情シスを効率化させる方法とは?抱える課題と解決法を紹介
情シスは、社内基幹システムの保全などに関して社員をサポートする、社内において重要な役割を担う組織です。
「自社の情シス部門の業務を効率化させたい」と悩んでいる企業の担当者は多いのではないでしょうか。情シスは人材不足かつ多忙になりやすい部門であるため、適切な施策での効率化が必要です。
本記事では、情シスが抱える課題や情シスを効率化させる方法について解説します。情シスは今後のIT環境の整備において重要な部門であり、効率的な運営が求められています。課題を感じている担当者は、ぜひ最後までご覧ください。
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情シスとは
企業の経営をあらゆる側面から支える情シス部門。ビジネスでのIT化が進むにつれ、情シスが担う役割や負担も増しています。
ここでは情シス部門が担う役割について解説します。
情シスの役割
情シスの役割は2つあります。ITインフラの維持管理を行い、従業員の業務を円滑化すること、また、IT戦略やシステム企画を通して経営課題の解決を行うことです。
ITインフラの維持管理には、ネットワークやサーバー、データベースなどを安定させることが求められます。業務を停滞させずに、情報漏えいのリスクを排除します。そのため企業にとっては重要なポジションです。
また、IT戦略を通した経営の課題解決は、ほとんどの企業が着手できていません。従業員のバックサポートだけでなく、情シスが売上拡大に貢献するためにITスキルを使った戦略を考える、企業の抱える課題を解決するためのシステム導入を先導するといった業務を指します。
情シスが非効率化する原因
情シス部門はITスキルであらゆる側面から企業の経営を支える部門です。ビジネスのIT化が進むにつれ、情シスが担う役割や負担も増しています。一方で、さまざまな原因から情シスが非効率になっているのも事実です。
まず情シス部門が非効率になる原因について解説します。
人材が不足している
現在の日本では、働き手が不足しています。「人手不足に対する企業の動向調査(2024年10月)」の調査によると、特に人手不足が深刻化しているのはITエンジニアだと述べています。
情シスの業務をこなせる人材は高いITスキルが求められるため、ITエンジニアに分類されますが、現代の日本では、情シス業務に従事できるほどのITスキルを持った人材が業界を問わず足りていません。
引用:DX白書2024
IPAの調査「DX白書2024」ではIT人材の不足を感じている企業は8割を超えており、独立行政法人情報処理推進機構の調査「デジタル時代のスキル変革等に関する調査」では、DXを担う人手不足を感じている企業は9割と回答しています。
業界関係なく、情報システムはDXに向けての業務だけでなく基幹システムの管理、ヘルプデスク対応などに追われて、容赦なくタスクが積み上がるといった事態が日常的に起こっています。人材を供給しようにも適任者が見つからないため、長きにわたって担当者不足のまま運営されているのです。
情シスだけでなく、日本の人手不足問題を取りまとめている記事もあります。ぜひ参考にしてください。
参照:人手不足に対する企業の動向調査|株式会社帝国データバンク
2025年の崖による業務の複雑化・老朽化・ブラックボックス化
情シスの業務が忙しくなる原因の一つとして、「2025年の崖」があります。2025年の崖とは、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存のシステム(レガシーシステム)が残存した場合に想定される、国際競争への遅れや、日本経済の停滞を指す言葉です。
経済産業省が2018年9月に発表した「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート」によると、下記が2025年に起こるとされている問題です。
- IT人材不足が約43万人に拡大する
- SAP ERPサポートが終了する
- システムの維持管理費が高額化し、IT予算の9割以上となる
2025年時点で、21年以上稼働しているレガシーシステムがシステム全体の6割以上を占めると予測されており、システムの刷新が急務です。このシステムの刷新に乗り遅れた企業は、多くの事業機会を得ることが難しくなります。
システムの刷新を試みようとしても、情シスの機能や担当者が十分でないと円滑に進めることができません。無理にシステムを変更すると、情シスの業務を逼迫する原因になり得ます。
雑多な業務が次々と情シスに流れてくる
