カスタマーサポートで業務改善・効率化を向上させるためには明確な目標設定をおこない、目標達成するための中間指標となるKPIの設定が重要です。
しかし、カスタマーサポートにおいてKPIの設定が重要と認識していても「何を設定したら良いの?」「なぜ重要なのか」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?
本記事では、カスタマーサポートにおいてKPIの設定が重要な理由や設定すべき7つのKPIを詳しく解説します。
そもそもKPIとは?
KPIとは、日本語で重要業績評価指標と呼ばれ、目標達成の各プロセスごとにおける達成度合いの計測と評価をするための指標です。
簡単に説明するとゴールに向かうプロセスの目標数値です。
では、カスタマーサポートにおけるKPIの具体例を紹介します。
まずは、目標を「顧客の課題解決件数を100件」とした場合、KPIは「顧客から相談を受けての課題解決時間」や「問い合わせがきて担当者が応答するまでの待ち時間」などが設定されます。
目標数値に対して設定するKPIは1つではなく、複数の項目設定が一般的です。
KPIは中間目標であるため、自社の商品やサービス、顧客層、内部環境、外部環境など、さまざまな条件を考慮したうえで設定をおこないましょう。
KGIとの違い
KPIと混同されるものとしてKGIが挙げられます。
KGIとは、重要目標達成指標と呼ばれるもので最終的なゴールを表すものです。KGIに到達するために「何をするべきか」「どこまで進むべきか」などの中間地点がKPIです。
通常、KGIとKPIは一緒に設定され、KGIを先に決定しKPIを設定しなければいけません。
KGIを先に設定する理由として、KPIを先行して決めてしまうと「KGIより目標が大きくなってしまう」「適切なKPIが設定できずKGIに達成できない」といった問題につながるからです。
カスタマーサポートでKPIの設定はなぜ重要なのか
カスタマーサポートの品質を向上させるには、目標を数値化し改善を繰り返す必要があります。
そのためにはKPIの設定が重要です。
サポート品質の向上
KPIを設定することで、目標達成度合いが可視化されサポート品質の向上につながります。
カスタマーサポートは業務の性質上、成果を評価しづらいうえに可視化が難しい業務です。また、顧客によっても対応方法は異なるため、1人ひとりの顧客対応方法が属人化しやすいのです。
結果的にオペレーターによって対応品質にバラつきが生じ、サポート品質の低下を招きます。
KPIを設定すれば、目標の達成度合いを数値によって定量的に表せるため、従業員それぞれのやるべきことが明確になり顧客への対応方法が統一化されます。そのため、サポート品質の向上が期待できるでしょう。
自社課題の明確化
立案した目標を達成するためには、課題を洗い出し1つずつ解決していかなければなりません。
しかし、カスタマーサポートにおいては先述した通り、業務の可視化が難しいうえに課題は不透明になりがちです。
KPIを設定することで従業員は業務に対して、やるべきことが明確になります。
また、具体的な行動指針がわかれば、トラブルや問題が起きた際に「どのプロセスが問題となっているのか」「業務プロセスの不要な箇所」などが明確になります。
自社の課題が明確になれば、日々の業務をより効率的におこなえるため、生産性の向上にもつながるでしょう。
カスタマーサポートで設定するべき7つのKPI
KPIは単に設定するだけでなく、明確な目標(KGI)を立てたうえでKPIを設定します。
そして、カスタマーサポートで特に設定すべきKPIを紹介します。
解決率
カスタマーサポートにおいて、顧客からの問い合わせ内容の課題解決率は非常に重要なKPIです。
解決率は問い合わせ数に対して、解決できた件数の比率を解決率とします。
例えば、問い合わせ数が100件として、そのうち解決できた件数を50とすると解決率は50%です。
ただし、解決率が高いほど良い訳ではありません。
解決率が高い場合は、そこまで深刻な課題ではなかったとも捉えられます。
商品に関する簡単な質問が多いのであれば「商品の説明書がわかりにくい」「商品が使いにくい」といった課題を想定できます。
解決率はあくまでも指標であり、現場の状況や分析をおこない判断しましょう。
平均通話時間
平均通話時間は言葉の通り、問い合わせから課題解決までの平均通話時間を指します。
基本的に、平均通話時間が長いほど1人の顧客に対して問い合わせから課題解決までの時間がかかっていると考えられますが、決してそうではありません。
例えば「顧客が対応に呆れて電話を切った」や「課題解決とは関係ない会話をしていた」となれば、平均通話時間は前後します。
平均通話時間は重要なKPIですが、会話の内容や顧客によって左右されやすい指標であるため、ある程度の誤差は考慮しましょう。
平均後処理時間
平均後処理時間は、オペレーターが電話応対終了後に通話内容の記録など後処理にかかる時間を指します。
平均後処理時間は生産性や顧客満足度と密接に関係しており、時間が短いほど顧客から顧客への応対がスムーズだと言えるでしょう。
