チャットボットは、自社のプラットフォームとチャットボットの会話機能を連携する「API」を使い開発します。
APIとは、各社が無料で公開しているアプリやソフトウェアをプログラミングでプラットフォームと連携させる技術です。多くの種類があるため、サービス内容や特性を理解して、どのAPIを採用するべきかを考えることが大切です。
今回の記事では、チャットボット開発のためのAPIについて、意味や種類、おすすめのサービスを紹介します。チャットボットAPIを活用するメリットや導入時のポイントについても解説しています。
弊社サンソウシステムズが運営するチャットボット「さっとFAQ」はエクセルから会話データを簡単に作成が可能なシステムです。ノーコードで導入・運用ができます。月額1万円からの低価格、30日間の無料トライアルも用意しましたので、気になる方はチェックしてみてください。
チャットボットのAPIとは
API(Application Programming Interface)とは、アプリやソフトウェアをプログラミングでプラットフォームと連携させる技術のこと。他社がリリースしているサービスとそのサービスを活用したい企業をAPIで連携させることで簡単に使いたい機能を実装することが可能です。
例えば、自社ホームページの会社概要の欄に地図を載せたい時、地図を表示させるプログラムを1から作り上げるのは大変です。しかし、Googleが提供している「GoogleマップAPI」を活用すれば簡単に地図を表示できるので、大幅に作業工数を削減できます。
表示をさせるだけではなく、状況に応じてカスタマイズも可能です。APIは利用したい外部のサービスを簡単に連携できる便利な機能です。
チャットボットとは
チャットボットとは、チャット形式で、ユーザーとやり取りができるシステムです。
ECサイトなどの自社WEBサイトで、会話の窓口が表示されるように設定し、サイト内でユーザーからの質問を解決するといった、問い合わせ対応の役割を担います。
チャットボットを作成する方法は、APIを使い自社で開発をする方法と、他社がリリースするチャットボット作成サービスを利用する方法の2つがあります。
自社でチャットボットを作成する場合は、費用を抑えながら、制限なく自由に開発できる点がメリットです。専門の知識と技術が必要なので、プログラマーが担当することが一般的でしょう。他社がリリースするサービスを使用する場合は、費用がかかる一方で、自社に合うサービスを見つけられれば、プログラマーがいなくても簡単にチャットボットを作成できるというメリットがあります。
チャットボットAPIを導入するメリット
チャットボットAPIを導入すると、問い合わせ対応にかける時間を大幅短縮できるだけではなく、人件費の削減にも繋がります。
ここではチャットボットAPIを導入するメリットについていくつか解説します。
業務効率化が実現される
チャットボットを導入することで、対応する件数やボリュームを減らすことができます。
簡単な質問やよく寄せられる質問への回答をチャットボットに対応を任せることで、オペレーターは別のコア業務に時間を充てられます。本来のすべき業務に注力できるので、社内全体の効率化を実現できるでしょう。
問い合わせに応対するオペレーターは属人性の高い問い合わせにのみ対応すれば良いので、対応品質の向上も見込めます。
ユーザーの操作性が向上する
チャットボットは問い合わせ内容を瞬時に理解し、データベースから最適な返答を選択して対応します。そのため、よく寄せられる質問や簡易的な内容を問い合わせたユーザーは、チャットボット内でスムーズに問題を解決できるようになります。
また、チャットボットは一度に複数の問い合わせに対応できるので、問い合わせ者は回答を待つ時間がなくなり、利便性も高まるでしょう。問い合わせた内容によっては参考の資料や動画なども併せて共有できるので、顧客の満足度向上も期待できます。
すぐに利用を開始することができる
チャットボットAPIは、登録とダウンロードをすればすぐに利用を開始することができます。
プラットフォームにもよりますが、GoogleアカウントやLINEアカウントのようにすでにアカウントを所持している場合は、よりスムーズに導入を進められます。
一般的なチャットボットAPIの導入手順は下記のとおりです。
- チャットボットAPIを提供しているプラットフォームのアカウントを取得・作成する
- チャットボットAPIを申請し、ダウンロードする
- ダウンロードしたチャットボットAPIに回答のデータやシナリオを登録する
- 試験運用をし、ブラッシュアップをする
- 運用開始
- データの更新、修正を繰り返しメンテナンスをおこなう
より詳しく手順を知りたい方は「自社でチャットボットを開発するための手順・ツールを解説します」もぜひご覧ください。
コストの削減に繋がる
チャットボットを導入することにより、24時間365日いつでも対応ができるようになります。
例えば、深夜にオペレーターを稼働させる場合は通常よりも多く人件費がかかりますが、チャットボットであればその人件費のカットが可能です。チャットボットAPIは無料で活用できるものもいくつかあるので、導入コストをあまりかけずに済むのもポイント。導入による費用対効果は非常に大きいと言えます。
