【2025年最新】顧客体験(CX)向上の成功事例10選!失敗から学ぶ改善戦略と実践ポイントを解説

基礎知識

「顧客体験(CX)の重要性は理解しているが、具体的に何から始めれば良いのだろうか」
「他社の成功事例を参考にして、自社の施策に活かしたいけれど、情報が多すぎて整理できない」

企業のマーケティングや顧客対応の担当者様なら、一度はこのような課題に直面したことがあるのではないでしょうか。

市場が成熟し、商品やサービスの機能だけでは差別化が難しくなった現代において、顧客体験(CX)の向上は企業の成長に不可欠な要素です。しかし、その概念は抽象的で、具体的なアクションプランに落とし込むのは容易ではありません。

本記事では、顧客体験向上に取り組む企業の事例を業界別に10個紹介します。さらに、失敗事例から得られる教訓と、自社で実践できる5つの戦略ステップについて解説します。この記事を読めば顧客体験の本質を理解し、自社の課題解決につながる具体的なヒントを得られるはずです。

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顧客体験(CX)の重要性

顧客体験とは、顧客が製品やサービスのあらゆる接点を通じて得る感情的な価値のことです。購入前から購入後まで、顧客とのすべてのインタラクションが含まれます。

現代の市場では製品のコモディティ化が進み、顧客ニーズも多様化しています。SNSなどで情報が拡散しやすいため、良い顧客体験は強力な宣伝効果を生む一方、悪い体験はブランドを損ねかねません。

企業が選ばれ続けるためには、優れた顧客体験を提供し、顧客ロイヤルティを高めていくことが欠かせません。また、体験価値を通じて長期的な関係性を構築することも重要です。そのため、顧客体験をデザインする際には顧客の感情に寄り添い、共感を呼び起こすような施策が求められます。

単に機能的な価値を提供するだけでなく、記憶に残るような感動体験を提供することで、顧客との絆を深められるでしょう。さらに、データ分析に基づいたパーソナライズされたサービス、迅速かつ丁寧な顧客対応も顧客ロイヤルティ向上に不可欠です。

なお、顧客体験(CX)の概要は、以下の記事で詳しく解説しています。気になる方は、併せてご覧ください。

顧客体験(CX)とは?重要性や向上させるための具体的なステップを解説

【業界別】顧客体験(CX)向上の成功事例10選

ここからは、実際に顧客体験の向上に成功した企業の具体的な事例を業界別に10個紹介します。各社がどのような課題意識を持ち、いかにしてCX向上を実現したのかを「戦略」「成功要因」「具体的な効果」の3つのポイントに注目して見ていきましょう。

自社のビジネスモデルや課題と照らし合わせながら、施策のヒントを探してみてください。

1. 小売業界:スターバックス「第三の場所」としての価値提供

スターバックスは、単にコーヒーを販売する場所ではなく、自宅でも職場でもない「第三の場所(サードプレイス)」を提供することを戦略の核に据えています。高品質なコーヒーに加え、Wi-Fi環境や快適なソファなどを備え、居心地の良い空間をつくることで、お客様にとっての「お気に入りの場所」となることを目指しています。

成功の要因の一つは、モバイルアプリで利用できる「モバイルオーダー&ペイ」の導入によって、レジでの混雑を解消している点です。ロイヤルティプログラム「スターバックスリワード」では、会員限定の特典や、個々のお客様に合わせたオファーを用意し、顧客とのつながりを強化しています。

これらの取り組みの結果、高い顧客ロイヤルティを獲得し、ブランド価値も向上しました。

参考:「おかえり」「ただいま」が聞こえてくる居心地の良い場所。サードプレイスの価値とは(大阪府・豊中市)

2. 小売業界:ニトリ「お、ねだん以上。」を支える顧客の声の反映

ニトリは、「お、ねだん以上。」というブランドプロミスを、顧客の声を基にした商品開発・改善のサイクルを通じて実現しています。

具体的には、戦略として顧客の意見を積極的に集め、それを商品開発や店舗運営、サービスなどに迅速に反映させています。その結果、顧客の期待を上回る価値を、継続的に提供できているのです。モニター制度やアンケート、SNSを活用し、日常的に顧客からの意見を集めている点が、特に成功の要因となっています。

