チャットボットには、大きく分けてルールベース型とAI型があります。自社のシステムにチャットボットを導入する際、どちらを選べば良いのか悩むケースも多いのではないでしょうか。今回は、ルールベース(シナリオ)型チャットボットについて、メリットや注意点、AI型との違いなどを解説します。
チャットボットの導入についてお悩みの場合は、導入方法についても説明しているので参考にしてください。
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ルールベース(シナリオ)型チャットボットとは?
ルールベース型チャットボットとは、シナリオ型チャットボットとも呼ばれ、ユーザーの質問に対しあらかじめ設定した回答をする仕組みです。回答は導入する会社側で用意し、チャットボットに読み込ませれば設定が完了するため、比較的すぐに導入できます。
ルールベース型チャットボットは、起動すると質問の選択肢を表示し、ユーザーはその中から質問したい文章を選択します。その後、さらに細かいカテゴリ選択があれば、ユーザーに次の選択肢を表示する仕組みです。例えば初期画面で「料金」「機能」「登録」の3つの選択肢がある場合「料金」を選択すると「初期費用」「月額料金」のように次の質問が表示されます。
「初期費用」が選択され、それ以降シナリオ分岐がない場合は「○○円」という回答を返して終了です。選択肢以外にも、自由入力できる欄が付いているチャットボットもあります。チャットボットには、よくある問い合わせ内容を集約できるので、顧客からの問い合わせの削減や、社内のFAQとして活用する使い方が可能です。

ルールベース(シナリオ)型チャットボットとAI型チャットボットとの違い
AI型のチャットボットは、ルールベース型と異なり、ユーザーとの対話を通して学習していく仕組みです。
ルールベース型との違いを詳しく解説します。

学習方法と費用
ルールベース(シナリオ)型チャットボットとAI型チャットボットには、学習方法と費用面で違いがあります。ルールベース型は、あらかじめ開発者が「この質問には、この答えを出す」のようにルールを設定します。一方、AI型は過去の会話から学んでいくことで、自分で対応の幅を広げていくことが特徴です。
費用面で見るとAI型は高額で、月額10万円から50万円を超えることもあります。一方シナリオ型は無料のものから数万円程度とコストパフォーマンスに優れています。導入までの時間も、シナリオ型なら早ければ1週間程度で始められるので、気軽に始めやすいことが特徴です。
会社の予算や何を実現したいかによって選択するべきチャットボットが変わってきます。単純な質問に答えるだけで良いならルールベース型、自然な会話を必要とするなら、投資してAI型を選ぶことがポイントです。
回答の幅
ルールベース(シナリオ)型チャットボットとAI型チャットボットは、回答の幅に違いがあります。ルールベース型チャットボットは、開発者があらかじめ用意したルールやシナリオに基づいて応答を生成するため、想定された質問に対しては正確に答えられますが、対応できる問い合わせの範囲には限界があることが特徴です。
一方、AI型チャットボットは機械学習技術を活用し、大量の対話データから学習することで応答パターンを自ら獲得します。学習により、事前に想定していなかった質問や表現の揺れにも対応できるようになり、対応可能な問い合わせの範囲が広いことが特徴です。
ユーザーとの対話を重ねるほど精度が向上し、より自然で柔軟な対応が可能になる利点があります。予測可能な問い合わせが中心ならルールベース型、幅広い質問に対応したいならAI型が適しています。
回答にたどり着くまでの質問の回数
ルールベース(シナリオ)型チャットボットとAI型チャットボットは、ユーザーが目的の情報を得るまでのプロセスに違いがあります。シナリオ型チャットボットはツリー構造で設計されているため、ユーザーはあらかじめ用意された選択肢から順に選んでいかなければなりません。知りたい情報にたどり着くには複数のステップを踏まなければならず、時間がかかることがあります。
一方、AI型チャットボットでは、ユーザーが自由な形式で質問を投げかけられます。AIが質問内容を分析し、最も適切と判断する回答を直接提示するため、情報へのアクセスが早いことが特徴です。
シナリオ型が「質問→選択→次の質問→選択」の段階的なプロセスを必要とするのに対し、AI型は一問一答形式で素早く回答を提供できる利点があります。複雑な情報を求める場合や急ぎの問い合わせには、AI型の方が効率的にサービスを提供できる可能性が高い傾向があります。
回答の正確性
