「社内ヘルプデスクの問い合わせ対応に追われている……」「本来の業務に集中できない……」そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
近年、業務効率化の手段として、社内ヘルプデスクにチャットボットを導入する企業が増えています。チャットボットで自動対応することにより、問い合わせ対応にかかる時間を大幅に削減できます。さらに、回答の均質化やデータ分析によるサービス改善など、さまざまなメリットがあります。
本記事では、社内ヘルプデスク向けチャットボット導入の完全ガイドとして、メリット・デメリットや、チャットボットの選定ポイント、具体的な導入事例をご紹介します。
FAQの自作方法やChatGPT活用についてまで、2025年最新の情報に基づいて徹底解説します。
チャットボット導入を検討している方、ヘルプデスク業務の効率化を目指している方は、ぜひ最後までご覧ください。
社内ヘルプデスクが抱える課題
本章では、ヘルプデスク担当者・利用者が抱える課題を解説します。
ヘルプデスク担当者の課題
ヘルプデスク担当者は、日々多くの問い合わせに対応する必要があり、業務負担が非常に大きくなりがちです。
具体的には、以下のような課題が挙げられます。
- 問い合わせ件数の増加: 企業規模の拡大やシステムの複雑化に伴って問い合わせ件数が多くなり、本来の業務に集中できなくなります。
- 問い合わせ内容の多様化: IT関連や人事、経理、営業など幅広い知識と対応能力が求められ、負担が増大します。
- 対応時間の不足: 限られた時間内で多くの問い合わせに対応する必要があり、迅速かつ正確な対応が求められます。対応が遅れると、従業員の業務に支障をきたす可能性があります。
- が生じ、利用者に混乱を招きます。知識や経験の差による回答の質の差も問題となります。
- 記録・管理の煩雑さ: 問い合わせ履歴の記録・管理は担当者にとって大きな負担となる上、適切な記録・管理ができないと、問題解決の遅れや再発防止策の検討が困難になります。
利用者の課題
ヘルプデスクを利用する従業員側にも、さまざまな課題があります。迅速かつ正確な情報提供ができないと、業務効率の低下や不満につながります。
- 問い合わせ対応の遅延:問い合わせに対して迅速な対応が得られないと業務が滞り、生産性が低下します。特に緊急性の高い問い合わせの場合、対応の遅れは大きな影響を与えます。
- 回答内容の不明瞭さ:回答が不明瞭で理解しにくい表現があると、問題が解決せず再度問い合わせをする必要が生じます。
- 必要な情報が得られない:問い合わせ内容が適切に伝わらず、必要な情報が得られないケースもあります。これにより、従業員は自力で解決策を探し、他の部署に問い合わせをする必要が生じるなど、余計な時間と労力を費やすことになります。
- 対応時間外の問い合わせへの対応:営業時間外に発生した問題への対応が遅れると、業務に大きな支障をきたす可能性があります。
- 問い合わせ方法の煩雑さ:問い合わせ方法が複雑で、複数の窓口が存在すると、従業員はどの窓口に問い合わせれば良いのか迷ってしまい、問い合わせ自体をためらう可能性があります。
社内ヘルプデスク業務にチャットボットを導入するメリット
本章では、社内ヘルプデスクにチャットボットを導入するメリットを7つご紹介します。
ヘルプデスク担当者の業務負担を軽減できる
チャットボットは、よくある質問(FAQ)や事前に登録した内容に応じて自動回答することで、ヘルプデスク担当者の負担を軽減できます。
担当者はより複雑で高度な問題解決に集中できるようになり、業務の質向上にもつながります。
結果として、担当者の残業時間削減や、精神的なストレス軽減も期待できるでしょう。
時間や場所を選ばずに対応できる
チャットボットは24時間365日稼働するため、時間や場所に縛られずに問い合わせに対応できます。
自社の営業時間に合わせて、深夜や休日でも問い合わせに対応できる体制を構築すれば従業員の待ち時間を削減し、迅速な問題解決が実現できます。
また、リモートワークを導入している場合も、すぐに必要な情報を得られることもメリットのひとつです。