自力で解決できる問い合わせが多すぎるのも、情シスが機能不全に陥る原因です。情シス本来の役割は、口頭での説明やディスプレイ共有、現地調査が必要な問題の解決が挙げられます。
しかし業務内容をよく知らない社員は「パソコンやシステムに関してわからないことは、情シスに聞けば何とかなる」と安易に考えています。これでは本来の情シスの業務に注力できません。
問い合わせ過多には、社員・情シス双方の意識改革やシステムの整備が必要です。社内ですぐにできる改善方法には以下のようなものが挙げられます。
- 情シスに問い合わせる前に社内マニュアルやインターネット検索などで自己解決するよう促す
- 社内マニュアルはわかりやすく整備する
- 社内マニュアルの適切な保管を心がける
一つひとつ社内のシステムを整備していくことで、情シスの業務負担を減らせます。
社内マニュアルの一つに、社内FAQがあります。社内FAQに関しては以下の記事で詳しく解説しておりますので、ぜひ併せてご覧ください。

セキュリティ対策の必要性が増してきている
情シス部門が非効率化している原因はセキュリティ対策の必要性増大にあります。組織全体の業務効率化のためにチャットツールやクラウドストレージなどの外部サービスを契約する組織が増加していますが、ツールには当然セキュリティリスクが伴います。
多くの組織では、どのようなツールを導入しているか、誰が利用しているか、どのようなデータがやり取りされているかをなかなか正確に把握できていません。また、利用者が組織の承認なしに独自にITツールを導入する「シャドーIT」も大きな課題です。
組織に導入されるITシステムが複雑化するにつれ、検討すべきセキュリティ対策も必然的に増加しており、情シス部門の業務負担が増大しています。セキュリティリスク増大の課題に対処するには、組織全体でのセキュリティ意識向上と効率的なリスク管理体制の構築が不可欠です。
主要技術の定期的な入れ替え
情シスが非効率化している原因の一つに、主要技術の定期的な入れ替えが挙げられます。技術環境は常に進化しており、組織で利用している主要技術は定期的な見直しが必要です。
例えば、Windowsの特定バージョンがサポート終了を迎えると、新しいバージョンのOSへとアップデートする必要が生じます。OSのアップデートは、互換性の確認やユーザートレーニング、場合によってはハードウェアの刷新まで必要です。
また、長年多くの企業システムで標準ブラウザとして使用されてきたInternet Explorerのサポート終了のように、長期間にわたって依存していた社内システムの改修や代替ブラウザへの移行作業が発生するケースも少なくありません。
今後も、現在使用しているさまざまなソフトウェアやサービスのサポート終了や入れ替えが継続的に発生し、情シス部門はその都度対応していくことが求められます。
情シスが抱える課題とは?
社内において重要な役割を担う情シスですが、実は課題が山積みであるケースも多いです。これから、情シスが抱えるよくある課題について紹介します。
業務の属人化
情シスの担当者が少人数だと業務が属人化し、生産性の低下や社員の離職率が増加するリスクが上がります。
情シスの業務は突発的なトラブルへの対応も含まれますが、マニュアルが十分に整備されていないことも多く、時間のロスにつながってしまいます。また、マニュアルがあったとしてもすべてのトラブルがスムーズに解決できるわけではなく、経験則で判断して解決している場合もあります。経験のある社員が異動や退職などによって抜けてしまうと、トラブルの解決がスムーズに進まず最悪の場合、問題解決が不可能です。
また、業務が属人化すると、システムの善し悪しが表に出ません。フローに問題があったとしても周りからは見えず、いつまで経っても業務の改善が進まないのです。
そのため、情シスは優秀な1人の社員に任せるのではなく、チームを組んで業務の内容を共有しましょう。
リモートワークなど働き方の多様化
近年では働き方改革の影響などもあり、リモートワークの導入が急激に進みました。社外からでもシステムにアクセスできるような環境作りが急がれ、情シスにとってもリモートワーク基盤の再設計に大がかりな作業が必要でした。リモートワークの急拡大により、下記のような問題が浮き彫りになっています。
- ネット環境が社員によって異なる
- 社員のITスキルが不足している
- リモートワーク向けのFAQやマニュアル整備が滞っている
社員の中には自宅にネット環境がなく、スマートフォンのテザリングによって作業をしている人もいます。また「ツールの使い方がわからない」などの疑問が起きたときに、社内であれば気軽に隣の席の人に聞けますが、在宅で業務をおこなっているとすべて自分で解決しなくてはいけません。社内マニュアルやFAQなどの整備が追いついていない場合、情シス担当者への問い合わせが増え、結果として情シスへの負担増加につながります。