一方で、平均後処理時間が長くなる原因としては、オペレーター能力の差や経験、マニュアルの整備不良、後処理のフローが複雑化しているなどの要因が挙げられます。
また、平均後処理時間は短く設定する傾向にありますが、顧客満足度向上の阻害になり本来の業務に支障をきたす可能性もあるため、適切なKPIの設定が必要です。
応答率
応答率は顧客からの問い合わせに応答できた割合です。
応答率は「応答件数÷着信数×100」で計算します。
応答率が低ければ、問い合わせをした顧客は担当者とやり取りができていないため、不満を持たれ顧客満足度の低下につながるでしょう。
応答率が低い要因としては、問い合わせ件数に対してオペレーター数の不足、平均通話時間や後処理時間が長いなどが挙げられます。
応答数の改善が見込めない場合は、ボイスボットやチャットボットなどのツール導入がおすすめです。
導入することで一次対応をツールでおこなえるため、応答率の向上へとつながります。
一次応答時間
一次応答時間とは、問い合わせに対して応答するまでにかかる時間です。
原則、一次応答時間は短いほど良いとされています。
顧客としては、問い合わせをおこない一次応答時間が長ければ不安を募らせ顧客満足度の低下につながります。仮に具体的な解決策をすぐに提示できなくても、迅速に状況が伝われば顧客に安心感を与えられるでしょう。
顧客満足度
顧客満足度はカスタマーサポートの対応品質を表します。
測定方法としては、
- アンケート
- 電話
- メール
- NPS調査の回答(サービスに対する信頼などを問う調査)
などが挙げられます。
顧客満足度はカスタマーサポートの直接的な評価につながり、評価が悪ければ設定したKPIのなかで問題となる点があるため、明確にしましょう。また、業務の属人化やマニュアルの整備不良なども考えられます。
自己解決率
自己解決率とは、顧客がFAQやチャットボットなどを利用して顧客だけで問題を解決できた割合です。
カスタマーサポートを設置している企業は人手不足や従業員の負担を軽減するために、一次応答にFAQやチャットボットを採用する企業が増えています。
自己解決率が高い場合は、オペレーターの対応件数が減少し負担軽減、業務の効率化、生産性向上などのさまざまなメリットにつながります。
KPIを効果的に設定するポイント
KPIは単に設定するだけでなく、目標を達成するため効果的に設定しましょう。
達成可能な目標を設定する
KPIを設定する際は、達成可能なのか現実的な数値を目標に設定しましょう。
現実的ではない目標を設定しても達成できず、従業員のモチベーション低下へとつながります。
まずは達成できる目標(KGI)を立案し、そのために必要なKPIを設定していきます。
もちろん、達成可能なKPIを設定していてもさまざまな理由が重なり、達成できないこともあるでしょう。
その際には、定期的にKPIが達成できそうかを見直していく必要があります。
KGIが達成できるKPIの設定
KPIを達成していけば、自然とKGI達成へつながるロジックを明確にしておきましょう。
KGIをはじめに立てKPIを設定していきますが「不要なKPIを設定してしまう」「KPIの数が多すぎる」などは間違った設定方法です。KPIが多すぎると、やるべきことが多くなり従業員の負担につながります。
無駄なKPIは削ぎ落としていき、適切なKPIだけを設定してKGIが達成できるようにしましょう。
定量評価できるようにする
KPIは、KGIを達成するためのプロセスを可視化するために設定します。
そのため、KPIは数値など具体的に把握できるものを設定し、定量評価がおこなえるようにしましょう。
カスタマーサポートにおいて「積極的に電話応対する」「協調性を持った対応を心がける」など数値では表現できないKPIは定量評価できません。
また、定量評価を正しくおこなうにはKPIを設定し進捗状況を管理する必要があります。進捗状況を管理すればすぐに改善点を見出せるでしょう。
カスタマーサポートのKPI達成にはチャットボットがおすすめ
本記事では、カスタマーサポートにおけるKPI設定の重要性・効果的な設定方法を解説しました。
カスタマーサポートにおいてKPIを設定することで、業務を改善・効率化し事業の成長へとつながる継続的な行動が可能です。また、適切なKPIを設定できれば従業員もモチベーションを保ちつつ業務を遂行できるでしょう。
しかし、KPIを適切に設定できても「従業員の負担が減らない」「KPIが達成できない」といったお悩みを持つ方もいるのではないでしょうか。
そのようなお悩みを持つ方は「チャットボット」の導入をおすすめします。
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チャットボットを導入すれば、業務の効率化だけでなく、先述した7つのKPIの達成率が向上します。
例えば「一次応答時間」を短縮するために一次応答をすべてチャットボットに代替できれば、電話件数がどれだけ多くてもすぐに応答できます。
「自己解決率」においても、チャットボットだけで解決できればオペレーターの負担を軽減し「顧客満足度の向上」や「平均通話時間の短縮」につながります。
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