特に緊急性の高い問い合わせに対応する際に役立ちます。
知りたい情報を簡単に得られる
従業員はチャットボットを通じて、簡単・迅速に必要な情報を得られます。多くのチャットボットは複雑な手順を踏むことなく直感的に操作できるため、検索時間の削減も期待できます。
結果として従業員の業務効率が向上し、生産性の向上につながるでしょう。
回答内容の均質化が図れる
チャットボットは事前に設定された内容に基づいて回答するため、担当者によって回答内容が異なるといったばらつきを解消し、回答の均質化が可能です。
情報の一貫性を保ち、従業員に正確で統一された情報を提供できます。情報の一貫性を保つことで、企業全体で物事の判断がしやすくなり、顧客対応の向上が期待できます。
また、企業全体の統一感を高め、従業員のエンゲージメント向上にもつながるでしょう。
従業員満足度が高まる
迅速かつ正確に情報を提供することや、24時間365日のサポート体制により、従業員の満足度向上につながります。
問い合わせ対応にかかるストレスが軽減され、業務効率の向上も相まってより働きやすい環境が実現します。
生産性向上につながる
ヘルプデスク担当者の業務負担軽減や、従業員の情報取得の効率向上は、企業全体の生産性向上に大きく貢献します。
チャットボットによって業務を効率化し時間とリソースを節約できることは、新たな事業への投資や既存事業の強化につながります。
対応履歴のデータ化で分析と改善が進む
多くのチャットボットは、問い合わせ履歴をデータとして蓄積します。
データを分析することで、従業員の困りごとやよくある問い合わせ内容、システム上の問題点を発見し、ヘルプデスク業務の改善に役立てられます。また、FAQの改善や新しいFAQの追加をすることも可能です。
社内ヘルプデスクにチャットボットを導入するデメリット
本章では、社内ヘルプデスクにチャットボットを導入するメリットを7つご紹介します。導入を検討する際には、メリットとデメリットを比較検討し、自社にとって最適な選択をする必要があります。
複雑な質問への対応が難しい場合がある
チャットボットは、事前に設定されたFAQやシナリオに基づいて回答するため、複雑な質問や想定外の質問には対応できない場合があります。特に、専門的な知識や判断が必要な質問、個別の状況に応じた対応が必要な質問には、人間のオペレーターによる対応が必要となる可能性があります。
人間のオペレーターにスムーズに引き継げる仕組みを構築することで、より幅広い質問に対応でき、業務効率化を実現できるでしょう。
チャットボットはすべての問い合わせに対応できるツールではなく、業務効率化のサポートをしてくれるツールとして捉えることが大切です。
導入・運用コストが発生する
チャットボットの導入には、初期費用(システム導入費用、カスタマイズ費用など)と運用費用(保守費用、メンテナンス費用、AI学習データ作成費用など)が発生します。
費用は、チャットボットの種類、機能、導入規模によって大きく変動するため、導入前に見積もりを取ることが必要です。導入コストに加え、運用コストも継続的に発生することを考慮し、予算計画を立てましょう。
コストを抑えるためには、導入前に必要な機能を明確化し、必要のない機能を省くことや、自社に合わせた柔軟な対応をしてくれるサービスを選んだりすることが重要です。
セキュリティ対策を徹底する必要がある
チャットボットは社内情報や個人情報を取り扱う可能性があるため、セキュリティ対策の徹底が不可欠です。具体的には、アクセス制御、データ暗号化、ログ管理などの対策が挙げられます。
チャットボットを選ぶ際には、サービスのセキュリティ面をしっかりと確認することが大切です。また、従業員へのセキュリティ教育も実施し、セキュリティ意識の向上を図る必要があります。
社内ヘルプデスクにチャットボットを導入する際の注意点
社内ヘルプデスクにチャットボットを導入する際には、いくつかの注意点を踏まえることで、導入後の運用をスムーズに進め、効果を高められます。
本章では導入時の注意点を3つ解説します。
目的と導入範囲を明確にする
