日々のピッキング業務で、次のようなお悩みはありませんか。
「手作業でのリスト作成に時間がかかりすぎている」
「ピッキングミスがなかなか減らず、誤出荷につながっている」
「紙や印刷にかかるコスト、保管スペースを削減したい」
こうした課題は、多くの物流現場で共通して挙げられるものです。
本記事では、こうした悩みを解決するために、ピッキングリストの基礎知識や、業務を大きく改善する具体的な作成方法についてわかりやすく解説します。
最後までお読みいただくことで、自社に最適なピッキングリストの運用方法が見つかり、業務効率化やコスト削減、ミス防止への第一歩を踏み出せるはずです。
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目次
ピッキングリストの基礎知識

まず、ピッキングリストの基本的な知識を確認しましょう。あわせて、関連書類との違いを理解することで、業務フロー全体をより明確に把握できます。
ピッキングリストとは:倉庫業務の指示書
ピッキングリストとは、倉庫や物流センターで出荷する商品を保管場所から選び出す際に使用する、重要な「ピッキング作業」のための指示書です。倉庫業務の効率化や正確性の向上に欠かせないツールです。
具体的には、どの商品を、いくつ、倉庫内のどこから取り出せば良いかが、一覧形式でわかりやすくまとめられています。これにより、作業者は迅速かつ正確にピッキング作業を進めることが可能です。
ピッキングリストは、商品の種類や数量、保管場所などの情報を提供し、作業者が迷うことなく作業を進めるための道しるべとなります。
ピッキングリストの重要性:物流プロセスの要
ピッキングリストは、受注から出荷までの一連の物流プロセスにおいて中心的な役割を担う、非常に重要な書類です。この書類がなければ、作業者はどの注文にどの商品が必要かを把握できず、作業が滞ってしまいます。
さらに、不正確なピッキングリストは、ピッキングミスを引き起こし、顧客満足度の低下や商品の誤送による返品対応など、余計なコストの発生に直接つながります。また、顧客からの信頼を損なうだけでなく、企業全体の効率を低下させる要因ともなり得るでしょう。
つまり、正確で誰にでもわかりやすいピッキングリストを整備・維持することは、物流品質を支える強固な基盤となります。
ピッキングリストと関連書類との違い
物流現場では、ピッキングリスト以外にもさまざまな書類が使われます。特に混同されやすい「出荷指示書」や「納品書」との違いを理解しておくことが重要です。
書類名 | 主な目的 | 役割と特徴 |
---|---|---|
ピッキングリスト | 作業者へのピッキング指示 | ・倉庫内での作業効率を最優先に設計されている ・商品の保管場所(ロケーション)順に記載するなど、作業者が最短ルートで動けるように工夫されている |
出荷指示書 | 倉庫への出荷指示 | ・顧客からの注文に基づき「何を」「いくつ」「どこへ」出荷するのかを倉庫全体に指示する書類 ・ピッキングリストは、この出荷指示書の情報を基に作成される |
納品書 | 顧客への納品内容の通知 | ・出荷する商品と一緒にクライアントへ渡す書類 ・商品名や数量、金額などが記載されており、取引内容を証明する役割を持つ |
各書類の役割分担を明確にすることで、受注から出荷までの業務フロー全体をスムーズに管理できます。
ピッキングリストを作成するメリット

ピッキングリストを適切に作成・運用することは、現場に多くのメリットをもたらします。ここでは、ピッキングリスト導入による主な効果について解説します。
作業効率への影響
最適化されたピッキングリストは、作業者の動線を詳細に分析し、それに基づいて最適なルートを作成するため、倉庫内での無駄な移動を大幅に削減できます。これにより、作業者は効率的な順序で商品をピッキングでき、結果として作業全体のスピードアップにつながります。
さらに、必要な情報がリストに集約されることで、作業者は商品の場所や数量、その他の重要な情報を容易に把握でき、迷うことなくスムーズに作業を進めることが可能です。これにより、新人作業者もすぐに業務に慣れ、生産性の向上が期待できます。
ピッキングリストを導入した企業の中には、最適化されたルートや情報の集約によって、作業時間を従来より4割短縮した事例もあります。
ミス防止への影響
ピッキングミスは、単なる作業上のミスで済ませられるものではありません。誤出荷という形で顧客に直接影響を与え、信頼を損なう深刻な事態を招きます。
