2022年の法改正(電子帳簿保存法:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)を機会に帳票の電子化を本格的に考え始めた企業が増えています。とはいえ、電子化に向けて何を準備したら良いのかわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、帳票電子化のメリットはもちろん、業務効率化に役立つ便利なツールまで、分かりやすく解説していきます。電子化への第一歩を踏み出すために、ぜひ参考にしてください。
弊社サンソウシステムズでは、現場の帳票電子化及びシステム化に向けたコンサルティングと、帳票の電子化を実現するツール、「i-Reporter」の販売をしています。「i-Reporter」は導入社数No.1(富士キメラ総研 2024年8月8日発刊)、国内トップシェアを誇る現場帳票システムです。
導入することで、紙の現場帳票の「記入・報告・管理」すべてのペーパーレス化を実現し、さまざまな業務の効率化やDXにつなげられます。また、弊社株式会社サンソウシステムズでは、要件定義から設計・導入、その後の運用管理まで、お客様に寄り添った伴走支援が可能です。
ぜひ、ご一緒に現場の業務課題を整理していきましょう。サービス資料を用意しましたので、併せてこの機会にこちらから無料でダウンロードしてみてください。
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目次
帳票電子化とは

帳票の電子化とは、社内で作成した帳票を紙ではなく電子データで保存することを指します。そもそも帳票とは経営に関わる書類全般です。電子帳簿保存法が施行されるまでは、電子データで作成した書類もプリントアウトして保管しなければならないほど紙媒体での管理が主流でした。
ただし紙媒体が原則の中、一定の要件を満たせば電子データでの管理も認められていました。そして、2022年の法改正により、その保存要件が大幅に緩和されたのです。
電子化が進められている理由

2022年に帳簿電子化が義務づけられた「電子帳簿保存法」の改正が注目を浴びました。改正された大きなポイントを以下の表にまとめました。
改正された項目 | 概要 |
電子取引における電子データの保存が義務化 | 電子取引をした際の書類はデータ保存が義務化された。クラウドサーバーを経由した取引やメール添付されたPDF形式の請求書、ECサイトからダウンロードした領収書などは電子取引に該当する。 |
事前承認制度の廃止 | 電子帳簿保存やスキャン保存を希望する場合の事前承認が不要になった。 |
タイムスタンプ要件の緩和 | スキャナ保存時のタイムスタンプ付与期間が3営業日以内から最長2か月と概ね7営業日以内に延長された。 |
電子帳簿保存法の3つの保存区分

電子帳簿保存法には3つの保存区分があります。電子帳簿保存法を理解するにあたって、保存区分を理解することは重要です。
ここでは、保存区分について説明します。
電子帳簿等保存 | 作成した帳簿や書類を電子データとして保存すること | 国税関係の帳簿・決算書類・取引関係書類 |
スキャナ保存 | 取引先から受け取った請求書や領収書の書類をスキャンしてデータとして保存すること | 注文書・見積書・契約書・納品書・請求書・領収書・検収書※すべて紙で受け取った書類 |
電子取引データ保存 | 電子データとして受け取った請求書や領収書をデータのまま保存すること | 注文書・見積書・契約書・納品書・請求書・領収書・検収書※すべて電子データで受け取った書類(電子メール、クラウドサービス、EDIなど) |
代表的な電子化の方法

帳簿を電子化する代表的な方法を紹介します。
自社にとって使いやすい方法はどれか帳票ごとに検討し、最適な電子化の方法を選択する必要があります。
Web書式
最も一般に使われている電子化の方法が「Web書式」です。Webツールは、インターネット上で使用するものだけではなく、企業の内部で使用するイントラネット上でも使用できます。
Web書式による帳票の電子化は、ネットワークが使用できる端末やブラウザで入力フォームに情報を入力するだけです。
入力したデータは、自動的にCSVやXMLなどの形式で保存されます。
その後追加や編集、上司の承認を得るときは保存したデータを呼び出して確認や印刷、メール転送などの処理がおこなえます。
PDFに入力
社外との書類のやり取りには、PDFが広く利用されています。
編集可能なPDF帳票を相手に送り、情報の入力や電子捺印後、自社でデータ保存をする方法が主流です。取引相手にも電子コピーが残るため、紙の帳票と同様に保存できる利点があります。
PDF帳票は、紙の帳票と似たようなレイアウトで入力フォームを作成できる点も、利用しやすいポイントです。
ハイブリッド型入力フォームの使用
ハイブリッド型入力フォームとは、Web帳票とPDF帳票を組み合わせた電子帳票システムのことです。
Web帳票のように入力した情報をすぐにテキストデータで残せるほかに、入力書式を紙のレイアウトに似せた状態で作成できます。
そのため、紙の帳票に慣れている人でも抵抗感なく電子帳票を使用できる点がメリットといえます。
帳票電子化のメリット

