AIヘルプデスクとは?導入メリットや活用できる業務、成功事例を解説

基礎知識

「ヘルプデスクの業務が多く、顧客の待ち時間が増える一方……」「AIヘルプデスクを導入したいけど、そのメリットや活用できるシーン、適切な選び方がわからない……」そんな悩みを抱えている担当者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ヘルプデスクの現状と課題から、AIを活用したヘルプデスクの具体的な活用シーン、導入のメリットとデメリットまで詳しく解説します。また、おすすめのAIヘルプデスクサービスを比較し、効果的な選び方や導入ステップ、導入前の注意点についても深堀りしていきます。

ヘルプデスクの現状と課題

ヘルプデスクは、社内内外からの問い合わせに対応し、問題解決を支援する重要な役割を担っています。しかし、多くのヘルプデスクが、業務の属人化や人手不足、担当者の負担増、顧客の待ち時間長期化といった課題を抱えています。

業務や知識が属人化している

ヘルプデスク業務でよく見られる課題は、特定の担当者しか対応できない問題や特定の知識を持つ担当者に業務が集中してしまう属人化です。

属人化は担当者が不在の場合に対応が遅れ、品質が低下する可能性があります。また、担当者の退職や異動によって、知識やノウハウが失われてしまうリスクも避けられません。

人手が不足している

問い合わせ件数の増加や対応範囲の拡大により、ヘルプデスクの人手不足は深刻化しています。

十分な人員を確保できない場合、担当者一人あたりの業務負担が増加し、対応品質の低下や担当者の離職につながる可能性もあります。

担当者の業務負担が多い

人手不足に加え、多様な問い合わせに対応する必要があるため、ヘルプデスク担当者の業務負担は増加傾向にあります。

単純な問い合わせに時間を取られ、複雑な問題解決に追われることで、担当者のモチベーション低下や離職につながる可能性も少なくありません。

顧客の待ち時間が長い

人手不足や業務の属人化などが原因で、顧客からの問い合わせに対応するまでに時間がかかってしまうことがあります。

待ち時間が長くなると、顧客満足度が低下し企業イメージが低下する恐れもあります。

AIを活用したヘルプデスクとは

AIを活用したヘルプデスクとは、AI(人工知能)技術を導入し、ヘルプデスク業務を効率化・高度化するシステムです。従来、人がおこなっていた問い合わせ対応やFAQ検索、ナレッジ共有などの業務をAIが代行、または支援することで、担当者の負担を軽減し、顧客満足度向上に貢献します。

具体的には、AIチャットボットによる社内外からの問い合わせへの自動応答や、過去の問い合わせ履歴やナレッジベースの分析、最適な回答の提示といった活用方法があります。

AIヘルプデスクは、FAQやチャットボットを活用して業務効率化を図るだけでなく、24時間365日の対応を可能にし、顧客の自己解決も促進可能です。これによってヘルプデスク担当者はより高度な問題解決に集中できるようになり、全体的なサービス品質の向上にもつなげられます。

AIヘルプデスクの導入は、単なる業務効率化だけでなく、顧客体験の向上、コスト削減、そして従業員満足度の向上にも寄与する、現代の企業にとって不可欠なソリューションと言えます。

ヘルプデスクでAIを活用できるシーン

AIヘルプデスクは、社内外からの問い合わせ対応を自動化し、業務効率化や顧客満足度向上に貢献するさまざまなシーンで活用できます。

社内外からのお問い合わせ対応

AIチャットボットやFAQシステムを活用し、よくある質問への自動回答を実現します。例えば、社員からのIT関連の問い合わせや、顧客からの製品に関する質問などに自動で対応できます。

オペレーターの業務支援

AIが過去の対応履歴やナレッジベースを分析し、オペレーターに最適な回答候補や関連情報を提示します。AIが対応困難な問い合わせは、オペレーターにスムーズに引き継ぐことも可能です。