チャットボットは運用後にもメンテナンスが必要となるので、完全に対応リソースをカットするということはできませんが、導入前後を比較すると大幅なコストダウンが期待できます。
チャットボットの開発に必要なAPIの種類
APIとは、Application Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)の略で、多くの企業が無料で公開するプログラミング機能の1つです。
APIは、外部のソフトウェアと自社のプラットフォームを連携する役割を果たします。各社が公開するAPIを使い、プログラミングでチャットボットの機能を設定すると、自社のプラットフォームでチャットボットが使えるようになり、ユーザーの利便性向上が期待できるでしょう。
ここでは、チャットボットの開発に必要なAPIの種類を解説します。
チャットボットAPI
チャットボットAPIは、単語や解答のデータベースを登録することで、人間と会話しているかのようなやりとりができるAPIで、チャットボットの本体です。
多くの場合、言語処理システムとセットになっています。言語処理システムは、文章を解析するチャットボットの頭脳に当たる役割を果たします。
チャットボットAPIのプラットフォームは、多くの企業がリリースしており、サービス内容や費用はさまざまです。これらの企業で契約や登録をすると、サービスを受けながらチャットボットを開発・運営できます。
メッセージングAPI
メッセージングAPIとは、SNSとチャットボットを繋ぐためのAPIのことを指します。
コミュニケーションツールを提供している各社が自社のメッセージングAPIを公開しています。メッセージングAPIを使用すると、そのアカウントを通じてユーザーと双方向のコミュニケーションを取ることが可能です。
他のソフトウェアからSNSに投稿できるようになるため、SNS上でチャットボットを使う際は必ず必要です。
チャットボットAPIを導入する際のポイント
導入後の費用対効果を最大化するには、導入する目的を明確にしておくことが重要です。目的を決めておかないと、その後の設定や運用にブレが生じてしまい、期待している効果が得られない可能性もあります。
ここではチャットボットAPIを導入する際に確認すべきポイントについていくつか紹介します。
自社に必要な機能が搭載されているかを確認する
チャットボットAPIにはそれぞれのプラットフォームによって異なる機能が実装されています。
基本となるチャット機能や自動返答機能以外にも、自社に必要な機能が搭載されているかを確認しましょう。費用面と相談し、費用対効果の高いプラットフォームを選択することがチャットボット導入の成功の秘訣です。
実装されている機能には下記のようなものがあります。
- データ解析機能
- 他システムとのAPI連携
- 自然言語解析
チャットボットAPIを利用する目的を明確にしておく
チャットボットを利用する時には導入目的を明確に決めておきましょう。
導入目的を明確に決めておかないと、データベースやシナリオを設定する時に曖昧になってしまいます。これが原因で解決できる問い合わせ件数を増やすことができなくなり、問い合わせ業務の効率化やコスト削減がうまく達成できない場合があります。
導入目的には「問い合わせ対応の効率化」や「一次対応の迅速化」「顧客満足度の向上」などが挙げられるでしょう。また、導入目的と一緒にチャットボットの利用範囲も確認しておきましょう。どこまでをチャットボットが対応し、どこからが有人対応とするのかを決めて対応範囲を明確化します。
操作性
チャットボットを導入する際は操作性もチェックしましょう。
まずはユーザーの目線に立ち、問い合わせがしやすいUIであるかを確認します。操作しにくいプラットフォームを導入した場合、顧客になかなか利用してもらえず、チャットボットのメリットを享受できない結果となってしまいます。
また、チャットボットは導入して終わりではありません。定期的にメンテナンスをし、回答の精度を高めていく必要があります。そのため、運用担当者が使いやすいかという観点でも利便性や操作性を確認しておきましょう。
チャットボットの開発におすすめのAPI
APIの種類がわかったところで、この項では、チャットボットの開発におすすめのチャットボットAPIとメッセージングAPIを紹介します。
IBM Watson Assistant
アメリカのIBMが開発した「Watoson」は、クイズ番組でクイズ王に勝利したとして有名なAI搭載型のチャットボットAPIです。
10カ国以上の言語に対応しているので、アメリカや日本の大手企業のカスタマーサービスで取り入れられています。直感的な操作でわかりやすく、AI検索エンジンやテキスト変換など、チャットボット以外のツールも充実しています。自然言語処理能力が高く、自ら学習してユーザーに最適な解答を送れる点もメリットです。
多くの企業でよく使用されているSalesForceやzendesk、Avayaなどの顧客管理システムと連携することもできます。
Google Dialogflow
