製造業に従事している方の中には 「もっと効率的に作業を進めたいけど、 何から手をつければ良いかわからない」 と考えている方もいるでしょう。日本の製造業は技術力で世界をリードしていますが、 生産性の面ではまだまだ課題が残されています。
そこで本記事では、 製造業における生産性向上の重要性を解説します。IoTやAIの活用、 ロボット導入、 サプライチェーン最適化など、 すぐに実践できる具体的な方法も紹介しているので、本記事を参考にしながら生産性向上を目指してみてください。
弊社では、導入社数No.1(富士キメラ総研 2023年8月8日発刊)国内トップシェアを誇る現場帳票システム「i-Reporter」の導入支援をおこなっています。
導入することで、紙の現場帳票の「記入・報告・管理」すべてのペーパーレス化を実現し、生産性向上につなげられます。
要件定義から設計・導入、その後の運用管理まで、お客様に寄り添った伴走支援が可能ですので、ご一緒に現場の生産性向上に向けた業務課題を整理していきましょう。
サービス資料を用意しましたので、あわせてこの機会にこちらから無料でダウンロードしてみてください。
導入実績3,500社以上
目次
製造業における生産性向上とは

製造業における生産性向上とは、労働時間や資源、設備といったインプットに対して、製品・サービスなどのアウトプットの量や質を向上させることです。つまり、より少ない資源でより多くの価値を生み出すことを目指します。
製造業で生産性向上が重要な理由
製造業において、生産性向上が重要な理由は以下のとおりです。
課題 | 詳細 | 対策 |
---|---|---|
労働人口の減少 | 少子高齢化に伴い、労働力不足は深刻化している。 経験豊富な熟練技術者の退職も進み、技術伝承も課題となっている。 | 生産性向上によって、少ない人数でも従来以上の生産量を維持し、労働力不足を補う必要がある。 自動化や省人化技術の導入、従業員の多能工化などが有効な対策である。 |
グローバル競争の激化 | 新興国の台頭などにより、国際競争はますます激しくなっている。 価格競争だけでなく、品質や納期、サービスなど、あらゆる面で競争力を高める必要がある。 | 生産性向上は、コスト削減や品質向上、リードタイム短縮などを実現し、競争優位性を確立するための重要な手段となる。 |
顧客ニーズの多様化 | 顧客のニーズは多様化し、製品ライフサイクルも短縮化している。 大量生産方式から、多品種少量生産方式への移行が求められる中で、柔軟かつ迅速に顧客ニーズに対応できる生産体制を構築する必要がある。 | 生産性向上は、段取り替え時間の短縮や在庫削減、生産計画の最適化などを実現し、多様なニーズに効率的に対応するための基盤となる。 |
日本の製造業が抱える生産性の課題
日本の製造業は、長年培ってきた技術力や品質の高さで世界をリードしてきました。しかし、近年では以下のような生産性の課題を抱えています。
課題 | 詳細 |
---|---|
労働生産性の低迷 | 日本の労働生産性は、先進国の中でも低い水準にある。特に、時間当たりの労働生産性はOECD加盟国平均を下回っている |
設備の老朽化 | 高度経済成長期に導入された設備が老朽化し、メンテナンスコストの増加や生産効率の低下を招いている |
人材不足 | 熟練技術者の高齢化や若手人材の不足により、技術継承が困難である |
デジタル化の遅れ | 欧米諸国に比べて、IoTやAIなどのデジタル技術の導入が遅れており、データに基づいた改善が進んでいない |
生産性向上で得られる具体的なメリット
製造業が生産性向上に取り組むことで、以下のようなメリットを得られます。
メリット | 詳細 |
---|---|
コスト削減 | 無駄な時間や資源を削減することで、製造コストも大幅に削減できる |
品質向上 | 作業の標準化や自動化により、品質の安定化や不良品の削減につながる |
リードタイム短縮 | 生産プロセスの効率化により、受注から納品までの時間を短縮できる |
競争力強化 | コスト削減や品質向上、リードタイム短縮により、市場における競争力を強化できる |
従業員のモチベーション向上 | 業務効率化や労働時間短縮により、従業員の負担を軽減し、モチベーション向上につながる |
上記のメリットを最大限に引き出すためには、自社の課題を正確に把握して適切な戦略を立てて取り組むことが重要です。
生産性向上を阻む要因

製造業における生産性向上は、企業の成長と競争力強化に不可欠です。しかし、多くの企業がさまざまな要因によって生産性向上を阻まれています。ここでは、製造業の生産性向上を阻む代表的な要因を7つ紹介します。
