近年、ナレッジベースを活用する企業が増えてきました。ナレッジベースは、従業員の得た知識や経験を情報として蓄積していき、会社内の人に共有していくシステムです。
ナレッジベースの導入は、業務の効率化だけでなく、社員の教育コストを削減するなどの多くのメリットがあります。
今回の記事では、ナレッジベース導入を検討する企業の方へ向けて、基本的な知識、種類、メリットから、おすすめのナレッジベース作成ツールを紹介します。
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ナレッジベースとは?
ナレッジベースとは、従業員が得た業務に関する経験や知見を一箇所にまとめたデータベースです。「業務に関する知見」とは、企業や従業員がこれまでの業務で蓄積した知見や経験、スキルなどを指し、企業の知的財産と言えるものです。
ナレッジベースは、今までに得た知見はもちろん、今後得ていく知見も継続して蓄積していくことが重要です。
業務の中で得たナレッジを、他の業務や他の従業員の業務にも生かせるように管理することをナレッジマネジメントと呼びます。ナレッジマネジメントは、企業の競争力を上げる経営手法です。
ナレッジには、マニュアルなどで確認が可能な形式知と、目には見えず、手探りで深堀りしていく領域である暗黙知が存在します。
暗黙知は、個々の経験に依存しており、他の従業員に共有することは簡単ではありません。このような暗黙知を、ナレッジマネジメントで他の従業員にわかりやすく共有する仕組み作りが必要です。
なぜナレッジベースが注目されているのか
ナレッジベースがなぜこれほどまでに注目されているのでしょうか? その理由は、人々の働き方の変化や発展にあります。以下で、大きな理由を3つ紹介します。
1.人材の流動化
現在は終身雇用制度が崩壊したため、リストラや転職が盛んになりました。企業では、人材の流動化が起こり、業務に関する知見がうま引き継げない、知識の断絶という問題が起こりました。そこで、これまで従業員が得た知見を残し、その後に続く従業員へ共有するための手段が必要になりました。
2.ITの発展
ITの発展やスマートフォン、タブレッドの普及により、インターネットが通じていれば、どこでも仕事が出来るような時代になりました。それに伴い、クラウドサービスやナレッジベースも普及したため、業務上でこれらを導入する企業も多くなりました。これにより、ナレッジベースが注目されるようになったのです。
3.労働形態の変化
前述のITの発展により、リモートワークが盛んになり、人々の働き方は変化しています。場所を問わずに働く人も増え、育休や産休を取る人も増加しています。こうした背景から、業務の引き継ぎや伝達、さらには、人員の流動対策、人材育成などの観点でもナレッジベースを使用する企業が多くなりました。
ナレッジベースの活用事例
次に、ナレッジベースの活用事例について見ていきましょう。今回紹介するのは、以下3点の事例です。
- FAQシステム
- 企業内検索システム
- 自動音声応答装置
FAQシステム
FAQとは、よくある質問とその回答をまとめたものです。ウェブサイト上でよく見かけるFAQは、その企業の製品やサービスについての質問と回答が掲載されています。顧客やユーザーからよせられる質問をナレッジベースにまとめて蓄積していくことで、利用者は検索するだけで回答にたどり着けます。
例えば、チャットボットと言われるチャット機能を利用した自動コミュニケーションプログラムを使用すれば、FAQに蓄積させたデータを元に、チャット上でユーザーと自動会話ができます。
ユーザからの問い合わせは類似している内容が多いため、ナレッジベースとしてFAQに蓄積しておけば、チャットボットが自動で回答してくれます。
企業内検索システム
企業内検索システムは、エンタープライズサーチとも呼ばれるナレッジベースを使用したツールです。企業内に存在する資料やデータを横断的に検索することができます。社内の膨大な資料を探す手間が省け、業務の効率化につながります。
前の項で紹介したFAQシステムと連携して、顧客対応のオペレーションを効率化させている事例もあります。
自動音声応答装置