電子帳票保存法の改正によって、帳票の電子化が進みました。実際に帳票を電子化するメリットはどのような点があるのでしょうか。
具体的に、電子化のメリットを紹介します。現場帳票を電子化する際のメリットや注意点については、下記の記事でもまとめていますので参考にしてください。
業務効率化が可能
紙の帳票は、手書きで記載をおこない、記入後は承認者の机まで運んでハンコを受け取り、取引先に郵送やFAXをするという長い手順が主でした。電子帳票に切り替えることで、承認はメールや承認システムで送るだけになり、わざわざ机まで行く必要もありません。担当者の無駄な業務を大幅に削減できます。
コスト削減につながる
紙で帳票を記入するには大量の用紙を使用し、保管場所の確保も必要となるため、手間とコストがかかります。
電子化することで、記入を少し間違えても紙を無駄にすることなくデータ上で修正ができ、電子データで送付すれば印刷コストの節約が可能です。
また、クラウド上で保管ができるため保管場所にも困りません。
データの活用ができる
帳票の電子化は過去データの記録から必要な数字をすぐに確認でき、商品の売れ行き推移などのデータを簡単にグラフ化できます。紙の帳票では、目視で数字を確認してExcelなどにまとめなおす作業が必要でしたが、電子化によってこれらの作業を減らせます。そのため、以前よりも保管しているデータの活用がしやすくなりました。
帳票電子化のデメリット

帳票の電子化はメリットも多いですが、もちろんデメリットもあります。デメリットを理解し、補完する工夫をしましょう。
初期費用がかかる
今まで紙の帳票を使用している場合や、電子化できる体制が整っていない場合には、新たな費用が発生します。電子に対応するための備品の準備や、、必要に応じてサービスの導入が必要となるためです。長い目で見ると、必要コストであったとしても初期費用の準備が必要です。
ルールの改変が必要
紙の帳票では、書類の内容を確認した証明として押印する文化があります。しかし、電子帳票の場合は押印を押せないため、押印に代わる承認が必要です。主に、電子帳票では発行した日付が付与され、確認者と承認者の確認と承認ボタンを押すことで「タイムスタンプ」により時間記録が残ります。いままで、そういった方法を取っていない企業では、規定類の改訂をおこなわなければいけません。
複数の保存方法は非効率になる可能性がある
電子帳簿保存法が改正され、電子化を進めるために規制緩和が進んでいます。とはいえ、すべての帳票を電子化することは難しい企業も多いのが実情です。電子と紙の2つの方法で保管をおこなうことで、重複管理が発生し担当者に負担がかかります。できる限り、電子で保存できるものを増やし紙での保存を減らしていく工夫が必要です。
製造業における帳票を電子化する際の課題

ここからは製造業において帳票を電子化する際の課題を解説します。帳票電子化システムの導入を検討している方は、現場が抱える課題を理解し、対応策を考えることをおすすめします。
帳票電子化システムの導入方法がわからない
紙のみで帳票を利用していた担当者では、帳票電子化システムをどのような手順で導入すれば良いかわからないため、導入が進んでいないケースがあります。ITに詳しいスタッフがいない企業では、システムを導入すること自体に難しい印象を持っている人も多いのではないでしょうか。
そういった場合は、システムを提供している企業やツールの導入をコンサルティングしてくれる企業に相談することが課題解決につながります。
帳票電子化システムの費用対効果がわからない
中小企業の工場の場合、電子化に向けてパソコンの購入やシステムの導入にかかる費用が経営に大きな影響を与える傾向があります。帳票電子化のメリットを理解していても、初期投資の回収にかかる時間やコストダウン効果を見積もらないと、稟議を通すことが難しい場合もあります。
帳票電子化の推進者が自社・現場にいない
電子帳票システムについて知識を持つ人がいることが、帳票の電子化をスムーズにおこなうポイントです。
例えば、紙帳票をテンプレート化し、帳票を発行する手順のマニュアルを用意した上で、運用テストをおこないます。それらの作業に加えて、電子システムの立ち上げ作業を日常業務と並行しておこなうことは、現場で働いているスタッフにとって大きな負担となります。
そのため、システム導入を専任とした担当者を別に用意することが必要です。
運用体制の構築が難しい
帳票の電子化システムの導入がうまくできた後も、システムを滞りなく運用する体制が必要です。また、新システムを導入するときは現場のスタッフ全員が使いこなせることも重要です。システムを使いこなせない状態で運用を開始すると、帳票を使用するスタッフに負担が生じ、取引先とのトラブルに発展するリスクが高まります。
電子化が初めての方は、どのような運用ルールや仕組みを作るべきなのか、ノウハウがないため難しい作業といえます。
帳票電子化の進め方