要因1:設備老朽化 – 最新設備への投資とメンテナンスの重要性
老朽化した設備は故障や停止のリスクが高く、生産効率を低下させる大きな原因です。また、古い設備は最新設備に比べて性能が劣るため、同じ時間で生産できる量も少ない傾向にあります。
定期的なメンテナンスはもちろんのこと、最新設備への積極的な投資が重要です。最新設備は生産能力の向上だけでなく、省エネ性能や安全性の向上にもつながり、結果としてコスト削減にも貢献します。
要因2:人材不足 – 採用戦略の見直しと人材育成の強化
少子高齢化が進む日本では、製造業における人材不足が深刻化しています。特に、熟練技術者の高齢化と若手人材の不足は技術伝承を困難にし、生産性の低下を招くでしょう。
そのため、採用戦略の見直しや未経験者を採用して育成する制度の導入、外国人労働者の受け入れなどが求められます。
また、従業員のスキルアップを支援する研修制度の充実も重要です。適切な人材配置も生産性向上には欠かせないほか、コミュニケーション問題や不適切な人材配置も生産性向上を阻む要因とされています。
要因3:長時間労働 – 労働時間管理の徹底と業務効率化
長時間労働は従業員の疲労を蓄積させ、集中力やモチベーションの低下を招きます。その結果、ミスが増加し、作業効率が低下するなど、生産性に悪影響を及ぼします。
労働時間管理を徹底し、残業時間の削減に取り組むとともに、業務効率化を図ることが重要です。例えば、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入して定型業務の自動化や、業務プロセスを見直して無駄を排除するなどの対策が挙げられます。
要因4:アナログな業務プロセス – デジタル化推進による効率化
紙ベースでの作業や手作業によるデータ入力など、アナログな業務プロセスは時間と手間がかかり、人的ミスも発生しやすいです。
製造業における生産性向上を目指すためにはデジタル化を推進し、業務プロセスを効率化することが重要です。例えば、生産管理システムを導入して生産状況をリアルタイムで把握し、タブレット端末を活用して現場での情報共有をスムーズにするなどの対策が挙げられます。
要因5:コミュニケーション不足 – 情報共有の仕組み構築と活性化
部門間や従業員間のコミュニケーション不足は情報伝達の遅延や誤解を生み、業務の停滞や手戻りの原因とされます。
生産性を向上させるためには情報共有の仕組みを構築し、活性化することが重要です。例えば、社内SNSやビジネスチャットツールを導入して情報共有を促進することや、定期的な会議や勉強会を開催して意見交換の場を設けるなどの対策が有効です。
要因6:モチベーションの低下 – 評価制度の見直しとキャリアパスの提示
従業員のモチベーション低下は、生産性低下に直結します。モチベーションを維持・向上させるためには、公平で透明性の高い評価制度を導入して成果に応じた適切な評価をおこなうことが重要です。
また、従業員のキャリアパスを明確に提示し、目標を持って仕事に取り組めるようにすることも大切です。研修制度を充実させ、スキルアップの機会を提供するとモチベーション向上につながります。
要因7:変化への抵抗 – トップダウンだけでなくボトムアップでの意見収集
新しい技術や手法の導入、業務プロセスの変更など、変化に対して抵抗を示す従業員がいると生産性向上に向けた取り組みがスムーズに進まないことがあります。
変化への抵抗を軽減するためにはトップダウンだけでなく、ボトムアップでの意見収集をおこない、従業員の意見を積極的に取り入れることが重要です。また、変化の必要性やメリットを丁寧に説明し、従業員の理解と協力を得ることが大切です。
製造業の生産性を劇的に向上させる具体的な取り組み

製造業における生産性向上は、企業の競争力強化に不可欠です。ここでは、最新技術の導入から業務プロセスの見直しまで、生産性を劇的に向上させるための具体的な取り組みを紹介します。
取り組み1:IoT・AIを活用したデータ分析と改善
IoT(Internet of Things)デバイスを製造現場に導入し、機械の稼働状況や温度、湿度などのデータをリアルタイムで収集します。収集したデータをAI(人工知能)で分析することで、設備の故障予測や不良品の発生原因特定、最適な生産条件の発見などが可能です。
データ活用例 | 期待される効果 |
---|---|
機械の振動データ分析 | 故障予知によるダウンタイム削減 |
温度・湿度データ分析 | 品質管理の最適化 |
作業員の動線データ分析 | 作業効率の改善 |
これにより、予防保全の実施や品質の安定化、作業効率の向上が期待できます。
取り組み2:ロボット・自動化設備の導入による省人化