はじめに、チャットボット導入の目的と導入範囲を明確にします。
「問い合わせ対応を効率化したい」という漠然とした目標では、効果的なシステム設計や運用ができません。具体的な目標を設定し、その目標達成のためにチャットボットがどのように活用できるかを詳細に検討する必要があります。
以下の例を参考に、事前に目的と導入範囲を明確化しておきましょう。
項目 | 具体的な例 |
導入目的 | ・問い合わせ対応時間の短縮 ・担当者の業務負担軽減 ・回答の均質化 ・24時間365日の対応体制構築 |
導入範囲 | ・FAQ対応 ・簡単なトラブルシューティング ・特定業務への問い合わせ対応 ・全社導入、部署単位、特定の業務に限定するか |
KPI設定 | ・問い合わせ対応時間 ・解決率 ・担当者の業務時間 ・従業員満足度 |
対象ユーザー | ・全従業員、特定部署の従業員など |
導入範囲を絞り込むことで、初期費用や運用コストを抑え、効果測定もしやすくなります。段階的な導入を検討することも有効です。
適切なチャットボットの種類を選ぶ
チャットボットには、主にAI型とシナリオ型のタイプがあります。それぞれの特性を理解し、導入目的や予算、社内のIT環境などを考慮して、最適なタイプの選択が重要です。
チャットボットの種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
AI型 | 自然言語処理技術を用いて、ユーザーの質問を理解し適切な回答を生成する | ・複雑な質問にも対応可能 ・学習機能により精度向上 | ・導入、運用コストが高い ・学習データが必要 ・初期精度の低い |
シナリオ型 | あらかじめ設定されたシナリオに基づいて回答する | ・導入、運用コストが低い ・シンプルなFAQ対応に最適 | ・複雑な質問には対応できない ・シナリオ作成に手間がかかる |
AI型は高度な対応が可能ですが、導入コストや運用コストが高く、十分な学習データが必要となります。シナリオ型は導入が容易でコストも低いですが、複雑な質問には対応できません。自社のニーズに最適なタイプを選択することが重要です。
シナリオ型のチャットボットでおすすめなのが、サンソウシステムズが提供する「さっとFAQ」です。Excelから簡単に会話データを作成でき、プログラミングスキルなど専門的な知識は必要ありません。

運用体制を構築する
チャットボットを導入しただけでは、効果は期待できません。導入後も継続的に運用していくための体制を構築することが重要です。具体的には、以下の点を考慮する必要があります。
項目 | 内容 |
担当者の選任 | ・チャットボットの運用管理、保守、改善をおこなう担当者を明確する ・専門知識やスキルを持つ人材を配置する |
定期的なメンテナンス | ・システムの更新、データの修正、回答精度の確認などを継続的におこなう |
フィードバックの収集と活用 | ・ユーザーからのフィードバックを収集し、チャットボットの回答精度や機能を改善する |
教育・トレーニング | ・チャットボットの使用方法や活用方法に関する教育・トレーニングを実施する |
セキュリティ対策 | ・機密情報を取り扱う場合は、セキュリティ対策を徹底する |
これらの点を考慮し、継続的な運用体制を構築することで、チャットボットの効果を高められます。
失敗しないためのチャットボット選定ポイント!4つの軸で徹底解説
本章では、失敗しないためのチャットボット選定ポイントを4つの軸で解説します。導入コストの無駄や業務効率化の失敗につなげないようにチェックしておきましょう。
選定軸1: タイプ
チャットボットには、大きく分けてAI型とシナリオ型があります。それぞれのタイプの特徴を理解し、自社のニーズに最適なタイプを選びましょう。
AI型
AI型チャットボットは、自然言語処理技術を用いて、ユーザーの質問を理解し適切な回答を生成する仕組みです。事前に設定されたシナリオに依存しないため、柔軟な対応が可能で複雑な質問にも対応できます。
ただし、導入・運用コストが高く、学習データの質によって精度のばらつきが生じる可能性があります。また、初期設定に時間と手間がかかることも覚えておきましょう。