FAQの作成

AIが過去の問い合わせデータやナレッジベースを分析し、FAQの作成を支援します。頻繁に問い合わせがある質問や、回答が難しい質問などを特定し、どのようなFAQを作成すれば良いか優先順位付けもサポートしてくれます。また、AIによるFAQの草案作成も可能です。

データ・ナレッジの収集・蓄積

AIは問い合わせ内容や対応履歴を自動的に分析し、データとして蓄積します。蓄積されたデータは、FAQの改善や製品開発、サービス改善などに活用可能です。また、AIがナレッジベースを構築し、社内全体の知識共有を促進することもできます。

営業の業務サポート

AIが顧客情報を分析し、商品情報・営業資料を検索して営業担当者に最適な提案内容やアプローチ方法を提示できます。営業担当者は効率的に顧客対応をおこなうことができ、成約率向上につなげられます。

育成や研修のサポート

質問しづらい社内ルールや理解しにくい制度をまとめ、質問に自動対応できる仕組みを構築することで、育成や研修のサポートにも役立ちます。効率的に育成できるだけでなく、育成・研修担当者の負担軽減にもつなげられます。

AIヘルプデスク導入のメリット

AIヘルプデスクを導入する主なメリットを4つご紹介します。

コスト削減と業務効率化

AIヘルプデスクは、24時間365日稼働し多くの問い合わせに自動で対応できます。営業時間外の対応がなくなるため、人件費や残業代などのコストを大幅に削減することが可能です。

また、FAQやナレッジベースと連携することで、担当者が対応する件数を減らし、より高度な業務に集中できるようになります。問い合わせ工数が削減され、組織全体の生産性向上が期待できるでしょう。

精度の高い回答が可能

AIは、過去の問い合わせデータやナレッジベースを学習し、常に最新の情報に基づいて回答を提供します。そのため、担当者の知識レベルに左右されず、一定水準以上の品質を保つことができます。

また、AIは感情に左右されないため、冷静かつ客観的な対応が可能です。CSVやPDF、Wordなどのドキュメント、Webサイト、Google Drive上のファイルなど、自社に蓄積された膨大なデータを読み込めるため、実務に沿った高精度の回答を得られるようになるのが大きなメリットです。

顧客満足度・従業員満足度の向上

AIヘルプデスクは、待ち時間なく迅速に回答を提供できるため、顧客満足度を向上させられます。また、FAQやチャットボットなどを活用することで、顧客は自分のペースで問題を解決できるようになります。

従業員も定型的な問い合わせ対応から解放され、より高度な業務に集中できるため、従業員満足度の向上にもつながるでしょう。

データやナレッジの蓄積・共有が可能

AIヘルプデスクは、問い合わせ内容や対応履歴などのデータを自動的に蓄積します。寄せられた問い合わせの検索データや有人対応データ、Teams内でのやりとりなど、これまで記録に残らず流されていた些細なデータも自動で蓄積されていくことは大きなメリットです。

データを分析することで、顧客のニーズや課題を把握し、製品やサービスの改善に役立てられます。また、蓄積されたナレッジは、FAQやチャットボットなどを通じて社内で共有され、従業員の知識レベル向上にも役立てられます。

AIヘルプデスク導入のデメリット

デメリット

AIヘルプデスクの導入は多くのメリットをもたらしますが、同時にいくつかのデメリットもあります。導入を検討する際には、これらのデメリットを理解し、対策を講じることが重要です。

初期費用・運用コストが必要

AIヘルプデスクの導入には、初期費用と運用コストが必要です。初期費用にはソフトウェアのライセンス料、導入支援費用、システム構築費用、運用コストには月額利用料、メンテナンス費用、データ更新費用などが含まれます。特に、AIの学習データ作成やチューニングには専門知識が必要となるため、外部委託する場合は費用が必要になる可能性があります。