問い合わせ窓口に電話したときに流れる自動応答音声も、ナレッジベースを活用している事例の一つです。ダイヤル操作や音声認識により、ユーザーは自分が必要なサービス案内を適切な形で受けれます。
自動音声応答装置でユーザーを目的別に振り分けることで、オペレーターへつなぐことを減らし、業務を効率化できるのも大きなメリットです。最近では、LINEやWebサイトのチャット向け自動メッセージ応答装置も普及しています。
ナレッジベースを作成するメリット
ナレッジベースの活用事例がわかったところで、作成するメリットについて見ていきましょう。
- 業務の効率化
- 業務の平準化
- 情報共有の利便性向上
- 顧客満足度の向上
以上の4点です。1つずつ詳しく解説します。
業務の効率化
ナレッジベースを利用することの大きなメリットは、普段の業務を効率化させられる点です。ナレッジベースに情報を蓄積しておけば、他の従業員がその情報をもとに実務を進めることができて、業務効率が良くなるでしょう。
会社や部署ごとのルール、仕事の進め方をナレッジベースに蓄積すれば、新入社員の教育にも活用できます。
業務の平準化
ナレッジベースを導入することで、これまでの事例を参考にして書類作成をしたり、営業活動をしたりできます。業務フローを社内で統一し、人による業務の差をなくすことで、平準化にもつながります。
ベテラン社員の知識や経験を蓄積しておけば、社員全員の知識として取り入れられます。急な休職や退職に対応できるでしょう。
情報共有の利便性向上
ナレッジベースは社員の誰もが素早くアクセスでき、専門的な知見を即座に取得できるため、企業の競争力を上げる働きをします。
ナレッジベースで他の部署の情報を得ることで、これまで思いつかなかった発想や意見も生まれてくるでしょう。会社全体がナレッジベースでつながりを持つことで、他の部署の協力や賛同を得やすくなるメリットもあります。
顧客満足度の向上
ナレッジベースを活用したFAQシステムや企業内検索システムを使えば、過去の情報を素早く活用できます。これらは、素早い顧客の対応を必要とする際に大きな効果を発揮します。
ナレッジベースの導入は、経験豊富なオペレーターしかできなかった丁寧なオペレーションを、だれでも実施できるという大きなメリットがあります。オペレーション業務では、このメリットにより大きな進歩を遂げました。
ナレッジベースが作成できるツールの種類
次に、ナレッジベースが作成できるツールを紹介します。今回紹介するのは、以下の7つです。
- ナレッジマネジメントツール
- データベース
- グループウェア
- 社内SNS
- データマイニングツール
- 文書管理システム
- 社内wiki
ナレッジベースを作成できるツールには、様々な種類があります。自社にどのようなものがあっているのか、社内で検討してから導入するようにしましょう。
ナレッジマネジメントツール
ナレッジマネジメントツールは、既存のシステムと連携し、社内の資料や情報を集約するためのツールです。データの検索性や更新しやすさが特徴で、導入しやすいツールです。
データベース
社内で蓄積した情報を、必要に応じて取り出せるのがデータベースシステムです。企業内にはさまざまなデータベースが存在しますが、知識や技術の伝達に特化するデータベースのことをナレッジベースと呼びます。目的に合わせて検索し、データを取り出してくるため応用が利き、様々な場面で利用できます。
グループウェア
決められたグループ間でメッセージ機能やチャット機能を使い、コミュニケーションをとります。スケジュール管理やファイル管理などもできるため、ナレッジマネジメントツールとしても使用可能です。業務の進捗管理や工程管理などでも活用されます。
社内SNS
グループウェアとも似ていますが、社内のコニュニケーションに特化したツールです。従業員の書き込みにより、経験やノウハウを利用者全員に共有できます。時間や場所を問わずに書き込めるメリットがあります。
データマイニングツール
データマイニングツールは、データマイニングで、蓄積したデータをAIや統計で分析し、経営や営業戦略などに役立てるツールです。情報量が多ければ多いほど、裏付けとなる情報を見つけやすく、ビッグデータなどを取り扱う大規模企業で多く取り入れられています。
文書管理システム
