製造現場の生産性を測る指標は数多く存在します。中でも「サイクルタイム」は、現場の能力を正確に把握し、改善を進める上で欠かせない重要な指標です。しかし、「タクトタイム」や「リードタイム」といった類似用語との違いがわからず、混乱してしまう方も少なくありません。
本記事では、サイクルタイムの基本的な意味から具体的な計算方法、そして生産性を向上させるための短縮方法までをわかりやすく解説します。サイクルタイムの改善によって得られるメリットと役立つツールもご紹介しますので、自社の生産性向上に向けた具体的な一歩を踏み出すために、ぜひ参考にしてください。
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目次
サイクルタイムとは

サイクルタイムとは、製品を1つ生産するために、実際にどれだけの時間がかかっているかを示す指標です。略して CT (Cycle Time)と呼ばれることもあります。機械の稼働時間だけでなく、作業者による部品の取り付けや検査時間も含まれます。
サイクルタイムの把握は、生産ラインの能力をシンプルに測る方法です。そのため、生産計画の立案や、改善活動における効果測定の基準として非常に重要です。
サイクルタイムが重要な理由
サイクルタイムが製造業において重視されるのには、3つの理由があります。
- 生産能力の可視化
- 現場の純粋な生産能力を数値で正確に把握できる
- ボトルネックの特定
- 各工程のサイクルタイムの比較で、生産全体の流れを滞らせている「ボトルネック工程」を特定できる
- 改善効果の測定
- 改善活動の前後でサイクルタイムを比較し、施策の効果を客観的に評価できる
サイクルタイムが特に重要な業界
サイクルタイムは、特に連続生産や大量生産をおこなう業界で重要視される傾向があります。具体的な業界の例をいくつかご紹介します。
- 自動車産業
- 組み立てラインでの各工程の時間を厳密に管理し、生産効率を最大化する
- 電子部品製造
- 半導体などの微細な製品を大量に生産するため、わずかな時間短縮が大きなコスト削減につながる
- 食品・飲料業界
- ベルトコンベアでの加工や梱包など、連続したライン作業が中心なため、業務効率に貢献する
- 医薬品業界
- 厳格な品質管理と安定供給が求められるため、各工程の時間を正確に管理し、計画通りの生産を実現する
タクトタイム、リードタイム、サイクルタイムの違い