ルールベース(シナリオ)型チャットボットとAI型チャットボットは、回答の正確性に特徴的な違いを持っています。ルールベース型チャットボットは、想定された質問範囲内であれば、プログラムされた通りの正確な回答を常に提供できる点が特徴です。
一方で、AI型チャットボットは学習データの質や量によって精度が左右されます。学習が不十分な場合や、学習データに偏りがある場合には、誤った情報の提供や、的外れな回答はリスクがあるため注意が必要です。
企業がどちらを選択するかは、業務の性質や正確性の重要度によって異なります。厳密な回答が求められる金融や医療などの分野ではルールベース型が適しているなど活用する目的に合わせて選択する必要があります。
ルールベース(シナリオ)型チャットボットを活用するメリット
ルールベース型にもAI型にも、それぞれメリットがあります。使用する目的や導入までの期間、かけられるコストを比べて選ぶのがおすすめです。ここからは、ルールベース型チャットボットのメリットについて解説します。

コストパフォーマンスが高い
ルールベース型チャットボットのメリットは、AI型に比べてコストパフォーマンスが高い点です。設定項目が少なく、システムもシンプルなものが多いため、多くの費用を必要としません。月額数万円から利用できるチャットボットも多く販売されています。
AI型チャットボットの費用相場が、月額10万円から50万円程度であるのに比べると、コストパフォーマンスが高く、気軽に導入できる点もメリットです。
導入までの期間が短い
導入までの期間が短いのも、ルールベース型チャットボットのメリットです。ルールベース型のチャットボットは、設定されたデータに基づき回答する仕組みのため、データが用意できていれば1週間程度で運用開始まで進められるケースもあります。
AI型チャットボットが導入まで数か月を要するのに比べると、用意するのに必要な稼働も少なくて済みます。質問と回答のデータが揃っていない場合はもう少し多く時間がかかりますが、複雑な設定をしない分スタートが早くなるのが特徴です。
回答が正確
ルールベース型のチャットボットは、決められた回答しかおこないません。回答がない場合は、設定した問い合わせフォームや連絡先へ誘導する仕組みです。AI型のように柔軟に対応はできませんが、設定された質問項目に対し一致した回答のみをおこなうため、データに間違いがなければルールベース型の方が正確な回答を提供できます。
質問が定型化しやすく、シナリオ通りの回答で十分な場合に最適です。
専門的なスキルが不要
導入や運用に際し、専門的なスキルが不要な点も、ルールベース型チャットボットのメリットです。ルールベース型チャットボットに設定するデータは、ベンダーが用意したテンプレートに入力するだけなので、誰でも簡単に設定ができます。プログラミングなど専門知識やスキルは必要ありません。
チャットボットを導入しても専門の人員を配置しなければならない場合、コストがかかります。ルールベース型チャットボットは、データだけ用意すれば良いため、敷居が低いサービスです。
伝えたい情報に誘導できる
ルールベース型チャットボットは、回答を表示する際、資料請求やアンケートに誘導もできます。例えば、製品の機能について質問したユーザーに回答を表示した後、追加の情報としてパンフレットや商品申し込みページへの誘導も可能です。
ルールベース型は、企業側が設計した通りのシナリオ分岐をおこない、最終的な回答へと導きます。ただ回答するだけではなく、SNSの登録やアンケート、商品購入など、ユーザーを次のアクションへつなげる設計も可能です。
ルールベース(シナリオ)型チャットボットを活用するデメリット
ルールベース(シナリオ)型チャットボットは、使い方によっては少し不便に感じることがあります。さまざまなカテゴリから選択する仕組みのため、カテゴリの分け方がわかりにくいと、自分の質問がどこに該当するのかわからず使い勝手が悪い印象を与えてしまいます。
特に、100種類以上もの質問が想定されるような複雑なケースの場合、選択肢が多すぎて使いづらいチャットボットとなりかねません。
ユーザーからの問い合わせが複雑な分野や、質問の内容が多岐にわたる場合は、カテゴリ分けが追いつかなくなることもあります。そのようなときは、AI型チャットボットの方がスムーズに対応できるケースも少なくありません。
シナリオ型は手軽で確実な反面、質問パターンが広がりすぎると使い勝手が難しいため、多くの質問に柔軟に応えたいときは、AI型を検討してみる価値もあります。
AI型チャットボットのメリット・デメリット
AI型は多くのデータから統計的に最適な答えを見つけ出す能力があるため、ユーザーが本当に知りたいことに、より的確に応えられます。ユーザーが潜在的に求めていることを読むように、ニーズに合った回答ができるのが強みです。