社内文書などの資料を効率良く管理するシステムです。ナレッジの共有も同時に進められる点があり、多くの書類や文書を管理する企業におすすめのツールといえます。
社内wiki
社内Wikiの語源でもある「Wikipedia」は、インターネット上に存在する百科事典形式の掲示板で、誰もが書き込むことができます。社内Wikiは、Wikipediaと同じように、社内の誰もが編集できる掲示板形式のナレッジツールです。
ナレッジベース作成におけるツール選定のポイント
次に、ナレッジベースを作成するにあたり、3点のポイントを解説します。
- 更新作業のしやすいものにする
- 情報が見やすいものにする
- 検索のしやすいものにする
ナレッジベースは、どの種類のツールを使用する場合でも作成時の注意点は同じです。実際に日々の業務で使用することを考慮して作成していくことが大切といえます。
更新作業のしやすいものにする
日々の業務の傍らで、運用を続けていくことを考え、誰もが更新しやすいものにします。更新に特別な知識や技術を必要とする場合、一部の人しかできなかったり、更新できない人が出てきたりと、業務に偏りが出てしまいます。
誰もが気軽に更新できるようにする形態で管理すれば、従業員は負担にならずにナレッジを提供できるでしょう。これにより、ナレッジベースがより価値のあるものになります。
情報が見やすいものにする
情報が見たい時に見られるよう、普段から整理しておく必要があります。そのためには、フォルダ分けのルールや項目、ハッシュタグの使い方など、具体的な整理の方法をあらかじめ決めておく必要があるでしょう。
ナレッジベースの種類やツールによっては、自動的に情報を整理してくれるものもあります。しかし、どのツールにせよ、はじめにどのように情報を整理するかを決める必要性があります。
また、情報が正しく見やすいものに整理されているのか、決められた方法で整理されているのか、定期的に点検するようにしましょう。
検索のしやすいものにする
情報を引き出したいときに、引き出せないナレッジベースは使われなくなってしまいます。そうなるとナレッジベースは更新されずに廃れていってしまうでしょう。
ナレッジベースで即座に情報を引き出せるよう、検索の決まりを作るようにします。タグ付けの機能や、リコメンドサービスなど、ツールにより検索しやすい機能が搭載されているものもあるため、新しく契約する際に確認するようにしましょう。
おすすめのナレッジベース作成ツール10選
最後に、おすすめのナレッジベース作成ツール10選を紹介します。
- さっとFAQ
- NotePM
- Google データポータブル
- Confluence
- esa
- Zendesk Support
- kintone
- Qast
- Qiita:Team
- Kibela
ナレッジツールの料金形態は、1ユーザーあたりの月額で設定されていることが多く、1ユーザーあたり¥500/月前後が平均価格となっています。それぞれの特徴や料金などを詳しく紹介していきます。
さっとFAQ
はじめに紹介するのは、さっとFAQです。
エクセルから簡単にデータを読み込めるFAQのチャットボットシステムです。会話履歴からデータ分析もしてくれるので、社内FAQのデータを蓄積させれば、ナレッジベースの役割も果たします。
月額1万円からと手頃にはじめられるため、低価格でナレッジベースを構築したい場合も安心です。
Google データポータブル
- 引用元:Google データポータル
Googleデータポータルは、Googleが提供する無料のBIツールです。BIツールは、企業の持つデータを可視化して業務に役立てるソフトウェアです。
Google広告やアナリティクスなど、Google内のデータを一つにまとめて可視化してくれます。データを様々な角度で分析できるため、業務の効率化を図れるでしょう。
また、ダッシュボード作成機能が搭載されているため、社内FAQやノウハウの蓄積場所としても活用できます。
NotePM
- 引用元:NotePM
- 問い合わせ先:NotePMお問い合わせフォーム
- 月額料金:8ユーザー/¥4,800〜(80GB)
Confluence
- 引用元:Confluence
- 問い合わせ先:Confluenceお問い合わせフォーム
- 月額料金:1ユーザー/¥660〜