シナリオ型
シナリオ型チャットボットは、事前に設定されたシナリオに基づいて回答する仕組みです。AI型と比べて導入・運用コストが低く、シンプルなシステムで構築できます。
ただし、対応できる質問がシナリオに限定されるため、複雑な質問には対応できない可能性があります。
選定軸2: 機能性
チャットボットの機能性も重要な選定ポイントです。自社のニーズに合った機能を備えているかを確認しましょう。
対応チャネル
チャットボットが対応するチャネルを確認しましょう。Slack、Microsoft Teamsなど社内システムとの連携を考慮し、必要なチャネルに対応しているか、API連携ができるかの確認が必要です。
対応していない場合は、導入や設定変更が必要となる可能性があります。
AI連携
AI連携機能は、チャットボットの精度向上に大きく貢献します。
AIを必要とする場合は、自然言語処理、機械学習、音声認識などのAI技術との連携状況を確認する必要があります。
多言語対応
グローバル展開をしている企業や、多様な言語を使用する従業員がいる企業は、多言語対応機能が必須となります。
重要な情報伝達がスムーズにおこなえず、業務効率を低下させないために多言語機能があるか確認が必要です。
選定軸3: 費用
チャットボットの導入には、初期費用、月額費用、運用費用などさまざまなコストが発生します。予算に合わせて最適なプランを選択しましょう。
初期費用
導入に必要な初期費用を確認します。
初期費用には以下のものが含まれることが多いです。
- システム構築費用:データベース構築費用、サーバー構築・導入費用、ネットワーク構築費用など
- カスタマイズ費用:機能追加・変更費用、インターフェース開発費用、デザイン・UI/UX設計費用など
- その他費用:導入支援費用、ライセンス費用など
上記以外にも、サービスによって費用が発生する可能性があります。正確な見積もりを得るためには、運営会社と詳細な打ち合わせをおこない、条件を明確に伝えることが重要です。 費用だけでなく、それぞれの項目の内容をよく理解し、納得した上で導入を進めましょう。
月額費用
利用料金体系を確認しましょう。ユーザー数、機能、利用頻度などによって月額費用は変動します。
例えば、ユーザー数であれば同時アクセスユーザー数やアカウント数などが多いほど月額費用は変動することが多いです。また、保存するデータ量やシステムへのアクセス頻度やデータ使用量も料金に影響する可能性があります。
「どのような目的で導入するのか」「欠かせない機能は何か」などをしっかり伝えた上で、複数のサービスを比較検討しましょう。
運用費用
運用にかかる費用も考慮する必要があります。具体的には、保守費用やメンテナンス費用、FAQ更新費用などが挙げられます。
チャットボットの運用において、ユーザーからの問い合わせが多い項目について迅速な対応と定期的な更新は欠かせません。更新作業に費用はどの程度かかるのかチェックしておきましょう。
費用対効果をしっかりと見極め、システム導入によるメリットを得られるように綿密な計画を立てることが大切です。
選定軸4: サポート体制
導入後のサポート体制も重要な選定ポイントです。万が一トラブルが発生した場合でも、迅速に対応してくれる体制が整っているかを確認しましょう。
また、電話・チャット・メールなどどのような方法で対応してくれるかもチェックしておくことが大切です。
導入サポート
導入サポートの内容を確認しましょう。システム設定、初期データ登録、従業員への教育など、導入をスムーズに進めるためのサポートが充実しているか確認が必要です。
運用サポート
運用サポートの内容を確認しましょう。運用中のトラブル対応、機能追加、システム更新など、継続的なサポート体制が整っているか確認が必要です。
保守体制
保守体制を確認しましょう。システムの安定稼働を確保するための保守体制が整っているか確認が必要です。 定期的なメンテナンスやセキュリティアップデートなどが含まれます。
【比較表付き】主要ヘルプデスク向けチャットボット5選を徹底比較!