Google Dialogflowは、Googleが提供するチャットボットAPIです。旧API.AIをGoogleが買収し、自社サービスとしてリリースしました。
誰でも簡単にチャットボットが作れることをテーマに作られたサービスで、Googleの豊富なデータを元にテンプレートが用意されています。そのため、コードを使ったプログラミングをせずにチャットボットを作成できます。
Googleアカウントがあればすぐに始められる手軽さもポイント。無料トライアルもあるので、自社に適しているか体験することも可能です。複数のチャネルに連携することも得意としているので、将来的に複数のプラットフォームへの展開を考えている企業におすすめのチャットボットAPIです。
Azure bot service
参照:Microsoft Azure bot service
Azure bot serviceは、Microsoft社の「LUIS(Language Understanding)」と呼ばれる言語解析プログラムを用いたチャットボットAPIです。
テキスト形式のシンプルなボットから他のサービスと組み合わせて音声認識などができる高機能なボットまで、さまざまなボットを作成できます。Microsoft TeamsやMicrosoft 365メールなどはもちろん、FacebookやTwitterといったSNSと接続することも可能です。
多岐に渡る機械学習のクラウドサービスが公開されており、テンプレートやソフトウェア開発キットを使い、コーディングをせず短期間でチャットボットを開発できる点がメリットです。
Amazon Lex
参照:Amazon Lex
Amazon Lexは、AmazonでおなじみのAlexaと同様の会話エンジンや、Amazon echoに搭載されたAIアシストの機能を使用できるチャットボットAPIです。
このAIにはフルマネージド型人工知能サービスが使われており、高度な自然言語理解と自動音声認識で、自然な会話ができるチャットボットを開発できます。
専用知識を必要としないため、会話型のチャットボットを気軽に構築したい場合はぜひAmazon Lexを検討してみてください。
Apple SiriKit
iPhoneに搭載されているSiriをカスタマイズできるデベロッパーキットです。声でアプリの機能にアクセスできます。
用途はiPhone上と限られていますが、オフラインでも使用できる利点があり、iPhoneユーザーにとっては親しみがあります。SiriKitでできることは下記のとおりです。
- メッセージ
- 通話
- ToDoリスト
- メモ
- 送金
- 写真の検索
- 配車やレストランの予約
- CarPlayや車の施錠などのカーコマンド
- メディアの再生
Motion.ai
参照元:Motion.ai
Motion.aiは、Facebook MessengerとSlackのチャットボットを作る専用ソフトです。
会話のシナリオは、ソフト上でドラック&ドロップをするだけで作成できます。会話データはソフト上に記録されて分析できるため、運用しながらサービス改善をしていくことが可能です。
CRMやマーケティングオートメーションシステムとも連携ができるので、カスタマーサービスやECサイトにチャットボットの導入を検討している場合はぜひMotion.aiを検討してみてください。
Chatfuel
参照:Chatfuel
Chatfuelは、Facebook Messengerのチャットボットを作成するAPIです。コーディング不要で簡単にボットを構築することが可能です。
Instagram やTwitter 、YouTube などとも連携できる点も特徴。日本国内ではあまり知名度はありませんが、海外では多くのメディアがChatfuelを使用しています。
売り上げの拡大やマーケティングのパーソナライズ、サポートの自動化を実現したいという企業は、ぜひChatfuelを検討してみてください。
Smooch
参照:Smooch
Smoochは、Facebook MessengerやLINE、中国で主流のWeChatなど、多くのアプリケーションと連携できます。Zendeskのような、チャットボットのビジネスアプリケーションとメッセージアプリケーションを繋げる機能があるのも大きな特徴です。
具体的には、Facebook Messengerなどのメッセージアプリケーションに来たメッセージを、ビジネスアプリケーションで返信できます。これにより、メッセージ毎に各アプリケーションに移動する必要がなくなり、業務の効率化が実現できるでしょう。
Facebook for Developers
Facebookは、デベロッパーツールを使用したチャットボットを簡単に開発でき、既に10万個以上のチャットボットアカウントが存在します。商品一覧を表示する、領収書を表示するなどの機能があり、Eコマースチャネルとしての活用も想定されています。実名登録の制度を採用しているため、ビジネスユースのユーザーが多く、BtoBのコネクションにも便利です。
Facebook Messengerでは、対話型チャットボットで顧客の自動対応をすることも可能です。レストランを探してくれたり、スケジュールのリマインドをしてくれたりするAIアシスト機能も搭載しています。
