保守点検とは|定期点検との違いや実施方法を徹底解説

製造業や建設業など現場に設置されている機器は、長期間の使用により劣化や摩耗など不具合が発生します。不具合を放置すると重大な事故につながる恐れもあるため、日常的・定期的に実施する保守点検が欠かせません。

本記事では、保守点検の概要をはじめ、メリットや効率的に実施する方法などを詳しく解説します。DXにより効率化した事例も紹介していますので、最後までご覧ください。

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保守点検とは

保守点検とは、現場で使用される機器や設備を計画に基づいて実施する点検業務です。
設備や機器に応じて点検基準や内容は異なりますが、適切なメンテナンスの実施により、生産効率や品質の向上が期待できます。

保守点検の目的

保守点検は、機器や設備の故障を未然に防ぐことを目的として実施されます。
また、製品の品質向上や事故の防止、生産性の低下を防ぐ目的でもおこなわれます。

保守点検をおこなわずに機器や設備の故障やトラブルによって稼働が停止すると、企業が損害を被ることがあるため、早期発見や安全性の確保のためにも保守点検は重要です。

設備保全との違い

設備保全とは、異常がなくても定期的に正常な状態を保つメンテナンスを実施します。

保守点検が故障の早期発見を主な目的とするのに対して、設備保全は故障やトラブルの予防、回避を目的とします。
言葉の意味に大きな違いはなく、企業によっては同じ意味として使用されることもあるため、明確な区別はありません。

メンテナンスとの違い

メンテナンスと保守点検は、基本的に同じ意味合いです。
しかし、2つの言葉には違いがあると言われることもあります。なぜなら、メンテナンスは機器や設備ではなくネットワーク、コンピュータシステムなどで使用されることが多いためです。

いずれも、点検を意味しており製造業の現場では同じ意味合いで使用されることも多いため、区別する必要はないでしょう。

保守点検が抱える課題

保守点検は重要な業務ですが、実際におこなうには多くの課題を抱えています。

点検記録の記載ミス

保守点検作業の現場では、記録の正確性が非常に重要です。
しかし、デジタル化が進んでいない現場では、手作業での記載を実施し、書き間違いや記入漏れ、誤ったデータ入力などのミスが多く発生します。

特に、紙で記録をおこなっている場合、データの一貫性や正確性が保たれにくく、後から確認する際にも誤差が生じる可能性もあるでしょう。
結果的に設備の状態を正確に把握することが難しくなります。

点検記録のミスは、機械や設備の不具合に気付けないことから故障が引き起こり、生産ライン全体に悪影響を及ぼす可能性もあります。

点検技術の属人化

保守点検業務が特定の個人に依存している「属人化」も大きな課題です。
ベテランの技術者や熟練の作業員は、長年の経験に基づく専門的な知識を持っておりマニュアルにはない独自の方法で実施することも少なくありません。

しかし、担当の技術者が退職や異動した場合、保守点検をおこなえる作業員が減少し、早急な対応が必要な時に対応できないリスクがあります。

また、属人化により技術の標準化が進まないため、新しい技術者が業務を引き継ぐ際にもスムーズな移行が難しくなるでしょう。
技術や知識の伝承が不十分であると、同じ設備に対して不均一な点検がおこなわれ、品質や安全性の管理が正確にできなくなります。

製造業の人手不足

製造業全体では、高齢化に伴う退職者の増加と、若年層の製造業離れによる人手不足によって保守点検に割くリソースがなく、対応しきれない課題があります。

人手不足の課題は、作業者の負担増につながり、過剰な業務によってミスが増えるリスクもあります。また、新たな人材を確保しても、保守点検業務の訓練や教育には時間がかかり、即戦力としての活用が難しいといえるでしょう。
結果的に製造ラインの稼働停止や納期の遅延などを引き起こす可能性も否定できません。

保守点検をおこなうメリット

保守点検の実施により、以下のようなメリットがあります。

トラブルや事故の防止

保守点検をおこなうことで、機器や設備の異常や故障の兆候を早期に発見し、重大なトラブルや事故を未然に防げます。

例えば、機械部品の摩耗や劣化、配管の腐食、電気系統の異常など、問題が発生する前に対応できるため、安全性の向上が実現できます。
また、定期的な点検により、作業現場で予期せぬ故障や事故が発生するリスクを低減し、従業員の安全を確保することが可能です。

これにより、労災事故を防ぎ、作業者の安全を守ると同時に、企業の社会的イメージの維持・向上も期待できるでしょう。

コストの削減

保守点検をおこなうことは、一見、費用や手間がかかるように見えますが、長期的にはコスト削減の削減が可能です。

定期点検によって小さな異常や不具合を早期に発見し修理することで、大規模な故障や設備の停止を回避できます。
突発的な故障に伴う修理費用や、緊急対応にかかるコスト、さらには生産ラインの停止による損失を防ぐことができるのです。

また、緊急時の修理は通常よりも高額になることが多いため、計画的な点検や保守がおこなわれている場合、コストを抑えつつ生産性の向上が実現します。

設備機器の寿命延長

保守点検は、設備や機器の寿命を延ばすメリットもあります。

設備の状態を常に監視し、摩耗した部品の交換や、清掃などのメンテナンスをおこなうことで、正常な状態を長期間維持することができます。
これにより、設備が設計寿命を全うするだけでなく、想定以上に長く使い続けることも可能です。