製造現場では、サイクルタイムの他にも「タクトタイム」や「リードタイム」といった時間に関する指標が使われます。これらは混同されがちな言葉ですが、それぞれ異なる視点を持つ重要な指標です。違いを正しく理解すれば、より的確な生産管理ができます。
以下の表は、タクトタイム、リードタイム、サイクルタイムの違いを簡単に示したものです。
指標 | 意味 | 視点 | 目的 |
サイクルタイム | 製品を1つ作るのに実際にかかる時間 | 生産現場 | 生産能力の把握、ボトルネックの特定 |
タクトタイム | 製品を1つ作るのに必要とされる時間 | 顧客 | 需要に応じた生産ペースの設定 |
リードタイム | 顧客が注文してから納品されるまでの全時間 | 顧客 | 顧客満足度の向上、在庫管理 |
タクトタイム・リードタイムの詳しい意味を解説します。
タクトタイム(ピッチタイム)とは
タクトタイムとは、顧客から求められる生産量(需要)に対して、製品1つをどれくらいの時間で作らなければならないかを示す目標時間で、「ピッチタイム」と呼ばれることもあります。タクトタイムは、以下の式で計算されます。
タクトタイム = 1日の定時稼働時間 ÷ 1日の必要生産数
1日の定時稼働時間とは、休憩時間などを除いた実際に生産活動に費やせる時間のことです。また、1日の必要生産数は、顧客からの注文や予測に基づいて決定される、1日に生産しなければならない製品の数を示します。
つまり、タクトタイムは、利用可能な時間内で需要を満たすために、各製品をどれくらいのペースで生産する必要があるかを表すものです。市場の需要と生産能力のバランスを取るために用いられます。
タクトタイムを適切に設定・管理することで得られるメリットは以下の通りです。
- 過剰生産の防止:需要以上の生産を抑え、在庫コストの削減につながる
- 機会損失の防止:需要を満たす生産量を確保し、販売機会の損失を防ぐ
- 作業効率の向上:作業ペースの明確化で無駄な動きを排除し、効率的な作業を実現する
- ボトルネックの発見:タクトタイムを基準に各工程の時間を比較することで、生産ラインにおけるボトルネックを発見しやすい
- 従業員の負担軽減:無理な作業ペースを強いることなく、適切な労働環境を維持できる
定期的にタクトタイムを見直し、改善活動をおこなうことで、生産性の向上やコスト削減、顧客満足度の向上に貢献します。
リードタイムとは
リードタイムとは、顧客が製品を発注してから、実際に手元に届くまでの全期間を指します。リードタイムには、以下の要素が含まれます。
- 開発リードタイム:製品の企画から開発完了までの期間
- 調達リードタイム:原材料や部品を発注してから納入されるまでの期間
- 生産リードタイム:製造指示が出てから製品が完成するまでの期間
- 配送リードタイム:製品が完成してから顧客に届けられるまでの期間
リードタイムは、4つの時間をあわせて計算します。また、フォワード法・バックフォワード法といった計算方法もあります。
フォワード法とは、作業の開始日から各工程に必要な時間を順に足して、最終的な完了日を算出する方法です。例えば、ある製品の製造に5日間かかり、次の工程に3日間、最終工程に2日間かかるとします。この場合、最初の工程を開始した日から合計10日間がリードタイムとなります。
バックフォワード法は、製品の納期から逆算して、各工程の所要時間や資材の調達期間を考慮し、製造開始日を決定する手法です。例えば、納期が20日後で、最終工程に2日間、次の工程に3日間、最初の工程に5日間かかるとすると、20日からこれらの日数を引いた10日後が製造開始日となります。
リードタイムを正確に把握することで、納期遅延を防ぎ、顧客満足度の向上が可能です。また、在庫管理の最適化や生産計画の効率化にも貢献します。
3つのタイムの関係性
サイクルタイムとタクトタイムの関係性は、生産効率を評価する上で非常に重要です。理想的な状態は、タクトタイムがサイクルタイム以上であることです。
関係性 | 状態 | ポイント |
サイクルタイム < タクトタイム | 理想的な状態 | 需要に応えられており、余裕がある |
サイクルタイム = タクトタイム | 理想的な状態 | 需要に対し、無駄なく生産できている |
サイクルタイム > タクトタイム | 問題がある状態 | 生産が需要に追いついていない。残業や休日出勤が発生する可能性がある |
関係性を常に意識し、サイクルタイムをタクトタイム以下に維持することが、安定した生産体制のポイントです。
サイクルタイムの簡単な計算方法と具体例

サイクルタイムの基本的な計算式は以下の通りです。
サイクルタイム = 稼働時間 ÷ 生産数
例えば、ある工場が8時間(=480分)稼働し、製品を240個生産したとします。この場合のサイクルタイムの計算方法は以下の通りです。
- 稼働時間: 480分
- 生産数: 240個
- 計算式: 480分 ÷ 240個 = 2分/個
この結果から、この工場では1つの製品を作るのに平均して2分のサイクルタイムがかかっていることがわかります。
サイクルタイム短縮の8つのポイント