Confluence(コンフルエンス) は、オーストラリアの企業、Atlassianが運営する社内情報を共有するためのツールです。
Atlassianは、他にも「Jira」というプロジェクト管理ツールや、「Trello」というタスク管理ツールを提供しており、それらのとの連携ができる点が大きなメリットです。Atlassianの製品以外にもslackやGoogle Drive、Dropboxなどとも連携できます。
柔軟なアクセス制限の設定が可能で、規模の大きな企業に向いているワークスペースです。日本語でのサポートや情報提供もしてくれるため、安心して使用できるでしょう。
料金は月額の使用量が使用人数により決定する仕組みとなっています。無料プランがありますが、ナレッジベースとして使用する場合は、有料プランがおすすめです。
esa
- 引用元:esa
- 問い合わせ先:esa トップページのチャットから連絡
- 月額料金:1ユーザー/¥500〜
esa(エサ)は、情報を育てていくという観点から作られたデベロッパーツールです。WIP機能と呼ばれる、情報を書き込んでいる途中から公開される機能があり、社内の全員で情報を育てていくことをコンセプトとしています。
同じページから何度も更新でき、更新履歴も残ります。そのため、社内Wikiとして使うのにおすすめのツールです。
Zendesk
- 引用元:Zendesk
- 問い合わせ先:Zendesk Support
- 月額料金:1ユーザー/¥500〜
Zendesk (ゼンデスク)は、問い合わせを管理するチャットシステムです。電話やメール、チャットなどから来た問い合わせを一括で管理できます。自動返信の方法を変更したり、SNSやクラウドサービスなどとの連携も可能で、柔軟にカスタマイズをしたり、ヘルプデスクを作成したりできます。
kintone
- 引用元:kintone
- 問い合わせ先:kintoneお問い合わせ
- 月額料金:1ユーザー/780円〜
kintone(キントーン) は、サイボウズ社が提供するクラウドサービスです。システムの開発知識がない方でも、自社の業務に合わせたシステムを簡単に作成できます。ナレッジベースとしてはもちろん、顧客管理やプロジェクト管理としても使用可能です。
Qast
- 引用元:Qast
- 問い合わせ先:Qastお問い合わせフォーム
- 料金は要問い合わせ
Qast(キャスト)は、だれもがシンプルに使えるUIが特徴のナレッジツールです。FAQや社内Wikiの機能など、社内のナレッジベースを充実させるための機能が豊富に揃っています。
コンサルタントによる支援体制も整っており、ツールに関する相談や質問を受け付けています。
Qiita:Team
- 引用元:Qiita:TEAM
- 問い合わせ先:Qitta:TEAMお問い合わせフォーム
- 月額料金:1ユーザー/¥500〜
Qiitaは、エンジニア向けの掲示板ですが、Qiita:TEAM(キータチーム)は企業のナレッジツールとして販売されています。使い勝手はシンプルながらも、テンプレート機能や検索機能など、業務上で役立つ機能が多く搭載されています。
Kibela
- 引用元:Kibela
- 問い合わせ先:Libelaお問い合わせフォーム
- 月額料金:1ユーザー/¥500〜
Kibeka(キベラ)は、どんな業種でも簡単に社内での情報共有ができるナレッジツールです。Blog形式とWiki形式、2種類に分けられているのが特徴です。Blog形式は個人のメモとして使用し、Wiki形式は社内でのノウハウの共有などに使います。
社内で得た知識はナレッジベースでの組織化がポイント
今回の記事では、ナレッジベースにおける基本的な知識や種類、メリットとおすすめのツールを紹介しました。紹介した内容で重要なポイントは以下の通りです。
- ナレッジベースは、個々で得た知識や情報を社内の人へ共有するための便利なツールである
- ナレッジベースにはFAQや社内検索システムなど、様々な活用方法がある
- ナレッジベース作成ツールは誰もが使いやすくなるよう、見やすさや検索のしやすさを重視する
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