しかし、長期的に見ると、AIヘルプデスクの導入による業務効率化や人件費削減効果がコストを上回る可能性があるでしょう。導入前に費用対効果をしっかりと検討することが重要です。

対応できる業務が限定的

AIヘルプデスクは、事前に学習させたデータに基づいて回答するため、対応できる業務が限定的です。複雑な質問や学習データにない質問には対応できない場合があります。また、AIは感情を理解できないため、顧客の気持ちに寄り添った対応は困難です。

そのため、AIヘルプデスクを導入する際には、対応可能な範囲を明確にし、AIでは対応できない質問は有人対応に切り替えるなどの対策が必要です。AIと有人対応を組み合わせることで、より質の高いヘルプデスクサービスを提供できます。

また、事前に学習させたデータに基づいて回答させたい場合は、AIヘルプデスクではなくチャットボットを導入したほうがコストパフォーマンスの高い効果を得られるケースがあります。

チャットボットの中でもおすすめなのが、ハイブリッド型チャットボット「さっとFAQ」です。さっとFAQは、Excelに登録したデータを取り込むだけで簡単に会話データを作成し、顧客からの問い合わせに対応できる仕組みです。

30日間の無料トライアルも実施中のため、ぜひ一度お問い合わせください。

定期的なメンテナンスが必要

AIヘルプデスクは、導入後も定期的なメンテナンスが必要です。AIは学習データに基づいて回答するため、常に最新の情報を提供できるように学習データを更新する必要があります。また、AIの回答精度を維持するために、定期的なチューニングや改善をおこなう必要があります。

メンテナンスを怠ると、AIの回答精度が低下し、顧客満足度の低下につながる可能性が避けられません。そのため、AIヘルプデスクの運用体制を整え、定期的にメンテナンスすることが重要です。

セキュリティリスクがある

AIヘルプデスクは、顧客の個人情報や企業の機密情報を扱うため、正しく対策しなければセキュリティリスクが発生します。

例えば、AIシステムへの不正アクセスや、データ漏洩などが発生する可能性があります。また、AIが誤った情報を学習した場合、意図しない情報が外部に漏洩するリスクもあるでしょう。

そのため、AIヘルプデスクを導入する際には、セキュリティ対策を徹底する必要があります。アクセス制限の設定、データ暗号化、セキュリティ監視システムの導入など、多層的なセキュリティ対策を講じることが重要です。

【比較表つき】おすすめAIヘルプデスクサービス

本章では、特におすすめのAIヘルプデスクサービスを比較表形式でご紹介します。各サービスの特徴や強みを把握し、自社のニーズに合ったサービスを選びましょう。

 

初期費用月額費用特徴
PKSHA AI ヘルプデスク要問い合わせ要問い合わせ・問い合わせの自動化

・ナレッジの蓄積と活用

AIヘルプデスクソリューション要問い合わせ要問い合わせ・FAQの検索

・細かな言い回しにも対応可

SELFBOT要問い合わせ要問い合わせ・文章解析が得意な独自技術搭載

・直感的な操作性

ミライAI無料~30,000円500円~30,000円・電話対応代行サービス

・さまざまなシーンで利用可

SolutionDesk要問い合わせ2,000円~4,000円/人

※基本料金別

・不正確な情報提供を予防

・ナレッジと生成AIを活用

PKSHA AI ヘルプデスク

PKSHA AI ヘルプデスクは、生成AIを活用して問い合わせの自動化やナレッジマネジメントの仕組み化をサポートするツールです。

普段から利用するTeamsに問い合わせ窓口を統一し、FAQ・社内ドキュメント・有人対応などの業務プロセスを構築することで、効果的なヘルプデスクを提供しています。AIに社内の情報や課題を学習させることで、ナレッジマネジメントの仕組みづくりも効果的に実践できます。