業務効率化などさまざまなメリットがある帳票電子化ですが、具体的にどのように進めていけば良いのかわからず、導入できていない企業も多くあります。ここからは、帳票電子化の進め方について解説します。
現在の業務フローを洗い出す
最初に、社内で使用されている帳票にどのようなものがあるか洗い出します。そして、帳票にかかわる業務フローを明確にし、電子化する前の現状を把握することが重要です。現状の業務フローが曖昧なまま電子化を推し進めると、途中で電子化以外の課題にぶつかり、うまく進められない可能性があります。現状のフローを洗い出すことが、帳票電子化の第一歩です。
製造現場で使用する帳票について、下記の記事でも解説していますので、併せてご覧ください。
どこまで帳票電子化できるか検討する
現状の帳票にかかわるフローを明確にした後は、帳票を電子化できる範囲を検討します。すべての帳票を電子化できるのが理想ですが、一度に多くの帳票を電子化すると現場が戸惑い、業務に支障が出てしまいかねません。
電子化できる帳票については、以下のそれぞれの記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
元々PDFファイルで取引先から入手して印刷保管していた帳票は、電子化しやすいといえます。まずは簡単に電子化できるところから進めていくのがおすすめです。
業務へ影響範囲を確認する
電子化する帳票が決定した後は、洗い出した業務フローを基に影響が出る範囲を確認します。電子化をおこなうことにより、現状の業務フローから変更しなければならない点も出てきますので、マニュアルの見直しも必要です。
帳票の電子化により現場が混乱しないよう、コミュニケーションを取りながら見直ししていく必要があります。
使用するシステムを選定する
帳票の電子化をおこなう際には、専用のシステムを導入するのがおすすめです。実際に電子化を進める帳票とフローがイメージできている状態ですので、自社に必要な機能が備わった帳票システムを選びます。使い勝手や見やすさ、コストなどさまざまな点を比較検討することが大切です。
実際に運用し課題点を改善する
帳票システムを選定した後は、実際に帳票を電子化し決定した業務フローに基づき運用を開始します。運用後には事前に把握しきれなかった課題や改善点がみつかる場合も多くあります。運用したら終了ではなく、実際の現場の意見を取り入れ、適宜改善していくことも重要です。
帳票電子化にはシステム活用が有効

初めて帳票の電子化を考えるなら、システムの活用をおすすめします。帳票システムには下記のような機能が搭載されています。
帳票作成機能 | 請求書や見積書などの帳票をコンピューター上で作成する機能 |
帳票管理機能 | 作成や送付した帳票をデータとして保存する機能 |
電子化機能 | 紙媒体の帳票をデータ化して保存する機能 |
出力機能 | データとして保存した帳票を紙媒体に印刷する機能 |
セキュリティ機能 | 管理権限の付与や操作ログを記録する機能 |
システムの種類によっては搭載されている機能が異なる場合もあるため、自社に必要な機能を考えた上で検討をすることがおすすめです。
導入前後のサポートがついているシステムを選ぶと、スムーズに導入できます。
帳票電子化システムの選び方