また、オンラインストアと実店舗の在庫を連携、アプリ会員証の導入など、オンラインとオフラインを融合したOMO(Online Merges with Offline)戦略も推進するなど、徹底した顧客視点の取り組みにより、顧客満足度やリピート率は着実に高まり、確かな成果につながっています。

参考:お、ねだん以上の理由

3. 航空業界:ANAが提供するシームレスな空の旅

ANA(全日本空輸)は、デジタル技術と人の温かさを組み合わせて、予約から到着まで一貫してスムーズで快適な旅行体験をお届けしています。例えば、デジタル技術を積極的に活用することで、顧客の利便性を高めている一方、各場面でスタッフがパーソナルできめ細やかなサービスも提供しているからです。

具体的には、公式アプリによるオンラインチェックインや搭乗手続き、手荷物の追跡サービスなどを導入し、空港での待ち時間やストレスを大幅に削減しました。また、機内では客室乗務員が利用者一人ひとりの状況に合わせてサービスを行い、安心感と快適さを高めています

デジタルとアナログを最適に組み合わせることで、顧客満足度やブランドイメージの向上にもつながっています。

参考:新サービスモデル「ANA Smart Travel(ANAスマートトラベル)」

4.小売業界:クラシエによるコミュニティ運営

日用品・薬品・食品の3事業を軸に、生活者に寄り添う商品を提供しているクラシエ株式会社は、オンラインコミュニティ「ハレ ときどき テラス」を運営し、顧客との継続的な関係構築に成功しています。

このコミュニティでは、企業と顧客が双方向でコミュニケーションを取れる場を設けています。ただ一方的に商品を届けるのではなく、顧客ブランドをともに育てる「パートナー」として考えることが大切です。参加者一人ひとりの「ハレ(晴れやかな時間)」と「ケ(いつもの日常)」を分かち合い、日々のささやかな気づきや感性を大事にしたことが、成功の要因となっています。

ほんの些細な出来事でも言葉に綴り、誰かと共有することで見え方が変わり、毎日の暮らしに少しずつ余白と彩りが生まれてくるでしょう。その結果、コミュニティを通じて顧客のロイヤルティが向上し、顧客起点での商品開発が可能になるなど、事業成長につながる好循環が生まれています。

参考:暮らしに余白と彩り を添えるオンラインコミュニティ「ハレときどき テラス」を開設

5. EC業界:Amazonの徹底した顧客中心主義

Amazonは、「地球上でもっともお客様を大切にする企業であること」をビジョンに掲げています。例えば、購買プロセスにおける顧客の手間やストレスを徹底的に排除し、究極の利便性を提供することを目指しています。ワンクリック注文や迅速な配送、簡単な返品プロセスなど、顧客の手間を極限まで省く仕組みを構築している点が特徴です。

これらの取り組みの結果、顧客満足度が向上し、購買頻度も増加しました。また、AIを活用して膨大な購買履歴や閲覧データを分析し、顧客一人ひとりに最適化された商品レコメンドを提供しています。

参考:Amazonについて

6. 宿泊業界:星野リゾートの非日常体験の創出

星野リゾートは、「星のや」「リゾナーレ」「界」など、コンセプトの異なる複数のブランドを展開し、それぞれの土地の文化や自然を最大限に活かした「非日常体験」を提供しています。

星野リゾートの戦略は宿泊施設を単なる「泊まる場所」ではなく、「旅の目的地」そのものと位置づけ、そこでしか味わえないユニークな体験をプロデュースしていることです。マニュアルに縛られず、スタッフが自ら考えたおもてなしを実践することで、顧客一人ひとりの心に残るパーソナルな体験が生まれています。

