クレーンの正確な点検とメンテナンスは、事故や機械の故障を防ぐ上で重要な役割を果たします。クレーンを操作しているときにひやっとした経験はありませんか。
効果的なクレーン点検の実施は、安全で効率的な作業環境の確保に不可欠です。
この記事では、クレーン点検の重要性と、より効果的な点検方法について説明します。
また、クレーン点検の記録保存にはデジタル化をおすすめします。
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目次
クレーン点検とは

クレーン点検とは、クレーンの安全性と機能性を確保するために定期的におこなわれる検査およびメンテナンスです。 クレーンは、さまざまな作業現場で重い荷物を持ち上げたり、移動させたりするために使用される重要な機械です。絶えず動作し続けるため、部品の摩耗や劣化のリスクがあります。
クレーンの故障は大事故や重大なミスを招く可能性があり、定期的な点検が必要不可欠です。また、潜在的な問題を早期に発見し、労働者の安全の確保も可能です。
クレーン点検の義務化
労働安全衛生法に基づき、日本ではクレーンの点検が義務付けられています。この法律は労働者の安全を守るために制定されており、クレーンの使用者は定期的な点検を実施し、その記録を3年間保存する義務があります。クレーンの中でも、つり上げ荷重0.5トン以上のクレーンすべてと、つり上げ荷重0.5トン以上のすべての移動式クレーン、そのほかクレーン等安全規制の適用を受けるデリックやエレベーター、建設用リフトおよび簡易リフトは点検対象です。
クレーンの中でも天井クレーンは、導入している倉庫や工場が少なく、法定検査自体が認知していない事業所も多くあります。しかし、0.5トン以上のすべての移動式クレーンは定期自動検査の対象のため注意が必要です。
点検にも大きく分けて3種類あり、日常点検・定期点検・年次点検が挙げられます。これらの点検を怠ると法律違反になり、罰則が科される可能性があります。
クレーン点検の内容

クレーン点検は、クレーンを安全に使用するために必要なプロセスです。
具体的にどのようなクレーン点検があるのかを詳しく説明します。
年次定期自主検査
年次定期自主検査は、1年に1回おこなわれる総合的な点検です。
この検査では、クレーン全体の状態を細かく調査し、修理が必要な箇所の発見や部品交換までおこないます。
具体的には、
- 構図部の亀裂や変形の確認
- ワイヤーロープやチェーンの摩擦状態のチェック
- 電気系統の動作確認
- 安全装置の機能確認
などです。これらの徹底で、より長期的にクレーンを使用できます。
月次定期自主検査
月次定期自主検査は、1ヶ月に1回以上おこなわれる点検です。専門の技術者が、機械的な部分や電気系統のチェックをおこないます。
具体的には、
- ブレーキの動作確認
- 油圧システムの漏れチェック
- 操作パネルの機能確認
- 各種センサーの動作確認
などです。日常的な使用による劣化や異常をいち早く発見し、対処可能です。
事前検査
事前検査とは、クレーンを使用する前におこなう簡単な点検です。操作員がおこない、異常がないかを確認します。具体的には、
- 外観の目視チェック
- 操作レバーやボタンの動作確認
- ワイヤーロープやチェーンの状態確認
- 安全装置の動作確認
などです。使用前に毎回クレーンの安全性を確認して、事故を未然に防ぎましょう。
暴風後などの点検
暴風や地震などの自然災害後には、特別な点検が必要です。この点検は、クレーンが外部の影響を受けていないかを確認します。
具体的には、
- 構造部の亀裂や変形の確認
- ワイヤーロープやチェーンの状態の確認
- 電気系統の動作確認
- 安全装置の機能確認
などです。自然災害によって起きた異常を早めに発見し、事故につながる前に必要な補修をおこないます。
自主検査の記録
クレーン点検の結果は、必ず記録として保存する必要があります。保存をしておくことで、点検の履歴を追跡し、非必要なメンテナンスを計画的におこなえます。
記録が必要な情報は、
- 点検日
- 点検者の名前
- 点検項目と結果
- 必要な修理や部品交換の内容
などです。これらは労働安全衛生法に基づき、3年間の保存義務があります。
補修をおこなう
点検の結果、異常が確認された場合は、速やかに補修をおこないます。
補修とは、部品の交換や修理のことです。
安全装置などの有効保持の確認
クレーンには、さまざまな安全装置が装備されています。装置が正常に機能しているかどうかの確認はとても重要です。
具体的には、
- 過負荷防止装置の動作確認
- 緊急停止装置の機能確認
- 各種センターの動作確認
などです。これらが正常かどうかの確認は、クレーンの安全性につながります。
クレーンの性能検査