AIヘルプデスクソリューション

AIヘルプデスクソリューションは、NTTデータビジネスシステムズが提供するヘルプデスクサービスです。

従業員の疑問をポータルサイトで検索できる仕組みで、問い合わせ対応担当者の負担軽減につなげます。従業員も電話やメールで問い合わせる手間がなくなり、Web検索のように簡単に調べられるため、業務効率の向上にも役立ちます。

SELFBOT

SELFBOTは、98%の利用者が使いやすさを実感している、わかりやすい管理画面が特徴のヘルプデスクサービスです。

操作性の良さだけでなく、既存のWebサイトやドキュメントを取り込むだけで学習してくれ、柔軟な回答ができる問い合わせ窓口を構築できることも特徴のひとつです。また、文章解析が得意な独自技術で、わかりづらい質問内容でも高い精度で回答できます。

ミライAI

ミライAIは、AIが電話対応を代行するサービスです。

電話相手に要件と折り返し先をたずね、取り次ぎたい担当者名をヒアリングするなど自動化したいシーンに合わせた機能を利用できます。また、よくある質問を自動回答した後、必要に応じてオペレーターにつなげられるなど、顧客の状況に合わせたサービスの提供が可能です。

SolutionDesk

SolutionDeskは、ナレッジベースに登録された情報を対象に生成AIを活用できるサービスです。企業独自の情報やルールを基に回答するため、社内の問い合わせに向いています

SolutionDeskの特徴は、誤った情報を提供しない技術を搭載していることです。正確な回答を得られることは、ヘルプデスクでAIを活用する大きなメリットでしょう。

効果的なAIヘルプデスクの選び方

本章では、AIヘルプデスクを選ぶ際の3つの重要なポイントについて解説します。

利用シーンに合った機能がある

AIヘルプデスクの機能は多岐にわたります。例えば、FAQの自動生成、チャットボットによる自動応答、有人対応へのスムーズな切り替え、問い合わせ内容の分析機能などがあります。自社のヘルプデスクが抱える課題を明確にし、解決に必要な機能が搭載されているAIヘルプデスクを選びましょう。

以下は、利用シーン別に必要な機能の例です。社内向け、社外向けによっても必要な機能は異なるため、チェックしておきましょう。

利用シーン必要な機能の例
社内ヘルプデスク・FAQ自動生成

・チャットボット

・ナレッジ共有

社外ヘルプデスク・多言語対応

・24時間365日対応

・有人チャット連携

サポート体制が充実している

AIヘルプデスクの導入・運用には、技術的な知識やノウハウが必要です。導入時の設定支援、運用中のトラブル対応、AIの学習データ最適化などサポート体制が充実しているかを確認しましょう。サポート体制が充実していれば、安心してAIヘルプデスクを導入・運用できます。

以下は、サポート体制の確認ポイントです。

  • 導入時の設定支援:初期設定やFAQデータの登録などを支援してくれるか
  • 運用中のトラブル対応:システム障害やAIの誤回答など、トラブル発生時の対応は迅速か
  • AIの学習データ最適化:AI精度向上のための学習データ最適化を支援してくれるか
  • 定期的なアップデート:機能追加や改善など、定期的なアップデートがあるか

データやナレッジが活用できる

AIヘルプデスクは、蓄積されたデータやナレッジを活用することで回答精度が向上し、より効果的に運用できます。

既存のFAQデータやナレッジベースをAIに学習させられるか、AIが学習した内容を分析して改善に役立てられるかを確認しましょう。また、AIが自動でFAQを生成する機能があれば、ナレッジベースの構築を効率化できます。

AIヘルプデスクの中には、寄せられた問い合わせの検索データや有人対応データなどを自動で蓄積し、メンテナンスやチューニングのコストを抑えながら最新のデータへの自動更新ができるサービスもあるため、必要に応じて導入しましょう。

【社内外別】AIヘルプデスクを選ぶポイント

AIヘルプデスクを選ぶ際には、社内で利用する場合と社外で利用する場合で、重視すべきポイントが異なります。それぞれのケースにおいて、どのような点に注目すべきか解説します。