Twitterは拡散力が強く、ビジネスでも頻繁に使用されるSNSです。
Twitterが公開しているDirect Message APIを使えば、ユーザーと1対1でメッセージのやり取りができるダイレクトメッセージ(DM)のチャットボットを作れます。
ダイレクトメッセージでは利用者の年齢や性別、居住地などの属性別にウェルカムメッセージを作成でき、それぞれに適切なチャットボットに誘導するボタンを複数作成できます。プロモーション広告や動画の再生数キャンペーンなどを活用している企業はTwitterがおすすめです。
LINE Bot Designer
LINEは国内最大級のSNSで、LINEを活用したビジネスも拡大しています。LINEでは、LINE bot Designerと呼ばれるAPIを公開しています。
多くのメッセージテンプレートが用意されており、画像・動画の共有や、スタンプの送信にも対応しています。ユーザーとの対話は、普段私達がLINE上でするやりとりのように自然で、グループチャットができる点も大変便利です。
LINEのアカウントを持っていれば誰でもダウンロードして利用することができるので、企業の公式アカウントなどを持っている場合はぜひ活用をしてみてください。
slack bot
参照:slack bot
slackは、ビジネスチャットツールの一つで、slackbotというチャットボットAPIを無料公開しています。個別チャネルへのメッセージ送信やファイルの送信、リマインダー機能など、業務効率化を見込める機能が豊富に備わっています。
slackはリアクション機能が他ツールに比べて充実しているため、社内のコミュニケーションを活性化させたい場合には非常に便利です。また、社内会議室の空き状況や自社のプレスリリースなど、発信や情報収集を自動化させたいという方にもslackbotはおすすめです。ぜひ検討してみてください。
チャットボットAPIを活用する際の注意点
誰でも手軽に導入ができ、業務の効率化に期待ができるチャットボットAPI。導入後は、定期的なメンテナンスが必要となるので、チャットボット運用の担当者を決めておくことがおすすめです。
ここではチャットボットAPIを活用する際の注意点をいくつか紹介します。
チャットボットシステムに詳しい人材が必要になる
チャットボットのAPIを設定するには、チャットボットシステムの専門知識が必要となります。そのため、チャットボットシステムの導入が決定したら、運用担当者を決めておきましょう。
高度なプログラミングの知識がなくてもチャットボットの運用は可能です。しかし、チャットボットは導入後も定期的なメンテナンスが必要なシステムであり、シナリオの見直しや、キーワードの設定、質問パターン設定などメンテナンスの範囲は多岐に渡ります。
スムーズに進められるようにするためには、ある程度の知識を持っている人がベストと言えるでしょう。もし、チャットボットに関する知識を持っている人が社内に誰もいない場合は、設定代行などのサポート体制が整っているチャットボットシステムから選択したり、運用のしやすいUI/UXのシステムを選んだりすることがおすすめです。
導入プラットフォームが限られる
チャットボットAPIは導入プラットフォームが限られています。
途中でプラットフォームを変更したり、複数のプラットフォームを横断的に活用したりしたい場合は別途チャットボットを導入する必要があります。データ移行などの手間が発生する場合もあるでしょう。
チャットボットAPIは将来的な運用計画を見据えて導入を進めていきましょう。
効果が出るまでに時間がかかる場合がある
チャットボットは導入後はすぐにメリットを享受できるわけではありません。
AI搭載型チャットボットの場合、機械学習をおこないチャットボットの回答精度を高める必要があります。一定数のデータが集まるまで、期待している効果が出ないということを理解しておきましょう。
また、チャットボットを導入後はユーザーに対して周知をおこない、利用を促すための働きかけも必要です。チャットボットを設置したことをお知らせしたり、ユーザーに見つけてもらいやすい場所に設置をしたりして工夫をしましょう。
チャットボットのAPIを理解して、自社で開発をしよう。
今回の記事では、チャットボットの開発に必要なAPIの意味や種類、おすすめのAPIについて紹介しました。
チャットボットを開発するAPIの種類は、チャットボットAPIとメッセージングAPIの2種類があります。自社に適しているチャットボットを選択する際の参考にしてください。
また、チャットボットの開発は自社でも可能です。しかし、専門的な知識や技術が必要なため、専用のプログラマーを用意することをおすすめします。自社にプログラマーがいない場合には、他社がリリースするチャットボット作成サービスを利用することで、簡単な設定でチャットボットが作れたり、専門知識を持ったアドバイザーに相談したりできます。
弊社サンソウシステムズが提供するチャットボット「さっとFAQ」は、エクセルから会話データを簡単に作成することが可能。ノーコードで導入・運用することができます。
月額1万円からの低価格、30日間の無料トライアルもご用意しておりますので、この機会に導入をご検討ください。