人手不足が深刻化する製造業において、ロボットや自動化設備の導入はおすすめです。単純作業や危険な作業をロボットに代替させると省人化を実現し、人的資源をより高度な業務に集中させることができます。
導入例 | 期待される効果 |
---|---|
組み立てロボット | 生産スピードの向上、品質の安定化 |
搬送ロボット | 作業員の負担軽減、物流効率の向上 |
検査ロボット | 検査精度の向上、検査時間の短縮 |
取り組み3:サプライチェーン全体の最適化
サプライチェーン全体を可視化し、情報共有を促進するとリードタイムの短縮や在庫の削減、コストの削減が可能です。クラウド型の生産管理システムを導入すれば、協力工場との連携を強化でき、サプライチェーン全体の最適化を実現できます。
最適化のポイント | 期待される効果 |
---|---|
需要予測の精度向上 | 過剰在庫の削減、欠品リスクの低減 |
納期管理の徹底 | リードタイムの短縮、顧客満足度の向上 |
サプライヤーとの連携強化 | 調達コストの削減、安定供給の確保 |
取り組み4:3Dプリンターによる試作・開発の効率化
3Dプリンターを活用すれば試作品の製作期間を大幅に短縮し、開発コストを削減できます。設計段階での検証を迅速におこなうことができ、製品開発のスピードアップに貢献します。
活用例 | 期待される効果 |
---|---|
試作品の製作 | 開発期間の短縮、コスト削減 |
金型の製作 | 少量多品種生産への対応 |
治具の製作 | 作業効率の向上、作業員の負担軽減 |
取り組み5:クラウドサービスの導入による情報共有の促進
クラウドサービスを導入すると部門間・拠点間での情報共有が容易になり、コミュニケーションの活性化や意思決定の迅速化につながります。設計情報や製造情報、品質情報などを一元管理すると業務効率を大幅に向上できます。
導入例 | 期待される効果 |
---|---|
クラウドストレージ | ファイル共有の効率化、情報セキュリティの強化 |
Web会議システム | 遠隔地とのコミュニケーション円滑化、出張コストの削減 |
グループウェア | スケジュール管理、タスク管理の効率化 |
取り組み6:ペーパーレス化による業務効率化
紙媒体での情報共有をデジタル化すると印刷コストの削減や保管スペースの削減、情報検索の効率化につながります。タブレット端末を活用し、現場でのデータ入力や作業指示、報告書作成などをペーパーレスでおこなうと業務効率を大幅に向上させることができます。
ペーパーレス化のポイント | 期待される効果 |
---|---|
帳票の電子化 | 印刷コストの削減、保管スペースの削減 |
ワークフローの電子化 | 承認プロセスの迅速化、業務効率の向上 |
情報共有のデジタル化 | 情報検索の効率化、コミュニケーションの活性化 |
取り組み7:熟練技術のデジタル化と継承
熟練技術者の知識やノウハウをデジタル化し、データベース化すると技術伝承を効率的におこなえます。動画マニュアルの作成やAR(拡張現実)技術を活用した作業支援システムなどを導入すれば、若手技術者の育成を加速させることができます。
デジタル化のポイント | 期待される効果 |
---|---|
作業手順の動画マニュアル化 | 教育時間の短縮、作業品質の安定化 |
ノウハウのデータベース化 | 知識共有の促進、技術伝承の効率化 |
AR技術を活用した作業支援 | 作業ミスの削減、作業効率の向上 |
取り組み8:従業員の多能工化とスキルアップ支援
従業員一人ひとりが複数の業務をこなせるように多能工化を推進すると人員配置の柔軟性を高め、生産性の向上につなげることができます。OJT(On-the-Job Training)の実施や外部研修への参加支援、資格取得支援などを積極的におこない、従業員のスキルアップを支援することが重要です。
スキルアップ支援の内容 | 期待される効果 |
---|---|
OJTの実施 | 実践的なスキル習得、早期戦力化 |
外部研修への参加支援 | 専門知識の習得、視野の拡大 |
資格取得支援 | モチベーション向上、キャリアアップ |
取り組み9:アジャイル開発の導入による迅速な改善
アジャイル開発とは、短いサイクルで計画や設計、実装、テストを繰り返す開発手法です。製造現場における課題解決にアジャイル開発を導入すると、迅速な改善サイクルを回しながら継続的な生産性向上を実現できます。
アジャイル開発のポイント | 期待される効果 |
---|---|
スモールスタート | リスクの低減、早期効果の確認 |
顧客との密な連携 | ニーズに合った改善、満足度向上 |
柔軟な対応 | 変化への迅速な対応、競争力強化 |