業務改善へのリソース不足
情シスにおけるリソース不足の原因の一つに、早期離職問題があります。企業は情シスの人員配置に余裕を持ちたいと考えていても、なかなか人材が定着しません。結果として、情シスの担当者が少人数となってしまうのです。
情シスの担当者が定着しない主な要因は、情シスの業務量が年々増加しているにも関わらず、少人数体制を脱却できないことが挙げられます。経営者が情シスの問題に気付いていたとしても、十分な人材の確保ができず、情シス担当者は日々の業務に忙殺されてしまいます。
専門知識を持った、優秀な人材の確保は業界全体の課題です。結果として、業務改善へのリソースが確保できず、状況が改善しないまま担当者が離職していく悪循環が生まれてしまいます。
ひとり情シス化
「ひとり情シス」とは担当者が1〜3名未満の極めて少ない人数で、社内システム部門の運用や保守業務を担当している状況を指します。特に従業員が数百名程度の企業ではよく見られるポジショニングです。ひとり情シスが増加している背景には下記のような理由が挙げられます。
- IT業界全体での人材不足
- 技術者の退職による担当者不在
- 中小企業を中心にデジタル化への移行が急激に進行
特に中小企業では、情シスの担当者が別の業務と兼任していることも多く、情シスの業務に集中できていません。原因は、情シスの業務内容が社内で軽く見積もられていて、情シス担当者本人も兼務していることにさほど重要性を感じていないためです。慢性的に人材が不足していることから、業務環境の改善が後回しとなり、ひとり情シスや別業務との兼務から抜け出せずにいます。
問い合わせに対する対応の遅れが生じてしまう
情シスでは、業務のスケジュールを立てて予定通りに業務をおこなおうとしても、社内で突発的に起こったトラブルに対応しなくてはなりません。加えて、複数の部署で突発的にトラブルが起きると、同時に対処できないため、対応が遅れてしまいます。
情シスがおこなっている業務は、ときには顧客の満足度や購買決定に深く関係する場合も多いです。例えばRPAツールの導入は、顧客に対する対応速度と深く関係しています。
しかしトラブルの対応に追われ、重要な問い合わせへの対応が遅れている場合、優先順位に沿って対応できているとは言えません。日々の業務にしっかりと向き合っていたとしても、経営陣や周りの部署から非効率な運営がなされていると誤解をされ、情シスへの不満も溜まってしまいます。
業務へのモチベーションが保ちにくい
情報システム部門が直面している課題の1つに、業務に対するモチベーションの維持の難しさがあります。情シス部門は企業の中で「縁の下の力持ち」的な存在で、主にサポート役割を担っていることが多く、直接的に企業の売上や利益に貢献する部門とは見なされにくい特性です。
また、専門的なIT知識を持たない他部門の社員からは、情シス部門が実際に何をしているのか、その業務内容や複雑さが十分に理解されていないケースも少なくありません。さらに、成果が見えにくい貢献は経営層からの適切な評価にもつながりにくく、情シス担当者のモチベーション低下を引き起こす原因となりかねません。
システムが正常に稼働している時には存在が意識されず、問題が発生した時だけ注目される状況も、担当者の達成感や仕事への誇りを育みにくい環境と言えます。
コストカットが常に求められる
情シス部門が直面しがちな課題の1つが、コストカットが常に求められることです。情シス部門は多くの企業で、直接的な利益創出に貢献していないと捉えられがちです。そのため、単に費用がかかるだけの「コストセンター」として認識されることが少なくありません。
コストセンターとして認識されることは、情シス部門の予算や人的リソースが優先的に削減対象となるリスクを高めています。予算削減が進むと、日々のシステム運用や保守に追われるようになり、本来取り組むべき戦略的なIT活用やシステム改善などのコア業務に十分な時間とリソースを割けられません。
実際には、情シス部門はITを活用した業務効率化やコスト削減、さらにはDX推進によるイノベーション創出など、組織に大きな価値をもたらす重要な役割を担っています。一方で、これらの取り組みは即座に目に見える成果として現れにくく、また結果が出るまでに相応の時間を要します。
情シスを効率化させる方法
IT業界全体の人材不足が叫ばれる中、情シスを効率化させるのは容易ではありません。しかし、システムの移管など早急に対応しなくてはならない課題が山積みです。
