「問い合わせ対応に追われて、本来の業務に集中できない」
「顧客満足度を向上させたいけど、リソースが足りない」
上記のような悩みを抱えている企業担当者の方は、多くいるのではないでしょうか。
近年、業務効率化や顧客満足度向上に役立つツールとして、チャットボットが注目を集めています。しかし、チャットボットの導入を検討しているものの、導入手順がわからないと感じる方もいるはずです。
本記事では、チャットボット導入の手順を5つのステップに分けて解説します。成果を出すためのポイントなども紹介しているので、併せて参考にしてください。
なお、弊社サンソウシステムズでは、月額1万円から運用できるチャットボット「さっとFAQ」を提供しています。Excelから会話データを作成できるほか、履歴からデータ分析もおこなえるため、スムーズに運用できます。
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チャットボット導入の具体的な手順
チャットボットの導入は、目的の明確化から運用開始まで、いくつかのステップを踏む必要があります。ここでは、導入における具体的な手順を解説します。それぞれのステップを参考にしながら、チャットボットの運用準備を進めましょう。
ステップ1:チャットボット導入の目的を明確にする
まず、チャットボット導入によって何を実現したいかを明確にしましょう。漠然とした目的では、効果的な導入や運用はできません。以下の手順を参考にしながら、目的を明確にしてください。

現状の課題を洗い出し、解決策を検討する
最初に、現状の課題を洗い出します。例えば、以下のような課題が挙げられます。
課題 | 具体的な例 |
問い合わせ対応の負担軽減 | 電話やメール対応に多くの時間を取られ、本来の業務に支障が出ている |
顧客満足度向上 | 問い合わせへの対応が遅く、顧客満足度が低い |
業務効率化 | 単純作業に多くの時間を費やしている |
コスト削減 | 人件費の高騰が課題となっている |
上記の課題に対して、チャットボットがどのように解決策となるのかを具体的に検討しましょう。
達成したい目標を設定する(KPI設定)
チャットボット導入によって達成したい目標を数値で設定します。具体的なKPIを設定することで、導入効果を測定しやすいです。
目標 | 具体的なKPI |
問い合わせ対応時間短縮 | 平均対応時間を現状の半分にする |
顧客満足度向上 | 顧客満足度調査でスコアを10ポイント向上させる |
業務効率化 | 担当者の業務時間を1日あたり1時間削減する |
コスト削減 | 年間の人件費を100万円削減する |
ターゲットユーザーを明確にする
チャットボットを利用するユーザー層を明確にしましょう。年齢層や性別、利用目的などユーザー属性を把握するとより効果的なシナリオを作成できます。
ステップ2:最適なチャットボットツールを選ぶ
目的が明確になったら、最適なチャットボットツールを選びます。多くのツールが存在するため、慎重な選定が必要です。