取り組み10:リーン生産方式による無駄の排除
リーン生産方式とは、トヨタ自動車が開発した生産管理手法であり、徹底的な無駄の排除を目指す手法です。製造業における無駄を排除することで、生産効率を大幅に向上させることができます。
無駄の種類 | 具体的な対策 |
---|---|
在庫の無駄 | ジャストインタイム生産、かんばん方式 |
手待ちの無駄 | 作業の平準化、多能工化 |
運搬の無駄 | レイアウトの最適化、AGVの導入 |
【事例集】製造業における生産性向上を実現した成功事例

製造業の生産性を向上させるためには、ITやDXを推進しての自動化や効率化が欠かせません。ここからは、ITやDXの推進により生産性を向上させた企業の成功事例を紹介します。自社に置き換えて生産性の向上につながるか、ご検討ください。
株式モクラス
株式モクラスは、建材メーカーからのオーダーに基づき住宅内装建材に使う木材の加工をおこなう企業です。お客様である建材メーカーごとの作業時間を把握し、効率や生産性を上げたいと考えていました。
しかしこれまでの紙管理の帳票では、Excelに転記するのに時間がかかり、帳票の記載内容が正確に情報収集できないため、集計に半月以上の時間がかかりました。
そこで、従業員にiPadを配布し、生産指示を記載したExcelにQRコードを読み込ませ業務開始時間を記録できるようなシステムを導入しました。
システムの導入により、半月以上かかっていた作業が2~3分で完了し、メーカー・製品・工程ごとの平均作業時間の推移を見える化を実現しています。
今後はITツールを活用し、資材発注のプロセスの見直しやコミュニケーションを取りやすくする工夫をおこない、さらなる効率化とお客様満足度の向上に挑戦していきます。
参考:クライアント・製品別の作業時間の分析が15日から2〜3分に短縮されたi-Reporterの活用方法
NTPT Company Limited
NTPT Company Limitedは、自動車や産業機械のベアリングというパーツを製造する企業です。DXを推進する前までは、紙帳票に記入した内容をExcelに転記して管理しており、製造数や問題事象の記録ミスや時間がかかることに課題を感じていました。
そこで、バーコードを読み取りその場で必要な帳票が開けるシステムを導入したところ、Excelへの転記が不要となり、記録作業も以前より簡単におこなえるようにしました。データの確認もすぐできるようになったため、生産性の向上につながっています。
参考:https://i-reporter.jp/interview/11420/
呉羽(常熟)フッ素材料有限公司
呉羽(常熟)フッ素材料有限公司は、リチウムイオン電池の部材などに使われる高性能フッ素樹脂を製造する企業です。紙帳票の記入が現場の負担になっており、転記の手間やデータの精度に課題感を持っていました。
そこで、デジタル帳票システムを導入し、QRコードから担当者名やロット番号を自動入力するようにしたことで転記作業も不要となり、記入ミスを削減できました。
さらに入力したデータを分析する際もシームレスに共有し、集計・分析ができるため、生産性の向上につながっています。
参考:https://i-reporter.jp/interview/10250/
【完全版】生産性向上を測るKPIと計算式|製造業向け

製造業における生産性向上を効果的に進めるためには現状を正確に把握し、改善の効果を測定するための指標(KPI:Key Performance Indicator)を設定することが不可欠です。ここでは、製造業における主要なKPIとその計算式について解説します。
製造業における主要なKPIとは
製造業におけるKPIは生産効率や品質、コスト、納期など、さまざまな側面から企業のパフォーマンスを評価するために用いられます。設定したKPIを定期的に測定・分析することで改善が必要な領域を特定し、具体的な対策を講じることができます。
以下に、製造業における主要なKPIとその計算式を紹介します。
KPI1:労働生産性 – 付加価値額 ÷ 従業員数
労働生産性は、従業員一人当たりが生み出す付加価値を示す指標です。労働生産性が高いほど、少人数で多くの価値を生み出していることを意味します。
付加価値額は、企業の生産活動によって生み出された価値のことです。労働生産性を計算する場合、付加価値に代わって「加工高(売上高から材料費と外注費を引く)」を用いることもあります。
計算式:労働生産性 = 付加価値額 ÷ 従業員数
労働生産性には、物的労働生産性と付加価値労働生産性の2つがあります。 物的労働生産性は、労働者一人当たり、または労働時間当たりに生産される物的生産量で測ります。例えば、製造業であれば製品の個数などが指標です。