ここでは情シスの危機的状況を解決すべく、情シスを効率化する方法を紹介します。
マニュアルや社内FAQを整備する
情シス担当者の業務を圧迫する原因の一つが、社内のヘルプデスク業務です。ヘルプデスク業務は突発的に発生しますが、ほとんどの場合、マニュアルをしっかりと読めば、それぞれで解決できるようなトラブルばかりです。
そのような状況を解決するために、社内マニュアルや社内FAQの整備をしましょう。マニュアルやFAQページを充実させて、情シス担当者への問い合わせを減らせれば、情シスの負担を軽減できます。
しかし、社員の中にはマニュアルやFAQページが用意されていても、確認せずに情シスに問い合わせをしてくるケースも多いです。誰でも内容を理解できるマニュアルの作成は非常に難しく、マニュアルやFAQ作成後も適切に管理できなければ、社員にも活用されません。
適切に管理するためには、マニュアル管理ツールやクラウドを利用して、社員がマニュアルにアクセスしやすい方法を探りましょう。

業務の棚卸しをする
日々の業務に追われていると、まとまった時間を作るのは難しいです。しかし「その業務は本当に情シスがやるべき仕事なのか」など、仕事内容を「見える化」して見直すためにも、半期に1度など期間を決めて情シスが抱えている業務の棚卸しをおすすめします。
業務内容を一つひとつ丁寧に確認していくと、作業内容の無駄な部分が見えてきて、結果的に時短につながることもあります。
情シスに限らず、仕事の方法は「前任者がこの方法でやっていたから」といった理由だけで特に見直されることなく、ずっと同じ方法でおこなわれることが多々あります。忙しいと内容を見直して効率の良い方法を考えるのはなかなか難しいですが、負担を減らすためにも、業務の棚卸しは重要な作業です。
トラブルマニュアルを共有する
情シスの業務を効率化させるためには、IT関連のトラブルが起きた際の対応方法をまとめたマニュアルを社内で共有しましょう。トラブルが起きた際にすぐに情シスに問い合わせるのではなく、まずマニュアルを確認するよう徹底すれば軽微な問い合わせを減らせます。
ただし、マニュアルを用意しただけでは、状況の改善にはつながりません。下記の項目に注目して、自社のトラブルマニュアルの見直しをしましょう。
- 内容は誰が見てもわかりやすいか
- 図などを多用して視覚的に理解できるレイアウトになっているか
- 内容を定期的に見直して最新情報になっているか
- 保管場所は社内でわかりやすい場所か
マニュアルの内容や保管場所を見直すと、社内で活用しやすいです。結果として情シス担当者が対応する問い合わせ件数を減らすことができ、情シスの効率化へとつながります。
定型業務の標準化とRPAによる自動化を実現する
これまで人の手でおこなってきた定型業務は、流れや内容を標準化すると効率化できます。標準化した業務は、ロボットによって自動化をおこなう「RPA(Robotic Process Automation)」を使うとさらに社員の負担を減らせます。
情シスでRPAを活用できる業務には、下記のようなものがあります。情シスでおこなっている業務の軽減で、少ない人員でも人がおこなうべきコア業務へ専念が可能です。
- 障害検知
- システム設定作業
- レポーティング
また社内業務でも、データの入力や集計などにRPAを活用できます。RPAを活用して社内の定型業務をすべて自動化できれば、作業工数の圧縮やヒューマンエラーの抑制にもつながります。
ただし、RPAの導入は情シス主導でおこなわれることが多く、現場の社員がRPAの導入を自分事としてとらえていないケースもあります。RPAを導入して活用していくためにも、RPA導入時にFAQを組み込んだチャットボットを用意するなど、わからないことを気軽に聞ける環境作りが大切です。
チャットボットを導入する
社内のヘルプデスク業務の負担を減らすなら、チャットボットの導入がおすすめです。チャットボットとはWebページ上などでユーザーが質問した内容に対し、チャット形式で自動的に回答してくれる仕組みです。チャットボットによくある質問と回答をあらかじめ登録しておけば、情シスは返答の手間を省けます。ツールによっては、社内FAQなどのデータがあれば簡単に導入が可能です。
またチャットボットは、導入後もチューニング作業を繰り返しおこなうツールです。AIを搭載しているツールであれば、長期間の使用でチャットボットが自動で学習し、より高い生産性を確保できます。
LINEなどの外部サービスと連携できるチャットボットツールを選べば、スマートフォンからのアクセスも可能です。もし、自社が今後もリモートワークを続けるのであれば、ツールの機能面にもこだわってチャットボットの選定をしましょう。

