「担当者によって、清掃後の仕上がりにばらつきが出てしまう」
「清掃の抜けや漏れによる品質問題や労働災害が心配だ」
「5S活動を推進したいが、何から始めれば良いのかわからない」
このような悩みをお持ちの現場管理者や品質管理担当者は多いのではないでしょうか。その解決への第一歩となるのが、『清掃チェックシート』の導入です。
本記事では、工場の安全と品質を支える清掃チェックシートの重要性や、具体的な作り方を徹底的に解説します。ぜひ最後までお読みいただき、貴社の生産性向上や安全な職場環境づくりにお役立ていただければ幸いです。
弊社では、導入社数No.1(富士キメラ総研 2024年8月8日発刊)国内トップシェアを誇る現場帳票システム「i-Reporter」の導入支援をおこなっています。
導入することで、紙の現場帳票における「記入・報告・管理」のすべてをペーパーレス化でき、生産性向上につなげることができます。
要件定義から設計・導入、その後の運用管理まで、お客様に寄り添った伴走支援が可能ですので、ぜひ一緒に現場の生産性向上に向けた業務課題を整理していきましょう。
サービス資料を用意しましたので、あわせてこの機会にこちらから無料でダウンロードしてみてください。
導入実績3,500社以上
目次
工場に清掃チェックシートが必要な理由

工場における清掃は、美観保持のためだけにおこなうのではなく、製品の品質や従業員の安全、そして生産性向上に直結する非常に重要な業務です。清掃業務の質を確保し、標準化するために不可欠なのが、清掃チェックシートです。
清掃チェックシートとは清掃すべき場所や設備、項目、基準、頻度などを一覧にし、実施状況を確認・記録するための様式です。
清掃チェックシートを活用すると、主に以下のようなメリットを得られます。
- 1. 品質の維持・向上
- 製造環境が清潔に保たれることで、製品への異物混入リスクを大幅に低減できる
- 特に食品や精密機器、医薬品などを扱う工場では、清浄度の維持が品質を左右する重要な要素となる
- 2. 安全な職場環境の確保
- 床の油汚れや水濡れ、通路の障害物などは、転倒事故の主な原因となる
- チェックシートを活用して危険箇所を漏れなく点検・清掃することで、労働災害のリスクを未然に防ぐことができる
- 整理整頓された環境は、火災などの緊急時に安全に避難できる経路の確保にもつながる
- 3. 従業員の意識とモチベーション向上
- 清掃の基準や担当が明確になることで、従業員一人ひとりに責任感が生まれます
- 清掃活動が評価され、職場環境が目に見えて改善されると、従業員の満足度やエンゲージメントを高められる
- 清潔で安全な職場は、従業員が気持ちよく働ける環境の基本である
一方で、清掃チェックシートがなければ、以下のような問題が発生する可能性があります。
チェックシートがない場合の問題点 | チェックシートの導入による改善効果 |
---|---|
清掃の基準が曖昧で、担当者による品質のムラが大きい | 誰が実施しても一定の品質を保てる(標準化) |
清掃の抜け漏れが発生し、汚れや危険箇所が放置される | 実施状況が可視化され、抜け漏れを防止できる |
問題が発生した際に、責任の所在が不明確になる | 実施者と確認者が記録されるため、責任感が向上する |
従業員の清掃に対する意識が低く、習慣化しない | 継続的な運用により、清掃活動が習慣化・定着する |
つまり、清掃チェックシートは工場の安定稼働に欠かせないツールといえるでしょう。
工場における清掃チェックシートの作り方