サイクルタイムの短縮は、生産性向上につながります。本章では、短縮するための具体的な8つの改善ポイントをご紹介します。
計算結果からボトルネック工程を見つける
生産ラインは、複数の工程が連なって構成されています。その中で最もサイクルタイムが長い工程が「ボトルネック」となり、ライン全体の生産能力を左右します。
まずは各工程のサイクルタイムを計測し、どこがボトルネックになっているかを正確に特定することが改善のポイントです。例えば、設計工程に時間がかかっているなら、設計ツールの導入や設計プロセスの見直しを検討します。製造工程がボトルネックなら、設備の増強や作業者のスキルアップが必要です。検査工程が遅れているなら、検査方法の自動化や標準化を検討すると良いでしょう。
重要なのは、ボトルネックとなっている工程を的確に改善し、全体のサイクルタイムを短縮することです。また、改善の効果を定期的に測定し、さらなる改善につなげていくことも大切です。
7つのムダを排除する
トヨタ生産方式で有名な「7つのムダ」の排除は、サイクルタイム短縮の基本です。現場に潜むこれらのムダを徹底的に洗い出し、改善することが重要となります。7つのムダは以下の通りです。
- 加工のムダ:必要以上の品質、過剰な設計
- 在庫のムダ:不要な原材料、仕掛品、完成品
- 作りすぎのムダ:必要以上の量を前倒しで生産すること
- 手待ちのムダ:材料待ち、機械の停止、前工程からの遅れ
- 運搬のムダ:不必要な物の移動、遠回りな動線
- 動作のムダ:しゃがむ、探す、持ち替えるといった付加価値を生まない動き
- 不良・手直しのムダ:不良品の製造、修正作業
7つのムダを排除するためには、業務プロセス全体を見直し、各工程におけるムダを特定し、改善策を実行していく必要があります。具体的には、以下のステップで進めることが効果的です。
- 現状分析:各工程の作業内容や時間、資源などを詳細に分析し、ムダが発生している箇所を特定する
- ムダの特定:特定した箇所について、7つのムダのどれに該当するかを明確にする
- 改善策の立案:各ムダに対して、具体的な改善策を検討する(例:作業手順の見直し、設備の改善、人員配置の最適化など)
- 改善策の実行:関係者への周知徹底と協力を促した上で、立案した改善策を実行する
- 効果測定:改善策の実行後、効果を測定し、目標達成度を確認する
- 継続的な改善:効果測定の結果に基づいて、改善策のさらなる改良や新たなムダを見つけて改善策を実行するなど、継続的な改善活動をおこなう
6つのステップの実行で、業務効率が向上し、コスト削減や品質向上につながります。また、従業員のモチベーション向上にも貢献できます。
標準化を徹底してバラつきをなくす
作業者によって手順やスピードが異なると、サイクルタイムにバラつきが生じ、安定した生産ができません。誰が作業しても同じ品質・時間で生産できるよう、「標準作業」を定めて徹底することが重要です。
標準作業を定めるために、以下の点を考慮する必要があります。
方法 | 詳細 | ポイント |
作業手順の明確化 | 各工程における作業手順を写真やイラスト、動画などを活用して具体的に示す | 曖昧な表現を避け、誰が見ても理解できるよう、詳細かつ正確な記述を心がける |
作業時間の定義 | 各工程における標準的な作業時間を設定する | 過去のデータや実績を参考に、現実的かつ達成可能な時間を設定する |
品質基準の明確化 | 各工程における品質基準を明確に定義する | 合格・不合格の判断基準を具体的に示して作業者の主観によるバラつきを排除し、品質の安定化を図る |
使用工具・設備の指定 | 使用する工具や設備を具体的に指定する | 工具や設備の選択によって作業効率や品質が左右される場合があるため、最適なものを選択し、標準化する |
安全に関する注意事項の明記 | 危険な作業や注意すべきポイントを明確にする | 労働災害の防止につなげる |
標準作業を定めた後は、標準作業の手順を動画マニュアルとして作成します。全作業者がいつでも確認できる仕組みづくりや、OJT で標準作業の手順を直接指導することが重要です。
また、定期的に見直しをおこない、改善の余地がないかの検討も必要です。作業現場からの意見や改善提案を積極的に取り入れ、より効率的で安全な作業方法を考えます。標準作業の徹底でサイクルタイムのバラつきを抑え、安定した生産活動を実現できます。
能力向上・チョコ停対策など設備を改善する
設備の性能が低い、または故障が多い場合、サイクルタイムを長くする原因となります。設備の能力向上(サイクルアップ)や、短時間の停止を繰り返す「チョコ停」の対策は非常に有効です。
設備の能力向上は、既存設備の改良や最新設備の導入によって実現可能です。例えば、制御システムのアップデート、より高性能な部品への交換、あるいはロボットの導入などが挙げられます。
センサーの誤作動、部品の摩耗、潤滑油の不足などさまざまな要因で起きるチョコ停は、根本的な対策を講じることが重要です。定期的なメンテナンスはもちろん、IoTセンサーなどで稼働状況を監視し、故障の予兆を検知する仕組みも役立ちます。
能力向上・チョコ停対策など設備の改善によって、サイクルタイムの短縮はもちろん、生産性の向上、コスト削減を実現し、企業の競争力を強化できます。
作業者がスキルアップし、多能工化を目指す
作業者一人ひとりのスキル向上も、サイクルタイム短縮に貢献します。また、一人の作業者が複数の工程や機械を扱える「多能工化」を進めることも重要です。
作業員のスキルアップのためには、継続的な研修制度の導入が欠かせません。具体的には、OJTによる実務を通じた指導、OFF-JTによる座学研修、eラーニングを活用した自己学習の機会の提供が効果的です。また、定期的なスキル評価を実施し、個々のスキルレベルに応じた研修プログラムの提供で、より効果的な人材育成が可能です。さらに、資格取得支援制度を設けることで、作業員のモチベーション向上を図り、組織全体のレベルアップにも期待できます。
作業者をスキルアップし、多能工化を目指すことで、特定の作業者に負荷が集中するのを防ぎ、欠員が出た際にも柔軟に対応できる強い生産ラインを構築できます。
物の流れをスムーズにできるレイアウトに最適化する
レイアウト改善は、作業者の移動距離を短縮し、無駄な動きを減らすことにつながります。
例えば、U字型レイアウトは、複数の工程を一人でおこなう場合に適しています。直線型レイアウトは大量生産に向いており、各工程を専門の作業者が担当する場合に有効です。
また、近年では、デジタル技術を活用したレイアウト最適化も注目されています。シミュレーションツールを用いて、さまざまなレイアウトパターンの取り組みや作業者の動きの分析をすることで、より効果的なレイアウトを実現できます。
レイアウト変更をおこなう際には、安全性にも配慮が必要です。通路幅の十分な確保や、危険物を取り扱う場所を明確に区分けするなど、安全対策を徹底します。
定期的なレイアウトを見直し、改善の繰り返しで、運搬や移動のムダが削減され、結果的にサイクルタイムの短縮につながります。
データ収集・分析の自動化ができるITツールを導入する
手作業でのデータ収集や分析には限界があり、時間もかかります。生産管理システム、IoTツールの導入で、各工程のサイクルタイムや設備の稼働状況をリアルタイムで自動収集・分析が可能です。データに基づいた客観的な判断が可能になり、より迅速で的確な改善活動がおこなえるようになります。
また、現場帳票システムによって、紙帳票での記録・報告業務に必要な時間も削減でき、ミスや漏れのない帳票を作成することができます。自社に合ったツールを導入することで、サイクルタイムの短縮に貢献できるでしょう。
株式会社サンソウシステムズでは、現場の業務課題を整理してサイクルタイム短縮につなげるサポートをおこなっています。ぜひお気軽にご相談ください。
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調達リードタイムを短縮できるサプライチェーンに見直す
自社工場内だけでなく、部品や原材料の調達プロセスもサイクルタイムに影響を与えることがあります。サプライヤーとの連携を強化し、調達リードタイムを短縮することも重要です。
サプライヤーとの連携を強化するためには、定期的な情報共有会を実施し、需要予測や生産計画を共有することが効果的です。また、サプライチェーン全体での在庫最適化によって、過剰在庫や欠品のリスクを低減し、サイクルタイム短縮に貢献できます。
サイクルタイム短縮がもたらすメリット