一方、付加価値労働生産性は、労働者一人当たり、または労働時間当たりに生み出される付加価値で測ります。付加価値とは、売上高から原材料費や外注費などの外部購入費を差し引いたもので、企業が新たに生み出した価値を意味します。
つまり、物的労働生産性は「どれだけ作ったか」に焦点を当て、付加価値労働生産性は「どれだけ儲けたか」に焦点を当てていると言えます。
KPI2:設備稼働率 – 実際の稼働時間 ÷ 理論上の稼働時間
設備稼働率は、企業が保有する設備の生産能力に対する実際の生産量の割合を示す指標です。設備稼働率が高いほど、設備が効率的に活用されていることを意味します。設備の故障や停止時間を減らし、稼働率を向上させることが生産性向上につながります。
計算式:設備稼働率 = 生産実績÷ 生産能力 × 100
KPI3:不良品率 – 不良品数 ÷ 総生産数
不良品率は、生産された製品の中で不良品の割合を示す指標です。不良品率が低いほど、品質管理が徹底されていることを意味します。不良品率を下げるためには、製造プロセスの見直しや品質検査の強化が必要です。
計算式:不良品率 = (不良品数 ÷ 総生産数) × 100
例えば、ある工場で1日に1000個の製品を生産し、そのうち20個が不良品だった場合、不良品率は2%です。
KPI4:在庫回転率 – 売上原価 ÷ 平均在庫金額
在庫回転率は、一定期間内に在庫が何回転したかを示す指標です。在庫回転率が高いほど、在庫が効率的に販売されていることを意味します。過剰な在庫は保管コストや陳腐化のリスクを高めるため、適切な在庫管理が重要です。
計算式:在庫回転率 = 売上原価 ÷ 平均在庫金額
KPI5:サイクルタイム – 製品1個あたりの生産時間
サイクルタイムは、製品1個を生産するのにかかる時間を示す指標です。サイクルタイムが短いほど、生産効率が高いことを意味します。サイクルタイムを短縮するためには、作業工程の見直しや設備の改善が必要です。
計算式:サイクルタイム = 稼働時間÷生産した製品の総数
例えば、ある製品を1個生産するのに30分かかる場合、サイクルタイムは30分です。
KPI6:リードタイム – 受注から納品までの時間
リードタイムは、顧客からの受注から製品の納品までにかかる時間を示す指標です。リードタイムが短いほど、顧客満足度が高まります。リードタイムを短縮するためには、生産計画の最適化やサプライチェーン全体の効率化が必要です。
計算式:リードタイム = 受注から納品までの時間
KPIを効果的に活用するためのポイント

KPIは、製造業における生産性向上を測る上で非常に重要です。ここでは、KPIを効果的に活用するためのポイントを解説します。
1. 目標との整合性を意識する
KPIは、必ず組織全体の目標達成に直接的に結びつくものでなければいけません。KPIを設定する際には、上位目標であるKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)との関連性を明確にし、KPI達成がKGI達成にどのように貢献するかを理解することが重要です。
例えば、KGIが「年間売上高10%向上」であれば、KPIとして「新規顧客獲得数」「顧客単価向上率」「リピート率向上率」などを設定し、それぞれのKPIが売上向上にどのように影響するかを明確にします。
2. SMART原則に基づいたKPI設定
効果的なKPIを設定するためには、SMART原則(Specific:具体的、Measurable:測定可能、Achievable:達成可能、Relevant:関連性がある、Time-bound:期限が明確)を意識することが推奨されます。
各要素の詳細は以下のとおりです。
要素 | 詳細 | 例 |
---|---|---|
Specific(具体性) | KPIの内容が明確で、誰が見ても同じように理解できること | 「不良品率を〇%削減する」 |
Measurable(測定可能性) | KPIの達成度合いを客観的に測定できること | 「不良品数を月ごとに測定する」 |
Achievable(達成可能性) | 現実的に達成可能な目標水準であること | 「現在の不良品率が5%の場合、3%削減を目標とする」 |
Relevant(関連性) | 組織の目標とKPIが直接的に関連していること | 「不良品率の削減は、顧客満足度向上、コスト削減につながる」 |
Time-bound(期限) | KPIの達成期限が明確に定められていること | 「〇年〇月までに不良品率を3%削減する」 |
3. 定期的な測定と評価