その結果、高い顧客満足度とリピート率を誇り、星野リゾートに泊まること自体が多くの旅行者にとっての目的となっています。

参考:星野リゾート

7. 飲食業界:丸亀製麺のライブ感あふれる「手づくり・できたて」体験

讃岐うどんチェーンの丸亀製麺は、オープンキッチンという店舗設計を通じて「手づくり・できたて」というブランド価値を顧客にダイレクトに伝えています。食事を提供するだけでなく、調理工程そのものをエンターテインメントとして見せることで、顧客に「ライブ感」といった付加価値を提供している点がポイントです。

店内で製麺から茹で上げまでをおこなう様子を顧客が間近で見ることや、天ぷらや薬味を自由に選べるビュッフェスタイルが、自分好みの一杯を創り上げる参加型の楽しさを提供し、顧客の五感を刺激しています。単なる食事以上の満足感を提供することで多くのファンを獲得し、競争の激しい飲食業界で独自の地位を確立しています。

参考:トリドールホールディングス 統合報告書

8. 金融業界:アメリカン・エキスプレスが築く特別な関係性

アメリカン・エキスプレスは特に富裕層をターゲットとしており、高品質なサービスと限定的な特典を通じて、顧客との特別な関係性を築いています。単にカード決済機能を提供するだけでなく、顧客のライフスタイルを豊かにするエクスクルーシブな体験を提供することで、金融サービス以上の価値を提供します。

24時間対応のコンシェルジュサービスや有名レストランでの優待、旅行時のアップグレードなど、カード会員ならではの特別な特典を多数用意し、顧客に特別扱いされているという満足感を与えている点が成功の秘訣です。結果として、極めて高い顧客ロイヤルティを維持しています。

参考:基本理念|アメリカン・エキスプレス

9.金融業界:「ありのまま」の状態を伝えるソニー損保

ダイレクト型自動車保険のソニー損害保険は、顧客との誠実なコミュニケーションを重視し、高い信頼を獲得しています。保険という無形商材ではあるものの、顧客の不安に寄り添い、透明性の高い情報提供をおこなうことで安心感を提供している点がポイントです。

事故受付後、初期対応を担う担当者と、その後の示談交渉などを担う専任担当者が連携して顧客をサポートしているため万が一のときも頼れる存在となるでしょう。また、事故の解決状況をWebサイト上でリアルタイムに確認できるサービスを提供し、顧客が「今どうなっているのか」という不安を解消できるよう努めています。

その効果として、顧客本位の誠実な対応が評価され、各種の顧客満足度調査で常にトップクラスの評価を獲得しています。

参考:ディスクロージャー誌|ソニー損害保険株式会社

10.自動車業界:ファンコミュニティを立ち上げたSUBARU

自動車メーカーのSUBARUは、「スバリスト」と呼ばれる熱狂的なファンとの関係構築を重視しています。顧客を単なる購入者としてではなくブランドの価値を共に創り、広めてくれる「パートナー」と捉え、ファン同士がつながる場を提供している点が特徴の一つです。

例えば、公式コミュニティを積極的に運営し、ファン同士が愛車について語り合い、ブランドの魅力を共有する場を創出することで、ブランドへの愛着や帰属意識を醸成しています。その結果、強固なファンコミュニティの存在がブランドのロイヤルティを高め、新規顧客への強力なアピールにつながっています。

参考:SUBARUファンコミュニティサイト「スバ学」をリリース

失敗事例から学ぶ|顧客体験を向上させる際の注意点

顧客体験の輝かしい成功事例がある一方で、良かれと思って導入した施策が、かえって顧客体験を損ねてしまうケースも少なくありません。ここでは、企業が陥りがちな2つの失敗事例から、CX向上に取り組む上での重要な教訓を学びましょう。同じ過ちを繰り返さないためにも、ぜひ参考にしてください。