サイクルタイムの短縮に取り組むことで得られるメリットを4つ解説します。
無駄の見える化と改善意識の向上
サイクルタイムを計測し、目標を設定する過程で、これまで見過ごされてきた作業手順や設備の配置、在庫管理の方法など現場のムダを「見える化」することが可能です。
例えば、加工のムダが見える化されると、ムダな工程を省くことで、材料費、人件費、設備費などのコストを削減でき、加工時間の短縮によって製品の納期を早め、顧客満足度を向上させる効果が得られます。
また、従業員一人ひとりが時間に対する意識を高め、自発的に改善提案をおこなうような企業文化の醸成にも期待できます。
生産性の向上
サイクルタイムの短縮は、生産性の向上に直結する要素です。同じ時間でより多くの製品を生産できるようになるため、企業の収益力を高められます。例えば、ある製品のサイクルタイムが10分だったものが、5分に短縮されると時間内に生産できる製品数が2倍になり、売上も単純計算で2倍に増加する可能性があります。
サイクルタイムの短縮による生産性の向上は、企業の競争力を強化する上での大きなメリットです。
納期遵守率と顧客満足度の向上
生産性が向上し、生産計画の精度が上がることで、顧客との約束である納期を守りやすくなります。安定して納期を守れることは、顧客からの信頼を獲得し、満足度を高める重要な要素です。
結果として、リピート受注や取引拡大につながる可能性もあります。
在庫・コストの削減
サイクルタイムが短縮されると、工程間の仕掛品在庫の削減が可能です。各工程で停滞時間が短くなり、製品がよりスムーズに次の工程へ移行することで、在庫管理コストの削減も期待できます。
また、生産性の向上をもたらすサイクルタイムの短縮によって、残業代などの労務費や工場の稼働に必要な光熱費といったコストの削減につなげることも可能です。
不要な在庫やコストの削減は、企業のキャッシュフローを改善させます。サイクルタイム短縮は効率化だけでなく、企業の持続的な成長と競争力強化に不可欠な要素です。
サイクルタイムが長いデメリット

サイクルタイムが長い状態を放置すると、さまざまデメリットが生じます。
- 機会損失の発生
- 生産が需要に追いつかず、販売機会を逃してしまう
- 過剰な在庫
- ボトルネック工程の前に仕掛品が滞留し、無駄な在庫が増加する
- コストの増加
- 生産効率が悪いため、人件費や設備維持費などのコストが割高になる
- 納期の遅延
- 計画通りに生産が進まず、顧客への納期遅延が発生しやすい
- 競争力の低下
- 競合他社に比べて価格や納期で劣ってしまい、市場での競争力が低下する
サイクルタイム改善に役立つおすすめツール・サービス