本章では、主要な5つのチャットボットの比較表を用いて徹底的に比較します。
それぞれの機能、価格、強み・弱みを理解し、自社に最適なチャットボットを選定する際の判断材料としてご活用ください。
チャットボット名 | 料金体系 | AI機能 | シナリオ作成機能 | Excel対応 | 分析機能 | 連携可能なツール | 導入サポート | 強み |
さっとFAQ | 10,000円~50,000円 | ○ | ○ | ○ | ○ | InCircle、WowTalk、LINE WORKSなど | ○ | ・シンプルな操作性 ・導入の容易さ ・高度なセキュリティ対策 |
OfficeBot | 要お問い合わせ | 〇 | × | 〇 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | ・社内チャットボットに特化 |
HiTTO | 要お問い合わせ | 〇 | × | × | 〇 | LINE WORKS、Slack、Chatworkなど | ○ | ・豊富な実績 ・AIシステム設計なし |
My-ope office | 要お問い合わせ | 〇 | × | × | 〇 | LINE WORKS、Slack、Chatworkなど | 〇 | ・大企業向 ・シンプルな操作性 |
サポートチャットボット | 要お問い合わせ | 〇 | 要お問い合わせ | 〇 | 〇 | LINE WORKS、Slack、Chatworkなど | 〇 | ・Q&A自動生成 ・シンプルな操作性 |
さっとFAQ
さっとFAQは、導入実績400社以上(2024年4月末日時点)を誇るハイブリッド型チャットボットです。月額1万円から低コストで導入できます。
Excelのテンプレートに質問と回答を登録して貼り付けるだけでチャットボットができるため、導入直後から高い応答率と回答到達率を実現可能です。FAQを改善するための分析機能も備わっており、チャットボット導入の効果を高めやすくなっています。
また、シナリオ形式にも対応しているため、利用者が本当に必要としている情報を的確に提供できることも特徴のひとつです。
OfficeBot
OfficeBotは社内データと対話する生成AIを活用したチャットボットです。
FAQや社内規定、製品マニュアルなどのデータをPDFなどで取り込むことで、問い合わせ内容の自動応答が可能になります。例えば、情報システム部で活用する場合は操作手順を取り込めば、担当者に尋ねることなく迅速に的確な情報を提供してくれます。
社内のチャットボットに特化して活用したい方におすすめです。
HiTTO
HiTTOはバックオフィス部門を中心に利用されているチャットボットです。
AIチャットボットが社内の問い合わせを自動で対応してくれるだけでなく、社内情報の一元管理が可能です。人事や労務、総務、営業、広報など幅広い業務の情報をすぐに得られる仕組みになっています。
AIシステム設計の必要がないため、知識が少ない方でも安心です。
My-ope office
My-ope officeは大企業の総務・人事向けのチャットボットです。社内で飛び交う用語や質問環境にマッチするエンジンを組んでいるため、社内問い合わせ対応への活用にぴったりです。
管理画面はシンプルなUIなため、誰でも直感的に操作できます。専門的な知識がなくても使いやすいのは嬉しいポイントでしょう。
サポートチャットボット
サポートチャットボットはAIを活用して顧客・従業員からの問い合わせを自動対応するチャットボットです。
サポートチャットボットの特徴は、社内のマニュアルやECサイト、製品サイトなどFAQページを基にQ&Aを自動生成してくれることです。作成の手間がなくチャットボットができるため、担当者の業務負担を軽減できます。
ヘルプデスクへチャットボット導入の成功事例
本章では、社内ヘルプデスクにチャットボットを導入した企業の成功事例をご紹介します。
質の高いQ&Aデータでの対応で本来の業務に集中できるように
株式会社学研メディカルサポートの管理部は、人事、法務、総務、経理など多岐にわたる業務を担当しており、多くの問い合わせを受けていました。同じ質問が繰り返されることも多く、業務中断による集中力の低下が課題でした。
そこで、チャットボットの作成やQAデータのメンテナンスが容易であり、導入前後のサポート体制が充実していた「さっとFAQ」を導入しました・
導入の結果、従業員の間で「まずはチャットボットに聞いてから質問しよう」という意識が浸透し、問い合わせ対応にかかる時間が削減されました。マニュアルへのアクセスが容易になって正確に共有できることや、回答の統一性が向上したことなどの効果を得られました。
年間400時間・年間80万円のコスト削減もできています。
参考:株式会社サンソウシステムズ「医療従事者に心とコンテンツの両面で寄り添うために さっとFAQで業務効率を大幅に向上」
問い合わせ対応時間を大幅に削減
九州旅客鉄道株式会社は多角的な事業を展開しており、社内問い合わせが非常に多い状況でした。
チャットボット導入後、問い合わせ対応時間を月平均181時間、累計約3000時間(2021年6月時点)削減に成功しました。また、スタッフ1人当たりの電話応対件数が1日5~6件から2件以下に減少し、担当者の業務負担も軽減しています。