帳票を電子化できるシステムには、さまざまな種類があります。多くの帳票システムの中から自社に合ったものを選択するためには、事前に確認しておきたいポイントがいくつかあります。ここからは、帳票電子化システムの選び方について解説しますので、導入時の参考にしてください。
下記の記事でも製造業のペーパーレス化を取り上げていますので、併せてお読みください。
電子帳簿保存法に対応しているか
帳票システムを選ぶ際には、電子帳簿保存法に対応しているシステムであるかを確認します。電子帳簿保存法に対応している帳票システムであれば、導入すれば適応条件を満たしている状態になるため、担当者の手間が省けます。
帳票を電子化する際に法律の知識も身につけるのは大変です。帳票システムを選択する時には電子帳簿保存法に対応しているものがおすすめです。
自社にとって必要な機能はあるか
帳票システムにはさまざまな機能が搭載されています。システムにより、利用できる機能と利用できない機能があるため、自社にとって必要なシステムが備わっているか事前に確認することが重要です。
利用できる端末や入力補助機能、承認ルートの設定など必要な機能があるかを事前に確認しておくのが大切です。
システムの使い勝手が良いか
必要な機能が備わっていても帳票システムの使い勝手が合わない場合には、業務の効率化が計れません。また、今まで使用していた紙などの帳票と大きくデザインが変わってしまうと現場が混乱してしまう可能性もあります。
帳票システムによっては、無料トライアルをおこなっている場合もありますので、実際に使用して試してみるのもおすすめです。
連携可能なシステムを確認する
自社ですでに導入しているシステムと帳票システムが連携できると、より業務を効率化できます。可視化ツールや進捗管理システムなど、すでに導入しているシステムがある場合には事前に連携可能なソフトとして掲載されているか、公式サイトなどで確認します。
コストやサポート面で比較する
機能や使い勝手が気に入っても、コストやサポート面が合わない場合、導入しても続かない可能性があります。帳票の電子化をおこなう際には、業務効率化によるコストメリットとシステムの導入費用を比較しながら予算を考えておくことが重要です。
また、帳票の電子化に当たりITに詳しい担当者がいない場合や忙しい場合には、サポート面が充実しているかも事前に確認しておきたいポイントです。
帳票電子化に成功した事例

これまでの紙帳票から電子帳票へシステムを導入し、成功させた企業がいくつかあります。ここからは、現場帳票システム「i-Reporter」を使い帳票の電子化に成功した事例を紹介します。
Showa Create Cebu, Inc.の事例

Showa Create Cebu, Inc.は、自動車や照明器具、建築金物などに組み込まれる各種金属プレス部品を製造している企業です。社内で膨大な種類の紙帳票を使用しており、集計や過去データの検索、管理に時間と労力を大きく割いている点に課題を感じていました。
「i-Reporter」のOEM版であるRAKU-PADを導入し、帳票の電子化をおこなったことで、必要な情報をすぐ検索できるようになり事務所へ帳票を探しに行く時間も短縮できました。帳票を電子化する際の工夫した点は、入力事項の選択肢が限られているものはドロップダウンやラジオボタンを活用し簡単に選べるようにしたことです。
選択肢を絞ることで、データ入力時のミスや集計作業の効率化も実現しています。
参考:金属プレス部品の品質管理に欠かせない膨大な種類の紙帳票をデジタル化。日本本社への横展開にも期待
京都電機器株式会社の事例

京都電機器株式会社は、さまざまな機器で使用される電源を製作している企業です。京都電機器株式会社では、取引先から帳票を電子化するよう依頼があったことをきっかけに、現場帳票システム「i-Reporter」を導入しました。
「i-Reporter」の導入により、紙帳票の保管スペースが不要になり、バーコードスキャナーを活用してシリアル番号を入力する手間やミスを削減できています。紙帳票と違い選択するだけで入力できる点が、外国人労働者にも評価されています。
参考:出荷時の検査記録帳票を電子化した事例 | 現場帳票システムはi-Reporter
帳票を電子にするならi-Reporter
電子帳簿保存法の改正によって、より帳票の電子化が活発になる中、「導入コスト」や「社内への浸透」は解決しづらい課題です。本記事を帳票の電子化を進める際の参考にしてください。
株式会社サンソウシステムズでは、導入社数No.1(富士キメラ総研 2024年8月8日発刊)の現場帳票システム「i-Reporter」の導入を支援する『ちょこっと相談室』という無料のオンライン相談窓口を設けております。
現場帳票のシステム化を検討する際、「時間がなくて調査ができない」「導入しても運用できるか不安」「他社製品と比較してどうなのか」といった課題や不安がつきものです。
そのような企業様も安心してください。コンサルティング実績の多い弊社であれば、課題のヒアリングから業務効率化に向けた、目標設定・試験導入、その後の本導入から運用まで伴走支援いたします。
まず、やるべきことを整理するだけでもメリットになります。
お話を伺いたい方は、無料の『ちょこっと相談室』(オンライン)で、お気軽にご相談ください。現状課題のヒアリングから丁寧に対応させていただきます。