「チェックシートの重要性は理解できても、実際にどう作れば良いのかわからない」という方もいるでしょう。
ここからは、誰でも簡単に、自社の工場に最適化された清掃チェックシートを作成できる3つのステップについて解説します。
ステップ1:目的と範囲を明確にする
やみくもに清掃チェックシートを作り始めても、効果的なものにはなりません。まずは、以下の2点を明確にすることが重要です。
- 目的の明確化: 何のために清掃チェックシートを使うのかを定義する
- 範囲の明確化: どこを対象にチェックをおこなうのかを具体的に決める
目的の例 | 範囲の例 |
---|---|
A製品ラインの異物混入ゼロを目指す | 生産ラインA、およびその周辺エリア |
倉庫エリアでの転倒事故を防止する | 原料倉庫、製品倉庫の床および通路 |
全従業員の5S意識を向上させる | 事務所や休憩室、トイレなどの共用スペース |
目的がはっきりすれば、どのような項目が必要なのか見えてきます。また、範囲を限定すれば管理がしやすくなり、チェックシートの形骸化を防げます。
最初は特定のエリアや設備に絞って、スモールスタートするのも良い方法です。
ステップ2:【場所・設備別】具体的なチェック項目を決める
目的と範囲が決まったら、具体的なチェック項目を設定します。項目を設定する際は「5W1H」を意識すると誰が見てもわかりやすい内容に仕上がります。
- When(いつ): 毎日、週1回、始業前、終業後など
- Where(どこで): 生産ライン、床、壁、天井、機械Xなど
- Who(誰が): Aチーム、担当Bさん、清掃業者など
- What(何を): ゴミ、油汚れ、ホコリ、備品の整理状況など
- Why(なぜ): 安全確保のため、品質維持のためなど
- How(どのように): 目視、拭き取り、洗剤を使用など
以下に、場所・設備ごとの具体的なチェック項目例を挙げています。自社の状況に合わせて項目を追加・修正してください。
場所/設備 | チェック項目 | チェックする理由 |
---|---|---|
生産ライン | 床に油や水の飛散はないか | 転倒事故防止、製品汚染防止 |
機械周辺に工具や部品が放置されていないか | つまずき防止、紛失防止 | |
ゴミ箱は満杯になっていないか | 異臭・害虫発生防止、美観維持 | |
倉庫 | 通路に荷物がはみ出していないか | 安全な動線確保、台車との接触事故防止 |
照明はすべて点灯しているか | 視認性確保、ピッキングミス防止 | |
保管棚にホコリは溜まっていないか | 製品汚染防止、アレルギー対策 | |
事務所 | 机の上は整理整頓されているか | 作業効率向上、重要書類の紛失防止 |
共用機器(コピー機など)周辺は清潔か | 機器の故障防止、衛生管理 | |
トイレ | 便器や床に汚れはないか | 衛生環境の維持、従業員の満足度向上 |
トイレットペーパーや石鹸は補充されているか | 備品切れによる不便の解消 |
工場清掃チェックシートの賢い運用術

優れた清掃チェックシートを作成しても、現場で適切に運用されなければ意味がありません。「作ったは良いが、いつの間にか使われなくなった」という形骸化を防ぎ、清掃活動を工場の文化として根付かせるための賢い運用術を紹介します。
運用ルールを徹底する
清掃チェックシートを効果的に機能させるためには、明確な運用ルールの設定と共有が不可欠です。以下の点をルールとして定め、関係者全員が同じ認識を持つようにしましょう。
- 担当と責任の明確化:
- 「誰が」清掃とチェックをおこなうのかを明確に割り当てる
- チーム単位での当番制や個人への割り当てなど、現場の実態に合った方法を選ぶ
- 実施タイミングの固定化:
- 「いつ」チェックをおこなうのか(例:始業前10分、終業後、毎週金曜日など)を決め、日常業務のフローに組み込む
- 記録と報告の徹底:
- チェック結果は必ず記録に残す
- 問題点や異常を発見した際の報告フローを事前に決めておく
異常発見時の報告フロー例 |
---|
1. 発見: 担当者がチェックシートに基づき異常を発見 |
2. 一次報告: 担当者はただちに現場リーダーに口頭および清掃チェックシートで報告 |
3. 状況確認: 現場リーダーが現状を確認し、応急処置を指示 |
4. 正式報告: 現場リーダーは管理者へ状況と対応策を報告 |
5. 恒久対策: 管理者は再発防止策を検討・実施し、関係者に周知 |
また、ルールを定着させるためには、担当者への十分な教育とトレーニングも欠かせません。「なぜ清掃チェックシートが必要なのか」といった背景にある目的を丁寧に説明することが、主体的な行動を促します。
6S活動と連携させる
清掃チェックシートは、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)に「安全(Safety)」を加えた「6S活動」を推進する上で非常に強力なツールです。
6Sの要素 | 意味 | チェックシートでの連携例 |
---|---|---|
整理 (Seiri) | 要るものと要らないものを分け、要らないものを捨てる | 不要な私物が作業台に置かれていないか |
整頓 (Seiton) | 要るものを使いやすい場所にわかりやすく置く | 工具が指定された定位置に戻されているか |
清掃 (Seiso) | 常に掃除をして、きれいな状態を保つ | 機械の油汚れを拭き取ったか |
清潔 (Seiketsu) | 整理・整頓・清掃を維持し、誰が見てもきれいでわかりやすい状態にする | 清掃用具が清潔に保たれ、所定の場所に保管されているか |
躾 (Shitsuke) | 決められたルール・手順を正しく守る習慣をつける | チェックシートへの記入漏れはないか |
安全 (Safety) | 職場の危険を予知し、災害を未然に防ぐ | 消火器や避難経路の前に物が置かれていないか |
このように、清掃チェックシートの運用を6S活動と結びつければ、活動が具体的かつ継続的になるはずです。日々のチェックを通じて従業員の意識を高め、工場全体の清掃文化を構築していきましょう。
清掃方法に応じたチェックポイントと適切な基準を設定する
工場の清掃には、大きく分けて「ドライ清掃」と「ウェット清掃」があります。それぞれの特性を理解し、適切なチェックポイントと基準を設けることが重要です。
清掃方法 | 特徴 | メリット | 注意点・チェックポイント |
---|---|---|---|
ドライ清掃 | 水を使わない清掃(掃く、拭く、吸い取るなど) | 水分を嫌う設備や電気系統周辺でも実施可能 | ホコリの舞い上がり、静電気の発生 →「集塵機は正常に作動しているか」 |
ウェット清掃 | 水や洗剤を使う清掃(水拭き、洗浄など) | 油汚れやこびりついた汚れに効果的 | 床の滑り、洗剤の残留、排水 →「清掃後に床が完全に乾燥しているか」「排水溝は詰まっていないか」 |
また、清掃の頻度と評価基準も、場所の重要度や汚れやすさに応じて設定する必要があります。
- 清掃頻度の設定例:
- 毎日: 生産ラインの床、トイレなどの衛生や安全に直結する場所
- 週に1回: 倉庫の通路、事務所の窓など
- 月に1回: 照明器具、エアコンのフィルターなど
- 評価基準の例:
- 2段階評価: OK / NG、良 / 否
- 3段階評価: ◎ / 〇 / △、良 / 可 / 不可
- 写真による記録: 判断が難しい箇所は、清掃前後の写真を添付させる
基準を明確にすることで評価の個人差をなくし、客観的な管理が実現します。
【清掃管理をDX】チェックシートのデジタル化とツールの活用