クレーンを使用するためには、性能検査が必要です。性能検査は、クレーンが安全かつ効率的に動作をするか確認するための重要な検査です。
検査証の有効期限は原則2年のため、有効期限が切れる前に性能検査をおこなわなければなりません。検査証の期限が切れたものは廃止となり、使用できないため注意が必要です。
また、性能検査は一般的にクレーン設置後や大規模な修理後に実施されます。
検査内容
性能検査では、クレーンの各種機能が正常に動作するかを確認します。具体的な検査内容は下記の通りです。
検査内容 | 詳細 |
荷重試験 | クレーンが定格荷重を持ち上げられるかの確認。 |
動作確認 | クレーンの各種動作(昇降、旋回、移動など)がスムーズかどうか確認。 |
ブレーキ試験 | ブレーキが正常に作動し、クレーンを安全に停止できるか確認。 |
安全装置の確認 | 過負荷防止装置や緊急停止装置などの安全装置が正常に機能するか確認。 |
電気系統のチェック | 電気配線や制御装置が正常に動作するかの確認。 |
上記の検査をおこない、クレーンの安全性を証明しましょう。
性能検査を受ける場合
クレーンの性能検査には手順があります。手順は下記の通りです。
手順 | 詳細 |
検査の予約 | 事前に検査機関への予約が必要。 |
準備作業 | クレーンの清掃や簡単な点検をおこない、検査に備える。 |
検査の実施 | 検査機関の技術者が現地に赴き、性能検査を実施。検査には数時間から1日程度必要。 |
検査結果の報告 | 検査終了後、検査結果が報告される。異常が発見された場合は、修理や再検査が必要。 |
検査証の更新手順も上記の初回の性能検査と同様です。
検査証の有効期間の更新
クレーンの性能検査に合格すると、検査証が発行されます。この検査証の有効期限は1年から2年程度です。
そのため、有効期限が切れる前に再び性能検査を受けて、検査証を更新すれば、クレーンを安全に長期的に使用できます。
天井クレーンの点検

倉庫や工場などで活躍する天井クレーンも、定期的な点検が必要です。1年以内に1回、1カ月以内に1回と自主検査を受けなければいけません。
今回はクレーン点検の中でも、天井クレーンについて説明します。
点検の重要性
天井クレーンは7トンや10トンなどの特に重い荷物の運搬が多いため、点検は必須です。点検を怠ると故障や事故のリスクが高まります。点検が機械の異常や摩擦・破損を早期に発見し、事故防止します。
また、天井クレーンの点検も労働安全衛生法によって、定期的な自主検査が義務付けられています。労働者の安全確保のためにも、事前点検も丁寧に取り組みましょう。
また、自主検査を実施する人は、「天井クレーン定期自主検査者安全教育」を受講・終了していると望ましいとされています。
点検の対象となる箇所
天井クレーンの点検対象となる場所は下記の通りです。
- クレーン本体の外観や構造、機能の点検
- ワイヤーロープの摩擦や破損、さびなどがないかの点検
- ブレーキの動作確認、摩擦や破損がないかの点検
- リミットスイッチの動作確認、摩擦や破損がないかの点検
- 安全装置の動作確認、破損がないかの点検
加えて天井クレーンの操作には資格が必要のため、クレーン自体の点検と並行して操作者の技術レベルを上げるのも大切です。
暴風雨後の天井クレーン点検に要注意
暴風雨や地震後は天井クレーンの点検も特に注意が必要です。瞬間風速が毎秒30メートルを超える風が吹いたときや、震度4以上の地震が発生した後は必ずクレーンを使用する前に点検をおこないましょう。
これらの点検は、屋外に設置されたクレーンはクレーン等安全規制第37条により、使用前の点検は必須です。屋内にクレーンがある場合も、使用前には異常がないかを確認してください。
クレーン点検記録を簡単に保存する

クレーンは、さまざまな作業現場で使用される重要な機械ですが、絶えず動作し続けるため、部品の摩耗や劣化のリスクがあります。定期的な点検は、潜在的な問題を早期に発見し、労働者の安全を確保できます。 効果的なクレーン点検には、適切なメンテナンススケジュール状態管理が必要不可欠です。
「i-Reporter」は、クレーン点検の点検記録をデジタルで管理・保存が可能です。そのため紛失のリスクや、記録工数の削減、瞬時に記録することも可能です。
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