さらに、返品処理や再発送にかかるコストも無視できず、企業の利益を圧迫し、経営に直接的なダメージを与える要因となります。
これらの人為的ミスを効果的に防ぐためには、商品名や商品コードはもちろん、数量や保管場所などの詳細な情報が明確に記載された、精度の高いピッキングリストを導入することが不可欠です。
ピッキングリストを用いることで、作業者は正確な情報を基に作業を進めることができ、ミスを大幅に減らすことができます。結果として、誤出荷の減少は顧客満足度の向上につながり、クライアントからの信頼を得るだけでなく、企業の評判向上にも貢献します。
在庫管理精度への影響
正確なピッキングは、効率的かつ正確な在庫管理を実現するための基盤です。ピッキングが不正確だと、在庫管理システム上のデータと実際の在庫数に差異が生じ、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。
ピッキングリストに基づいて商品が正確に取り出されると、「帳簿上の在庫数」と「実際の在庫数」の差異を最小限に抑えることが可能です。この差異を最小限に抑えることは、企業にとって非常に重要です。
これにより、欠品による販売機会の損失や顧客満足度の低下、緊急発注によるコスト増といったリスクを低減でき、過剰在庫による保管コストの増大や陳腐化リスク、キャッシュフローの悪化も防げます。
さらに、定期的に行われる棚卸し業務の負担も大幅に軽減され、人的資源をより戦略的な業務に充てることが可能です。
作業標準化への影響
ピッキングリストは、作業手順を明確に示す、いわば作業の「マニュアル」として機能します。詳細な情報が記載されたピッキングリストがあれば、作業者は迷うことなく、効率的に作業を進められます。
リストを見れば誰でも同じ手順で作業できるため、担当者による作業品質のばらつきを抑え、業務の属人化を防ぎ、常に一定以上の作業品質を維持できます。
特に、新人作業員の教育においては、ピッキングリストは非常に有効なツールです。具体的な指示がリストに詳しく記載されているため、新人作業員もその指示にしたがって作業を進めることで、短期間で業務を習得し、即戦力として活躍できます。
コンプライアンス遵守への影響
医薬品や食品といった、人々の健康に直接関わる業界では、ロット番号や有効期限の管理が法律で厳しく定められています。これらの情報は、製品の安全性と品質を保証するために不可欠な要素です。
これらの情報をピッキングリストに正確に記載し、その指示通りに作業をおこなうことは、関連法規や業界基準を遵守する上で不可欠です。正確な情報に基づいたピッキング作業は、製品のトレーサビリティを確保し、品質管理体制を強化します。
万が一、製品に問題が発生し、製品回収(リコール)が必要になった場合でも、ピッキングリストの記録を遡ることで、迅速かつ正確に原因や影響範囲を特定することが可能です。これにより、企業は速やかに対応でき、ブランドイメージの毀損を最小限に抑えられます。
ピッキングリストの種類と特徴

ピッキングリストには、扱う商品の種類や注文の特性に応じて、さまざまな方式があります。自社の状況に合った方式を選ぶことが業務効率化のポイントです。
適切なピッキングリストを選ぶことは、倉庫運営の効率化やコスト削減、顧客満足度の向上に直結します。そのため、各方式の特徴を理解し、自社のビジネスモデルや取り扱い商品、倉庫の規模に最適な方式を選ぶことが大切です。
シングルピッキングリスト(摘み取り方式):小規模・少量多品種向け
シングルピッキングリストとは、1件の注文ごとに1枚のピッキングリストを作成し、必要な商品を集める基本的な方式です。一つの注文ごとに作業が一度で完了するため、シンプルでわかりやすく、注文ごとの梱包作業にもスムーズに移れます。
個人顧客向けのECサイトなど、1注文あたりの商品点数が少ない場合や、商品の種類が多く、注文内容が多様な場合に適しています。例えば、アパレル商品を扱うECサイトでは、顧客ごとに異なる組み合わせで購入されることが多いため、シングルピッキングリストが有効です。
データフィールドの例としては、注文番号や顧客名、商品コード(SKU)、商品名、数量、ロケーションコードなどが挙げられます。この方式は導入が簡単で、特別なシステムを必要としないため、小規模事業者でも手軽に始められます。
トータルピッキングリスト(種まき方式/アソート方式):大量注文処理向け
トータルピッキングリストとは、複数の注文に含まれる商品をまとめてピッキングし、その後、注文ごとに仕分け(アソート)する方式です。