ここまで、紙の清掃チェックシートを前提に話を進めてきました。しかし、紙で運用すると、手間や管理の煩雑さといった課題が発生します。
そこで近年注目されているのが、清掃チェックシートのデジタル化です。デジタルツールを活用すれば、清掃管理業務を大幅に効率化できます。
紙のチェックシート | デジタルツール | |
---|---|---|
記録・入力 | 手書きで手間がかかる | スマートフォンやタブレットで簡単に入力できる |
管理・保管 | ファイルが膨大になり、保管場所に困る | クラウド上で一元管理、紛失リスクを減らせる |
集計・分析 | 手作業での集計が必要で時間がかかる | 自動で集計・グラフ化、分析が容易になる |
情報共有 | 回覧や掲示が必要で、共有にタイムラグがある | リアルタイムで関係者に共有できる |
コスト | 紙や印刷代、保管コストがかかる | ペーパーレス化でコストを削減できる |
上記の表を見るとわかるように、清掃チェックシートのデジタル化によるメリットは多岐にわたります。しかし「専用ツールは導入コストが高い」と懸念される方もいるでしょう。
そこでおすすめしたいのが、弊社サンソウシステムズが提供する「i-Reporter」です。
i-Reporterとは紙の現場帳票を電子化して、さまざまな業務課題を解決するシステムです。i-Reporterを使って清掃チェックシートを電子化すればシステム上で管理でき、紙で管理する際の課題を改善できます。
清掃チェックシートの電子化から進めていき、現場帳票のデジタル化も検討すると、企業が抱えるさまざまな課題を解決できるでしょう。
工場清掃チェックシートで実現する安全・高品質・高効率な職場環境

本記事では、工場における清掃チェックシートの重要性から、具体的な作成方法、形骸化させないための運用術、そしてデジタル化による効率化までを解説しました。
清掃チェックシートの導入と適切な運用は、単に工場をきれいにするだけではありません。清掃は「安全な職場環境」という土台の上に「安定した製品品質」を築き、最終的には「生産性の高い工場」を実現するための重要な経営活動です。
ぜひ、本記事で紹介した内容を基に貴社の実情に合った清掃チェックシートを作成・導入し、より安全で高品質・高効率な職場環境づくりへの第一歩を踏み出してください。
株式会社サンソウシステムズでは、導入社数No.1(富士キメラ総研 2024年8月8日発刊)の現場帳票システム「i-Reporter」の導入を支援する『ちょこっと相談室』という無料のオンライン相談窓口を設けております。
現場帳票のシステム化を検討する際、「時間がなくて調査ができない」「導入しても運用できるか不安」「他社製品と比較してどうなのか?」といった課題や不安がつきものです。
そのような企業様も安心してください。コンサルティング実績の多い弊社であれば、課題のヒアリングから業務効率化に向けた、目標設定・試験導入、その後の本導入から運用まで伴走支援いたします。
まず、やるべきことを整理するだけでもメリットになります。
お話を伺いたい方は、無料の『ちょこっと相談室』で、お気軽にご相談ください。現状課題のヒアリングから丁寧に対応させていただきます。