シナリオ型とAI型の違いを理解する
チャットボットには、大きく分けてシナリオ型とAI型があります。それぞれの特性を理解し、自社ニーズに最適なタイプを選びましょう。
タイプ | 特徴 | メリット | デメリット |
シナリオ型 | あらかじめ設定されたシナリオに沿って回答する | ・導入が容易である ・コストが低い | ・柔軟性に欠ける ・複雑な質問に対応できない |
AI型 | AIが自然言語処理で質問を理解し、回答する | ・柔軟性が高い ・複雑な質問にも対応できる | ・導入が複雑である ・コストが高い ・学習データが必要である |
導入規模や予算、対応できる質問の複雑さなどを考慮して、最適なタイプを選択してください。
自社に合ったチャットボットを見極める
ツール選定にあたっては、以下の点を考慮しましょう。
- 機能:必要な機能(多言語対応、API連携など)が備わっているか
- 費用:導入費用・ランニングコストは予算に合致するか
- カスタマイズ性:自社のニーズに合わせたカスタマイズが可能か
- 導入・運用サポート:導入や運用におけるサポート体制は充実しているか
- セキュリティ:セキュリティ対策は万全か
自社に合ったチャットボットを見極められると、満足度の高いツール運用を実現できます。
ステップ3:担当者や担当部署を決める
チャットボット導入・運用における役割分担を明確化することは、成功への重要な鍵です。担当者や部署だけでなく、各担当者の具体的な役割を明確に定義するとスムーズな導入を実現できます。
具体的には、以下のような役割分担を検討すると良いでしょう。
役割 | 責任 |
プロジェクトリーダー | 導入プロジェクト全体の責任者。スケジュール管理や予算管理、関係各部署との調整をおこなう |
システム担当者 | チャットボットシステムの構築や設定、保守を担当する。技術的な問題解決をおこなう |
コンテンツ担当者 | チャットボットがユーザーとやり取りするシナリオやFAQ、回答などを作成・管理する。ユーザー体験の向上に貢献する |
運用担当者 | チャットボットの運用状況を監視し、必要に応じて調整をおこなう。ユーザーからの問い合わせ対応なども担当する場合がある |
評価担当者 | チャットボット導入効果の測定や分析を行い、改善策を提案する。データに基づいた最適化をおこなう |
上記の役割を明確に定義することで、責任の所在が明確になり、トラブル発生時の対応も迅速に行えます。さらに、定期的なミーティングを行い、進捗状況や課題の共有をおこなうとより効果的な導入・運用が期待できます。
ステップ4:シナリオを作成する
シナリオ作成においてはユーザーの質問を想定し、そのパターンを網羅することが重要です。具体的には、以下の点を考慮すると良いでしょう。
項目 | 内容 |
質問の種類 | 事実確認や意見表明、指示、提案など、多様な質問タイプを想定する |
キーワード | ユーザーが使用しそうなキーワードを洗い出し、それらに対応する回答を用意する |
言い回し | 同じ意味でも表現方法はさまざまあるため、柔軟に対応できるシナリオを作成する |
文脈 | ユーザーの質問は、会話の文脈に依存する。前の発言を考慮したシナリオ設計が必要である |
エラー処理 | ユーザーが想定外の質問をした場合の対応も考慮する必要がある |
曖昧な質問への対応 | 曖昧な質問に対しては、ユーザーに質問を明確化してもらうためのシナリオが必要である |
上記の点を網羅的に検討することで、より自然で質の高いチャットボットを実現できます。