さらに、Q&Aデータの作成を通して従業員の業務知識が深まり、個人の業務効率向上にもつながっているそうです。
参考:株式会社mofmof「累計問い合わせ対応削減時間3000時間超!社内AIチャットボット導入事例。九州旅客鉄道株式会社(JR九州)」
チャットボットをきっかけに社内DXが推進
株式会社GSユアサは、月1000件を超える社内問い合わせに4名のヘルプデスクスタッフが対応しており、電話やメール対応に膨大な時間と工数を要していました。また、対応スキルの属人化やマニュアルの不備なども課題となっていました。
チャットボット導入の結果、運用開始3カ月で、社内問い合わせ件数は38%削減、社内アンケートでの満足度は87.5%という成果を達成しました。 定時外の対応も可能になり、海外駐在員や早朝勤務者へのサポートも実現しています。
今後は問い合わせの自動化に加え、情報の集約化による業務改善、社内外に向けたサポート向上へとつなげていくそうです。

チャットボット用FAQとシナリオを自作するコツ
社内ヘルプデスク向けチャットボットを自作する場合、効果的なFAQとシナリオの作成が必要です。
本章では、自作する際に押さえるべきポイントを解説します。
1. 導入目的の明確化とFAQテーマの選定
まず、チャットボット導入の目的を明確にしましょう。問い合わせ対応の効率化、担当者の負担軽減、24時間対応の実現など、具体的な目標を設定することで必要なFAQを絞り込めます。 目的が定まれば、ユーザーが最も頻繁に質問する内容、解決すべき課題を特定しやすくなります。
次に、FAQのテーマを決定します。ヘルプデスクで寄せられる問い合わせを分析し、頻度の高い質問をリストアップしましょう。 例えば、「パスワードの変更方法」「ソフトウェアのインストール方法」「休暇申請の手続き」など、具体的なテーマを絞り込むことでより効果的なFAQを作成できます。
2. FAQの作成:ユーザー視点での記述を心がける
FAQを作成する際には、ユーザーの視点に立って記述することが重要です。専門用語を避け、簡単な言葉でわかりやすく説明しましょう。 また、質問と回答は簡潔に要点を押さえて記述します。
長文の回答はユーザーの離脱につながる可能性があるため、必要に応じて複数ページに分割するなど工夫が必要です。
3. シナリオ設計:ユーザーの導線を意識する
FAQを作成したら、ユーザーがスムーズに情報にたどり着けるよう、シナリオを設計します。 チャットボットとの会話の流れを事前に設計することで、ユーザーが迷うことなく目的の情報を得られるようになります。
ツリー構造でシナリオを作成し、各分岐におけるユーザーの反応を予測することで、より洗練されたシナリオを構築できます。
例えば、ユーザーが「パスワードを忘れた」と入力した場合、パスワードリセットの手順を示すページへのリンクを提供する、といった流れを設計します。 また、想定外の質問の対応方法も考えておきましょう。
4. テストと改善:継続的な見直しを
FAQとシナリオを作成したら、テストをおこない改善を繰り返すことが重要です。
社内メンバーにテストを実施してもらい、わかりにくい点や改善点がないかを確認します。 テストの結果を基にFAQやシナリオを修正し、より使いやすいチャットボットを目指しましょう。
5. ツール活用:効率的なFAQ作成を支援
近年では、FAQ作成を効率化するツールも数多く登場しています。これらのツールを活用することで、より簡単に、そして質の高いFAQを作成できます。 ツールによって機能は異なりますが、キーワード抽出機能、自動翻訳機能、分析機能など、便利な機能が搭載されているものも多いため、活用を検討してみましょう。
また、利用するチャットボットサービスでFAQ作成をサポートしてくれるかも確認してみましょう。
ChatGPTはヘルプデスクで使える?
近年注目を集めるChatGPTは、高度な自然言語処理能力を持つ生成AIです。ChatGPTをチャットボットと連携して社内ヘルプデスクに活用することで、業務効率化や従業員満足度の向上につながる可能性があります。
しかし、導入する際は、自社に合うようChatGPTをカスタマイズし、プライバシーとセキュリティを確保するなどの工夫が必要です。

社内ヘルプデスクにチャットボットを導入して業務効率化・生産性向上を目指そう
本記事では、社内ヘルプデスク向けチャットボット導入のメリット・デメリット、チャットボットの選定ポイント、導入事例などを解説してきました。
自社のヘルプデスクが抱える課題を解決するためには、現状を分析してどのようなチャットボットを導入するべきか比較検討することが重要です。
サンソウシステムズが提供する「さっとFAQ」は、生成AIと連携してExcelから簡単に会話データが作成できるハイブリッド型チャットボットです。
安心のセキュリティ対策なことはもちろん、サポート体制も充実していることが特徴です。
社内ヘルプデスクにチャットボット導入を検討している方は、30日間の無料トライアルを受け付けていますのでぜひ一度お問い合わせください。