KPIを設定したら定期的に測定し、その達成度合いを評価することが重要です。測定頻度はKPIの種類や目標達成までの期間によって異なりますが、少なくとも月1回は測定し、進捗状況を確認しましょう。
測定結果を分析し、目標達成が困難な場合は、その原因を特定した上で改善策を検討する必要があります。
4. 関係者への情報共有とフィードバック
KPIの進捗状況は関係者全員に共有し、フィードバックを求めることが重要です。情報共有を通じて各担当者が目標達成に向けて意識を高め、協力体制を構築することができます。また、現場からのフィードバックはKPI設定の妥当性や改善策の検討に役立ちます。
5. KPIの見直しと改善
KPIは、一度設定したら終わりではありません。市場環境や経営戦略の変化に合わせて定期的に見直し、改善する必要があります。
例えば、以前は重要だったKPIが、現在では重要でなくなっている場合や新たなKPIを設定する必要が生じる場合もあります。KPIを見直す際には、以下の点を考慮しましょう。
- KPIが組織の目標達成に貢献しているか
- KPIの測定方法が適切であるか
- KPIの目標水準が適切であるか
6. ツールを活用した効率的なKPI管理
KPIの測定や分析、共有には、専用のツールを活用すると効率化を図ることができます。例えば、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールや生産管理システム、ERP(基幹業務システム)などを活用すればKPIデータを自動的に収集し、可視化することが可能です。
これにより、KPIの進捗状況をリアルタイムで把握し、迅速な意思決定を支援します。
7. ポジティブな評価とインセンティブ設計
KPIの達成状況を評価する際には、単に目標達成の有無だけでなく、そのプロセスや努力も評価することが重要です。目標を達成した担当者やチームには、適切なインセンティブを与えるとモチベーション向上につなげられます。
ただし、過度なプレッシャーを与えないように、バランスを考慮した評価制度を設計する必要があります。
製造業の生産性向上に役立つi-Reporter

製造業の現場では、日々の業務でさまざまな情報が飛び交うため、記録・共有する必要があります。しかし、紙ベースでの記録・報告は転記ミスや紛失、集計作業の煩雑さといった多くの課題を抱えています。そこで注目されているのが、現場帳票のデジタル化ツール「i-Reporter」です。
i-Reporterは、従来の紙帳票をデジタル化し、現場でのデータ入力や記録、報告を効率化するソリューションです。i-Reporterを導入すると、以下のような効果が期待できます。
メリット | 説明 |
---|---|
業務効率の向上 | 紙帳票の作成や転記、保管にかかる時間と手間を削減し、現場作業者はより重要な業務に集中できる |
情報共有の迅速化 | リアルタイムでの情報共有が可能になり、迅速な意思決定と対応を支援する |
セキュリティ対策の強化 | ユーザー管理・パスワード管理、iPad個体認証管理など情報漏洩などに対するセキュリティ対策も万全に整っている |
コスト削減 | 紙代や印刷代、保管スペースなどのコストを削減できる |
つまり、i-Reporterは製造業の現場における情報管理を効率化し、生産性向上を強力にサポートするツールと言えるでしょう。
まとめ:製造業の生産性向上は持続的な成長への鍵

日本の製造業は設備老朽化や人材不足、長時間労働など、多くの課題を抱えています。これらの課題を克服し、生産性を向上させるためにはIoT・AIの活用やロボット導入、サプライチェーン最適化など多岐にわたる戦略を組み合わせることが重要です。
今回紹介した内容を基に、製造業における生産性向上を目指していきましょう。
株式会社サンソウシステムズでは、導入社数No.1(富士キメラ総研 2023年8月8日発刊)の現場帳票システム「i-Reporter」の導入を支援する『ちょこっと相談室』という無料のオンライン相談窓口を設けております。
現場帳票のシステム化を検討する際、「時間がなくて調査ができない」「導入しても運用できるか不安」「他社製品と比較してどうなのか?」といった課題や不安がつきものです。
そのような会社様も安心してください。コンサルティング実績の多い弊社であれば、課題のヒアリングから業務効率化に向けた、目標設定・試験導入、その後の本導入から運用まで伴走支援いたします。
まず、やるべきことを整理するだけでもメリットになります。
お話を伺いたい方は、無料の『ちょこっと相談室』(オンライン)で、お気軽にご相談ください。現状課題のヒアリングから丁寧に対応させていただきます。