社内でAIヘルプデスクを活用する場合

社内ヘルプデスクとしてAIを活用する場合、従業員の満足度向上と業務効率化が主な目的となります。そのため、以下のポイントを重視して選ぶことをおすすめします。

  • 使いやすさ
    従業員がストレスなく利用できるインターフェースであることは重要です。直感的な操作が可能で、FAQへのアクセスや問い合わせが容易なシステムを選びましょう。
  • 連携機能
    既存の社内システム(例:Microsoft Teams、Slackなどのビジネスチャットツール)との連携がスムーズにおこなえるか確認しましょう。連携により、従業員は普段利用しているツールから直接AIヘルプデスクにアクセスでき、利便性が向上します。
  • FAQの充実度と検索精度
    従業員が求める情報に素早くアクセスできるよう、FAQの充実度と検索精度は重要な要素です。AIが自然言語を理解し、質問の意図を正確に把握できるかを確認しましょう。
  • ナレッジ共有機能
    従業員が持つ知識やノウハウをAIヘルプデスクに蓄積し共有できる機能があると、組織全体の知識レベル向上につながります。
  • セキュリティ
    社内情報を取り扱うため、アクセス権限の設定やデータ暗号化などセキュリティ機能が充実しているか確認しましょう。

社外でAIヘルプデスクを活用する場合

社外、つまり顧客向けのヘルプデスクとしてAIを活用する場合、顧客満足度の向上と問い合わせ対応の効率化が主な目的となります。そのため、以下のポイントを重視して選ぶことをおすすめします。

  • 24時間365日対応
    AIヘルプデスクが24時間365日対応可能であれば、利便性が高まり顧客満足度向上に大きく貢献します。
  • 多言語対応
    グローバルにビジネスを展開している場合、多言語対応であれば、世界中の顧客からの問い合わせに対応できます。
  • パーソナライズされた対応
    顧客の属性や過去の問い合わせ履歴に基づいてパーソナライズされた対応ができると、顧客満足度が向上しやすくなります。AIが顧客データを分析し、最適な回答を提供できるかを確認しましょう。
  • 有人対応へのスムーズな移行
    AIで解決できない問い合わせに対して、AIからオペレーターへの情報共有がスムーズにおこなえることが重要です。
  • 分析機能
    顧客からの問い合わせ内容や対応履歴を分析し、改善点を見つけられるとより効果的に運用ができます。
    特に生成AIと連携したFAQシステムであれば、企業の新規サービス情報やユーザーの問い合わせ状況などに合わせて、FAQの新規作成や更新まで自動化することも可能です。

AIヘルプデスクの導入事例

AIヘルプデスクはさまざまな企業で導入され、業務効率化や顧客満足度向上に貢献しています。ここでは、具体的な導入事例を3つご紹介します。

京都トヨペット株式会社|社内問い合わせ対応、資料検索の工数を削減

京都トヨペット株式会社では、知識が属人化しており、知識が豊富な従業員に問い合わせが集中している状況でした。また、社内に蓄積された非常に多くのナレッジを共有できるシステムも構築したいと考えていたそうです。

そこで、AIヘルプデスクを導入し、FAQの自動応答やナレッジベースの検索機能を活用することで、問い合わせ対応時間を大幅に削減することに成功しました。また、問い合わせをしたい従業員においても工数削減につなげられています。

参考:SELF株式会社「店舗→本社への問い合わせ対応を”生成AIチャットボット”で効率化!京都トヨペットの取り組み【導入事例インタビュー】」

株式会社VITA|テレワークでも電話取りこぼしを予防

コロナ禍を機にテレワークが主となった株式会社VITAでは、出社人数の減少に伴い、電話対応の負担が増加していました。また、誰も出社しない日には電話対応ができず、取りこぼしが発生している状況でした。