設備の寿命が延びると、新規の設備投資の頻度が減少し、企業の資本投資を最適化できます。
さらに、設備を長期間使用できるということは、その設備に関わる従業員が熟知した環境で作業できるため、操作ミスの減少にもつながります。

業務の効率化

保守点検の実施は、業務全体の効率化も期待できます。

定期的な点検をおこなうことで、設備の稼働状況を把握し、故障や異常が発生する前に適切な対応ができるため、突発的なトラブルによる作業の中断を最小限に抑えられます。
計画的な点検と保守により、設備の安定稼働が確保され、生産性の向上にもつながるでしょう。

予防的なメンテナンスをおこなうことで、設備の運用スケジュールを最適化し、ダウンタイムを減少させることが可能です。労働時間の無駄を減らし、全体的な業務効率を向上できるでしょう。

保守点検を効率的に実施する方法

保守点検を効率的に実施するには、アナログによる方法ではなくデジタル化が重要です。また、自社のリソースがない場合は委託するのも1つの方法です。

DXに対応する

保守点検業務をデジタル化することで、人手不足、異常の予測、記載ミスのない点検記録などさまざまな課題解決につながります。

例えば以下のような保守点検のデジタル化が挙げられます。

  • モバイル端末による点検業務の簡略化
  • AIを用いた事前異常検知
  • ペーパーレスを目指した点検帳票の電子化

デジタル化は単に保守点検業務を効率化するだけでなく、熟練の技術者によるノウハウをデータ化し、属人化の防止も可能です。

また、データ保守点検記録を1つの端末に一元管理できれば、確認したい情報を探す手間や労力の減少にもつながるでしょう。

外部の業者へ委託する

デジタル化は、長期的に見ればコスト削減や業務の効率化が期待できる一方で、初期投資費用は高くなります。そのため、高度な技術力を持つ専門の業者へ委託するのも一つの方法です。

外部の業者へ委託すれば、自社でリソースを割く必要も、情報を管理する必要もありません。万が一、故障やトラブルが起きた際は保証してくれるケースもあります。

自社で対応するよりもコストパフォーマンスが高く見込めることもあるため、検討してみましょう。ただし、長期的に見るとコストは高くなり、ノウハウを蓄積できない点はデメリットと言えるでしょう。

保守点検をDXにより効率化した事例

ここからは保守点検のDXに成功した企業事例を紹介します。

株式会社ミントウェーブ

引用:株式会社ミントウェーブ

株式会社ミントウェーブのEVQCソリューション事業部では、電気自動車向けの急速充電器の保守・点検サービスを提供しています。

電気自動車の急速な普及により、急速充電器の数は増加し保守点検作業の数が膨大になっていました。また、点検業務は紙を使用していましたが、点検をおこなった後に事務所に戻ってパソコンに入力し、書類としてまとめて提出する必要がありました。

そこで株式会社シムトップスが提供する現場帳票システム「i-Reporter」を導入します。
「i-Reporter」によって現場で作業員が入力したものを管理担当者がチェックするだけで済むようになり、15分程度で保守点検作業から帳票の整理までを実現しました。

株式会社中電工

引用:株式会社中電工

中電工では、点検・検査作業において従来の手法で課題を抱えていました。
例えば、手書きの帳票とデジタルカメラを使用した写真の管理は煩雑で、作業後に事務所で帳票を作成するための作業が発生し、ミスや時間のロスが頻繁に起こっていました。

そこで、「i-Reporter」を導入します。
「i-Reporter」により、現場で直接タブレットを用いて点検結果を入力し、写真も即座に帳票に添付することが可能となります。

その結果、帳票作成のための事後処理時間がゼロになり、点検業務の効率が大幅に向上しました。例えば、以前は10か月かかっていた業務を3か月で完了することができるようになり、業務の品質も向上しています。

日精株式会社

引用:日精株式会社

日精株式会社では、機械駐車設備の保守メンテナンス業務において、従来の紙による報告書運用が非効率であったという課題がありました。
全国約3,700カ所の保守点検結果を紙で取りまとめ、各拠点から本社へ月1回送付するという方法では、情報のリアルタイム性が欠けます。

また、営業部門が迅速にメンテナンス提案をおこなうのが困難になり、報告書の確認には時間がかかるため、メンテナンスの必要性を見落とすリスクもあります。

この課題を解決するために、「i-Reporter」を導入しました。
タブレットを使用して現場で報告書をデジタル化し、オフラインでも稼働できるため、地下設置の設備でも運用が可能になります。
結果として、報告書のデジタル化により、情報の検索やリアルタイムな閲覧が可能になり、営業やメンテナンスの効率化と迅速化が実現しました。

保守点検の効率化を目指すなら「i-Reporter」

保守点検は、設備や機器の故障やトラブルを防ぐ重要な役割があります。
しかし、昨今の現場においては人手不足問題や労働者の高齢化による属人化問題など、課題を抱えていることで保守点検が疎かになる現場も少なくありません。

そこで課題を解決する方法の一つとしてデジタル化があります。保守点検業務を適切におこなうためにも、本記事で紹介した「i-Reporter」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

株式会社サンソウシステムズでは、導入社数No.1(富士キメラ総研 2023年8月8日発刊)の現場帳票システム「i-Reporter」の導入を支援する『ちょこっと相談室』という無料のオンライン相談窓口を設けております。

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