また、AI型は自然な会話を得意とするため、人と話しているような心地よさを感じられます。親身になって話を聞いてくれるような印象も与えられることから、企業のブランドイメージを高めるのにも一役買ってくれます。
一方で、回答の精度を高めるためには大量のデータで勉強させなければなりません。パターンを学習させて、初めて見る質問にも対応できるようにするのは、時間も労力も必要です。
データの準備や学習には時間と労力がかかることから、その分導入費用が高くなりがちです。AI型は優れた能力を持つ分、育てるのにも手間とコストがかかるため、長期的な効果と初期投資のバランスを考える必要があります。
ルールベース(シナリオ)型チャットボットを活用できるケース
ルールベース型チャットボットはコストパフォーマンスに優れていることから、利用シーンがマッチする場合は使いやすいチャットボットとして活用できます。AIと比較して特定の質問への正確性が高いため、正しい回答が求められる分野では重宝します。活用できるケースを紹介するので参考にしてみてください。
カスタマーサポートで活用する
ルールベース(シナリオ)型チャットボットは、カスタマーサポートで活用できます。ルールベース型のチャットボットは、幅広い質問に答えるのは難しいものの、特定の分野に深掘りした対応ができることが特徴です。
例えば、ECサイトなどでよくある事務的な問い合わせに適しています。「ログインできない」「パスワードを忘れた」「支払い方法を知りたい」「送料はいくらかかるか」などパターン化された質問には手際よく答えられます。
定型的な問い合わせが多いサイトでは、シナリオ型チャットボットによる効率的なユーザーサポートが可能です。専門分野に特化したガイド役として、的確な案内ができるので、単純だけど重要な質問に素早く対応したいときには、心強い味方になってくれます。
社内向けのヘルプで活用する
ルールベース(シナリオ)型チャットボットは、社内向けのヘルプデスクとしても活用できます。社員が日常的に困りがちな「慶弔休暇ってどうやって申請するのか」「交通費の精算方法を教えて」「PCが壊れたときはどうすれば良いか」などの質問に、スムーズに答えられるのが特徴です。
よくある質問に対するマニュアルを探す手間が省けるため、社員の時間も節約できるほか、総務や情報システム部門の負担軽減も可能です。電話やメールで問い合わせる前に、まずはチャットボットに聞いてみる流れができれば業務効率もアップします。
ルールベース型のチャットボットは、特定の決まった回答を案内することが得意なため、社内ルールのような「正解が決まっている情報」を伝えるのに適しています。会社の規定やマニュアルなど、明確に定められた情報を迅速に提供してくれる、頼れる相談先として活躍してくれるでしょう。
AI型チャットボットを活用できるケース
AI型チャットボットは、問い合わせの内容が多種多様なケースに活用できます。ユーザーからの質問が予測しきれないほど幅広い場合、柔軟に対応できるAI型が頼りです。
「こんな感じの商品を探しているのだけど」のような曖昧な相談や、ユーザーの本当の希望を読み取って適切な商品やサービス提案するような複雑な会話などにもAI型チャットボットは適しています。
例えば「夏の旅行で涼しい場所に行きたいけど、人混みは避けたい。自然も楽しめて、地元の料理も楽しめるところ」などの複数の条件が絡み合う質問でも、AI型なら会話の流れから重要なポイントを拾い上げて、最適な提案が可能です。
人間らしい判断が求められるケースでは、データから学習して臨機応変に対応できるAI型チャットボットの方が、ユーザーにより満足してもらえる対応ができます。
ルールベース(シナリオ)型チャットボット活用時の注意点
ルールベース型のチャットボットは、AI型に比べ、コストパフォーマンスに優れ簡単に導入できるメリットがあります。しかし、いくつかの注意点があります。AI型であればできることがルールベース型では難しいケースもあるため、注意点を確認しチャットボット導入の目的にどちらが合致するか確認しましょう。
回答できる質問の幅が狭い
ルールベース型のチャットボットは、設定した項目以外のことは回答できません。想定される質問が膨大な場合、すべてのデータをチャットボットに設定する必要があります。仮に設定をおこなった場合でも、質問の選択肢が多すぎてユーザーの使い勝手も悪くなるでしょう。
チャットボットで回答できない場合、問い合わせフォームや連絡先を案内することになるため、導入した効果が得られません。ルールベース型は、企業サイトの「よくある質問」やマニュアルに載っている回答をおこなう場合に向いているといえます。