電話自動対応サービスを導入した結果、導入前と比較して営業電話の数を抑止でき、工数削減につなげられています。また、必要な電話をピックアップすることで作業負担を軽減でき、チャット通知によって折り返しタイミングを調整するなど、業務効率が大幅に向上しました。全員テレワークの日にも電話の取りこぼしを防ぐこともできているそうです。

参考:株式会社ソフツー「テレワークによる電話対応リソースの偏りと取りこぼしをAIで解決」

株式会社アイネット|ナレッジベースの構築で属人化を解消

株式会社アイネットのコールセンターでは、約40名体制で月平均15,000件もの問い合わせに対応しています。応対品質の向上と知識の属人化解消を目的に、AIを活用したFAQシステムを導入しました。

その結果、必要な情報がどこにあるのか迷わず探せるようになり、業務効率化に貢献しています。現在は約900件のコンテンツが登録されていますが、月に約20件の情報を新規登録するなどFAQの質を常に向上させる取り組みをおこなっているそうです。

参考:アクセラテクノロジ株式会社「ナレッジ共有・活用でコールセンターの応対品質向上、属人化解消を促進」

効果的なAIヘルプデスクの導入ステップ

本章では、導入を成功させるためのステップを解説します。

導入計画

AIヘルプデスクの導入を成功させるためには、まず明確な導入計画を立てることが重要です。以下の要素を考慮して、自社に最適な計画を策定します。

  • 目的の明確化
    AIヘルプデスクを導入する目的を具体的に定義します。例えば、「問い合わせ対応時間の短縮」「顧客満足度の向上」「オペレーターの負担軽減」など、具体的な目標を設定します。
  • 対象範囲の決定
    AIヘルプデスクを適用する業務範囲を決定します。社内向け、社外向け、または特定の製品に関する問い合わせなど、範囲を絞ることで、より効果的な導入が可能になります。
  • 必要な機能の洗い出し
    自社のニーズに合わせて、AIヘルプデスクに必要な機能を洗い出します。FAQの自動生成、チャットボットによる自動応答、ナレッジベースの構築など、必要な機能を明確にします。
  • 予算の設定
    導入にかかる初期費用や運用コストを考慮し、予算を設定します。AIヘルプデスクの導入形態(クラウド型、オンプレミス型など)によって費用が異なるため、事前に比較検討することが大切です。
  • スケジュール策定
    導入計画から運用開始までのスケジュールを具体的に策定します。データの準備、FAQの整備、AIの学習期間などを考慮し、無理のないスケジュールを立てます。

効果測定

AIヘルプデスクの導入後、その効果を定期的に測定し、改善につなげることが重要です。以下の指標を参考に、効果測定をおこなうことが重要です。

指標測定方法目標値
問い合わせ対応時間AIヘルプデスク導入前後の平均対応時間を比較〇〇%短縮
顧客満足度アンケート調査や顧客からのフィードバックを収集〇〇%向上
オペレーターの業務負担オペレーターの残業時間や対応件数を比較〇〇%削減
FAQの利用率FAQの閲覧数や利用状況を分析〇〇%増加
解決率AIヘルプデスクで解決できた問い合わせの割合を算出〇〇%以上

運用方法の改善と学習

AIヘルプデスクは、導入して終わりではありません。継続的な運用と改善をおこなうことで、その効果を最大限に引き出せます。以下のポイントを意識して、運用方法を改善していきましょう。

  • FAQの定期的な更新
    FAQの内容を定期的に見直し、最新の情報に更新します。顧客からの問い合わせ内容や、AIが誤った回答をした事例などを参考に、FAQの精度を高めます。
  • AIの学習
    AIに新しい情報を学習させ、回答精度を向上させます。学習データが不足している場合には、追加のデータ収集やアノテーションをおこないます。
  • オペレーターによるサポート
    AIで解決できない問い合わせについては、オペレーターが対応します。また、AIの回答を修正し、FAQに追加することで、AIの学習をサポートすることも重要です。
  • 利用状況の分析
    AIヘルプデスクの利用状況を定期的に分析し、改善点を見つけます。例えば、特定のFAQがよく利用されている場合には、そのFAQの内容を充実させ、関連する情報を追加すると良いでしょう。
  • フィードバックの収集
    顧客やオペレーターからのフィードバックを積極的に収集し、AIヘルプデスクの改善に役立てます。アンケート調査やインタビューなどを実施し、改善点を洗い出します。