同じ商品を一度にまとめてピッキングできるため、倉庫内の移動距離や作業時間を大幅に短縮でき、ピッキング作業と仕分け作業を分担できます。大規模な物流センターなど、一日に大量の注文を処理する場合や、特定の少数アイテムに注文が集中する場合に適しています。
例えば、特定のキャンペーン期間中に特定の商品の注文が急増した場合などに有効です。データフィールド例として、商品コード(SKU)や商品名、ロケーションコード、合計ピッキング数量、対象注文番号リストなどが挙げられます。
ただし、正確な仕分け作業が求められるため、仕分けミスを防ぐためのチェック体制が欠かせません。
マルチオーダーピッキング:複数注文同時処理
マルチオーダーピッキングとは、作業者が一度に複数件の注文リストを持ち、同時にピッキング作業を進める方式です。複数の注文をまとめて処理できるため、倉庫内の移動効率が向上し、シングルピッキングとトータルピッキングの中間にあたる方式と言えます。
倉庫内の移動距離を短縮しながら、仕分け作業の手間も減らしたい場合に適しています。例えば、複数の顧客が類似した商品を注文した場合などに有効です。
データフィールド例として、注文番号や商品コード(SKU)、商品名、数量、ロケーションコードなどが挙げられます。この方式では、作業者が複数の注文を同時に管理する必要があるため、ある程度の経験と注意力が求められます。
ゾーンピッキング:大規模倉庫の効率化
ゾーンピッキングとは、倉庫を複数のエリアに分割し、各作業者が担当ゾーン内のピッキングのみをおこなう方式です。
作業者の移動範囲が限られるため、移動距離が短くなり、作業効率が向上します。また、各ゾーンの特性に合わせた専門的なピッキングも可能です。広大な敷地を持つ大規模な倉庫や、商品の種類や特性によって保管エリアが明確に分かれている場合に適しています。
データフィールド例として、ゾーンコードやロケーションコード、商品コード(SKU)、商品名、数量などが挙げられます。ゾーンピッキングを導入すると作業者は自分の担当ゾーンに専念できるため、専門知識やスキルを高めることが可能です。
ウェーブピッキング:柔軟な出荷対応
ウェーブピッキングとは、一日の作業を複数の時間帯(ウェーブ)に分け、各ウェーブごとにまとめてピッキングをおこなう方式です。トータルピッキングの一種と考えることもできます。
出荷の締め時間や配送コースごとに作業を区切ることで、計画的な出荷が可能になり、リソースを効率的に配分することが可能です。トラックの出発時間や配送ルートが決まっている場合や、時間指定配送など、優先順位をつけて出荷する必要がある場合に適しています。
例えば、午前中に注文された商品を午後の早い時間に出荷する必要がある場合などに有効です。データフィールド例として、ウェーブIDや出荷予定時刻、商品コード(SKU)、商品名、合計ピッキング数量などが挙げられます。
ウェーブピッキングは、リアルタイムの在庫管理と連携することで、さらに効果を発揮します。
【Excel版】ピッキングリスト作成方法

多くの現場では、手軽に始められるExcelを活用してピッキングリストを作成・運用しています。ここでは、実用的なExcelピッキングリストの作成手順を4つのステップに分けて解説します。
ステップ1:必要なデータの準備と整理
まず、ピッキングリストの元となるデータを準備します。主に以下の3つのデータが必要です。
マスタ/データ | 説明 |
---|---|
商品マスタ | 商品コード、商品名、JANコード、サイズ、重量など、商品の基本情報をまとめたデータ |
ロケーションマスタ | どの商品が倉庫のどの場所(棚番)に保管されているかを管理するデータ |
受注データ | 顧客からの注文情報(注文番号、注文日、顧客名、商品コード、数量) |
上記のデータが別々のファイルやシートに分かれている場合は、関数などで連携できるよう、キーとなる項目(商品コードなど)を統一しておきましょう。
ステップ2:Excelシートのレイアウト設計と項目設定
次に、Excelシート上でピッキングリストのフォーマットを作成します。作業者にとって見やすく、ミスが起きにくいレイアウトを心掛けることが大切です。
項目分類 | 具体的な項目例 | 役割 |
---|---|---|
ヘッダー情報 | ピッキング日、担当者名、注文番号(またはリスト番号) | いつ、誰が、どの注文の作業を行ったかを明確にする |
明細情報 | No.、ロケーション、商品コード、商品名、数量 | ピッキング作業の具体的な指示内容。ロケーション順に並べることが効率化のポイント |