外部委託を活用する
保守やヘルプデスク業務は、外部委託すると情シス部門を効率化できます。情シスの業務はITに関する知識が求められますが、知識が十分でない人材が担当しているケースも少なくありません。そうすると簡単な管理や操作にもつまずきやすく、作業の効率が落ちるのです。
ルーティン作業を外部に依頼すると、情シスの負担が減り、自社で実施するよりも効率的な運営が期待できます。また、外部委託はシステムの導入と比べ、労力や費用が抑えられてスタートしやすい特徴があります。
導入費を抑えることで浮いたリソースをコア業務に充てられ、バランスよく合理的に動くことが可能です。
社内のITリテラシー向上に努める
情シス部門の効率化を実現する方法として、社内全体のITリテラシー向上が挙げられます。企業内のすべての従業員が基本的なITスキルを身につけることで、日常的に発生する小さな問題や疑問を各自で解決できるようになるでしょう。
従業員のITリテラシーが向上すれば、情シスへ依存する必要がなくなり、これまで基本的な問い合わせ対応に費やされていた時間を、システム設計やセキュリティ強化、業務改善など、より戦略的で重要な業務に充てられます。結果として、情シス部門の業務効率と組織全体の生産性が同時に向上する好循環が生まれます。
従業員のITリテラシーを効果的に高めるためには、定期的な研修や勉強会の開催が効果的です。また、オンライン学習ツールを導入して、従業員が自分のペースで必要なスキルを習得できる環境を整えることも有効な手段です。
経営陣の意識改革を促す
情シス部門の効率化を実現するためには、経営陣の意識改革を促すことが重要です。情シスの業務負担を軽減するための新たなシステムやツールの導入、あるいは一部業務のアウトソーシングなど、効率化のための施策はどれも金銭的コストが発生し、投資を実現するためには、経営陣の理解と支援が欠かせません。
情シス部門の役割や価値に対する経営陣の理解が乏しい場合、十分な予算が割り当てられないことが多くなります。
状況を改善するためには、システム障害やセキュリティインシデントが発生した際の事業への影響や顧客離れなどのリスクを具体的に説明し、適切な投資がもたらす長期的なメリットを経営陣に理解してもらわなければなりません。
経営陣がITの戦略的価値を正しく認識することで、情シス部門は、組織の競争力を高める部門として適切に評価され、必要なリソースが確保されます。
クラウドサービスを活用する
情シス部門の効率化を実現する有効な手段として、クラウドサービスの積極的な活用が挙げられます。多くの企業では、いまだに社内システムにオンプレミス型のものが残っていますが、これらを積極的にクラウド化していくことで、業務効率の大幅な向上が期待できます。
オンプレミス型システムの課題は、そのシステムの保守・運用を組織内の情報システム部門が担わなければならない点です。一方、クラウドサービスに移行することで、保守・運用業務の多くをサービス提供ベンダーに委託できます。
情シス部門はノンコア業務から解放され、より戦略的かつ組織の価値創造に直結する業務への注力が可能です。
クラウドサービスには次のような種類があります。
種類 | 特徴 |
SaaS | ソフトウェアをクラウド経由で提供してもらう |
IaaS | 基盤のみをクラウド経由で提供してもらう |
PaaS | プラットフォームをクラウド経由で提供してもらう |
自社の状況に合わせて使い分けるとより効果的に活用できます。
チャットボットを利用して情シスを効率化するメリット
情シスを効率化する方法の中でももっとも実現性が高く、効果も得やすいのがチャットボットの利用です。チャットボットは、導入費用が比較的安価で、操作が簡単など、さまざまなメリットがあります。
多くのシステムの中でも、情シスの業務効率化にチャットボットが有効であるメリットを解説します。
入電数を大幅に減らせる
チャットボットがあれば、情シスへの入電数を大幅に削減できます。情シスの作業負荷を増やす最大の要因は、社員によって自力で解決できる問題であるにも関わらず、闇雲に情シスに問い合わせをおこなってしまうことです。無駄な問い合わせが多いと、本当に必要なコア業務が進められません。
しかしチャットボットなら、自動で質問に対する回答を提供できます。チャットボット上で解決しなかった疑問だけを有人対応に切り替えるなど、チャットボットと担当者の連携をしていけば、業務負担の減少が可能です。また、質問をする社員もチャットボットを活用すれば、電話で発生していた回答までのタイムロスを減らせます。情シス部門へのチャットボットの導入は、情シス担当者と質問する社員双方の負担軽減に効果的です。