AIヘルプデスク導入前の注意点

AIヘルプデスクの導入は、業務効率化や顧客満足度向上に大きく貢献しますが、導入前に注意すべき点があります。これらの注意点を事前に把握し対策を講じることで、よりスムーズな導入と効果的な運用が可能になります。

FAQを整備する

AIヘルプデスクは、FAQ(よくある質問)を基に回答を生成します。そのため、FAQが整備されていない場合、AIは適切な回答を提供できません。導入前に網羅的でわかりやすいFAQを作成・整備しすることが大切です。FAQを整備する際には、以下の点に注意が必要です。

  • 質問の洗い出し:過去の問い合わせ履歴や顧客からのフィードバックを分析し、よくある質問を洗い出す
  • 回答の作成:専門用語は避け、誰でも理解できる言葉を使用して簡潔かつわかりやすく作成する
  • FAQの分類:質問内容に応じてFAQを分類し、検索しやすいように整理する
  • FAQの更新:FAQは定期的に見直し、最新の情報に更新する

必要なデータを準備する

AIヘルプデスクは、学習データに基づいて回答を生成します。そのため、AIに学習させるためのデータを準備しなければなりません。必要なデータは、FAQに加え、過去の問い合わせ履歴、ナレッジ、マニュアルなど、さまざまな情報源から収集します。データ準備の際には、以下の点に注意が必要です。

  • データの収集:さまざまな情報をAIが学習できる形式に整理する
  • データのクレンジング:収集したデータに誤りや不整合がないか確認し、修正する
  • データの構造化:データをAIが理解しやすいように構造化する
  • データの量:必要に応じて、データ量を増やすことを検討する

十分なデータを準備することで、AIヘルプデスクはより精度の高い回答を提供できるようになります。

担当者を育成する

AIヘルプデスクを導入しても、完全に自動化できるわけではありません。AIが対応できない質問や、複雑な対応が必要な場合にはオペレーターが介入しなければなりません。そのため、AIヘルプデスクの運用を担当する人材を育成することが重要です。担当者の育成には、以下の点に注意が必要です。

  • AIの知識:AIヘルプデスクの仕組みや機能を理解する
  • FAQの知識:FAQの内容を理解させ、必要に応じて修正できるようにする
  • 顧客対応スキル:顧客の質問に適切に対応できるスキルを習得させる
  • AIとの連携:AIが対応できない質問を適切に判断し、自身で対応できるようにする

担当者を育成することで、AIヘルプデスクと人が連携し、より高品質な顧客対応が可能になります。

AIヘルプデスクの活用で業務効率化と満足度の向上をめざそう

AIヘルプデスクの導入を成功させるためには、自社の課題を明確にして最適なAIヘルプデスクを選び、効果的な運用を継続することが重要です

しかし、課題の内容やAIヘルプデスク導入の目的によっては、AIヘルプデスクよりシンプルかつ低コストで活用できるチャットボットが有効な可能性があります。

チャットボットの中でもおすすめなのが、ハイブリッド型チャットボット「さっとFAQ」です。

さっとFAQ」は、Excelの専用テンプレートに質問と回答を貼り付けて登録するだけでチャットボットが作成でき、社内外からのよくある質問の自動回答が可能です。会話の流れを登録するシナリオ作成にも対応しているため、本当に必要とする情報を提供できることがうれしいポイントです。

30日間の無料トライアルも実施中のため、ぜひ一度お問い合わせください。

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