フッター情報 | 合計数量、備考欄、確認サイン欄 | 作業内容の確認や特記事項の伝達 |
上記の項目を列として設定し、見やすいように罫線や色付けで整えます。
ステップ3:Excel関数を活用した効率的なリスト作成術
受注データからピッキングリストを効率的に作成するために、Excel関数を積極的に活用しましょう。
関数 | 説明 |
---|---|
VLOOKUP関数 | 受注データの「商品コード」をキーに、「商品マスタ」から「商品名」を、「ロケーションマスタ」から「保管場所」を自動で表示できる これにより、手入力の手間やミスを削減できる |
SORT関数(または並べ替え機能) | 商品リストを「ロケーション」の昇順で並べ替えることで、作業者が倉庫内を行き来することなく、一筆書きのように効率よくピッキングできる |
SUMIF関数 / COUNTIF関数 | トータルピッキングリストを作成する際に、複数の注文の中から同じ商品コードの数量を合計するのに役立つ |
ステップ4:印刷設定とリストの確認ポイント
リストが完成したら、印刷して現場で使えるようにします。その際、以下の点に注意しましょう。
設定項目 | 詳細 |
---|---|
印刷範囲の設定 | 必要な範囲だけが印刷されるように、あらかじめ「印刷範囲の設定」を行っておく |
改ページプレビュー | 1枚に収める、またはキリの良いところで改ページされるように調整する。中途半端な位置でページが分かれると、非常に見づらくなります |
印刷前の最終確認 | 数量や商品名に間違いがないか、必ず最終チェックをおこなう。特に、数量の桁間違いは大きなトラブルにつながるため注意が必要 |
Excel作成時の注意点とミスを防ぐコツ
Excelは便利なツールですが、手作業であるがゆえの注意点もあります。
ルール | 詳細 |
---|---|
入力ミスを防ぐ | 「データの入力規則」機能を使い、特定セルには数値しか入力できないようにする あるいは、ドロップダウンリストから選択させるように設定すると入力ミスを減らせる |
視覚的に確認しやすくする | 「条件付き書式」を使い、特定の数量以上のアイテムや緊急出荷のアイテムの行に自動で色が付くように設定すると、見落としを防ぐのに役立つ |
ファイルのバージョン管理 | ファイル名を「ピッキングリスト_20240520_ver1.0.xlsx」のようにルール化し、誰がいつ作成した最新版なのかわかるようにする 共有フォルダでの管理も重要 |
ピッキングリストのデジタル化には「i-Reporter」がおすすめ

これまで説明したように、Excelを使えば手軽にピッキングリストを作成できますが、入力ミスなどのデメリットもあります。こうした手作業による課題を解決するには、ピッキングリストのデジタル化が効果的です。
例えば、WMS(倉庫管理システム)や帳票管理システムを導入してピッキングリストをデジタル化すれば、情報を効率よく管理できるようになります。中でも「i-Reporter」は、現場帳票を電子化するためのソリューションです。これを使うことで、現場作業の効率化を実現できます。
「i-Reporter」によってピッキングリストのデジタル化が実現すれば、以下のようなメリットを得られます。
メリット | 詳細 |
---|---|
コスト削減 | 紙のピッキングリストが不要になり、印刷・配布・保管のコストを削減できる |
操作性のアップ | 誰でも直観的に操作できるため、高精度の業務を遂行できる |
入力ミス削減 | 手書きによる転記ミスを防止し、正確な情報を収集できる |
このように、「i-Reporter」を導入すれば、これらのメリットを得ながらピッキング作業全体の効率を大きく高めることができます。
まとめ:ピッキングリストを最適化し、競争力ある物流業務の未来を拓く

本記事では、ピッキングリストの基本的な役割から、その種類、作成するメリット、そして具体的なExcelでの作成方法までを網羅的に解説しました。
ピッキングリストは、単なる作業指示書ではなく、物流業務の効率や正確性、品質を左右する非常に重要なツールです。今回紹介したポイントを実践するだけでも、現場の課題は大きく改善されるはずです。
そして、Excel運用の先には、ハンディターミナルや倉庫管理システム(WMS)と連携した、より高度なデジタル化・ペーパーレス化の道が拓けています。本記事を活用しながら貴社のピッキング業務を見直し、競争力のある物流体制を構築しましょう。
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