安い費用で導入できる
シナリオ型のチャットボットは、AI型と比べて導入費用が安価なメリットがあります。製品にもよりますが、初期費用や月額費用を含めても、安い場合には数万円程度での運用が可能です。
人件費や外部委託費用、RPAの導入費用などを考えると、圧倒的にコストパフォーマンスが良く、比較的導入しやすいツールです。大規模な企業でなくても導入しやすい費用感であるため、どの企業にとっても最初の選択肢として検討しやすいです。
例えば弊社サンソウシステムズが提供するチャットボット「さっとFAQ」は、導入費用0円、月額費用10,000円から利用できます。Excelでシナリオの作成が可能で、自動応答やシナリオを始め、ダッシュボードや各種ツール連携の機能を有しています。
チャットボットの導入を考えている方は、ぜひ一度、さっとFAQの詳細をご覧ください。
質問への回答が高速でおこなえる
社員の質問に対する回答が高速でおこなえる点も、チャットボットのメリットです。社員がテキストを打ち込んで送信すれば、ただちに返答が返ってきます。
チャットボットは有人対応のヘルプデスクとは異なり、365日24時間問い合わせに対応が可能です。社員は疑問を感じた時点ですぐにチャットボットに問い合わせできるので、電話がつながらないなどのストレスを感じずに済みます。また、リモートワークの推進などで内線が使えない状態でも、チャットボットがあればすぐに疑問や問題を解決できます。
チャットボットの活用により、結果として問題が解決される速度も向上します。時間のロスを減らし、浮いた時間を他の仕事にあてられるので、情シスを含む企業全体の効率化が可能です。
情シスを効率化させるメリット
社内の重要なポジションである情シスの効率化は、人材も少なくなかなか難航している企業も多いです。しかし情シスの効率化が達成されると、社内全体の効率化へとつながり、やがて利益率の改善など企業の経営にまで影響します。
情シスを効率化するメリットについて解説します。
情シス担当者がコア業務に専念できる
コア業務とは、主に企業のビジネス促進に関与する業務です。攻めの業務、バリュー・アップ・ビジネス領域の業務とも呼ばれています。コア業務の内容は、IT戦略策定支援、ITシステム・インフラ策定計画、セキュリティ戦略など、経営陣との密接な連携が求められます。
業務を効率化し、ヘルプデスク業務が減ってシステムが安定すると、情シス担当者はコア業務に専念でき、社内のデータ活用や、社員の生産性を向上させるITツールの検討など、今まで手がつけられなかった戦略的な業務に工数増加が可能です。
コア業務の割合が増えると、情シス担当者のスキルアップも期待でき、業界の課題となっているIT人材の育成にもつながります。
システムの安定稼働を維持できる
情シスの業務を効率化できれば、システムの保守運用や社内のIT関連業務にゆとりを持たせられ、担当者に余裕ができます。企業貢献度の高い仕事にあてられるので、システムの安定稼働やIT業務・IT環境の改善にも効果的です。特に情シス部門の優秀なエンジニアの時間を、DX推進や新たな技術を導入する企画などの生産性のある業務に使えれば、企業の利益にもつながります。システムが安定して稼働できればトラブルの発生率が低減できるだけでなく、万が一不測の事態が発生したとしても、素早く解決できます。
現代の企業では、ITやシステムの活用が企業活動の肝です。情シス担当者にゆとりを持たせることは、業務品質や対応品質を向上させることにつながるため、企業にとっても大きなメリットです。
企業の生産性向上につながる
情シス部門が効率化すると、コストの削減や生産性が向上します。しかし、業務効率化がもたらすのはコスト削減や生産性向上だけではありません。業務にかかる時間が短縮されることで残業を減らし、新しいアイデアを考える時間やスキルアップをする余裕が生まれます。このような余裕は従業員の満足度を高めることにつながるため、離職率の低下も見込めます。
離職率を下げられれば、不足した人材を補うための採用活動費用や入社した社員の研修費など、無駄なコストの削減も可能です。結果的に企業の利益へとつながり、企業の成長に直結します。
つまり、生産性の向上は組織全体の底力を強化して、社会の変化に柔軟に対応できる体制作りと、積極的に行動できる社員を確保できるのです。
企業のDX推進につながる