サイクルタイムの改善活動を効率的に進めるためには、適切なツールの活用が不可欠です。本章では、代表的なツールやサービスをご紹介します。
工程管理システム
工程管理システムは、各工程の進捗状況や負荷状況をリアルタイムで可視化するツールです。
どの工程で遅れが生じているか、どの工程がボトルネックになっているかを正確に把握できます。データに基づいた的確な改善策の立案に役立ちます。
生産管理システム
生産管理システムは、受注から生産、出荷までの情報を一元管理するシステムです。
生産計画の立案、実績の収集、原価管理などを効率化します。サイクルタイムの実績データの蓄積・分析で、長期的なサイクルタイムの改善活動をサポートします。
IoTセンサー
機械や設備へのIoTセンサーの取り付けで、稼働状況や停止時間、生産数などのデータを自動で収集できます。
手作業での記録に比べて正確なデータが得られるため、サイクルタイムの精密な分析が可能になります。また、チョコ停の発生原因特定などにも非常に有効です。
コンサルティングサービス
自社だけでの改善活動に行き詰まった場合は、外部の専門家の知見を活用するのも一つの手です。
製造業に特化したコンサルティングサービスを利用すれば、客観的な視点から問題点を指摘してもらい、効果的な改善策の指導を受けられます。
現場帳票電子化システム
紙の作業日報やチェックシートを使っている場合、記録や集計に多くの時間がかかっています。現場帳票をタブレットなどで電子化するシステムを導入すれば、データ入力の手間が省け、リアルタイムで情報が共有されます。
収集したデータを分析し、サイクルタイム改善のヒントを得ることも可能です。
さまざまなサービスがある中で特におすすめなのが、「i-Reporter」です。「i-Reporter」は導入社数No.1(富士キメラ総研 2024年8月8日発刊)の国内トップシェアを誇る現場帳票システムです。
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サイクルタイムに関するよくある質問

本章では、サイクルタイムに関して現場からよく寄せられる質問とその回答をご紹介します。
Q1:サイクルタイムの目標設定はどうすれば良い?
まずは「タクトタイム」を基準に設定するのが一般的です。理想は「サイクルタイム ≦ タクトタイム」です。
現状のサイクルタイムを計測し、タクトタイムとの差を把握した上で、現実的かつ挑戦的な目標値を設定します。例えば、「3カ月で現状から10%短縮する」といった具体的な目標が効果的です。
Q2:ボトルネック工程を見つけるのが難しい……。どうすれば?
各工程の開始時刻と終了時刻を正確に記録し、サイクルタイムを算出するのが基本です。
目視や手作業での計測が難しい場合は、ストップウォッチでの計測、IoTセンサーなどのツールを活用することがおすすめです。
Q3:サイクルタイム短縮の効果測定はどのようにおこなえば良い?
改善施策を実施する前後で、同じ条件でサイクルタイムを計測し、比較します。「改善により〇秒短縮できた」「生産数が〇%向上した」のように、具体的な数値で評価することが重要です。
また、生産性だけでなく、品質やコストへの影響も併せて評価すると、より多角的な効果測定ができます。
Q4:多品種少量生産の場合、サイクルタイムはどう管理すべき?
製品ごとにサイクルタイムを管理するのが基本です。しかし、製品数が多すぎると管理が煩雑になるため、類似製品グループごとの標準サイクルタイム設定や、段取り替えの時間も含めた管理が有効です。
生産管理システムなどを活用した、製品ごとの実績データの効率的な管理をおすすめします。
まとめ|サイクルタイムを改善し、製造業の効率化を実現しよう!

サイクルタイムを正確に把握し、タクトタイムやリードタイムとの関係を理解することが、効率化と生産性向上のポイントです。本記事で紹介した改善のポイントを参考に、自社の現場に潜むムダを洗い出してみてください。少しずつの改善でも、サイクルタイムを着実に短縮させ、企業の競争力を大きく高めることにつながります。まずは現状のサイクルタイムを計測することから始めてみましょう。
その中で、帳票の記録や管理に時間がかかっている場合は、現場帳票システムの導入がおすすめです。システム導入を検討している方におすすめなのは、導入社数No.1(富士キメラ総研 2024年8月8日発刊)国内トップシェアを誇る現場帳票システム「i-Reporter」です。
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