1.AIチャットボット導入の落とし穴と回避策

ある企業が問い合わせ対応の効率化を目指し、AIチャットボットを導入しましたが、結果的に顧客の不満を増大させてしまいました。考えられる理由は、以下のとおりです。

失敗要因詳細
学習データ不足AIに十分な学習データを与えなかったため、複雑な質問や専門的な問い合わせに対応できなかった
顧客ニーズの軽視「よくある質問」への回答しかできず、本当に顧客が困っているイレギュラーな問題に対応できなかった
運用体制の欠如AIが回答できない場合にスムーズに有人対応へ切り替える仕組みがなく、顧客はたらい回しにされた

導入されたAIチャットボットによって、問い合わせ解決にかかる時間と顧客対応コストが増加しました。この事例から得られる教訓は、AIチャットボットの導入自体を目的とせず、ツールによって何を解決したいのかを明確にすることです。

導入前には、顧客がどのような課題で問い合わせをおこなうのかを徹底的に分析し、十分な学習データを用意することが不可欠です。また、導入後も顧客からのフィードバックを継続的に収集し、AIの回答精度を高めていく運用体制を構築することが、顧客体験の向上につながります。

2.ポイントプログラム改悪が招いた顧客離れ

ある小売企業が、コスト削減を目的としてポイントプログラムの内容を大幅に変更し、多くの優良顧客を失いました。具体的な失敗要因は、以下のとおりです。

失敗要因詳細
事前告知の不足変更内容について顧客への十分な事前説明がなく、突然ポイント付与率が大幅に引き下げられた
代替案の欠如ポイント付与率低下に見合うだけの新たなメリットや特典が提示されなかった
顧客ロイヤルティの軽視これまでブランドを支えてきたロイヤル顧客の感情を軽視した、企業都合の決定と受け取られてしまった

優良顧客の離反によって全体の売上が減少し、顧客維持率も低下しました。その結果、失った顧客を取り戻すために新規顧客の獲得コストが増加しています。

ポイントプログラムのようなロイヤルティに直結する施策の変更は、慎重に行わなければいけません。変更をおこなう際は十分な期間を設けて顧客に丁寧に説明し、理解を求める努力が不可欠です。また、顧客が不利益を感じすぎないよう、代替となる魅力的な案を提示するなど、顧客の感情に寄り添う姿勢が求められます。

【明日から実践できる】顧客体験を向上させる5つの戦略ステップ

顧客体験(CX)向上は、企業成長の鍵を握るといっても過言ではありません。しかし、闇雲に取り組むだけでは、期待する成果は得られないでしょう。多くの企業が成功事例を参考にしながらも、自社の状況に合わせた最適な方法を見つけられずにいます。

そこで重要となるのが、体系的なアプローチです。ここからは数々の成功事例・失敗事例から得られた知見を基に、顧客体験を向上させるための5つのステップを紹介します。このステップに沿って進めることで自社の課題を明確にし、効果的な施策を立案・実行できるはずです。

STEP1:ペルソナ設計|顧客を深く知る

すべての施策は、顧客を深く理解することから始まります。そのためにも、まずはペルソナを設定しましょう。ペルソナとは、サービスや商品の典型的なユーザー像を、具体的な人物像として詳細に設定したものです。

年齢や性別、職業、ライフスタイル、価値観などを設定し、関係者間で「誰のために」施策をおこなうのかという共通認識を持つために作成します。具体的なペルソナの設計方法は、以下のとおりです。

手順内容
1. データ収集顧客アンケート、インタビュー、購買データ、Webアクセスログなどから顧客に関する情報を収集する
2. データ分析収集したデータを分析し、共通の属性や行動パターンを持つ顧客グループを見つけ出す
3. ペルソナ作成グループを代表する人物像として、具体的なプロフィールやストーリーを描き出す
4. 検証と見直し作成したペルソナが実態と合っているかを確認し、定期的に見直しをおこなう

ペルソナはマーケティング戦略や製品開発、顧客サポートなど、あらゆるビジネス活動において顧客視点を反映させるための強力なツールです。ペルソナをチーム全体で共有し、常に意識することで、より顧客に寄り添った施策を実行しながら顧客満足度向上につなげられます。