ステップ5:本格的な運用を開始する
テスト運用を行い、問題がないことを確認したら本格的な運用を開始します。運用開始後も定期的なモニタリングを行い、必要に応じてシナリオの修正や改善をおこなうことが重要です。
チャットボット導入で成果を出すための3つのポイント
チャットボットを導入しただけでは、欲しい効果は得られません。導入後の効果測定や定期的なメンテナンス、ユーザーからのフィードバックの活用など、継続的な取り組みが重要です。ここでは、チャットボット導入で成果を出すための重要なポイントを解説します。
導入後の効果測定を忘れずにおこなう
チャットボット導入の効果を最大限に引き出すためには、導入後の効果測定が不可欠です。効果測定をおこなうことで、チャットボットの改善点やさらなる活用方法が見えてきます。効果測定では、以下の指標を参考にしましょう。
指標 | 測定方法 | 改善策の例 |
問い合わせ件数 | 導入前と導入後の問い合わせ件数を比較 | 問い合わせ件数の減少が見られない場合、シナリオの見直しやFAQの追加が必要 |
顧客満足度 | チャットボット利用後のアンケート調査 | 低評価が多い場合は、回答内容の改善や有人対応へのスムーズな切り替えが必要 |
自己解決率 | チャットボットで解決できた問い合わせの割合を算出 | 自己解決率が低い場合は、FAQの充実やシナリオの改善が必要 |
業務効率化 | 導入前と導入後のオペレーターの工数を比較 | 工数の削減が不十分な場合は、チャットボットの機能拡張や業務フローの見直しが必要 |
コンバージョン率 | チャットボット経由での成約率を測定 | コンバージョン率が低い場合は、チャットボットの導線を改善する必要がある |
上記の指標を定期的にモニタリングし、データに基づいた改善を繰り返せばチャットボットの導入効果を最大化できます。
定期的なメンテナンスでパフォーマンスを維持する
チャットボットを導入後は、定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスを怠ると回答の精度が低下したり、不具合が発生したりする可能性があります。定期的なメンテナンスには、以下の項目が含まれます。
メンテナンス項目 | 目安となる実施頻度 | 具体的な内容 |
シナリオの確認・修正 | 月1回以上 | 誤った情報や不適切な回答がないか確認し、必要に応じて修正する |
FAQの更新 | 必要に応じて | 新しい質問や回答を追加し、情報の鮮度を維持する |
データの分析 | 月1回以上 | 利用状況やユーザーの反応を分析し、改善点を見つける |
システムのアップデート | 必要に応じて | セキュリティパッチの適用や機能改善をおこなう |
定期的なメンテナンスをおこなうことで、チャットボットのパフォーマンスを維持しながら、常に最適な状態を保てます。
ユーザーからのフィードバックを積極的に活用する
ユーザーからのフィードバックは、チャットボットの改善に役立つ貴重な情報です。ユーザーの意見を収集・分析することで、チャットボットの精度向上やユーザーエクスペリエンスの改善につなげられます。フィードバックの収集は、以下の方法を参考にしてください。
- チャットボット内のアンケート機能
- メールによる意見募集
- ソーシャルメディアでの意見収集
- ユーザーインタビュー
収集したフィードバックは定期的に分析し、シナリオの改善やFAQの追加などに活用しましょう。ユーザーの声を反映すると、ユーザーにとってより使いやすいチャットボットを構築できます。
チャットボット導入に関するよくある質問(Q&A)
最後に、チャットボット導入に関するよくある質問を紹介します。それぞれを参考に、自社に合ったチャットボットを導入してください。
導入費用
チャットボットの導入費用は使用するツールや機能、カスタマイズの度合いによって異なります。導入費用は大きく分けると、初期費用と運用費用の2種類です。
初期費用はツール導入費用やシステム構築費用、シナリオ作成費用などが含まれ、無料から数百万円のものまで幅があります。無料プランでは機能が制限される場合が多い一方、高額なプランでは高度なAI機能やカスタマイズが可能です。
多くのサービスでは無料トライアルや無料プランが用意されているため、機能を試してみることをおすすめします。
運用費用は、月額料金や従量課金制が一般的です。月額料金は、利用する機能やユーザー数によって変動します。従量課金制は利用状況に応じて料金が変動するため、コストを抑えたい企業に適しています。また、保守・メンテナンス費用が必要になる場合もあり、導入前に確認することが大切です。

導入期間
チャットボットの導入期間はツールの選定やシナリオ作成、テスト、本番環境への移行など、さまざまな工程が含まれます。
そのため、シンプルなチャットボットであれば、数週間で導入できる場合もありますが、複雑なシナリオや高度なAI機能が必要な場合は、数カ月かかることもあります。また、既存システムとの連携が必要な場合も、導入期間が長くなる傾向です。
導入期間を短縮するためには事前に導入目的や要件を明確化し、適切なツールを選択することが重要です。また、導入支援サービスを利用することでスムーズに導入できるでしょう。
ChatGPTとの違い
ChatGPTとは、大規模言語モデルを用いた汎用的なAIチャットボットであり、特定の用途に特化した対話システムです。ChatGPTは高度な自然言語処理能力を有し、幅広い話題に対応できますが、ビジネスシーンでそのまま利用するには、ビジネスロジックの組み込みやデータの連携が必要です。
一方、ビジネス向けのチャットボットは特定の業務に特化して開発されているため、顧客対応や予約受付、FAQ回答など特定のタスクを効率的に実行できます。ChatGPTをカスタマイズしてビジネスチャットボットとして利用することも可能ですが、専門知識や開発スキルが必要です。
項目 | ChatGPT | ビジネス向けチャットボット |
用途 | 汎用的な会話 | 特定業務の自動化 |
機能 | 高度な自然言語処理 | 業務特化型機能(予約、FAQなど) |
導入難易度 | 高め(カスタマイズが必要) | ツール次第で容易なものもある |
コスト | API利用料など | ツールやカスタマイズにより変動する |
どちらを選ぶかは導入目的や予算、技術力によって異なります。特定業務の自動化を目的とするなら、ビジネス向けチャットボットを選択するほうが効率的です。
セキュリティ対策
チャットボット導入において、セキュリティ対策は非常に重要です。顧客情報や企業機密情報を取り扱う場合、データ漏洩のリスクを最小限に抑えるための対策が必要です。
具体的には、以下の対策が挙げられます。
セキュリティ対策 | 説明 |
セキュリティの高いツールを選択する | 信頼できるベンダーが提供するセキュリティ機能が充実したツールを選ぶ |
アクセス制御を厳格化 | 権限のないユーザーによるアクセスを制限する必要がある |
データ暗号化 | 顧客情報や企業機密情報は暗号化して保存・管理する |
定期的なセキュリティ監査 | システムの脆弱性を早期に発見し、対応することが重要である |
ログ管理 | アクセスログなどを記録・管理することで、不正アクセスを検知しやすい |
セキュリティ対策を怠ると、顧客情報の流出やシステム障害につながる可能性があります。導入前に、セキュリティに関するリスクと対策を十分に検討し、適切な対策を講じることが大切です。

