する
- NPSを活用する
- 全社的に取り組む
- ツールを活用する
顧客体験向上に取り組む企業の担当者はぜひチェックしてみてください。
現状の顧客体験を整理する
顧客体験を向上させるためには、まず現状の顧客体験にどのようなものがあるのか把握しておく必要があります。
顧客が商品やサービスを認知する段階から、実際に購入・申し込みを行い利用する段階、さらにはアフターサービスなどの各段階における顧客体験を時系列に並べてください。
それによって、どこの接点が抜けているのか、どういったタイプの接点が多いのかといったことが明確になり、その後の施策検討をスムーズに行えます。
カスタマージャーニーマップの活用がおすすめ
顧客体験を整理する際には、カスタマージャーニーマップの利用がおすすめです。
カスタマージャーニーマップとは、顧客の行動に伴う感情や思考、不満の動きを時系列でまとめたものです。
時系列かつ視覚的に情報をまとめることで、現状を把握しやすくなるのはもちろん、新たな接点の発見に役立つ可能性もあります。
マップは、商品やサービスを認知して情報を収集するフェーズ、店頭などで購入するフェーズ、実際に利用するフェーズの3つに分けて作成するとスムーズです。
課題を把握する
顧客体験を整理した上で、どのような課題があるのかを検討していきます。
顧客との接点のうちどの部分に問題があるのかを徹底して突き詰めていき、具体的な施策へと落とし込んでいかなければなりません。
ここで気をつけなければならないのが、すべての接点を改善しようとしないことです。既存の顧客体験のうち、成果を上げている体験を変えてしまうと、顧客体験の価値が低下する恐れがあります。
また、他社の改善策や対処法などの真似も避けてください。課題は企業によって異なるため、現状分析を行った上で自社の課題を明確にする必要があります。
NPSを活用する
既存の顧客体験を評価する上では、NPSの活用がおすすめです。
NPSとはNet Promoter Score(ネットプロモータースコア)の頭文字をとったものであり、顧客ロイヤルティを測る指標のことです。アンケートなどにおいて、商品やサービスを親しい人のどの程度おすすめしたいかを11段階の回答の中から選択し、数値を算出します。
NPSは、企業の成長率や収益性などにも関係があるため、NPSを把握できれば、顧客体験が顧客にとって魅力的なものであるのか、現在の顧客体験の提供を含めたマーケティング戦略は正しいのかといった点を理解できます。
全社的に取り組む
顧客体験は、全社的に取り組むことが重要です。これは、社内のすべての人間が顧客と接点を持つ可能性があるためです。
例えば、店舗スタッフや営業担当であれば直接顧客と関わる機会は多くあります。また、カスタマーセンターで働く人も直接コミュニケーションをとる可能性が高いです。
その他にも、マーケティング担当であっても、情報収集のためのインタビューなどで関わるケースがあります。
あらゆる人間が顧客と関わる機会があるからこそ、顧客体験に関する施策は社内全体で共有し、全社的に取り組まなければなりません。
ツールを活用する
顧客体験を設計するにあたっては、以下のようなさまざまなツールの活用がおすすめです。
- CRM
- CXM
- チャットボット
CRMとは、顧客関係管理ツールのことで、顧客に関するデータを一元管理できます。
顧客の連絡先や購買履歴、問い合わせ履歴など、さまざまな情報を一元管理できるため、どのような顧客体験を提供するか検討する際に役立つ点が特長です。
CXMは顧客体験プラットフォームを指します。
こちらは、顧客との接点を一元管理できるツールで、顧客体験に関する情報を全社的にシームレスに共有できます。CXMを使いつつ、KPIとして顧客ロイヤルティを測定するNPSを活用すれば、収益性の高い顧客体験を優先的に改善できるため、効率的な顧客体験の向上が可能です。
チャットボットは、ユーザーの問いかけに対して返事をしてくれるプログラムのことです。
事前に回答を設定しておけば、問いかけに対して適切な回答を示してくれるため、問い合わせ対応の一次窓口としての活用もできます。また、AIを搭載したAIチャットボットも登場しており、こちらは学習を通してより自然で適切な回答を提供してくれます。チャットボットは24時間365日稼働できるため、必要な情報をすぐに知りたいユーザーにとっては便利な接点だといえます。
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顧客体験を意識したマーケティング活動を実施しよう
今回は、顧客体験の概要や顧客体験がマーケティングにおいて重要な理由などについて解説しました。
顧客との接点が増え、消費形態やマーケティングシステムが変わりつつある現代において、顧客体験を向上させられるかどうかは、企業の売り上げや利益にも大きく影響します。
顧客体験を向上させるためには、既存の接点を洗い出した上で、顧客のニーズに沿った体験を検討できるかどうかが重要です。
今回の内容を参考に、顧客体験向上に向けたマーケティング活動に取り組んでみてください。
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