また、ペルソナは一度作ったら終わりではなく、市場の変化や顧客のニーズに合わせて定期的に更新していく必要があります。

STEP2:カスタマージャーニーマップ作成|顧客の旅を可視化する

次に、設定したペルソナが商品を認知してからファンになるまでの一連のプロセスを可視化しましょう。その際に役立つのが、カスタマージャーニーマップです。

カスタマージャーニーマップとは、顧客が体験するプロセスを時系列に沿って描き出し、各接点(タッチポイント)で顧客の行動・思考・感情を整理した図です。顧客理解を深め、顧客体験を向上させるための強力なツールであり、可視化することでその後の行動が明確になります。

手順内容
1.ペルソナ設定マップの主人公となるペルソナを明確にする
2.タッチポイントの洗い出しWebサイト、SNS、店舗、広告、カスタマーサポートなど、顧客との接点をすべて洗い出す
3.行動・思考・感情の分析各タッチポイントで、ペルソナが「何をし、何を考え、どう感じたか」を書き出す
4.課題の発見顧客が不満やストレスを感じる「ペインポイント」や、喜びを感じる「ピークポイント」を特定し、改善の機会を見つける

カスタマージャーニーマップを作成した後は関係者間で共有し、定期的に見直すことが重要です。顧客の行動や感情は常に変化するため、マップもそれに合わせて進化させる必要があります。

STEP3:データ分析|データに基づき課題を発見する

ペルソナやカスタマージャーニーマップで立てた仮説を客観的なデータで裏付け、課題の精度を高めます。これらのデータを分析することで、顧客がどこでつまずいているのか、どのようなニーズを持っているのかを客観的に把握し、勘や経験だけに頼らないデータに基づいた施策立案につなげられます。

具体的には、以下のようなデータを参考にしましょう。

データ内容
購買履歴データ誰が、いつ、何を、いくらで購入したか
行動履歴データWebサイトのどのページを閲覧したか、アプリをどのように利用したか
アンケート結果顧客満足度調査やNPS調査の結果

これらのデータソースを組み合わせることで、顧客理解はより深まります。例えば、購買履歴と行動履歴を照らし合わせることで、購入に至るまでの顧客の行動パターンを把握できます。

また、アンケート結果と購買データを組み合わせれば、顧客満足度と購買価格の関係性を分析することも可能です。これらの分析を通じて、より効果的なマーケティング施策や顧客体験の改善につなげることができます。

STEP4:KPI設定と効果測定|施策を実行し、効果を測定する

課題に沿った施策を立てたら実行していきましょう。ただし、施策は実行して終わりではありません。施策を実行した効果を測定し、改善につなげる仕組み作りが重要です。

KPIを定期的に観測することで、施策がCX向上に貢献しているかを評価でき、改善アクションにつなげるPDCAサイクルを回せます。つまり、効果測定は施策実施後の変化を具体的な数値で把握し、成功要因と課題を明確にするために不可欠です。

なお、KPIの選定はCX向上の目標と連動させ、具体的なアクションプランにつながる指標を選ぶことが重要です。例えば、NPS®が低い場合は、顧客体験のどの部分に課題があるのかを深掘りし、具体的な改善策を実行します。

LTV向上のためには顧客との関係性を強化し、リピート率を高める施策を実施します。ほかにも、以下の点を把握しておくと、顧客体験の向上に役立てられるでしょう。

KPI説明
NPS®(ネット・プロモーター・スコア)顧客ロイヤルティ(企業やブランドへの信頼・愛着)を測る指標。「この商品を友人に勧めたいですか?」という質問で評価する
LTV(顧客生涯価値)一人の顧客が取引期間を通じて企業にもたらす総利益
解約率(チャーンレート)顧客がサービスを解約する割合
CES(顧客努力指標)顧客が問題解決のためにどれだけの労力を要したかを測る指標
CAC(顧客獲得コスト)新規顧客を一人獲得するためにかかったコスト