チャットボットの導入事例
ここでは、チャットボット導入事例を紹介します。それぞれの事例を参考に、自社への導入検討にお役立てください。

事例1:管理部の問い合わせ負荷軽減
株式会社学研メディカルサポート様の管理部では人事や法務、総務、経理といった一般的な管理業務をはじめ、社内システムの導入・管理など多岐にわたる業務をこなしています。そのため、問い合わせを受けることが多く、業務効率化を検討されていました。
そこでチャットボットを導入し、大幅に時間・費用が削減できていることを実感されています。また、従業員の間で「まずはチャットボットに聞いてから質問しよう」という意識が浸透し、ツールの利用定着も感じられています。
参考:医療従事者に心とコンテンツの両面で寄り添うためにさっとFAQで業務効率を大幅に向上
事例2:カスタマーセンターを取り巻く環境改善
花キューピット株式会社様は人材採用難などを理由に、お問い合わせに対応しきれない状況が発生していました。人員配置や業務効率化による対応では限界があり、チャットボットの導入による問題解決を検討されたのです。
チャットボットの導入前は、お問い合わせフォームに質問を入力してもらい、オペレーターがメールで回答するという流れでした。そのため、お客様が疑問を解消するまでにタイムラグが発生することから、離脱の要因にもなっていたと想定されます。
そこでチャットボットを導入したところ、タイムラグが解消され、お客様満足度の向上に貢献しました。
参考:「お花を贈りたい」という思いに寄り添ってお客様の手間をチャットボットで軽減
事例3:お問い合わせに対応する人手不足解消
株式会社テンダ様は製品・サービスの導入数増加に伴い、ユーザーからのお問い合わせに対応する人手不足が課題でした。受付時間が平日の日中に限られるため、夜間や休日などのお問い合わせにリアルタイムで対応できないことも課題です。
そこでチャットボットを導入したところ、お問い合わせ全体の約2割をツール内で解決することができるようになりました。今後も、既存のFAQをブラッシュアップすることで、チャットボット内で完結できるお問い合わせを増やしていく予定です。
チャットボット導入でビジネスを加速させよう

チャットボットの導入は、業務効率化や顧客満足度向上に大きく貢献する可能性を秘めています。しかし、成功のためには導入後の効果測定や定期的なメンテナンス、ユーザーフィードバックの活用が不可欠です。これらの点をしっかりと意識することでチャットボットを最大限に活用し、ビジネスの成長を加速できるでしょう。
本記事で紹介した手順とポイントを参考に、自社に最適なチャットボット導入計画を策定し、スムーズな導入を実現してください。 具体的なツール選定やシナリオ作成に迷う場合は、専門業者への相談も有効な手段です。
また、弊社サンソウシステムズが提供するチャットボット「さっとFAQ」であれば、Excelから会話データを作成できるため、専門知識がなくてもスムーズに運用できます。
30日間の無料トライアルもご用意しておりますので、ぜひこの機会に導入を検討してみてください。