IT業界全体の問題は「2025年の崖」です。日本政府は、老朽化した既存システムに対して早々に対応をしなければ、2025年以降年間で最大12兆円の損害が起こると推測しています。既存システムの改修や見直しは短期間でおこなえるものではなく、長期的な期間を必要とする場合も多いため、早期の対応や検討が課題です。
DXをおこなうと、2025年の崖対策だけでなく、万が一の災害やシステム障害による危機にも対応できる環境を構築できます。危機におけるリスクを最小限に抑えることは、企業の継続的運営の推進につながるため、DX推進は最優先で取り組みましょう。
情シスの効率化に成功した事例(チャットボット)
実際にどのようにして情シスの効率化が可能なのか、イメージができない場合のために、チャットボットを導入した情シスの効率化の事例をご紹介します。
事例1:株式会社学研メディカルサポート
株式会社学研ホールディングスは、多岐にわたるIT関連の問い合わせ対応が発生しており、担当者の負担が課題でした。情シス担当の負担軽減のために、業務効率化を目指し「さっとFAQ」を導入し、社員から寄せられるよくある質問を一元管理化して、自動応答で解決できる仕組みを構築。それにより、担当者の対応時間の削減、迅速なサポート提供が可能になり、担当者のパフォーマンスの向上と負担軽減を実現しました。
また利用状況のデータ分析機能を活用して、負担軽減以上にさらなる業務改善を目指すことができた事例です。
事例2:帝人株式会社
帝人株式会社は、高機能繊維や医薬品、医療機器の研究開発・製造・販売など、幅広い事業を展開しているメーカーです。社内には多くの事業本部やスタッフ機能部署があり、各部署がそれぞれ社内イントラサイトを構築しています。
結果的に、情報が各イントラサイトに散見され、社員は必要な情報を見つけられず、バックオフィス部門への問い合わせが集中してしまう課題がありました。また、問い合わせの数が多いだけでなく、何度も同じような質問が寄せられるため、精神的な負担を大きく感じる担当社員も多くいました。
チャットボットを導入したことで、東京総務グループでは問い合わせを20%も削減させることに成功。問い合わせが減少して本来の業務に集中できるようになったことで、残業時間の短縮にもつながりました。
参照:OfficeBot バックオフィスへの問い合わせを自動化!成功の鍵はナレッジ活用!
事例3:株式会社マクロミル
株式会社マクロミルは、アンケートサイトなどを運営する企業です。2016年頃までは電話・対面を中心に情シス業務のサポートをおこなっており、「わからないことはすぐに情シスへ問い合わせをする」認識が社内に定着していました。限られた人的リソースで効率的にサポートをおこなう課題がある中で、膨大な量の問い合わせに対応していたのです。
同じような課題を持っていた総務と連携し、チャットボットを導入。誰でも操作ができることを条件として選定したチャットボットの導入により、総務や人事などITの専門的な知識がない社員でも容易にQ&Aの登録や編集作業をおこなえた点も良かった点の一つだったと言います。
チャットボットの導入により、「どの部署に問い合わせれば良いのかわからない」といった副次的な課題の解決にもつながりました。社員の困りごとに、タイムリーにキャッチアップできる点も、問い合わせ対応の改善や部署の運営に役立っています。
参照:MACROMILL TECH BLOG 「#情シスあるある」をチャットボット(ChatBot)で効率化した話
事例4:株式会社大京
住宅開発を手がける株式会社大京は、「ICTの活用」を重点テーマの1つに掲げています。同社が情シス効率化に取り組むきっかけとなったのは、ITヘルプデスクへの月間約1500件の問い合わせ内容分析でした。全体の約30%がQAサイトで解決可能な内容だったことから、チャットボットを導入します。
導入時には使用用途を明確化し、問い合わせ頻度の高い内容を優先的に学習データとして採用しました。その結果、ITヘルプデスク入電件数が30%削減され、情シス部門はより付加価値の高い業務に時間を割けるようになりました。業務分析に基づく適切なツール導入と明確な目的設定の重要性を示した事例です。
参照:Hitto ITヘルプデスク問い合わせ専用チャットボットを構築し、月間入電件数 30%削減に成功
情シスの効率化に成功した事例(アウトソーシング)
アウトソーシングを活用することで情シスの効率化を実現できます。実際にアウトソーシングを活用した情シスの効率化の例をご紹介します。
事例1:日本映像翻訳アカデミー株式会社
日本映像翻訳アカデミー株式会社は、海外のテレビや映画などを翻訳する映像翻訳者や翻訳家を育成する事業を展開。事業の特性上、大容量の映像データを頻繁にやりとりしているため、ネット障害が発生すると業務に大きな支障が出ます。海外企業との取引は土日におこなわれることも多く、週末のネット障害が大きな機会損失となっていました。