会話が不自然になることがある
AI型のチャットボットは、オペレーターとチャットでやりとりしているような自然な会話ができます。それに対してルールベース型のチャットボットは、設定された項目を返答するだけです。しかし、見た目はチャットですので、会話しているようでないと不自然に感じることもあるでしょう。
マニュアルやFAQからそのまま引用してしまうと、質問に対して回答が不自然になってしまうことがあります。ルールベース型は、言葉のアレンジができませんので、テストした際に違和感があれば修正しましょう。
複雑な質問には不向き
ルールベース型のチャットボットは、「料金」「機能」のように単一の項目で回答できる場合には対応できますが、料金と機能を両方知りたいといった複雑な質問には向きません。もし、ルールベース型チャットボットに対応させる場合、まず料金の質問に答え、最初の選択肢に戻ってから機能の質問に回答します。
また、選択肢の階層が多くある場合には、ユーザーは質問を選択するのに疲れてしまい、離脱する可能性が上がります。複雑な質問に対応しなければならない場合は、AI型の導入を検討しましょう。
ルールベース(シナリオ)型チャットボットの導入方法
メリットや注意点を理解し、自社にルールベース型のチャットボットが向いていると判断した場合、気になる点は導入方法ではないでしょうか。ここからは、ルールベース型チャットボットの導入方法を説明します。
1. 目的に合わせターゲットやペルソナを決める
ルールベース型チャットボットを導入する際は、まず目的を明確にしましょう。目的として代表的なものは以下です。
- 顧客の問い合わせ対応
- オペレーターのヘルプデスク
- コンバージョン率のアップ
目的が決まったら、ターゲットやペルソナを決めましょう。ルールベース型チャットボットの場合、あまり範囲を広くしてしまうと、メリットが活かしにくくなってしまいます。顧客の問い合わせ対応であっても、どこまでの範囲に絞るのか考えておきましょう。
2. 必要な機能のあるチャットボットを選定する
目的に合わせたターゲットやペルソナが決まったら、導入するチャットボットを選定しましょう。チャットボットを選定する際は以下の項目で比較して、費用と必要性とで検討します。
- シナリオ登録の方法は簡単か
- 利用分析機能の充実
- セキュリティ対策
- 外部ソフトとの連携
その他に、多言語対応やアクセスしたユーザーを分析できる機能、サポートなどが付いているチャットボットもあります。高機能なほど月額料金は上がっていくため、必要な機能を見極めるのが重要です。
3. 過去のデータからよくある質問と回答を洗い出す
導入するチャットボットが決まったら、登録するデータを選定します。ルールベース型チャットボットが対応できる、答えが決まっており複雑でない質問をピックアップしましょう。もし、データがない場合には、1~2か月程度データを蓄積する時間が必要です。
4. よくある質問と回答をシナリオにする
過去の問い合わせデータやFAQからチャットボットに登録したいデータを形式に合わせて作成しましょう。質問を選ぶと再度選択肢が出るシナリオ形式の場合には、カテゴリに分けて整理する必要があります。あまり複雑にならず直感的にわかりやすいよう、ユーザーの目線で考えるのが重要です。
過去のデータやFAQがある場合にも、そのままチャットボットに登録すると、不自然に感じる場合があります。質問と回答に違和感がないか確かめながら登録するようにしましょう。
5. テスト運用後、本格導入へ
データの登録が終わったら、実際にチャットボットが動かせる段階に進みます。すぐにスタートするのではなく、テスト運用をおこなってから、本格的に導入するのがおすすめです。
テスト運用時には、
- 回答と質問は一致しているか
- 会話が不自然ではないか
- 選択肢が適切に設定されているか
といった部分に注目して確認しましょう。
チャットボットを手軽に導入したいならさっとFAQがおすすめ

ルールベース型とAI型、それぞれのチャットボットにメリットがあり、どちらを選択すれば良いか悩まれている場合もあるでしょう。そのような場合、手軽に導入できるチャットボットを選ぶと良いです。
AIを搭載した機械学習型のチャットボットは、今までに学習したデータを基に回答を生成します。そのため、導入前にデータを用意し学習させる必要があるので、導入までの時間がルールベース型に比べて長いです。
よって、導入までのコストや時間を抑えたい方はルールベース型が適しています。
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