STEP5:従業員体験(EX)も同時に高める

優れた顧客体験は、モチベーション高く働く従業員から生まれます。そのため、従業員体験(EX)の向上も重要な目標のひとつとなります。EX(エンプロイーエクスペリエンス)とは、従業員がその企業で働く中で得られる体験の総和です。従業員満足度(ES)が高い企業は、顧客満足度(CS)も高い傾向にあります。

従業員が自社の製品やサービスに誇りを持ち、働きやすい環境で満足して働いていると、その前向きな気持ちは自然と顧客への対応に現れ、結果としてCX(顧客体験)の向上につながるためです。

EX向上には、従業員の意見を経営に反映させる仕組みを作り、働きやすい環境や福利厚生を整備するほか、キャリアアップの機会を提供するなどの取り組みが効果的です。さらに、EX向上は従業員の定着率向上にも寄与します。従業員が企業文化に共感し、成長機会を得られると感じれば、長期的に貢献しようという意識が高まるでしょう。

また、定期的な1on1ミーティングやチームビルディング活動を通じて、従業員間のコミュニケーションを促進することも重要です。心理的安全性を確保し、誰もが意見をいいやすい環境を作れると組織全体の創造性と生産性が向上します。

顧客体験向上を加速させるおすすめツール

これまで解説してきた戦略ステップを効率的に進めるためには、テクノロジーの活用が不可欠です。ここでは、顧客体験の向上に役立つ代表的なツールをいくつか紹介します。

ツール説明
CRM(顧客関係管理)ツール・顧客の属性情報や購買履歴、問い合わせ履歴などを一元管理できる
・顧客一人ひとりに合わせたアプローチを実現できる
MA(マーケティングオートメーション)ツール・マーケティング活動を自動化し、効率化するためのツール
・見込み客の獲得から育成、顧客化、そして顧客維持といった一連のマーケティングプロセスを自動化できる
Web接客ツールWebサイト訪問者に対して、最適なタイミングでポップアップやチャットを表示し、離脱を防ぐことができる

上記のツールを連携させると顧客データの分析からアクションまでをスムーズにでき、よりパーソナライズされた顧客体験を提供できます。例えば、CRMで得た顧客情報を基にMAで最適なメールを配信し、Web接客ツールで個別のオファーを表示するなど、相乗効果を狙えます。

特に問い合わせ対応の効率化にはFAQチャットボットが有効

顧客体験において、問題や疑問を解決するフェーズは非常に重要です。問い合わせ対応がスムーズでない場合、顧客はストレスを感じ、ブランドから離れる可能性があります。この課題を解決する手段としてFAQチャットボットが有効です。

株式会社サンソウシステムズの「さっとFAQ」は500社以上の導入実績があり、コストパフォーマンスと使いやすさで高評価を得ています。Excelで簡単にFAQを作成・編集でき、月額1万円からという低コストで導入可能です。導入支援から運用改善まで手厚いサポート体制も整っているので、顧客体験の向上を目指す方は、ぜひ導入を検討してください。

まとめ:顧客体験の成功事例を参考に自社の価値を高めよう

この記事では、顧客体験(CX)の基本的な概念から、業界別の具体的な成功・失敗事例、そして自社で実践するための5つの戦略ステップまでを解説しました。

スターバックスやニトリ、ANAといった先進企業の事例からわかるように、優れた顧客体験は、もはや単なる「おもてなし」ではありません。顧客を深く理解し、データに基づいた戦略を立て、テクノロジーを活用しながら組織全体で継続的に改善していく経営戦略そのものといえます。

重要なのは、成功事例をそのまま模倣するのではなく、その裏にある「顧客を第一に考える」という本質的な思想を学び、自社のビジネスに合わせて応用していくことです。改めて顧客と真摯に向き合うことが、競合との差別化を実現し、長期的に愛されるブランドを築くための、確かな第一歩となるはずです。

また、弊社サンソウシステムズが提供するチャットボット「さっとFAQ」であれば、Excelから会話データを簡単に作成できるため、プログラミングスキルも一切必要ありません。

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