日本映像翻訳アカデミー株式会社は外部委託を活用し、問い合わせ窓口、サーバーやネットワーク機器の障害切り分けと復旧、サーバーの設定変更代行などの業務を委託することにしました。結果として、週末に障害が起きても当日中に解決できる可能性が広がり、業務停止による数百万規模の被害損失を未然に防ぐことに成功。プロに相談できる安心感も得られて、問題解決までの時間も短縮されました。
参照:CanonJapan 情シスの業務効率化を叶える方法!働き方改革を実現するアウトソーシングとは
事例2:株式会社横浜赤レンガ
株式会社横浜赤レンガは、横浜赤レンガの商業施設運営、広場でのイベント企画・運営、観光バス用駐車場の経営を手がける企業です。同社では情シス担当者が1名のみの「ひとり情シス」体制であったため、業務量の多さが大きな課題となっていました。
状況を改善するため、IT業務のアウトソーシングを導入します。アウトソーシング先との協業によって、パスワードのルール化などこれまで見えていなかった課題も明確化しました。導入後は、オンサイト対応に加えてリモートサポート体制が整備されたことで、迅速な問題解決につながっています。
また、専門的な技術・知識を持つ外部パートナーのサポートを受けられるようになったことで、費用対効果の高いIT運用が実現されました。
参照:CROSS HEAD 導入事例 株式会社横浜赤レンガ 様
事例3:株式会社サーラビジネスソリューションズ
株式会社サーラビジネスソリューションズは、エネルギー供給事業を中心とした43社で構成されるサーラグループの情報システム会社です。グループ全体で約4,400台のパソコンが稼働しており、限られた人数のサポート部門ですべての管理をおこなう必要があったため、運用負荷の大きさが課題となっていました。
状況を改善するため、調達から導入までの業務をアウトソースする体制を構築します。少人数の体制でも大規模な入れ替えに対応できるようになり、グループ各社への安定供給体制を整備することに成功しました。
さらに、パソコンが出荷される都度、ハードウェア情報の登録やレンタル契約との紐付けをアウトソーシング先で実施する仕組みにより、情シス部門の情報登録作業が不要になるとともに、精度の高い台帳管理が実現しました。
参照:三菱HCキャピタルITパートナーズ 少人数のパソコンサポート部門で、グループ43社4,000台を超えるIT資産管理と大規模入れ替えを実現。
事例4:寺下石油株式会社
神戸を中心に大阪、東京、岡山で商業用不動産の賃貸業務を展開する寺下石油株式会社では、長年勤務していたシステム担当者の退職により、情シス業務を担当できるものがいないことが課題でした。
担当者は他業務との兼務をしながら1人でシステム関連業務をすべて担当しており、関係資料もわずかしか残っておらず、その内容も担当者本人しか理解できない状態だったのです。
少数精鋭の組織では、システム担当者が一人で多様な業務を担当することが多く、業務の属人化が進みやすい問題があります。特定の個人がいなければシステム運用が滞る状況は企業にとって大きなリスクです。
同社はこの課題を解決するため、システム管理業務を外部に委託する方針を採用します。アウトソーシングにより、退職者の知識に依存しない健全な社内システム運用体制を構築することに成功しました。
参照:iCRAFT iSTAFF事例:寺下石油株式会社様
情シスを優先的に効率化させよう!
あらゆる要因によって機能不全に陥りやすい情シス部門ですが、本来は基幹システムやヘルプデスク、IT統制など重要な業務を担当しています。
しかし情シスの重要性は理解されていないことも多く、人材確保が疎かになり「ひとり情シス」が常態化しているのが現状です。そのような状態ではシステム運営やセキュリティ対策などの重要な業務が満足に実施できません。
情シスを効率化するためには、マニュアルや社内FAQの整備を進め、チャットボットを導入するなど、問い合わせ対応の負担を軽減する仕組みを作りましょう。
情シスが効率化されれば、情シス担当者は本来のコア業務に集中でき、最終的には企業の利益へとつながります。情シスをサポートするツールとして、チャットボットの活用も有効です。
弊社サンソウシステムズでは、月額1万円から導入できるFAQチャットボット「さっとFAQ」を提供しています。Excelでシナリオ作成が可能なので、情シスのヘルプデスク業務の負担を減らせます
30日間のトライアルもあります。「まずは試してみたい」という方はぜひこの機会にお申し込みください。